10種の資金調達方法と成功の秘訣・事例

中小企業・個人事業主に今おすすめする10種類の資金調達方法について、概要・成功の秘訣・成功事例を挙げてご紹介します。

こんにちは、ベストファクターの四ツ柳と申します。

一般財団法人 商工総合研究所の調査によると、わが国の中小企業は資金調達の多様化が進んでおらず、いまだに借入金比率は高く、大企業との格差は拡大しているようです。さらに調査では、中小企業の借入金を活用して収益を上げる「借入金パフォーマンス」も低く、改善を意識した経営が重要であると指摘しています。

実際に当社にいただくご相談のなかにも、これまでに取引銀行の融資以外の資金調達手段を利用したことがない、あるいは知らないというお客様も少なくありません。経営が上手くいっている、もしくは収益を上げている経営者の方ほど、複数の資金調達手法を組み合わせて活用しています。

本稿でご紹介する10の資金調達方法の成功の秘訣や成功事例を、ぜひ自社の財務状況に合った資金調達の選択肢としてご活用下さい。

記事の内容

資金調達方法①銀行融資

銀行融資は事業計画書が成功の鍵を握る

事業者の方がもっとも多く利用されている資金調達方法は、取引のある銀行からの融資ではないでしょうか?

「業歴2年以上」「赤字決算・債務超過・税金滞納がない」など条件はやや厳しめですが、審査を通過すれば低金利で数百万~数億円のまとまった資金を調達することが可能です。

銀行融資の概要

担保を必要としない法人向けの融資には、「プロパー融資(信用貸付)」と「信用保証付き融資マル保」の2種類があります。

プロパー融資は銀行が独自で審査を行い、直接貸し付ける無保証の融資です。無保証のため貸し倒れリスクの低い大手企業や、銀行と長年の付き合いがあって信用力の高い企業だけが利用できます。

信用保証付き融資は信用保証協会が融資に保証を付けることで、プロパー融資を受けられない企業にも貸付を可能にした融資です。保証料を支払うことで、信用保証協会が企業の保証人となります。

両者のメリット・デメリットは次のとおりです。

メリットデメリット
プロパー融資
  • 金利が低い0.9%~2%
  • 保証料がかからない
  • 企業の信用力が上がる
  • 審査が厳しい
  • 無保証のため返済期間が短い
信用保証付き融資
  • 審査の可決率が高くなる
  • 返済期間を長く設定できる
  • 金利が低い1%~3.5%
  • 返済不能となった場合に融通が利く
  • 保証料がかかる(融資額の0.5%~2%

銀行融資成功の秘訣

銀行融資成功のカギは事業計画書が握っていると言っても過言ではありません。

事業計画書をはじめとして、提出書類の必要事項には可能な限り多くの情報を記載しましょう。自社の強みや魅力、将来性など融資担当者の判断材料が多いほど、審査には通りやすくなります。

「何としてでも銀行からの融資を獲得したい!」というときは、会計事務所等が提供している銀行融資プランナー融資サポートの利用もおすすめです。資金調達のプロが事業計画書の作成アドバイスや確定申告書や決算書の弱点を補う資料の作成等をサポートしています。

さらに、銀行と長年の付き合いがある企業ほど信用力が高いと評価します。普段の取引から銀行との良好な関係を築いておけば、いざというときにも助け舟を出してくれることでしょう。

銀行融資の成功事例

モデルケース
  • 飲食店K社
  • 店舗のリニューアルのための資金調達が目的
  • 信用保証付き融資で600万円の資金調達に成功

イタリアンレストランを開業しているK社は、業績は順調であるものの店舗周辺の再開発に伴い競合他店が進出、売上が低迷していました。

そこで店舗をリニューアルして集客を計画しましたが、自己資金はほとんどなく、銀行からの借入に頼らざるを得ませんでした。

しかもこのままいくと従業員の給与の支払いも危うくなるため、取引銀行に相談したところ、売上の低下を理由に融資を断られてしまいました。

売上低下に加えて従業員の給与も支払えない、取引銀行に融資も断られた……。

資金繰りに困ったK店は付き合いのあった会計事務所に相談。改めて事業計画書を見直し、売上予想に説得力をもたせる資料を作成して再度取引銀行に融資をお願いしました。

当初予定していた融資希望額には届かなかったものの、K社はなんとか信用保証付き融資で600万円の資金調達に成功。従業員への給与も滞りなく支払い、店舗リニューアルに踏み切りました。

