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会社や事業の資金繰りが悪化して資金ショートを起こすと、会社は倒産します。経営者は資金繰りが悪化したときに、何をするべきでしょうか。
今回の記事では、資金繰りに困ったときに経営者がやるべき対策について具体的に解説していきます。
資金繰り対策に早すぎるということはありません。日頃から資金繰りの状況を把握して、資金繰り悪化の兆しを掴んでおけば、遅きに失して倒産の憂き目に遭うこともないでしょう。
本記事を参考にして、早め早めの対策をとっていただければ幸いです。
記事の目次
資金繰りの重要性
資金繰りは企業にとって収益管理よりも重要であると言われることがあります。
企業は赤字や債務超過だから倒産するのではなく、支払先に支払うお金がないから倒産するのです。
そのため、資金繰りは企業の命運を握る最も重要なものと言っても過言ではありません。
資金繰りがなぜ重要なのかまずは理解していきましょう。
売上や支出の発生と資金の動きは別
売上や支出の計上と現金の動きは必ずしも一致しません。
会計は発生主義という方法でおこなわれるため、売上や支出が発生した時点で計上されます。
売上であれば商品やサービスを納品した時点で売上として計上され、仕入であれば原材料等を受け取った段階で支出して計上されます。
例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
1月20日 | 原材料 50万円を仕入れた |
---|---|
2月2日 | 商品 80万円を売却した |
2月28日 | 1月の仕入分の50万円を取引先に支払った |
3月31日 | 2月売上分の100万円が取引先より入金された |
このケースでは2月20日時点で、売上80万円に対して仕入50万円なので、30万円の収益が出ています。
しかし、2月末には50万円の支払いが到来し、売上分の入金がないので資金は50万円のマイナスです。
資金がプラスになるのは3月末なので、2月末から3月末の間は収益が出ていても資金繰りはマイナスという状態が続くことになり、この間は手元に資金をもっておかないとさまざまな支払いができません。
このように、売上や支出と現金の動きは別なので、収益管理とは別に資金繰り管理をおこなう必要があるのです。
企業が倒産するのは資金がないから
企業は赤字や債務超過によって倒産するのではありません。
資金が不足して、支払うお金がないから倒産するのです。
例えば、資金不足によって手形や小切手が不渡りになった場合、金融機関に対して不渡通知が作成され、日本中の金融機関に不渡りの情報が通知されます。
すると、当該企業は日本中の金融機関からお金を借りることが非常に困難になります。
さらに半年以内に2回目の不渡りを出すと、金融機関と当座取引ができなくなり、融資も受けられません。
すでに借入がある場合は融資金の一括返済を求められるでしょう。
借入金の返済ができなければ、銀行から法的手段を取られて倒産に至ってしまう可能性が非常に高くなります。
また、取引先への支払いや従業員への給与支払ができない場合も事業継続は困難です。
これらの状況は赤字や債務超過だから起きるのではなく資金がないから起こることです。
赤字や債務超過であっても支払いのための資金が手元にあるのであれば企業は倒産することはありません。
もちろん、赤字によって手元の資金が枯渇して資金不足に陥り、支払いのための資金が手元にないことから倒産に至るケースもあるでしょう。
しかしそれは赤字や債務超過が直接的に招いたことではなく、資金不足の原因の1つでしかありません。
資金の不足は黒字であっても起こります。
いくら売上があり支出がいくらあったのかという収益管理はもちろん重要です。
しかし、手元にいくら資金があり、いつ資金が流出し、いつ入金になるのかという資金繰り管理は収益管理と同じくらい重要なのです。
資金がないと仕事を受注できない
資金がないと仕事の受注ができないという点にも注意しましょう。
仕事を受注するには、対応した運転資金が必要になるためです。
例えば、原価率60%の仕事を1,000万円受注した場合、当該受注に対応した運転資金として600万円が必要になります。
商品を売り上げる前には、販売する商品の仕入、人件費、外注費などの支払いが先に到来するので、このケースでは600万円の運転資金を手元に確保できない企業は1,000万円の受注をこなせません。
いくら大きな受注があっても、資金がない企業は受注ができないのです。
資金がないと企業の規模を拡大するために売上を伸ばすことも困難になると理解しておきましょう。
企業が資金繰りに困る7つの理由
