急な資金需要にお悩みの中小企業・個人事業者の方に、活用をおすすめする緊急性の高い資金調達方法、資金繰り改善策をご提案します。
こんにちは、ベストファクターの四ツ柳と申します。
- 買掛金の支払期限が明日に迫っている…
- 今日中に借入先に返済しないと担保を売却されてしまう…
- 週末までに資金調達をしないと従業員に給与が支払えない…
緊急に資金調達が必要な状況というのは、経営者の方であれば多かれ少なかれご経験があるかと思います。
資金繰りが悪化して手元のキャッシュが不足すると、倒産の一歩手前である資金ショートを招いてしまいます。
「明日までにまとまった資金が必要!」という状況で活用できる資金調達方法として、取引銀行からの融資以外に1つ以上は持っておきたいもの。
今回は緊急時に利用したい最短即日からの資金調達方法と、資金繰りを根本から見直す改善策をご紹介します。
※本記事は2021年2月時点の法令に基づき監修されています。
いざとなって慌てずに済むよう、メインバンク以外にもサブの資金調達先を抑えておくことが大切です。
即日可能な資金調達方法
緊急の資金需要にも対応できる、最短即日の資金調達が可能な方法をご紹介します。
ビジネスローン(ノンバンク)
資金調達スピード | 最短即日~2日以内 |
必要書類 | 本人確認書類、収入証明書、確定申告書、決算書、印鑑証明書、事業計画書等 |
金利・手数料 | 年6%~18% |
審査難度 | 比較的緩い |
信販会社や消費者金融会社などのノンバンクが提供するビジネスローンは、担保・保証人が不要のローン商品です。
銀行のビジネスローンに比べて圧倒的なスピード感があり、商品によっては最短即日の融資が可能で、必要書類も銀行融資に比べると少なくて済みます。
ただし金利は銀行融資に比べて融資額の上限が低め、金利は高めで長期の利用には向いていません。
返済期間が長引くと資金繰りを圧迫する要因にもなりますので、あくまでもつなぎ資金としての利用に努めましょう。
ビジネスローン(ノンバンク)のメリット
- 申込み~融資実行までのスピードが早い
- 無担保・無保証人で融資可
ビジネスローン(ノンバンク)のデメリット
- 金利が高い(年6%~18%)
- 融資額の上限が低め(最大50万円~500万円)
最短即日で資金調達をする条件
- あらかじめ必要書類を揃えておく
- 銀行振込による融資の場合は当日14時までの契約
ファクタリング(2社間)
資金調達スピード | 最短即日~3日以内 |
必要書類 | 本人確認書類、銀行通帳、請求書、商業登記簿謄本、印鑑証明書等 |
金利・手数料 | 売掛債権の額に対し10%~20% |
審査難度 | 緩い |
ファクタリングは事業者が保有する支払期日前の売掛債権をファクタリング業者が買い取り、手数料分を差し引いた現金を入金する仕組みです。利用者とファクタリング業者の2社間で取引する「2社間ファクタリング」を利用すれば、売掛先に一切知られることなく最短即日でまとまった資金が調達できます。
たとえば300万円の売掛債権を手数料10%で買い取ってもらった場合、利用者が調達できる資金は270万円となります。売掛先の倒産等で売掛金が貸倒れとなっても、利用者に代わりファクタリング業者がリスクを負担します(ノンリコース契約)。
融資とは全く異なる債権売買契約ですので、金融機関からの融資が望めない状況でも、支払期日前の売掛債権があれば利用できます。
注意点としては、ファクタリングでは買取手数料がかかるため、実際に調達できる資金は翌月、翌々月に支払われるはずの売掛金よりも少ない額となります。
したがって、ビジネスローンと同じくつなぎ資金として利用しつつ、並行して経費削減や業務効率化など資金繰り改善策を実施しましょう。
ファクタリング(2社間)のメリット
- 申込み~買取代金の入金までのスピードが早い
- 売掛先に一切知られることがない
ファクタリング(2社間)のデメリット
- 手数料が高い(売掛債権の額に対し10%~20%)
- 実際の売掛金から手数料が差し引かれた分の資金しか調達できない
最短即日で資金調達をする条件
あらかじめ必要書類を揃えておく
ファクタリングは業者により手数料率が異なるため、複数見積もりをお勧めします。
1日~3日以内が可能な資金調達方法
「24時間以内の緊急に資金が必要」という状況で利用するのはやや難しいものの、条件付きで最短~3日以内で資金が調達可能な方法をご紹介します。
不動産担保ローン
資金調達スピード | 即日~1週間以内 |
必要書類 | 本人確認書類、商業登記簿謄本、確定申告書、決算書、納税証明書、担保物権の関連書類(公図、登記事項証明書、地積測量図等)等 |
金利・手数料 | 2.5%~15% |
審査難度 | 緩い |
不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にすることで低金利・高額の融資を受けられるローン商品のことです。
主に不動産担保ローン専門業者、第二地銀、信託銀行、ノンバンク系、消費者金融業者などが不動産担保ローンを提供しています。