資金調達方法②不動産担保ローン

不動産担保ローンは不動産の評価額が成功の鍵を握る

不動産担保ローンとは、土地や建物といった不動産を担保にすることで信用力を上げ、より良い条件で融資を受けるローン商品のことです。

主に第二地銀、信託銀行、ノンバンク系、消費者金融業者などが不動産担保ローンを提供しています。

不動産担保ローンの概要

不動産担保ローンは、戸建住宅、アパート、マンション、宅地、駐車場などすぐに使える不動産を担保にすることで、低金利で高額な融資に期待できるローン商品です。

不動産の価値が高く利用者の信用力も高ければ、数千万円~数億円の融資も可能で、大規模事業や設備投資を目的とした資金調達に向いています。

銀行系、ノンバンク系それぞれの不動産担保ローンの年利、融資額の相場は次のとおりです。

年利の相場融資限度額の相場
銀行系1%~10%未満100万円~1億円以上
ノンバンク系2.5%~15%未満100万円~1億円未満

銀行系は不動産の価値、利用者の信用力がいずれも高ければ、1%未満の超低金利で1億円以上の融資も可能です。一方、ノンバンク系は年利・融資額では銀行系に及びませんが、不動産のリッチや専有面積などの条件が比較的緩いため、銀行系に比べて融資に成功しやすいと言えます。

不動産担保ローンのメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 低い金利で高額の融資が可能
  • (無担保ローンに比べて)審査の可決率が高い
  • 長期の借り入れが可能
  • 資金使途が限定されない
デメリット
  • 返済できなければ不動産を失う
  • 融資までに1週間ほど時間がかる
  • 不動産の価値が不十分なら追加担保が必要

不動産担保ローン成功の秘訣

不動産担保ローンはすでに銀行等から融資を受けている会社や、事業歴の浅い会社であっても、担保価値のある不動産があれば融資を受けることが可能です。

不動産の担保価値=不動産評価額は、融資を申し込んだ金融機関や不動産鑑定士によって変動し、それに伴って融資額と金利が決定します。

一般的に不動産担保ローンの融資額は、不動産評価額に対して70%~100%の「掛け目が掛けられます。たとえば不動産評価額が2,000万円の不動産であれば、融資可能額は1,400万円~2,000万円となります。

1社の金融機関にだけ融資を申し込むことは損をしている可能性もあるため、少なくとも3社くらいに申し込み、もっとも有利な条件で融資してくれるところを選ぶことが成功の秘訣と言えるでしょう。さらに、資金使途が限定されないため、事業の運転資金に充てることもできれば、滞納中の税金に充てることもできます。

不動産担保ローン利用時の注意点としては、融資額が大きいため、月々の返済額も大きくなることが挙げられます。

たとえば融資額2,000万円を金利5%で借りた場合、返済期間が10年(120ヶ月)20年(240ヶ月)とで計算した月々の返済額、総返済額は次のとおりです。

返済期間月々の返済額総返済額
10年(120ヶ月)286,103 円
(初回212,131 円)
25,529,595 円
20年(240ヶ月)131,991 円
(初回205,963 円)
31,751,609 円

返済ができないからといって不動産を手放すことだけは絶対に避けなければならないので、長期的な視野を持って返済計画を立てましょう。

不動産担保ローンの成功事例

モデルケース
  • 飲食店の開業を目指すSさん
  • 開業資金調達に金利の低い不動産担保ローンを選択
  • 不動産担保ローンで2500万円の借入に成功

Sさんは東京都内のホテルの厨房で腕を磨いたフレンチ料理のシェフ。長年の夢だった自分の店を持つことを実現するため独立、知人から優良店舗物件を紹介され準備の真っ最中でした。

30代で独立したSさんは自己資金に乏しく、日本公庫の創業融資制度で借りた資金だけでは開業資金が十分ではありませんでした。そこでSさんは、金利が低く長期返済が可能な不動産担保ローンを借りられないかと模索します。

しかし、担保にできる不動産もないため、消費者金融数社からビジネスローンを借りようかと思っていたところ、Sさんのお父さんから助け舟が。

Sさんの長年の夢を知っていたお父さんは、自分名義の不動産を担保に入れることをすすめ、Sさんは開業するに十分な資金を調達することができました。

自分のレストランを開業し、売上も順調に伸びて、現在は経営も返済も滞りなく進んでいます。

資金調達方法③ビジネスローン

ビジネスローンは返済の計画性が成功の鍵を握る

現在、ビジネスローンは信販会社やクレジットカード会社、消費者金融などノンバンクの提供する商品が主流です。

ノンバンク系のビジネスローンは、事業規模の小さい利用者を対象とした「無担保ローン」と「不動産担保ローン」とがあります。ここでは無担保ビジネスローンについて解説します。