企業が資金繰りに困る理由は次の7つです。
- 赤字で支払いの方が入金よりも多い
- 在庫が多い
- 売掛金が回収できない
- 売掛債権の入金サイトが長い
- 買入債務の支払いサイトが短い
- 借入金の返済が多い
- 投資に失敗した
赤字だから資金繰りが苦しくなることはありますが、必ずしも赤字だから資金繰りが厳しくなるわけではありません。
企業が資金繰りに困る7つの理由を解説します。
赤字で支払いの方が入金よりも多い
会社の収支が赤字で、入金を支払いが上回っているケースでは資金が不足します。
例えば、100万円の売上に対して支払いが120万円であれば、20万円支払いの方が多いので、手元に20万円がなく外部からも調達できないのであればこの企業は支払いができず倒産する可能性があります。
最も多くの人がイメージしやすいオーソドックスな資金繰りが悪くなる原因が収支が赤字になることです。
売上や支出の計上は発生したタイミングなので資金の動きとは別ですが、しかしいずれは入金額よりも多い金額が支払いによって流出しますので資金繰りは苦しくなります。
在庫が多い
在庫が多い企業は資金繰りが悪化する可能性があります。
多くの在庫を抱えているということは、それだけ仕入れによって現金が流出しているということです。
そして、在庫を抱えているということは当該在庫が売上となって現金化されていないということですので、仕入れで流出した現金の分だけ資金繰りは苦しくなります。
また、在庫は決算において棚卸資産として資産計上されます。
経費として計上できるのは、売り上げに対応する在庫の分だけですので、在庫を抱えても在庫仕入れにかかった費用は経費として計上できません。
つまり、多くの在庫を抱えている企業は黒字であるにもかかわらず資金繰りが苦しい状態になりがちです。
多くの在庫を抱えれば、劣化や紛失などによる在庫ロスも多くなるので、資金繰りのためにも適切な在庫管理のためにも必要最低限以上の在庫は抱えない方がよいでしょう。
売掛金が回収できない
売掛金が回収できないと資金繰りは苦しくなります。
回収予定の売掛金が回収できなければ予定していた入金がなくなってしまうので、自社にとって必要な支払いができません。
信用度の低い取引先に対して売掛債権を保有してしまうと、売掛債権が回収できない可能性も高まります。
初めて取引する企業との取引の前には「いくらまでなら取引しても安心か」という与信審査をおこない、信用度が低い企業に対する取引額は、万が一回収できなくても企業の資金繰りに大きな影響を与えない程度の取引額にとどめるようにしましょう。
売掛債権の入金サイトが長い
売掛債権(売掛金・受取手形)の入金サイトが長い企業も資金繰りが苦しくなります
入金サイトとは売掛債権が発生してから入金になるまでの期間のことです。
例えば入金サイトが1ヶ月であれば、1ヶ月先の入金日までに会社を運転できる資金を確保しておけば会社を運営できます。
しかし、入金サイトが3ヶ月の場合は、3ヶ月先の入金日まで会社を運転できる資金の確保が必要です。
このケースでは単純計算で3ヶ月分の運転資金の確保が必要になることから、売掛債権の入金サイトは長ければ長いほど資金繰りが苦しくなります。
売掛先企業の中で入金期日の前倒しを交渉できる企業があるのであれば、入金サイトの短縮化を交渉してみるとよいでしょう。
買入債務の支払いサイトが短い
買入債務の支払いサイトが短いケースも資金繰りは圧迫されます。
支払いサイトとは買掛金や支払手形などの買入債務が発生してから実際に支払期日なるまでの期間のことです。
この期間が短いということは、会社から資金が流出するまでの期間が短いということですので、その分資金繰りは苦しくなります。
資金繰りの基本は1日でも長く手元に資金を確保することですので、支払サイトが1日でも短いとそれだけ資金繰りは苦しくなってしまいます。
仕入先等で支払期日の延長を交渉できる取引先があるのであれば、支払サイトの延長を交渉してみましょう。
借入金の返済が多い
借入金の返済が多い企業も資金繰りが苦しくなります。
借入金の返済は支出ではありません。負債の減少です。例えば100万円の借入金を利息5万円とともに返済した場合の仕訳は次のようになります。
借方 | 貸方 |
---|---|
借入金 100万円 支払利息 5万円 |
普通預金 105万円 |
借方に計上された「借入金」は負債のでの減少で費用ではありません。
借入金返済の際に費用化できるのは支払利息だけです。
そのため借入金はいくら返済しても現金が流出するものの、費用計上はされません。
そのため、損益計算書では黒字になっていたとしても、資金繰りは返済によって大きなマイナスになることがあります。