不動産の担保価値が高く、利用者の信用力も問題なければ、数千万円~数億円の高額融資が受けられます。
しかし、不動産担保ローンは無担保ローンと異なり、不動産の鑑定・登記という審査プロセスを経る必要があるため、審査結果が出るまでは時間がかかってしまいます。
急を要する場合は、やや金利は高めになるものの、最短即日の融資も可能な不動産担保ローン専門業者に申込みましょう。
不動産担保ローンのメリット
- 低金利・高額の融資を受けられる可能性が高い
- 条件が揃えば最短即日の融資も可能
不動産担保ローンのデメリット
- 返済できなければ担保を失うリスクがある
- 不動産の鑑定、登記に費用がかかる
最短で資金調達をする条件
- 不動産担保ローン専門業者に申込む
- 午前中の早い時間に申込む
- 必要書類を事前に用意しておく
手形割引
資金調達スピード | 即日~1週間以内 |
必要書類 | 本人確認書類、割引したい手形、預金通帳、登記簿謄本、印鑑証明書等 |
金利・手数料 | 1.5%~20%(手形割引率) |
審査難度 | 緩い |
手形割引とは、事業者が保有する約束手形を支払期日前に銀行等の金融機関や手形割引業者に買い取ってもらい、早期に現金化する「手形を担保にした融資」です。
金融機関や業者は手形の額面から期日までの利息や手数料等を差し引いた額で買い取るため、依頼主には手形の額面よりも割り引かれた金額が支払われます。
また、手形割引では金融機関が手形の持込人(依頼主)の信用度を与信審査するのに対し、手形割引業者は手形自体の信用度を与信審査するという特徴があり、最短即日の現金化が可能なのは後者です。
手形の振出人(手形で支払った者)が倒産したり、支払いができなくなって担保である手形が不渡りになってしまった場合は、手形の持込人が金融機関や業者に手形を買い戻す(返済する)義務があります(ウィズリコース契約)。
手形割引のメリット
手形割引業者に依頼すれば最短即日の現金化が可能
手形割引のデメリット
- 割引料以外のコストがかかる
- 不渡り等で手形の買い戻しが必要なリスクがある
- 割引を断られるケースもある
最短で資金調達をする条件
- 手形割引業者に依頼する
- 必要書類を事前に用意しておく
手形割引は一度実行すると同じ金融機関・同じ手形であれば審査が簡略化され、次回から実行スピードが早くなることがあります。
1週間以上かかるがコストの低い資金調達方法
最短即日の資金調達はできないものの、コスト(金利・手数料)が低いなどのメリットがある資金調達方法をご紹介します。
資金需要の緊急度が1週間を超えても良い場合に利用したい資金調達方法です。
ファクタリング(3社間)
資金調達スピード | 1週間~2週間 |
必要書類 | 本人確認書類、銀行通帳、請求書、商業登記簿謄本、印鑑証明書等 |
金利・手数料 | 売掛債権の額に対し1%~5% |
審査難度 | 緩い |
3社間ファクタリングは、利用者・ファクタリング業者・売掛先の3社間で取引するファクタリング契約です。
2社間ファクタリングとの大きな違いは、売掛債権をファクタリング業者が買い取る際に売掛先の同意が必要な点、ファクタリング業者が売掛先から直接売掛金を回収する点です。
以上の2点があることで、3社間ファクタリングは2社間に比べて遥かに手数料が低めに設定されていますが、売掛先の同意を得るまでに時間がかかってしまいます。
さらに、売掛先にファクタリングの事実が知られるということは、緊急の資金調達が必要=資金繰りに困っていると見なされる可能性もあり、売掛先との信用不安を招くリスクがあるということに他なりません。
あらかじめ売掛先にファクタリングを利用する事情を伝えておき、同意が得られていれば、現金化までのプロセスもスムーズに進むでしょう。
そのためには、利用者と売掛先との間に良好な信頼関係のあることが前提となります。
ファクタリング(3社間)のメリット
- 買取手数料が低い(1%~5%)
- 債権回収業務をファクタリング業者が行う
ファクタリング(3社間)のデメリット
- 現金化までに時間がかかる
- 売掛先の信用不安を招くリスクがある
最短で資金調達をする条件
- あらかじめ必要書類を揃えておく
- 売掛先の同意を得ておく
プロパー融資
資金調達スピード | 1週間以上 |
必要書類 | 経営方針説明書、商業登記簿謄本、資金使途資料、決算書類一式、月次決算表、今後の資金繰り計画、今後の損益計算書、予想貸借対照表(BS)等 |
金利・手数料 | 年0.9%~2% |
審査難度 | 極めて厳しい |
プロパー融資は銀行が独自で審査を行い、直接貸し付ける無保証の融資です。
無保証のため保証料はかかりませんが、リスクは100%銀行側が負担するため、貸し倒れリスクがきわめて低い大手企業や、銀行と長年取引があって信用力の高い企業だけが利用できます。
プロパー融資の審査に通過すれば、低金利で高額融資が可能になるだけでなく、企業の信用力も向上します。
ただし、どの資金調達方法よりも審査が厳しく、結果が出るまでに1~2週間、場合によっては1ヶ月以上もかかってしまうため、一刻を争う緊急の資金調達には向いていません。
プロパー融資のメリット