ビジネスローンの概要

ビジネスローンは、銀行融資よりも金利を引き上げるかわりに融資限度額を引き下げ、なおかつ審査の可決率を高くしたことで、銀行融資がかなわなかった中小企業・個人事業でも利用しやすくした商品です。

「ローンカード型ビジネスローン」であれば、スコアリングシステムによる最短即日~1日の資金調達が可能な点に加え、限度額の範囲内であれば何度も借入・返済ができます。

ただし、利用限度額は最大で500万円~1,000万円、金利が10%~15%前後と高めに設定されているため、長期の借入には向いていません。

ビジネスローンのメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 最短即日の融資が可能
  • 審査の可決率が高い
  • 枠内であれば何度も借入ができる(ローンカード型)
メリット
  • 金利が高い(6~18%)
  • 利用限度額が低い(50万~1,000万円)

ビジネスローン成功の秘訣

ビジネスローンの成功の秘訣は、短期で返済できる計画性を持って利用することです。

審査の可決率が高いため銀行融資が望めない人でも利用しやすいのが利点ですが、金利が高めなので返済が長期化すると資金繰りを圧迫します。

例:利用額200万円、利率12%元利均等返済したときの月々の返済額と総返済額

月々の返済額総返済額
30回払い77,500 円2,325,000円
60回払い44,500 円2,670,000円

よってビジネスローンは、「受注のための人員確保・原材料の仕入れ」や「売掛金が入金されるまでのつなぎ資金」など、将来的に売上や入金が見込める資金調達目的で利用すべきです。

さらに、ビジネスローンは必ずしも融資限度額いっぱいまで借入できるわけではありません。なるべく金利を抑え、大きな額を調達したいなら、業績が好調なときや自己資金の割合を増やせるタイミングで借り入れしたほうが望ましいでしょう。

ビジネスローンの成功事例

モデルケース
  • 人材派遣業A社
  • 今期は赤字決算のため取引のある銀行に融資を断られた
  • ノンバンク系のビジネスローンで500万円の借入に成功

人材派遣業のA社は比較的業歴の長い会社でしたが、景気悪化で経営不振に陥り、今期は赤字決算となってしまいました。

このままでは派遣スタッフの給与の支払いもままならないため、定期的に運転資金を借りていた取引銀行に相談したところ、赤字決算を理由に融資を断られてしまいました。

給料日が迫っているのに取引銀行が融通を利かせてくれない……資金繰りに困ったA社はノンバンク系のビジネスローンで資金調達を図ることに。

審査ではA社に比較的大手会社の取引先が多いこと、社内改革によって売上が2割程度増える見通しがあることを評価され、500万円の融資が実行されました。

ビジネスローンで資金調達に成功したA社は、来期の決算後に取引銀行からの融資も内諾を得ることができました。

資金調達方法④日本政策金融公庫の公的融資制度

公的融資制度は審査通過が成功の鍵を握る

日本政策金融公庫(以下、日本公庫)や商工組合中央金庫など、政府系金融機関や地方公共団体から融資を受ける制度が公的融資制度です。

ここでは日本政策金融公庫の「新創業融資制度」と「一般貸付」について解説します。

日本公庫の公的融資制度の概要

創業間もなく業歴も短い会社にとって銀行融資は、利用資格に「業歴2年以上」、あるいは審査時に「直近2期分の決算書の提出」が必須となっているため利用しづらいというデメリットがあります。

日本公庫の新創業融資制度は、税務申告を2期終えていない新規事業者を対象とした融資制度です。要件を満たした事業者であれば、無担保・無保証人で最大3,000万円までの資金を年利3%以下の低金利で融資してもらえる可能性があります。

税務申告を2期以上行っている事業者は、一般貸付を利用することができます。こちらも原則無担保・無保証人で最大4,800万円までの資金を、年利2%以下の低金利で借入が可能です。

公的融資制度のメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 利率が低い
  • 無担保・無保証人で利用できる制度もある
デメリット
  • 審査に時間がかかる(10~14日程度)
  • 必要書類が多い

日本公庫の公的融資制度の成功の秘訣

公的融資制度は非常に使い勝手の良い資金調達方法ですので、成功の秘訣は確実に審査に通ることと言っても過言ではありません。

審査員から高く評価され、融資を実現するためにもしっかりとした事業計画書を作成しましょう。

創業時に創業融資制度の審査を可決すれば低金利でまとまった資金を調達でき、人的・物的な経営資源を確保できます。

創業融資制度も一般貸付も金利が2%前後と非常に安いため、よほど放漫な経営をしない限りは金利を上回る利益を継続的に確保できるでしょう。利益のうち半分は返済に、残りを貯蓄に回せば、効率的にキャッシュを増やすことができます。