借入金返済は収支ではなく資金繰りだけを圧迫するものです。無計画に借りすぎてしまうと後から資金繰りを大きく圧迫する可能性が高いため計画的に利用してください。
投資に失敗した
投資に失敗すると資金繰りは大きく圧迫されます。
新たに事業を始めたときに投資に失敗すると、当該事業の運転資金の支払い、事業を開始するために必要な資金を借り入れた際の借入金の返済などが増えるので資金繰りは非常に苦しくなります。
もちろん、投資が成功すれば新規事業によって得られる収益から資金繰りがむしろ円滑化される可能性は高いですが、失敗した場合のリスクも甚大です。
投資は失敗した際の資金繰りや収支へのリスクが大きいので、綿密に計画を立てるとともに、失敗しても資金ショートしない程度の規模にとどめることも重要です。
資金繰りに困った経営者がやるべき7つのこと
「このままいくと取引先に支払う資金や給料を支払う資金がない」など、資金繰りに困ってしまったら経営者の方は次の7つの方法で対処しましょう。
- 資金繰りの現状を把握する
- 国や自治体の支援制度に申し込む
- 支払いを猶予できるものは先延ばしにする
- 入金前の請求書があればファクタリングで資金化する
- 公的金融機関の融資を受ける
- 短期ビジネスローンを利用する
- 売却できる資産や事業を検討する
簡単にできることが多いため、資金繰りが苦しくなった際に機動的に動けるよう、資金繰りに困ったときの対処法についてしっかりと理解しておきましょう。
1. 資金繰りの現状を把握する
資金繰りが悪化して倒産にまで至ってしまう会社にありがちなのは、経営者自身が自社の資金繰りを正しく把握していなかったというケースです。
日頃から会社の資産や現金、負債がどれくらいあるのかを知り、資金繰りが悪化したときはいつまでにいくら資金が必要なのか、経営者自身が資金繰り表を作成・管理することで事前に取り組むべき対策がわかります。
資金繰りの現状を把握したうえで資金調達に動けば、必要な資金を確保して倒産を免れることができます。
注意すべきは、「困ったら銀行から借りれば良い」と高を括ることです。
銀行は自社の資金繰りを把握していない経営者にお金を貸してはくれません。返済原資となる資金がいつ調達できて、どれくらいの資金があれば事業を再建できるか、返済計画書や資金繰り表、事業計画書などで示さなければ、たとえ長い付き合いのある銀行であっても審査に通過することが難しくなります。
まずは経営者が自社の資金繰りの現状を正しく把握し、倒産の危機を回避するための方法を見つけることが経営再建のためのスタートです。
2. 国や自治体の支援制度に申し込む
中小企業や個人事業主が資金繰りの悪化により今後の見通しが立たない場合に、最優先で考えなければならないことが、手元資金を増やすことです。
今般のコロナ禍においては、持続化給付金や雇用調整助成金など、国や自治体の支援制度が注目を集めました。
コロナに限らず、売上の減少により経営が悪化して資金繰りが厳しい場合にも、国や自治体の支援制度を活用できる場合があります。
経営を立て直すだけの十分な金額は得られないかも知れませんが、受給できる給付金や助成金・補助金は確実にもらい、緊急性の高い生計費や従業員の給料などにあてましょう。
ただし、受給までには2週間~1ヶ月ほどの時間がかかります。申請してから実際に資金を受給するまでの間は、別の資金調達手段も考えておく必要があります。
3. 支払いを猶予できるものは先延ばしにする
手元資金を増やすためにできることの一つに、支払いを猶予できるものはできる限り先延ばしにするという手段があります。
中小企業や個人事業主が支払うべきお金の優先順位は以下のとおりです。
- 手形・小切手(必ず支払うべき)
- 人件費
- 仕入・外注費
- 家賃、光熱費等の経費
- 銀行借入
- 社会保険料
- 税金(先延ばしにしても良い)
このうち優先順位の低いものは支払いを猶予してもらうことができたり、わずかなペナルティーで済んだりするため、手元資金を増やすためにも先延ばしを検討しましょう。
まず検討べきは、消費税や法人税などの税金、社会保険料などです。新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、期限の延長制度があります。
銀行の借入もリスケを交渉することで月々の返済負担を軽減できます。また、家賃の支払いも免除や減額してもらえないか、オーナーに対して積極的に交渉を試みましょう。
4. 入金前の請求書があればファクタリングで資金化する
売上入金までの支払サイトが長い場合や緊急性の高い資金ニーズに対しては、入金前の請求書(売掛債権)を早期に資金化するファクタリングを検討しましょう。