- 金利が低い(年0.9%~2%)
- 保証料がかからない
- 企業の信用力が上がる
プロパー融資のデメリット
- 審査基準が極めて厳しい
- 審査結果が出るまでに時間がかかる
最短で資金調達をする条件
- あらかじめ必要書類を揃えておく
- 過去に融資が通った実績がある
信用保証付き融資
資金調達スピード | 10日以上 |
必要書類 | 信用保証委託申込書(保証人等明細)、申込人(企業)概要、信用保証依頼書、信用保証委託契約書、個人情報の取扱いに関する同意書、確定申告書(決算書)、商業登記簿謄本、印鑑証明書 |
金利・手数料 | 年1%~3.5% |
審査難度 | やや厳しい |
信用保証付き融資は、中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関である信用保証協会が融資に保証を付けることで、プロパー融資を受けられない企業にも貸付を可能にした融資です。
創業間もないために実績がない、業績が低調で担保もないといった場合は、プロパー融資の審査に通過することは難しいのですが、信用保証協会の保証を受けられれば、強力な保証人を得たのと同じ効果があります。
さらに、地方自治体による中小企業支援を重点に置いた「制度融資」を活用すれば、低金利かつ長期固定金利での借入が可能となります。
信用保証料が必要となるデメリットはあるものの、それをカバーして有り余るメリットを得られるのが信用保証付き融資なのです。
信用保証付き融資のメリット
- 実績がない企業でも銀行から融資が受けられる
- 低金利かつ長期固定金利
- 返済不能となった場合に信用保証協会が残高を代位弁済する
信用保証付き融資のデメリット
- 信用保証料を支払う必要がある
- 融資実行まで最短で10日かかる
最短即日で資金調達をする条件
- あらかじめ必要書類を揃えておく
- 過去に融資が通った実績がある
売掛債権担保融資(ABL)
資金調達スピード | 1週間前後 |
必要書類 | 予約申込書・個人情報取扱同意書、商業登記簿謄本、本人確認書類、決算書、資金繰り表または事業計画書、請求書等 |
金利・手数料 | 上限15%(年利) |
審査難度 | 緩い |
売掛金担保融資とは、不動産の代わりに企業が保有する商品在庫や売掛債権を担保とする融資手法です。
実際に売上や売掛金が納入されるまでの運転資金を調達する目的等で活用されています。
売掛債権を活用する点ではファクタリングと同じですが、文字通り「融資」であり、債権売買契約であるファクタリングとは異なる資金調達方法です。
さらに、売掛先の倒産等で支払い期日までに売掛金が不良債権化した場合は、利用者に支払い義務が生じます。
売掛債権担保融資は銀行やノンバンク等に申込みますが、前者が安心かつ低金利で取引ができるものの、審査は厳しめです。後者は審査が緩く融資までスピードも早いことが多いものの、銀行よりも金利が高くなります。
売掛債権担保融資(ABL)のメリット
- 担保に入れられる不動産がなくても申し込みができる
- 売掛先に知られずに売掛金を早期に現金化できる
売掛債権担保融資(ABL)のデメリット
貸し倒れのリスクがある
最短即日で資金調達をする条件
あらかじめ必要書類を揃えておく
緊急の資金調達と「悪循環」の関係
即日で資金調達ができるビジネスローンや2社間ファクタリングは、長期にわたって利用し続けると資金繰りを圧迫する要因になってしまいます。
たとえば、2社間ファクタリングを利用した場合、本来受け取れる売掛金から手数料の10%~20%分が差し引かれるため、通常よりも少ないキャッシュで事業を運営していかなければなりません。
資金繰りの改善が見込めない状況でファクタリングを繰り返し利用すれば、ファクタリングに依存する体質かつ業績悪化から抜け出せなくなってしまいます。
ビジネスローンも銀行融資と比べて金利が高いため、返済が長期に及ぶほど収益の中から返済に充てる資金の割合が大きくなります。
短期間で計画的に返済していかないと、返済のためにまたお金を借りるといった悪循環に陥ってしまいます。
緊急の資金調達はあくまでも資金ショートに陥らないための応急処置であるということを意識し、手形や小切手、人件費、仕入・外注費など優先すべき項目に充て、並行して資金繰り改善策を進めていきましょう。
そのために、1年ほど先までの資金繰り表を作成することをお勧めします。
資金繰りを悪化させないための対策
緊急の資金調達で資金ショートを回避できたら、現状の資金繰りから悪化させないために、実施すべき資金繰り対策には次のようなものがあります。
- 支払サイトを長く、入金サイクルを短く
- 余剰在庫を持たない
- 経営のコストを下げる
- 資金繰り表を作成して管理する
根本から経営の資金繰りを見直し、自社の業務を効率化、財務体質の強化を目指しましょう。
私どもベストファクターは、中小企業や小規模事業者向けに緊急の資金調達としての2社間ファクタリングはもちろん、お客様の資金繰りや財務体質を根本から見直す財務コンサルティングサービスもご提供いたします。
資金繰りや資金調達にお悩みの事業者の方は、弊社までお気軽にご相談ください。