日本公庫の公的融資制度の成功事例

モデルケース
  • ネイルショップH店
  • 価格競争の激しい業種でユニークさをアピール
  • 創業融資制度で600万円の開業資金を調達

ネイルショップは飽和状態であることに加え、大手のチェーン店が低価格で他社を圧倒しているため新規参入が難しいという状況があります。しかも、創業融資制度の審査ではかなりシビアに判断され、否決か減額されやすい業種です。

H店は従来のネイルショップにはない施術方法、客層、店のコンセプトなどオリジナリティをアピールする事業計画書を作成。

さらに、代表者の大手ネイルショップでの店長のアピールと、ネイルショップらしい視覚に訴えるプレゼン資料を作成して、店のコンセプトをわかりやすく説明しました。

その結果、H店のユニークさと先見性が評価され、プレゼンもスムーズに終了して満額の600万円の調達に成功しました。

資金調達方法⑤ファクタリング

ファクタリングは調達期間の早さが成功の鍵を握る

ファクタリングは会社が売掛債権(売掛金)をファクタリング会社が買い取り、支払期日を待たずに現金化する資金調達方法です。

契約主体の異なる「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があり、中小企業や個人事業主の方は主に「2社間ファクタリング」を利用されています。

ファクタリングの概要

ファクタリングは支払期日前の売掛金を運転資金として使える現金に代えるサービスです。通常1ヶ月~2ヶ月先となる売掛金の支払日前に現金が調達できるため、資金繰り改善やつなぎ資金として重宝します。

審査では基本的に売掛先と売掛金の信用力が重視されるため、金融機関からの融資が断れている方でも利用可能で、早ければ最短即日翌日には現金を調達できます。

さらに、2社間ファクタリングは「利用者」と「ファクタリング会社」の2社間での契約です。売掛先や第三者にファクタリングを利用した資金調達の事実を知られる心配がありません。

ファクタリングの利用で注意すべきは、売掛金の買取手数料です。2社間ファクタリングの手数料相場は売掛金の額に対して10%~20%で、手数料が高い=調達コストが高いと、使える現金を手にしても苦しい資金繰りからは脱却できません。

以上の2社間ファクタリングのメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 最短即日の現金化が可能
  • 売掛債権があれば比較的審査に通りやすい
  • 秘密厳守の資金調達が可能
デメリット
  • 手数料が高い(10~20%)
  • 債権回収業務は通常どおり行う

ファクタリング成功の秘訣

ファクタリングの成功の秘訣は、許容範囲内の手数料で現金化して資金繰りを改善するです。

たとえば、100万円の売掛債権をファクタリング会社に売却する場合、手数料5%と手数料20%では調達できる現金に大きな差が生じます。

手数料調達できる現金15万円の差額が生じる
5%95万円
20%80万円

ファクタリングはあくまでも、手数料を支払って1ヶ月~2ヶ月先の売掛債権を前倒しで現金化するサービスです。本来受け取るはずだった手数料で差し引かれた分を、売上アップもしくは経費削減等で取り戻さなければなりません。さもなければ、ファクタリングに依存する体質かつ業績悪化から抜け出せなくなってしまいます。

上記の例で言えば、手数料5%で売掛債権を売却したほうが20%で売却するよりも早期の資金繰りの改善が見込めるということです。

ファクタリング会社の多くは売掛債権の買い取りのみならず、財務コンサルティングのサービスも提供しています。財務コンサルティングでは、財務のプロがファクタリング利用会社の資金繰り改善の提案、金融機関への対策など、会社の財務体質の改善に向けた有益なサポートが受けられます。

ファクタリングの成功事例

モデルケース
  • 建設業M社
  • 建設工事の先出しの外注費の調達が必要
  • ファクタリングで外注費の調達を実現して無事に着工

建設業のM社は元請けからの新規の案件で、大工さんや内装業者に支払う外注費に充てる資金不足に悩んでいました。着手金はすでに受け取っていたものの、材料費や外注費でさらに先出しの費用が必要だったためです。

しかし、M社は税金対策で意図的に赤字決算にしており、銀行からの融資が望めませんでした。下請けへの支払いを1ヶ月ほど遅らせれば会社がつぶれることはないものの、下請けには早く払いたいということで、ファクタリング会社に相談。工事代金をファクタリング会社に売却することで、先払いの代金分の資金調達に成功しました。