ファクタリングは融資と異なり、申込者の借入状況や信用状況よりも、売掛先(取引先、クライアント等)の信用力が重視されるため、自社がリスケ中や税金滞納中であっても利用できます。
スピードを重視するのであれば、自社とファクタリング会社の2社間で契約する「2社間ファクタリング」がおすすめです。売掛先に知られることなく、申し込みをしたその日のうちに買取代金が振り込まれます。
さらに、ファクタリング会社のなかには自社の経営課題に即した経営支援を提供するところもあり、資金調達と資金繰り改善・事業再生にセットで取り組むことができます。
注意点としては、ファクタリングの利用にあたっては所定の買取手数料がかかることです。2社間ファクタリングの場合は債権の買取額に対して5~20%、売掛先の同意が必要な3社間ファクタリングの場合は債権の買取額面に対して2~9%の手数料がかかります。
入金までのスピードを重視するか、調達コストの低さを重視するか、自社の資金繰りの状況を見て判断しましょう。
5. 公的金融機関の融資を受ける
日本政策金融公庫や信用保証協会の融資制度は、中小企業や個人事業主のセーフティーネットとしての機能があり、低金利で長期・固定で借り入れができるため、資金繰り改善に積極的に活用しましょう。
民間の金融機関の場合、業績悪化を来たしてる事業者が審査に通過することは難しいですが、公的融資なら融資が受けられる可能性があります。
たとえば、日本政策金融公庫の中小企業・小規模事業者向け「セーフティネット貸付」は以下のような事業者の支援を目的としています。
経営環境変化対応資金 | 社会的、経済的環境の変化により、売上や利益が減少する等、業況が悪化しているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方 |
金融環境変化対応資金 |
|
取引企業倒産対応資金 | 関連企業の倒産に伴い経営に困難を来たしている方 |
東日本大震災復興特別貸付 | 東日本大震災により被害を受けた方 |
参考:https://www.jfc.go.jp/n/finance/shikingri.html
信用保証協会の融資制度にも、借換保証制度やセーフティネット保証など、中小企業や小規模事業者の支援を目的としたものがあります。
ただし、公的金融機関の融資は申込みから融資実行までの期間が長いため、新規で申し込む場合は3週間~1ヶ月は見ておきたいものです。
「今月末の支払いができない」「従業員の給料日前に資金が不足する」といった緊急性の高い資金ニーズについては、ファクタリングなど別の資金調達手段を検討しましょう。
6. 短期ビジネスローンを利用する
「ビジネスローンは金利が高いから利用は避けたい」という経営者の方は少なくありません。
メガバンクのビジネスローンを除き、ネット銀行やノンバンクの無担保・無保証人のビジネスローンは、年15~18%の金利が設定されています。公的金融機関が年2~3%の金利を設定していることを考えれば、非常に高いと感じるでしょう。
しかしながら、「資金不足で今月末の従業員の給料も支払えない」といった逼迫した状況では、低金利であっも融資実行までに1ヶ月を要する銀行や公的金融機関の融資を悠長に待っている猶予はありません。
ビジネスローンはどうしても金利の高さに目が行きがちですが、短期で返済できる目処が立っていれば、非常に有効な資金調達手段です。
たとえば、ビジネスローンで50万円を年利18%で借り入れたとして、1年で返済した場合と1ヶ月で返済した場合とで返済額をシミュレーションしてみましょう。
返済総額 550,074円(うち利息50,074円)
毎月の返済額45,839円(最終回45,845円)
50万円 × 18% ÷ 365日 × 30日 = 507,397円(うち利息7,397円)
年18%の金利も、1ヶ月で返済すれば実質的に年1.5%の金利で借りたことと同じです。また、初回契約に限り30日間の無利息期間を設定しているノンバンクもあります。
「来月頭に売上の入金があるから、今月末の支払いを乗り越えれば……」といった経営状況であれば、短期ビジネスローンほど借りやすさとスピードに優れた資金調達手段はありません。
無借金経営を貫いている事業者の方や、追加融資が難しい事業者の方も、経営危機という状況においては感情論に左右されず、ビジネスローンの活用をおすすめします。
7.売却できる資産や事業を検討する
売却できる資産や事業が会社にないか検討しましょう。
資産を売却することで売却代金が手元に確保できるので資金繰りは改善します。
また、資産の売却は借入金のように返済金が発生するわけではないので、資金調達後に資金繰りを圧迫するような心配も有りません。
資産は保有することによって管理コストがかかります。例えば不動産を保有すれば固定資産税がかかりますし、自動車であれば車検代や保険代や自動車税が発生します。
