設備投資や事業拡大、あるいは通常の運転資金が不足した場合、企業の経営者や個人事業主であれば、どのような資金調達方法を思い浮かぶでしょうか?
一般的には口座を開設している銀行からの融資が考えられますが、事業者の経営状況や事業規模などによっては、融資が受けられない場合もあります。
借入先は銀行や信用金庫に限らず、ノンバンクのビジネスローンや制度融資の活用、担保に入れられる不動産があれば、不動産担保ローンを利用することもできるでしょう。
事業資金の調達方法は複数あるに越したことはありません。
今回は事業資金が足りないときに利用を検討したい資金調達方法をご紹介します。低金利から無担保、長期借入までさまざまな資金調達方法を挙げていますので、経営者の方はぜひご参考になさってください。
3種類の事業資金
事業資金には大きく分けて、運転資金、設備資金、創業資金の3種類があります。
運転資金は、事業の経営を行うにあたって必要な資金のことで、仕入れ費用や従業員への給料、テナントの家賃などを指します。突発的に必要となる運転資金を「つなぎ資金」と呼んだりもします。
設備資金は、車両や機械装置の購入、工場や店舗といった土地・建物の建設及び購入など、企業が事業の維持・拡大をするための設備投資に必要な資金を指します。金額が大きくなるため、高額融資・低金利・長期返済であるほど有利ですが、基本的に担保が必要となります。
創業資金は、創業するのに必要な資金のことで、融資を申し込む際には事業の実績がないため、融資元が限られます。また、審査では業績よりも、事業計画や経営者の熱意が重視されます。
中小企業や個人事業主などが「事業資金が足りない」というときには、運転資金か設備資金のいずれかが不足している状態です。経営者は資金使途に適した調達先や融資方法を知っておく必要があります。
信用保証付き融資|お金を借りる方法1
金利 | 1~3.5% |
審査基準 | 申込者の信用情報、保証資格、資金使途、資本金・従業員数・業歴など |
借入までのスピード | 1~2ヶ月 |
返済期間 |
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返済方法 |
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信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき、中小企業や小規模事業者の円滑な資金繰りのために設立された公益法人です。銀行等の金融機関から事業資金を調達する際、信用力の低い借主のために、信用保証協会が「信用保証」を行うことで融資を受けやすくします。
信用保証付き融資は、事業者が銀行の窓口や保証協会にて保証申し込み、信用保証協会が事業内容や事業計画を検討した上で、保証承諾の成否を決定します。万が一、返済ができない場合は信用保証協会が借入金を代位弁済、借主は保証協会に対して返済を行います。
利用にあたっては、金利と別に信用保証料の支払いが発生しますが、銀行のプロパー融資の審査が通らなかった企業、事業者でも、信用保証付き融資であれば融資を受けられる可能性があります。
また、一定の条件を満たしている事業者は、極度額の範囲内で必要な時に自由に借入ができる当座貸越根保証という制度が利用できます。
信用保証付き融資のメリット
融資枠の拡大を図ることができる
取引金融機関のプロパー融資と信用保証付き融資を併用することで、融資枠の拡大を図ることができます。
長期の借入が可能
融資期間は1年の短期から、運転資金用途で15年以内、設備資金用途で20年以内の長期まであります。
担保がなくても利用できる
信用保証協会は不動産担保に過度に依存しない保証を推進しているため、借主は担保がなくても借入ができます。保証人については、法人の場合は原則として法人代表者以外の連帯保証人は不要、個人事業者の場合は保証人が原則不要です。
信用保証付き融資のデメリット
融資実行まで1ヶ月以上かかる
信用保証付き融資を受けるまでに、金融機関と信用保証協会の2回にわたって審査が行われます。書類は信用保証委託関連書類に加え、確定申告書(決算書)、商業登記簿謄本、印鑑証明書などが必要です。さらに、審査、面談を経て事業所の実地調査などもあり、融資実行まで早くても1ヶ月以上かかってしまいます。
保証料の支払いが発生する