さらに、ファクタリング会社が提供する財務コンサルティングでM社の財務体質は見直され、資金繰りも改善のめどが立ったようです。

資金調達方法⑥手形割引

手形割引は割引率が成功の鍵をにぎる

手形は手元に現金がないときや、一定期間を開けてから支払いをするときに、支払いを約束するための「代金の支払いを約束する証明書」です。

中小企業や個人事業主の方は主に「2社間手形割引」を利用されています。

手形割引の概要

日本の商取引で発行される手形は、2ヶ月~3ヶ月後の決済を約束する「約束手形」が全体の約9割以上を占めています。

仕入れ会社は手形があれば手元に現金が無くても商品やサービスと交換することができますが、納入会社は決済日まで待たなければ現金が入ってきません。

そこで現金が必要になった時は、満期になっていない手形を金融機関や手形割引業者に譲渡し、いくらかの手数料(割引料)を支払って現金へ換金する手形割引が利用されています。ちなみに手形を発行した者を「手形振出人」、手形を受け取った者を「手形受取人」と言います。

「債権を現金化する」仕組みはファクタリングと似ていますが、あくまでも手形割引は融資契約で、決定的な違いは不履行になった場合の責任です。

ファクタリングは償還請求権がないノンリコース契約がほとんどで、売掛先が債務不履行になってもファクタリング利用会社が代金を返済する義務はありません。

一方で手形割引はに償還請求権があるため、手形が不履行になった場合は金融機関や手形割引業者が手形受取人に代金を請求できる権利があるのです。

以上の2社間手形割引のメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 決済日前に手形を現金化できる
  • 手形割引業者であれば即日で現金化も可能
デメリット
  • 手数料がかかる(5%〜15%
  • 手形が不履行になった場合は代金返済の義務がある

手形割引成功の秘訣

手形割引を換金するには手数料がかかるため、手形に記載された満額の現金を受け取ることはできません。

したがって手形割引で資金繰りを改善するためには、許容範囲内の手数料で現金化することが重要です。

手形割引の手数料を抑えるための秘訣は、「割引率の低い金融機関or手形割引業者を選ぶ」ということに尽きます。

この2種類の融資元はそれぞれ次のような特徴、メリット・デメリットがあり、両者の違いを理解しておく必要があります。

金融機関手形割引業者
特徴
  • 手形受取人の信用を重視
  • 手形振出人の信用を重視
メリット
  • 割引率が低め
  • 最短即日の現金化が可能
デメリット
  • 現金化までに2~3営業日かかる
  • 割引率が高め
  • 悪徳な手形割引業者もいる

金融機関と手形割引業者のどちらで手形を現金化すれば有利になるかは会社の状況にもよりますので、融資元は慎重に選ぶようにしましょう。

手形割引の成功事例

モデルケース
  • リフォーム業者社長Sさん
  • 資金繰り改善のためつなぎ資金が必要
  • 手形割引で950万円の現金調達に成功

リフォーム業を営むSさんは、ハウスメーカーや工務店の下請けとして営業していましたが、この度大手建設会社からかなり大きめの仕事を受注できるチャンスが到来しました。

しかし、建設業界では大手の企業が下請け業者へ手形で支払いをするケースが多く、今回の受注も約束手形での支払いが条件でした。しかも決済日が120日後という長期の手形です。

Sさんは悩みましたが、今回の取引を成功させれば大手企業からの受注も増えると踏んで、大手建設会社の仕事を受注することになります。

最初のうちは自己資金と取引銀行からの融資でなんとか工面していたものの、従業員への支払いや外注への支払いなどで資金は出ていく一方。

そこでSさんは取引銀行の手形割引で資金調達を計画。審査ではすでに長い付き合いのあることが評価され、1,000万円の手形を割引率5%で換金し、950万円の現金調達に成功したのでした。

資金調達方法⑦少人数私募債

少人数私募債は信頼関係が成功の鍵を握る

少人数私募債は社債の一種で、49人(社)以下の投資家に対して発行することができる小規模な社債のことです。

引受人は社債発行会社の縁故者や会社に関連する者に限定されます。

少人数私募債の概要

社債は企業が資金を調達する際に発行する債権のことで、多数の投資家から直接資金調達ができる直接金融の手段です。

ただし、社債発行に数千万円というコストがかけられるのは大企業に限られるため、中小企業が利用しやすい社債として少人数私募債があります。

少人数私募債は、社債権者(投資家)を49人以下の社債発行会社の縁故者や会社に関連する者に限定した社債です。

大企業の社債に比べて手続きが簡素無担保で発行可能などのメリットがあります。ただし、少人数私募債を発行するには次の条件を満たすことが必要です。

  • 法人であること
  • 社債権者が49人以下
  • 社債権者にプロ投資家がいないこと
  • 社債総額は社債最低金額×50

返済方法については社債発行会社がある程度自由に決めることができ、投資家は利息を得ることができます。

少人数私募債のメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 低コストで社債を発行できる
  • 固定金利で返済計画を立てやすい
  • 届け出や決算等の開示が不要
デメリット
  • 一括返済が基本
  • 関係者を説得できなければ資金を集められない