赤字の事業を売却すれば売却代金が手元に入るだけでなく、赤字も解消されるので資金繰りにも会社全体の収益にもプラスです。
このように、事業継続とは無関係な資産や事業を売却することは会社経営において多くのメリットがあります。
借入などによって資金調達する前に、会社に資金化できる資産がないかどうかを検討しましょう。
資金繰りが苦しい時に銀行に相談してできること
資金繰りが苦しいときに銀行に相談することでできることは次の5点です。
- 借入金のリスケジュール
- 追加融資の借入
- 借入金の一本化
追加で融資を受けるか返済額の軽減が図れるので、資金繰りが苦しい時に毎月の負担を軽減できます。
資金繰りに困ったら、銀行へ相談すると対応してもらえる3つの方法について解説します。
借入金のリスケジュール
借入金のリスケジュールとは、返済計画を見直すことです。
返済が苦しくなった場合、銀行へ相談することで高い確率でリスケジュールに応じてくれます。
金融庁は毎年、銀行が相談に対してどの程度の割合でリスケジュールに応じているかを発表しています。
金融庁の「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」という資料によると年度ごとのリスケジュールの申込数とリスケジュールと実施した件数は次のとおりです。
申込数(審査中、取り下げ除く) | 対応数 | リスケジュール成功率 | |
---|---|---|---|
令和2年3月10日から令和6年9月末までの実績 | 1,698,785 | 1,678,976 | 98.8% |
参考:金融庁|金融機関における貸付条件の変更等の状況について
実に98%以上がリスケジュールに成功しています。
金融庁は金融機関対して、柔軟の貸付条件の変更に対応するように求めています。
中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)は、平成21年12月4日に施行され、平成25年3月末に期限を迎えましたが、金融機関が引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべきということは、今後も何ら変わりません。
引用:金融庁|中小企業等に対する金融円滑化対策について
このように国が金融機関に対して「円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」と求めていることから、基本的に金融機関は1つの借入金に対して1回はリスケジュールに応じると言われています。
リスケジュールには主に「返済期間の延長」と「元金返済の据え置き」という2つの方法があります。
- 返済期間の延長:最終返済期日を延長し、毎月の返済額軽減を図る
- 元金返済の据え置き:一定期間元金の返済を据え置き利息だけを支払う
恒常的に毎月の返済にかかる負担を軽減したい方は「返済期間の延長」を選択すし、社会的な不況など一定期間耐えれば景気が良くなるとう場面では「元金返済の据え置き」を選択することで資金繰りができる可能性があります。
リスケジュールには1ヶ月程度の時間がかかるので早めに相談しましょう。
追加融資の借入
金融機関から追加で融資を受けることで資金繰りを改善されることが可能です。
追加で融資を受ければ、手元に資金が増えるので資金繰りが円滑になります。
ただし、銀行から融資を受けるには審査に通過しなければなりません。
赤字や債務超過の企業で、さらに融資をしてもその解消の見通しが立たない企業は審査通過が難しくなるでしょう。
また、現在、当該銀行からの借入金の返済を延滞中、税金の滞納中という方も審査通過はほぼ不可能です。
銀行が取り扱う制度融資にはほとんどの自治体で、売上や収益が減少した際に融資を受けられるセーフティネット貸付の取り扱いがあります。
しかしセーフティネット貸付を利用する場合も借入金の延滞や税金の滞納があると審査には通過できないので、必ず滞納や延滞を解消したうえで申し込みましょう。
借入金の一本化
複数の借入金を抱えているのであれば、借入金を1本化することで毎月の返済額が軽減されます。
信用保証協会には借換保証制度などの保証商品がるので、このような商品を利用することで複数の借入金を1つにまとめ返済額の軽減を図れます。
さらに借換分に加えて新規の融資分も1つのローンとして借り入れられる場合もあります。
この場合は、おまとめによって返済額が軽減されるうえに新規の融資分によって資金が増えるので、資金繰りは大きく改善します。
ただし、信用保証協会の保証付融資でまとめられるのは信用保証協会の保証付融資のみとなっているので、ビジネスローンやプロパー融資での借入がある方は全ての借入金をまとめられるわけではありません。