信用保証付き融資は、万が一のときに借入金を信用保証協会が代位弁済する代わりに、金利とは別に信用保証料の支払いが発生します。信用保証料率は、借主の経営状況を踏まえたリスクに応じて借入額の0.45~2.20%の間で決定されます。借主は「信用保証協会が代位弁済するから、借入金を返済しなくていい」ではなく、信用保証協会に対して返済が必要となります。
銀行のプロパー融資|お金を借りる方法2
金利 | 0.45~1.90% |
審査基準 | 申込者の信用情報、資金使途、事業計画など |
借入までのスピード | 10日~1ヶ月以上 |
返済期間 | 5年以内 |
返済方法 | 分割返済または期日一括返済 |
プロパー(proper)融資とは、信用保証協会の保証を使わず、銀行が直接貸し付ける融資のことです。信用保証付き融資と異なり、基本的に5年以内の短期融資で、融資額に上限が設けられておらず、保証料も発生しません。
審査では借主の業績や担保、信用情報、事業計画を総合的に判断して融資額や金利、返済期間が判断されます。事業規模の拡大に伴う運転資金や設備資金が必要な場合には、低金利で必要なだけの金額を借り入れることができます。
ただし、貸倒れとなった場合は100パーセント銀行の損失となるため、プロパー融資は信用度の高い企業や優良な取引先企業に限られ、審査もきわめて厳しいものとなっています。
銀行のプロパー融資のメリット
保証料がかからない
信用保証付き融資では、借主が返済不能となった場合に、信用保証協会が銀行に代位弁済を行うため、保証を利用する対価として、所定の信用保証料の支払いが発生します。一方、プロパー融資は信用保証協会の保証を受けない融資なので、保証料がかかりません。
融資限度額がない
プロパー融資には融資限度額が設けられていないため、審査に通過すれば必要なだけの借入額が調達できます。
融資スピードが信用保証付き融資に比べて速い
信用保証付き融資は銀行と信用保証協会のそれぞれで審査が行われるため、融資実行まで1ヶ月以上かかることもあります。一方のプロパー融資の審査は、早ければ申し込みから1週間ほどで融資実行となります。さらに、短期資金融資・小口資金融資であれば、支店独自の支店長決裁で、よりスピーディーな融資も可能です。
銀行のプロパー融資のデメリット
審査がきわめて厳しい
プロパー融資のデメリットは、「審査が厳しいこと」に尽きます。新規申し込みの場合は既存融資先に対する貸付と比べて審査期間が長く、1ヶ月以上かかることもあります。融資額や信用情報によっては本店決済が必要となることも多く、審査期間がさらに長くなります。
したがって、新規の融資申込みに関しては、原則信用保証付き融資で良好な取引履歴を積む必要があります。信用保証付き融資で取引を継続、経営状況も良好であれば、プロパー融資の審査が格段に容易となります。
返済期間が短期
返済期間が長くなれば、その分、借主の業績が悪くなる可能性が高まるため、必然的に銀行の貸し倒れリスクも高まります。
これを回避するため、銀行のプロパー融資は信用保証付き融資に比べると、返済期間が1~5年以内の短期に設定されることがほとんどです。
融資後に干渉される
プロパー融資の実行後、銀行は借主に対して積極的に干渉してきます。売上が下がる、赤字が続くなど業績が悪くなれば、業況悪化の原因と改善策を書面で提出するように求めたり、担当者による事業所訪問が増加したりします。
さらに、業況悪化を理由にした金利の引き上げや、一括返済の可能性もあります。
日本政策金融公庫の一般貸付|お金を借りる方法3
金利 | 無担保・無保証人 2.16~2.35%(基準金利)
無担保・有保証人 1.21~2.00%(基準金利) |
審査基準 | 申込者の信用情報、資金使途、事業計画など |
借入までのスピード | 3週間~1ヶ月 |
返済期間 | 5~20年以内 |
返済方法 |
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日本政策金融公庫と言えば創業融資制度が広く知られていますが、創業後2年経過している企業(税務申告を2期以上)向けに「一般貸付」を行っています。
融資限度額は運転資金・設備資金で4,800万円、特定設備資金で7,200万円、返済期間は5~20年以内と長期借入も可能です。さらに、担保・保証人を必要としない融資もあります。
日本政策金融公庫は100%政府が出資している公的金融機関です。中小企業の支援を目的としているため、銀行の審査に通過できなかった場合でも、日本政策金融公庫であれば融資が受けられる可能性があります。