少人数私募債成功の秘訣

少人数私募債による資金調達を成功させるためには、社債を購入してもらう縁故者や会社に関連する人たちと信頼関係を築くことです。

通常、社債を購入するのは発行会社の役員や社員、取引先、家族、利害関係者、親族、知人などが基本です。彼らを説得し、納得してもらったうえで社債を購入してもらうためにも、積極的な情報の開示は必要不可欠となるでしょう。したがって、明確な事業計画書の策定と作成および説明、決算書の開示を積極的に行うことが成功の秘訣となります。

さらに、少人数私募債は一般の社債のように社債管理会社がなく、社債発行会社が管理を行う必要があります。利払いや償還などを厳格に管理して資金繰りを計画的に行い、キャッシュ不足に陥らないよう注意しましょう。

少人数私募債の成功事例

モデルケース
  • 製造業C社
  • 自治体の「まちの起業家等資金調達マッチングモデル事業」を利用して少人数私募債を実施
  • 一口100万円の少人数私募債を40名に発行して4,000万円の調達に成功

C社は研究開発や設備投資の費用を少人数私募債で調達できないかと模索中でした。

折しも自治体の商工会議所が「まちの起業家等資金調達マッチングモデル事業」を受託。県が少人数私募債を発行する企業に利子の一部を助成する制度を打ち出したことでタイミングが一致し、少人数私募債発行の意思決定につながったそうです。

C社は積極的に情報開示を行い、関係者40名に社債を発行、無事に4,000万円の資金調達に成功しました。C社の社長は「少人数私募債による直接金融で、より機動的に研究開発や設備投資の資金を調達できるようになった」と語っています。

さらに社債受取人の仕入先、販売先から高い信頼を得たことで、社員が一丸となって事業に取り組むようになり、社内の意識改革にも成功したようです。

資金調達方法⑧ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは率先したアプローチが成功の鍵を握る

ベンチャーキャピタルは、起業家やベンチャー企業が未上場時に出資を行い、上場後に出資資金を回収して利益を得ることを目的とした機関のことです。

投資先企業に出資するほか、上場を実現するための成長支援も行っています。

ベンチャーキャピタルの概要

ベンチャーキャピタルの主な活動内容は次の3つです。

  • 投資先企業への投資(出資)
  • 成長支援
  • 上場後に出資先の株式売却で資金回収

投資を行うにあたっては、ベンチャーキャピタルが自己資金を未上場企業に出資するケースと、ファンドと呼ばれる投資家団体を設立し、投資家から資金を集めて未上場企業に出資するケースの2つがあります。いずれもベンチャー企業が成長性や市場の発展性をベンチャーキャピタルに認められれば、スタートアップで多額の資金を調達することができます。

出資は銀行等の融資と異なり、返済の義務が発生しない「返さなくてよい」お金ですが、出資者は「利益配当請求権」を行使して配当金の回収を行います。したがって、ベンチャーキャピタルは出資先の企業から利益を回収するために積極的な成長支援を実施します。成長支援の方法はベンチャーキャピタルごとに異なりますが、経営者はベンチャーキャピタルの意向に沿った経営を余儀なくされます。

さらに、成長が見込めないと判断されれば前倒しで資金回収をされる可能性があり、事業の継続は難しくなるというリスクにも注意が必要です。

以上のベンチャーキャピタルのメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 多額の資金を調達できる可能性がある
  • 成長支援が受けられる
メリット
  • ベンチャーキャピタルの意向に沿った経営が必要
  • 早期に資金回収をされる可能性がある

ベンチャーキャピタル成功の秘訣

ベンチャーキャピタルから出資を受けるためには、何よりもまずベンチャーキャピタルにアプローチすることが必須です。

出資を受けたい企業は、インキュベーターやアクセレーターのイベント、ベンチャーキャピタル同士のネットワーク、さらには弁護士等のネットワークを活用してベンチャーキャピタルと出会うことができます。