資金繰りの困ったら相談したいおすすめファクター6選
ファクタリングは資金繰りに困った際の緊急の資金調達手段ですが、資金調達だけでなく、資金繰り改善のための相談などもおこなえます。
業者や担当者の専門性が高く、財務コンサルティングなども受けられるおすすめのファクタリング会社は次の7社です。
- ベストファクター
- ビートレーディング
- アクセルファクター
- トップマネジメント
- 日本中小企業金融サポート機構
- PMG
- GMO BtoB早払い
これらの7社であれば迅速に資金繰りに必要な資金を融通してくれますし、非常に低い手数料でファクタリングを利用できます。
資金繰りに困ったら相談したいおすすめファクターの特徴をご紹介していきます。
ベストファクター
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
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手数料 | 2%〜 |
入金スピード | 最短即日 |
買取可能額 | 下限上限なし |
個人事業主の利用 | 利用可 |
手続き方法 | 対面 |
弊社ベストファクターは資金繰りに困ったお客様から数多くの相談を受けております。
緊急で資金が必要になったお客様に対しては即日入金をおこなっていますので、急いで資金が必要な方はぜひ弊社までご相談ください。
また、弊社はお客様との対話を重視しております。
審査ではまずお客様の財務コンサルティングをおこない、お客様の財務状況を把握するとともに問題点の洗い出しをおこないます。
お客様の資金繰りを本質的に改善するためにはどのような方法がベストなのかを一緒に考えさせていただくため「毎月のように資金繰りに困っている」という事業者様はぜひお気軽にご相談ください。
弊社との契約は面談が必須となっております。弊社はお客様と顔を合わせてファクタリングについてご説明させていただくと同時に、お客様の人間性なども審査に加味させていただくためです。
基本的には弊社オフィスへご来店いただいた上での契約が必須となっておりますが、もしもご来店が難しい場合には弊社担当者が訪問させていただきますので、お申し付けください。
ビートレーディング
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
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手数料 | 2社間ファクタリング:4%~12% 3社間ファクタリング:2%~9% |
入金スピード | 最短2時間 |
買取可能額 | 下限上限なし |
個人事業主の利用 | 利用可 |
手続き方法 | オンライン・対面 |
ビートレーディングは日本を代表する店舗型のファクタリング会社です。
東京・仙台・名古屋・大阪・福岡に店舗を構え、専門性の非常に高いスタッフが対応してくれます。
また累計買取額は1,300億円超という圧倒的な実績を誇ります。
審査では財務コンサルティングをおこなうので、財務体質を本質的に改善するためのアドバイスを受けられます。
全国5箇所に設けられた店舗でじっくりと担当者と話をしながら資金繰り改善のアドバイスを受け、ファクタリングの相談をすることが可能ですが、ビートレーディングはオンライン完結型にも力を入れている業者です。
オンライン完結型は面談も契約も全てオンライン上でおこなうので、来店の必要がありません。
オンラインの面談時にも資金繰り改善のアドバイスを受けられます。
最短2時間で資金調達ができるので、急いで資金が必要な方にもおすすめです。
店頭でもオンラインでも専門性の高い担当者へ気軽に相談できるのはビートレーディングのメリットです。
アクセルファクター
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
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手数料 | 2社間ファクタリング:1%〜12% 3社間ファクタリング:0.5%〜10.5% |
入金スピード | 最短即日 |
買取可能額 | 下限上限なし |
個人事業主の利用 | 利用可 |
手続き方法 | オンライン・対面 |
アクセルファクターは国が中小企業支援の専門家として認定している認定経営革新等支援機関です。
高い専門性と実績があると国が認めた事業者だけが認定されるのでアクセルファクターは経営改善の指導に長けた業者であることがわかりますし、何よりも国が認定しているので安心安全なファクタリング会社です。