日本政策金融公庫の一般貸付のメリット
審査基準が比較的低め
一般貸付は銀行の融資のように細かい条件はなく、「税務申告2期以上」や「所得税等を原則として完納していること」をクリアしていれば、ほとんどの場合で融資を受けられます。ただし、金融業や娯楽業といった一部の業種は、融資非対象業種となっています。
担保・保証人が不要な制度もある
「担保を不要とする融資制度」は、原則として、法人は無担保・代表者のみの保証、個人は無担保・無保証人で限度額4,800万円の融資を受けられます。
法人・個人を問わず、無担保・無保証人で融資が受けられるマル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要となりますが、限度額2,000万円、返済期間は運転資金で7年以内、設備資金で10年以内です。
金利が低い
一般貸付の金利は融資期間、担保の有無などによって異なる利率が適用され、2020年3月現在は無担保の基準金利が2.16~2.35%で、有担保の基準金利が1.21~2.00%の低金利で借りることができます。
日本政策金融公庫の一般貸付のデメリット
審査結果がわかるまで時間がかかる
日本政策金融公庫の一般貸付は、審査結果がわかるまでに3週間~1ヶ月ほどかかります。なぜなら、取引のある銀行と違い、申込者の経営状況、預金の残高、毎月の収支、資金繰り、事業計画などを逐一確認しなければならないからです。スピード感のある融資を希望するなら、ノンバンクのビジネスローンなどを検討したほうが良いでしょう。
高額の融資は保証人が必要
無担保・無保証人で融資が受けられるマル経融資は、融資限度額が2,000万円までです。それ以上の融資額を希望するなら、保証人が必要となる融資に申し込む必要があります。マル経融資も利用にあたって商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要となります。
「税金の未納がない」が条件
日本政策金融公庫の一般貸付は、どの融資制度も「所得税等を原則として完納していること」が条件となります。税金の支払いに充てる資金を目的であるならば、使途を問わない融資を検討しましょう。
自治体の中小企業制度融資|お金を借りる方法4
金利 | 1.0~3.0%(実質年率) |
審査基準 | 申込者の信用情報、資金使途、事業計画 |
借入までのスピード | 最短即日 |
返済期間 |
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返済方法 |
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自治体の中小企業制度融資とは、地方自治体と金融機関、信用保証協会、商工会議所などが連携して、中小企業向けに事業資金の調達を支援する制度のことです。
一般的に、金融機関は開業して間もない企業に対しては、貸し倒れリスクを懸念して積極的に融資を行いません。
制度融資は、信用保証協会が融資の保証人となったり、地方自治体が保証金や金利の一部を負担したりして、金融機関の貸し倒れリスクを減らします。これにより、金融機関から借入が難しい中小企業でも融資が受けやすくなるのです。
自治体の中小企業制度融資のメリット
審査基準が比較的低め
自治体の制度融資は、万が一、返済が滞っても信用保証協会が代位弁済を行います。金融機関は貸し倒れリスクが少なくて済むことから、審査基準が比較的低く設定されています。したがって、厳しい経営状況にある、開業間もないといった理由で金融機関からの融資が断られた企業でも、事業計画と将来性、成長可能性が期待されれば、融資してもらえる可能性があります。
金利が低い
自治体の制度融資は財務的基盤が弱い、資金繰りが難しい中小企業、事業者を支援する目的の制度ですので、金利が低めに設定されています。金利相場は1.0~3.0%と、銀行のプロパー融資並みの金利で借入が可能です。
保証料や利息の一部が補助される
制度融資によっては、企業が支払うべき信用保証協会の保証料や金融機関の利息の一部を、自治体が補助する場合もあります。
長期間の借入も可能
自治体の制度融資は運転資金、設備資金、開業資金といくつかの種類があり、運転資金・開業資金は返済期間最長7年以内、設備資金は最長10年以内と、長期間の借入も可能です。さらに、据置期間1~2年で設定されていることが多く、余裕を持った返済計画を立てることができます。