ベンチャーキャピタルを利用して多額の資金を調達し、成長支援を受けて上場を成功させるためには、次のポイントが重要です。

  • 企業の経営陣が優秀な人材であること
  • 商品・サービスに他社と差別化できる独自性があること
  • 商品・サービスを売り出す市場に成長の見込みがあること
  • 事業計画書がしっかり書かれていること

ビジネスのポテンシャルや、訴訟等の問題が起こったときのソリューションが高く評価されれば、ベンチャーキャピタルから出資を受けられる可能性が高くなるでしょう。

ベンチャーキャピタルの成功事例

モデルケース
  • スマホ向けアプリ制作T社
  • スマホアプリ制作の資金調達
  • ベンチャーキャピタルで1億円の調達に成功

スマホ向けアプリを制作しているT社は、新たにソーシャルゲームアプリを制作するための資金需要が発生していました。T社はすでに主力タイトルをいくつか制作していたため、スマホアプリ業界では名の知れた制作会社です。

T社は新作アプリの発表をした後、スタートアップ企業に積極的に支援を行っている数社が手を挙げ、最終的に4社を割当先とした総額約1億万円の資金調達に成功しました。

資金調達方法⑨クラウドファンディング

クラウドファンディングは支援者を仲間に変えられるかが成功の鍵を握る

クラウドファンディングはアイデアやプロジェクトを実現したい企業が、専用のインターネットサイトを通じて不特定多数の個人から出資を募り資金調達をすることです。

当初は社会貢献事業に関するプロジェクトが主流でしたが、現在では中小企業の活動や事業に対するファンディングが増えつつあります。

クラウドファンディングの概要

日本のクラウドファンディングは、2011年の東日本大震災で罹災した企業や個人の復興を手助けする社会貢献の手段の一つとして拡大しました。

その後、クラウドファンディングの拡大に伴い、中小企業の活動や事業に対する出資が増加しています。

最近では東京都の「クラウドファンディングを活用した資金調達支援」など、政府や各自治体が中小企業の創業や商品・サービスの創出を支援して地方経済を活性化しようという動きもあります。

クラウドファンディングで資金調達をしたい起案者は専用のインターネットサイトで支援を募り、支援者は一口数百円から出資、商品やサービスなどのリターンを得ます。

さらに、クラウドファンディングの資金調達の手段に加えて「ファンや顧客の獲得」といった側面にも注目が集まっており、今後さらに拡大していくことが予想されます。

クラウドファンディングのメリット・デメリットをまとめると次のとおりです。

メリット
  • 完全成功報酬制で目標金額達成時のみ手数料が発生
  • 信用情報や事業規模にかかわらず支援を募ることができる
  • 広告・宣伝効果がある
  • 集まった資金は返済や配当が不要
メリット
  • 支援者の共感が得られなければ資金が集められない
  • 資金調達までに時間がかかる

クラウドファンディング成功の秘訣

クラウドファンディングの成功の秘訣は単純明快で、「いかにして支援者を仲間にするか」に尽きます。

支援者がプロジェクトに出資したいと考える動機は2つあり、ひとつが自分が得られるリターンを期待してのもの、もうひとつは起案者の思いへの共感です。

たとえば、ホリエモンこと堀江貴文氏が起案した小型ロケット「MOMO3号機」の打ち上げプロジェクトなどは、クラウドファンディングで多額の資金を調達できた好例のひとつに挙げられます。

プロジェクトが「自分のお金を何か有効なことに活かしたい」「素晴らしい研究や発明にメンバーとして参加したい」という支援者の気持ちに応えるものであれば、予想以上の資金を調達することができるでしょう。

したがって、資金繰りの改善やつなぎ資金といった一時的な資金需要のためにクラウドファンディングは活用できません。

クラウドファンディングの成功事例

モデルケース
  • 「カプコン」の元常務執行役員・稲船敬二氏
  • 新作ゲーム『Mighty No.9』の開発費用の調達にクラウドファンディングを利用
  • 開始1カ月間で世界各国約7万人から4億円以上の資金を調達

株式会社カプコンの元常務執行役員で『ロックマン』シリーズや『鬼武者』シリーズなど世界的な人気を誇るゲームを開発、カリスマクリエーターとして知られる稲船敬二氏。

稲船氏がCEOを務めるゲームソフトの企画・開発会社「comcept(コンセプト)」は、2013年10月に米国のクラウドファンディングで新作ゲームソフト『Mighty No.9』のプロジェクトを発表、開始1ヶ月で4億円以上の資金を調達し話題となりました。