財務改善・資金繰り改善・収益改善などで専門的なアドバイスを受けられるでしょう。
ホームメージには「お取引のなんと半数以上が即日中の決済となっています。」と明記されているので、高い確率で即日入金を受けられます。
また、店舗型でありながら、手数料の上限は12%と低めに設定されているので、できるだけコストを抑えてファクタリングを利用したいと考える方におすすめです。
アクセルファクターは専門性が高い業者に相談しながらファクタリングを利用したい方に向いています。
トップマネジメント
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング ・注文書ファクタリング |
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手数料 | 2社間ファクタリング:3.5%~12.5% 3社間ファクタリング:0.5%~3.5% 注文書ファクタリング:3.5%~12.5% ゼロファク:3.5%~12.5% 電ふぁく:1.8%~8.0% |
入金スピード | 最短即日 |
買取可能額 | 下限上限なし |
個人事業主の利用 | 利用可 |
手続き方法 | オンライン・対面 |
トップマネジメントはファクタリング専門の会社として創業15年以上を誇り、5.5万社と超える事業者と取引をしている非常に専門性の高い会社です。
商品の種類が多いので、資金繰りに困ったらさまざまな方法での資金繰り改善方法を提案してもらえます。
特にトップマネジメントは注文書買取に対応している点が特徴です。
注文書買取とは取引先から発注があった際の注文書を売却することによって受注段階から資金調達できるのが特徴です。
手元に資金がなくても注文書を資金化できるので、大きな受注を受けることができます。
また、トップマネジメントが管理できる利用者名義の口座を取引先からの入金口座として指定することで低い手数料で利用できる「電ふぁく」は2社間ファクタリングでありながら上限8%と非常に低い手数料で利用できる点もメリットです。
トップマネジメントは低コストで資金調達したい方にもおすすめです。
日本中小企業金融サポート機構
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
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手数料 | 1.5%〜10% |
入金スピード | 最短3時間 |
買取可能額 | 下限上限なし |
個人事業主の利用 | 利用可 |
手続き方法 | オンライン・対面 |
日本中小企業金融サポート機構は、認定経営革新等支援機関として国から認定を受けている一般社団法人です。
コンサル業とファクタリング業を営む会社で、国から専門家として認定を受けているコンサルタントとして高い専門性があります。
資金繰りに困ったときい相談すれば、財務改善、資金繰り改善、経営改善などの専門的サポートを受けられます。
法人形態が非営利団体である一般社団法人ですので、手数料の上限が10%と低いのが特徴です。
以前は、日本中小企業金融サポート機構は店頭や郵送での契約しかできませんでしたが、今はオンライン契約にも力を入れています。
日本中小企業金融サポート機構onlineでは、最短3時間でオンライン完結で資金調達が可能です。
手数料が低く入金スピードが速いことに加え、認定経営革新等支援機関のコンサルタントとして専門性も非常に高いので、資金繰りに困ったら相談してみるとよいでしょう。
PMG
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング |
---|---|
手数料 | 2%〜 |
入金スピード | 最短即日 |
買取可能額 | 50万円〜2億円 |
個人事業主の利用 | 利用可 |
手続き方法 | オンライン・対面 |
PMGは日本全国に営業所や支店をもつ全国規模のコンサルティング会社です。
ファクタリングにも力を入れており、2021年1月時点で東京商工リサーチで独立系ファクタリング会社売上No1にも選ばれています。
東京本社・大阪・福岡の支社に加え、札幌、仙台、千葉、さいたま、横浜、名古屋、広島に営業所を持ち、日本全国の窓口でコンサルティングやファクタリングの受付をおこなっています。
資金繰りに困ったらファクタリングと経営改善のどちらの相談もできます。
担当者の顔と名前はホームページに明記されており、専門の担当者の顔があらかじめ見えるので安心感があります。
また、手数料は2%〜で業界最低水準になっているので低コストで資金調達したい方にもおすすめです。