自治体の中小企業制度融資のデメリット
融資実行まで時間がかかる
制度融資を受けるためには、金融機関での手続きに加え、自治体での承諾や信用保証協会の審査などを経る必要があります。さらに、商業登記簿や決算書、事業計画書など提出すべき必要書類の種類が多く、手間も時間もかかります。申し込みから融資実行まで2〜3ヶ月はかかるため、早期に事業資金が必要な場合には大きなデメリットとなります。
「租税の未申告・滞納がない」が条件
ほどんどの制度融資は、市税や事業税などの未納・滞納がないことが条件となっています。完納の見通しが立っている場合は融資を受けられる可能性もありますが、制度融資を充てにして税金の支払いはできません。
借入上限額が1,000万~3,000万円
制度融資は、運転資金や設備資金の各制度で借入上限額が設定されており、おおむね上限額1,000万~3,000万円の範囲です。一定規模以上の資金を必要とする場合には、他で追加の融資を受けるか、別の資金調達を検討する必要があるでしょう。
専門会社の不動産担保ビジネスローン|お金を借りる方法5
金利 | 15.0%以下(実質年率) |
審査基準 | 申込者の信用情報、不動産の評価額 |
借入までのスピード | 最短即日 |
返済期間 |
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返済方法 |
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銀行の不動産担保ローンは、事業性資金のための不動産担保ローンを提供していません。不動産担保ローン専門会社であれば、中小企業や個人事業主が不動産を担保に、500万~3億円の事業性資金を借りることができます。
審査では、申込者の信用情報よりも不動産の評価額が優先されるため、開業間もない、税金滞納、リスケ中といった場合でも、不動産の評価額が高ければ融資を受けられる可能性があります。
不動産担保ローンは不動産担保評価のプロセスが必要となるため、融資までに時間がかかりますが、専門会社は豊富な審査ノウハウ・実績があるため、最短即日~3営業日以内で審査結果がわかります。
専門会社の不動産担保ビジネスローンのメリット
審査に通過しやすい
赤字決算、税金未納、リスケ中、開業して間もない会社でも、不動産の評価額が高ければ審査に通過できる可能性があります。
不動産の掛目が高い
掛目とは、担保の時価評価額に乗じるリスク回避のための比率のことで、現金の担保価値を100%として、資金化の確実性が高い担保ほど高い掛目が設定されます。銀行の不動産担保の掛目は70%が相場ですが、専門会社の中には掛目を100%に設定しているところもあります。
高額の借入も可能
不動産の価値が高く評価されれば、1億円以上の高額の借り入れができます。専門会社であれば、他の金融機関では評価が厳しい築古や二番抵当の不動産も高く評価してもらえるでしょう。
最短即日融資も可能
専門会社は不動産担保ローンの豊富な知識と実績があるため、最短即日の審査回答、融資実行も可能です。
専門会社の不動産担保ビジネスローンのデメリット
上限金利が高め
不動産担保ローンは「下限金利」と「上限金利」が設定されており、審査次第ではあるものの、実際には上限金利が適用されるケースがほとんどです。専門会社は銀行に比べて上限金利が高く、10%を超える場合も少なくありません。
事務手数料が高い
銀行の事務手数料は、不動産1件につき10万~15万円、あるいは融資金額の1.0~1.5%が相場ですが、不動産不動産専門会社の事務手数料の相場は、融資金額の2.0~2.5%となっています。
繰上げ返済は中途解約金が発生する
不動産担保ローンの繰り上げ返済は中途解約となります。借入残高の一部、または全部を繰上返済する場合には、繰上返済元金金額の2.00%の中途解約金が発生します。
売掛債権担保融資(ABL)|お金を借りる方法6
金利 | 15.0%以下(実質年率) |
審査基準 | 申込者の信用情報、原材料や商品、売掛金等 |
借入までのスピード | 約5営業日 |
返済期間 | 短期1年以内、長期7年以内(担保による) |
返済方法 |
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売掛債権担保融資(ABL)は、売掛債権や商品在庫、車両等の流動資産を担保とした融資(Asset-based lending)を指します。