ゲームファンの間で「レジェンド稲舟」と呼ばれる稲船氏の知名度と信頼度はさることながら、「ファンと一緒にコンテンツをつくりたい」という氏の思いに共感したファンの輪が一気に広がったことが、短期間で巨額の資金を調達するに至った理由と言えるでしょう。その金額は、コンシューマーゲームソフトに関するクラウドファンディングでは過去最高額だといいます。

参考:<クラウドファンディング>資本金1000万のベンチャーが担保なしで4億調達|PRESIDENT Online

資金調達方法⑩補助金・助成金

補助金・助成金は早期に精確な情報を知ることが成功のカギを握る

政府が推し進める雇用促進や労働環境の改善、経済・地域の活性化などに寄与した民間企業に対し、国や地方自治体が交付する返済義務のないお金が「補助金」と「助成金」です。

補助金・助成金の概要

補助金とは、主に経済産業省が設備投資や新商品開発のための研究など、事業活性化のためお金が必要な事業者に交付するお金です。補助金を受給するためには業種や資本金、従業員数などの要件に加え、決算報告書や事業収支予算書などを提出して書類審査と面接を通過する必要があります。

書類審査と面接で地域や経済を活性化する見込みのある事業であるとが国や自治体に認められれば、事業完了時にかかった費用の一部が補助されます。

補助金のメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット
  • 返済義務がない
  • 売上ではなく雑収入になる(消費税の非課税対象)
デメリット
  • 提出書類が多く、さらに書類審査や面接を通過する必要がある
  • 受給まで時間がかかる場合もある

助成金とは、主に厚生労働省が雇用増加や安定、能力開発など、雇用・労働環境の改善に寄与した事業者に交付するお金です。たとえば非正規労働者を正規雇用や、障害者、高齢者、外国人労働者の安定雇用のための活動など、雇用や労働環境の改善に寄与したと判断された企業に交付されます。

助成金のメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット
  • 返済義務がない
  • 売上ではなく雑収入になる(消費税の非課税対象)
  • 企業の信頼性が高まり、公的融資が受けやすくなる
デメリット
  • 要件が厳しい
  • 受給まで時間がかかる場合もある

補助金も助成金も国や地方自治体から交付される返済義務のないお金ですが、いずれも事業活動を達成した後に給付されます。したがって、事業を行うための資金調達を目的に補助金・助成金の給付を狙うことは本末転倒です。

補助金・助成金の成功の秘訣

各補助金・助成金は制度の種類が豊富にあり、申し込み期間もバラバラなため、正確な情報を早期にキャッチすることが受給への第一歩です。

補助金については経済産業省のホームページ、助成金は厚生労働省のホームページで現在募集中の制度を確認することができます。また、中小企業支援ビジネスサイト「J-Net21」や「補助金ポータル」といったサイトも情報を提供しています。

補助金についての情報経済産業省https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo.html

中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/

助成金についての情報厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
補助金・助成金のポータルサイト「J-Net21」:http://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support/

「ミラサポ」:https://www.mirasapo.jp/subsidy/

「補助金ポータル」:https://hojyokin-portal.jp/

さらに、補助金は受給までにて書類審査と面接をクリアしなければなりません。面接では書類だけではわからない情報や経営者の資質についてのヒヤリングが行われます。事業内容を視覚的に説明できるプレゼン資料、想定問答集などを準備して臨みましょう。

以上のように、補助金や助成金の情報収集、書類審査や面接等の準備にはかなりの時間と手間を要します。補助金については税理士やコンサルタント、助成金については社会労務士に相談されることをおすすめします。

助成金の成功事例

モデルケース
  • 東京都内の飲食店N社
  • キャリアアップ助成金で非正規雇用社員を正規雇用に
  • 260万円の調達に成功

飲食店N社は開業して1年目、アルバイト1名と従業員2名の小さなお店です。

N社はアルバイトとして雇用していた1名の接客態度や技術を正当に評価し、開業から半年後に正社員として雇用することにしました。

非正規社員を正社員として雇用したことで「キャリアアップ助成金」の要件を満たし、助成金の給付を受けました。

  • アルバイト1名につき助成金・・・60万円
  • 東京都内の事業者・・・50万円

さらに、「キャリア形成促進助成金」の制度導入コースのうち次の3つの制度を導入し、それぞれで助成金の給付を受けました。

  • 「教育訓練または職業能力評価制度」・・・50万円
  • 「技能検定合格者報奨金制度」・・・50万円
  • 「社内検定制度」・・・50万円

これでN社は開業して1年目で返済義務のない資金260万円を調達することができたのです。

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