ファクタリングとコンサルティング業の両方をおこなっている業者は多いですが、PMGはその中でも最も大きな業者の1つですので、資金繰りに困ったときの相談先として安心して利用できます。
GMO BtoB早払い
種類 | ・2社間ファクタリング ・3社間ファクタリング ・注文書ファクタリング |
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手数料 | 注文書買取 2.5%〜12.0%(スポットタイプ) 2.0%〜12.0%(継続タイプ)請求書買取 1.5%〜10.0%(スポットタイプ) 1.0%〜10.0%(継続タイプ) |
入金スピード | 最短2営業日(初回は最短5営業日) |
買取可能額 | 100万円〜1億円 |
個人事業主の利用 | 不可 |
手続き方法 | オンライン・対面 |
東証プライム上場企業のGMOペイメントゲートウェイが運営するファクタリングサービスです。
GMO BtoB早払いは申し込みをおこなうと、専任の担当者がつきます。
担当者はファクタリングの知識はもちろん企業経営や財務に対しても知識があるので、資金繰り改善などのアドバイスを受けられるでしょう。
申し込みから入金まで同じ担当者に相談ができるので安心感があります。
また、注文書を売掛債権をみなして資金化できる注文書ファクタリングにも対応しているので、資金繰りが悪い企業も大きな受注を受けられます。
請求書買取の手数料の上限は10%と低めなので、低コストで資金調達したい方にもおすすめです。
また、GMO BtoB早払いは継続タイプも選択できるので、1年程度の期間継続的にファクタリングを利用する方はさらに低コストで資金調達できる可能性があります。
業者の安全性が圧倒的に高い優良ファクタリング会社ですが、入金までには最短2営業日かかり、初回利用時には5営業日も必要になります。
また、利用できるのは法人のみとなっているので、個人事業主やフリーランスは利用不可です。
ある程度時間に余裕がある法人が資金繰りの相談やファクタリングの相談をしたい場合におすすめのファクタリング会社です。
資金繰りに困った時のQ&A
資金繰りに困っている経営者がとるべき対策について、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。
- Q.資金繰りに困ったときはどこに相談すれば良いですか?
- A.まずは商工会議所・商工会に相談しましょう。そこでは、具体的にどのような融資や補助金があるか、制度の仕組みと申請の手順などのアドバイスが受けられます。資金繰りや融資に関しては、日本政策金融公庫の各支店、商工中金、信用保証協会も相談窓口を開設しています。
- Q.取引銀行から資金繰り改善のための融資は受けられますか?
- A.銀行融資には銀行が100%保証する「プロパー融資」と、信用保証協会の保証を付ける「信用保証付き融資」があります。資金繰り改善を目的とした借入は後者を利用しましょう。たとえば、複数の金融機関からの借入があり、毎月の返済負担が大きい場合には、信用保証協会の「借換保証」で毎月の返済額を少なくすることができます。また、借り換えと同時に新たな資金を上乗せして融資を受けることも可能です。
>>「公的金融機関からの借入」について詳しく見る
- Q.売掛金の回収が上手く行かず資金繰りが回らないのですが、対策はありますか?
- A.回収前の売掛金を早期に資金化するファクタリングを利用しましょう。ファクタリングを利用すれば早期の資金調達はもちろん、売掛金の回収遅延や回収不能のリスクを回避することもできます。また、3社間ファクタリングであれば売掛金の管理・回収をファクタリング会社に任せられます。
>>「資金繰り対策としてのファクタリング」について詳しく見る
経営再建のためにやるべきことを実施する
資金繰りに困ったときに経営者がとるべき対策、経営再建のためにやるべきことを解説しました。
経営者は会社や事業、従業員、その家族を守るため、資金繰りが悪化した原因を把握し、経営再建に向けてできることを考え、そのために必要なことを実施する義務があります。
資金繰り悪化で資金不足が明らかとなっているのであれば、手元資金を残すことを最優先に考え、融資やファクタリング、支払いの先延ばしなどあらゆる対策をとりましょう。
また、経営再建のために外部から協力を得ることも一つの手段です。
ベストファクターはファクタリングによる早期の資金調達サポートのほか、資金繰り改善・経営再建を目的とした財務コンサルティングサービスもご提案いたします。弊社の経営支援により、経営者さまは本来の仕事に集中することができます。
資金繰りに困ったときは、ぜひベストファクターにご相談ください。