融資元はノンバンクや自治体の労働局で、審査では申込者の信用情報に加え、担保として提供される資産の価値が重視されます。売掛債権担保の掛目は80~90%がおおよその相場です。
不動産などの担保や保証人に依存せず、資金調達の多様化とキャッシュフローの改善につながるため、「売上増加で仕入れ資金が不足している」「月中に資金ショートする可能性がある」といったケースで利用されています。
ABLのメリット
流動資産を有効活用して資金繰りを改善できる
商品在庫や売掛債権など、現金化までに時間がかかる流動資産を有効活用して資金調達ができます。したがって、不動産担保や第三者保証人を用意できない中小零細企業でも、流動資産を担保すれば融資を受けられ、資金繰りの改善につながります。
売掛先への債権譲渡通知・事前承諾が不要
ABLを利用するにあたって、売掛先への債権譲渡通知や事前承諾は原則不要です。信用不安を招くことなく、流動資産を譲渡して資金調達ができます。
担保によって長期の借入も可能
担保によって、短期借入と長期借入の使い分けができます。たとえば、東京都産業労働局の東京都動産・ABL制度では、機械・設備を担保とする場合は長期資金(7年以内)の借入れが可能です。
ABLのデメリット
中途解約は違約金がかかる
ABLを中途解約する場合は、中途解約金として最終弁済時残高の2.0%がかかる場合があります。
債権譲渡登記が必要
ABLの契約を結ぶ際には、債権譲渡登記が必要となります。もし、担保の売掛債権に譲渡禁止特約が付帯されていた場合は、担保から外れてしまいます。譲渡禁止特約は売掛先が大企業の場合に設けられているケースが多いようです。
売掛債権の貸し倒れリスクは残る
ABLで売掛債権を担保に入れても、貸し倒れリスクは自社で抱えたままとなります。万が一、期日までに回収できなかった場合は損失を被るリスクがあります。
ノンバンクのビジネスローン|お金を借りる方法7
金利 | 2.0~18.0% |
審査基準 | 申込者の信用情報、業歴1年以上、事業計画など |
借入までのスピード | 即日 |
返済期間 | 5年(60ヶ月)から10年(120ヶ月) |
返済方法 |
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ビジネスローンは、事業使途を条件とした事業者向けの金融商品です。主な融資元は、銀行以外の信販会社、消費者金融等の「ノンバンク」となっています。
ノンバンクは銀行に比べて金利が高めではあるものの、事業規模が小さい、創業間もない事業者でも審査に通りやすく、なおかつ無担保・無保証人で借入ができます。
さらに、ノンバンクのビジネスローンは利用可能枠(借入限度額)内であれば、いつでも・何度でも借入と返済ができる「カードローン」タイプです。
たとえば、200万円の利用可能枠で最初に100万円を借り、その後から残りの100万円を1回借りるというような借り方も可能です。また、最初に利用可能枠いっぱいの200万円を借り入れても、その後に100万円を返済すれば100万円分の枠が戻るため、再び100万円を借りることもできます。
ノンバンクのビジネスローンのメリット
融資までのスピードが速い
ノンバンクのビジネスローンは、コンピューターが与信可否を判断する「スコアリングシステム」を採用しているため、最短即日の融資も可能です。
銀行のローンは、融資専門の担当者が決算書や事業計画書に一つ一つ目を通す従来の審査の方法を採用しており、審査結果が出るまでに3~5営業日の時間がかかってしまいます。
審査の可決率が高い
一般的にノンバンクのビジネスローンは銀行のローンに比べて「審査が緩い」とされています。
銀行の融資は「業歴2年以上かつ直近2期以上の確定申告を継続完了していること」が申込み条件として設定されている事がほとんどです。一方、ノンバンクは「業歴1年以上」が審査可決のボーダーラインなので、業歴が浅い、創業間もない事業者にも融資をしてくれる場合があります。
担保・保証人が不要
ノンバンクのビジネスローンは担保・保証人が不要なので、「担保にできる不動産がない」「保証人になってくれる人がいない」という事業者でも借入ができます。
もちろん、ノンバンクにも不動産担保ローンなどの有担保ローン商品もあります。不動産を保有していて、より高額な借入が必要であれば、不動産担保ローンを利用するのも一つの手です。
ノンバンクのビジネスローンのデメリット
金利が高め
ノンバンクのビジネスローンは、銀行の同商品と比べて金利が高めです。銀行のビジネスローンの金利(年利)相場が1.0~14.0%である一方、ノンバンクは4.0~18.0%がおおよその相場となっています。中小零細企業や個人事業主がノンバンクで契約する場合、金利が15.0%を超えることも少なくありません。
「最低1期以上の業歴がある」が条件
ノンバンクのビジネスローンの申し込みでは、法人なら決算書、個人事業主なら青色申告決算書の提出が求められます。したがって、最低1期以上の業歴が必要で、開業前や開業間もない場合は借入ができません。
複数利用は信用不安のリスクがある
ビジネスローンを複数の業者から借り入れている場合、取引先や顧客、取引銀行から「借金をしないと事業を続けていけない=資金繰りが悪化している」と見なされ、信用不安を招くリスクがあります。とくに、新たにローンを組む際には必ず信用情報が照会されるため、借入件数や借入額が多いと審査で不利になってしまいます。
手形割引|お金を借りる方法8
金利 | 1.5~20.0%(依頼する金融機関による) |
審査基準 | 手形割引依頼人の信用情報、振出人の経営状況 |
借入までのスピード | 銀行等金融機関:2~3日
手形割引業者:即日 |
返済期間 | 手形の振出人が支払期日(満期日)に当座一括決済 |
返済方法 | 一括返済 |
手形割引とは、手形の支払期日を待たず、早期に現金化する方法です。手形割引の依頼人には、「手形割引料」という金利に加え、金融機関に支払う手数料を加えた「手形割引手数料」が発生します。
銀行や信用金庫など、自社と融資取引のある金融機関のほか、手形割引業者を利用して現金化することができます。割引は厳密に言うと「手形の買取」であって、貸付とは異なりますが、手形を担保とした融資のひとつとして位置づけられています。
手形割引料は「手形額面金額×手形割引利率×支払い期日までの日数÷365日」で算出され、手形割引利率は、手形割引依頼人と金融機関との間で取り決められます。また、手形割引手数料は、手形割引の依頼日を始点とした「年利」で計算されます。
銀行の手形割引の審査では、手形割引依頼人の信用情報、振出人の経営状況が調査されますが、手形割引業者は振出人の経営状況のほうが優先されます。万が一、銀行に割引を断られたとしても、手形割引業者に依頼すれば審査に通過できる可能性があります。
手形割引のメリット
手形の支払期日前に現金化が可能
手形は支払期日を待って、「銀行取立」を依頼することでお金が振り込まれます。手形割引なら支払期日を待たずに現金化ができるので、資金繰りが厳しいときの事業用の資金調達に活用できます。
手形割引業者なら即日現金化
手形割引は融資に位置づけられているため、銀行等に依頼すると2~3営業日かかる場合もあります。手形割引業者に依頼すれば、最短即日の現金化が可能です。
手形割引のデメリット
手形が不渡りとなった場合は割引依頼人が弁済
手形割引は、支払期日に手形の振出人(取引先、顧客)の口座から、手形に記載の額面が引き落とされます。万が一、振出人が支払不能となった場合は手形が「不渡り」となり、割引依頼人が代わりに一括弁済しなければなりません。
割引料を支払う必要がある
手形割引は、銀行や手形割引業者に手形割引料を支払う必要があるため、手形に記載の額面の満額を受け取ることはできません。また、割引依頼人に信用力がないと判断されれば、割引料が高くなってしまうこともあります。
手形貸付|お金を借りる方法9
金利 | 3.0~20.0% |
審査基準 | 手形貸付依頼人の信用情報 |
借入までのスピード | 即日 |
返済期間 | 1年以内 |
返済方法 | 一括返済 or 分割返済 |
手形貸付とは、融資を受けたい企業が融資元を受取人として手形を振り出し、手形金額に相当する額を借り入れる金融商品です。
もっとも基本的な融資である証書貸付に比べて審査等の手続きが簡単、融資実行までのスピードが速いという特徴があり、建設業や製造業でよく利用されています。
また、一般的な融資では元金分に利息分を加えて返済しますが、手形貸付は融資実行の際に額面の金額から利息分を差し引いて融資を受けることになります。
利息を毎月支払いたい場合は、「利息分割の特約」と呼ばれる書類の提出が必要です。
手形貸付の返済は基本的に期限一括返済となるため金利が低く、売掛金が入金されるまでの短期的なつなぎ資金として利用されています。
手形貸付のメリット
最短即日で借入が可能
手形貸付は一般の融資に比べて必要書類が少なくて済み、融資実行までのスピードが速いのが特徴です。多くの金融機関や手形割引業者が即日融資に対応しているので、本日中に資金が必要な場合でも、審査に通過すればすぐに現金が振り込まれるでしょう。
印紙税が安い
金銭消費貸借契約書を取り交わす証書貸付では、少なくない印紙税がかります。たとえば、融資額1,000万超~5,000万円以下の印紙税は20,000円です。手形貸付の場合は大幅に安く、1,000万円の場合でも4,000円という安価に抑えることができます。
前倒しの返済も可能
手形貸付は期日に一括返済が基本ですが、期日前に前倒しの返済も可能です。手形貸付の利息は借入時に前払いしているため、期日前に返済すればその分の利息を取り戻すことができます。
手形割引に比べて不渡りリスクが低い
手形貸付は自社と金融機関の2社間の取引ですので、手形割引のように第三者の経営状況や信用を心配する必要がありません。
手形貸付のデメリット
返済期間が短い
手形貸付は返済期間が約1年の短期融資です。状況が変わって返済が滞るような事態になったとしても、期日通りに返済を求められます。
融資額が低め
手形貸付は手形貸付は融資実行の際に額面の金額から利息分を差し引いて融資を受けることになるため、申し込んだ額をそのまま融資してもらえるのではありません。
滞納リスクがきわめて大きい
手形貸付の返済の滞納は、すなわち「不渡り」を意味します。半年間に2回の不渡りを出してしまうと、銀行からの取引停止ペナルティーを受け、会社は事実上倒産ということになります。
親族・知人などから借りる|お金を借りる方法10
金利 | 要相談 |
審査基準 | 借主の信用、人間関係 |
借入までのスピード | 即日 |
返済期間 | 1年~ |
返済方法 | 一括返済 or 分割返済 |
個人事業主や自営業者は、法人に比べて信用性に乏しいため、金融機関からの借入が難しいという事情があります。
どうしても金融機関からの資金調達が難しい場合には、親族・知人などからお金を借りるという方法も検討しましょう。
親族・知人からお金を借りる場合でも、それまでに信頼関係を築いていることはもちろん、返済の目処や貸主に対してのメリットも提示しておく必要があります。
親族・知人などから借りるメリット
借りられる可能性が高い
借主となる事業者と貸主となる親族・知人が良好な人間関係を築けていれば、審査などを経ずにお金を借りられる可能性が高くなります。貸主が投資家や資本家などであれば、高額な借入金でも工面してくれるかもしれません。
調達コストが低い
信頼関係のある人からお金を借りる場合、非常識な金利や無理な返済期日を設定されることはほとんどないと言えます。返済計画をしっかりと立て、何かしらのリターンを提案すれば、無利子や出世払いなど、低コストでお金を借りられる可能性があります。
親族・知人などから借りるデメリット
返済できなければ信用を失う
お金を借りるコストは低くても、約束どおりに返済ができなければ、当然ながら貸主との信頼関係は崩れてしまいます。
貸主に負担をかけることになる
借りるお金が大きいほど、貸主にとっては大きな負担となります。万が一、借金を返せなくなった場合は相手の家族にも経済的な負担を強いることになるでしょう。
事業用のお金を借りるときの注意点
事業用のお金を借りるときは、以下の点に注意が必要です。
- 金利の低い金融商品は、審査のハードルが高く、融資実行までに時間がかかる(プロパー融資、信用保証付き融資など)
- 審査から融資実行までのスピードが早い金融商品は金利が高い(ノンバンクのビジネスローン、ABLなど)
さらに、決算書や確定申告書、商業登記簿謄本、印鑑証明書など提出する書類が多く、融資の実行までに1ヶ月以上かかってしまう場合もあります。スピードを重視するならノンバンクのビジネスローンが有利ですが、銀行に比べて金利が高いため、資金繰りの厳しい事業者にとっては返済負担が大きくなります。
緊急に事業資金が必要な場合には、当面の資金繰りの改善のみならず、資金調達後の財務体質の立て直しや返済計画についても並行して考えておく必要があります。事業活動や経営状況、会社の信用情報などに悪い影響が出ないよう、事前に資金計画を立てましょう。
事業用のお金を借りる方法に関するQ&A
事業用資金の調達方法に関する質問に、Q&Aでお答えします。
- Q.信用保証付き融資の信用保証料を分割で支払うことはできますか?
- A.保証期間が2年を超える保証(条件変更を含む)または、保証期間が1年を超える当座貸越根保証については、信用保証料を分割して支払うことができます。分割支払いを希望する場合は、申込みの際に申し出る必要があります。
- Q.銀行が企業にプロパー融資するときに担保は求められますか?
- A.銀行と企業の交渉次第です。設備資金の場合は、企業の経営状況にかかわらず担保が求められます。また、運転資金の場合はより交渉次第ですが、経営状況が良い場合でも、借入実績が無い場合は担保が必要となります。
- A.中小企業制度融資の担保・保証人については、金融機関または信用保証協会が申込者の希望をうかがいながら、融資実行できるように判断しています。
Q.中小企業制度融資に担保や連帯保証人は必要ですか?
- Q.一度ビジネスローンの審査に落ちても、また申し込みすることはできますか?
- A.可能ですが、申込みをした事実は信用情報期間に半年間登録されます。したがって、再度申込みをする場合は、最低半年以上の期間を空けてから行いましょう。
- Q.手形割引業者はどのようにして選べば良いですか?
- A.審査が早く、手数料が安い業者を選びましょう。また、手形割引業者として営業するためには、貸金業登録を受ける必要があります。業者の貸金業登録番号(括弧の中の番号)を見ることによって、開業してからどれだけ貸金業者として活動してきたのかを確認できます。
借りない資金調達ならファクタリングがおすすめ
今回は事業資金が足りないときに、お金を借りることで調達する方法をご紹介しました。
融資の最大のメリットは、なんと言っても事業資金に充てられる大きなキャッシュ(現金)が入ってくることです。
事業の純粋な利益では何年間もかかるはずったキャッシュを、融資ならたった数日、長くても1ヶ月で調達することができます。有効に使えば、つなぎ資金としてだけではなく、事業の成長を格段に早めることも可能です。
融資のデメリットは、高額なほど、金利が高いほど、返済が大きな負担となることです。融資を受けたからには事業で利益を上げ、その利益の中から毎月の返済を行っていかなければなりません。
融資で資金調達をする際は、銀行のプロパー融資、信用保証付き融資、制度融資と相談してみて、それでも融資を受けられない場合はノンバンクのビジネスローンに申し込む……というように、条件の良い調達方法から試してみると良いでしょう。どの融資元からお金を借りるかは、銀行の担当者や顧問税理士に相談してみることをおすすめします。
「お金を借りない」という選択肢なら、債権売買のファクタリングがおすすめです。
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡、期日前にまとまった資金を調達することができます。
借金とは異なる資金調達方法ですので、金融機関から融資を受けられなかった法人・個人でも、売掛債権があればファクタリングで資金調達できる可能性があります。
さらに、ファクタリング会社が提供する「財務コンサルティング」により、資金繰りと財務体質の改善が図れます。
私どもベストファクターは、取引先に債権譲渡の事実を知られることのない「2社間ファクタリング」を、最短即日・手数料2%~で提供しています。まだ現金化していない売掛債権があれば、ファクタリングを活用した事業資金の調達をおすすめします。