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- 建設業のファクタリング8社比較|注文書買取と建設業法の支払期日
工事は終わっているのに、代金が入るのは数か月先。その間に材料費と外注費、職人の給料は先に出ていく。
建設業でファクタリングが使われるのは、この順番が業種の構造として決まっているためです。売上は立っているのに手元の資金が足りない状態が、工事を受けるほど大きくなります。
建設業の支払期日を定めた建設業法の規定、着工前に資金が要るときの注文書買取、手形が使えなくなることの影響、工事の段階ごとに使える手段までを扱います。公共工事の譲渡制限など、建設業特有の注意点も載せています。
入金より支出が先に来るのが、建設業の資金繰り
材料の仕入れと外注への支払いは工事中に発生し、代金の入金は完工・検査のあとになります。
| 1 | 受注・着工 注文書を受け取り、工事を始めます。この時点では請求できません。 |
| 2 | 材料費・外注費・人件費が出ていく 工事が進むほど支出が増えます。職人の給料と社会保険料は後ろに回せません。 |
| 3 | 完工・引渡し 工事を終えて、元請けや施主に引き渡します。 |
| 4 | 検査 検査が終わるまで請求できない契約が一般的です。 |
| 5 | 請求・入金 締め日を経て支払日に入金されます。着工から数えると数か月かかります。 |
受注が増えるほど資金は足りなくなる
工事を多く受けるほど、先に出る材料費と外注費が積み上がります。利益が出ていても現金が尽きる状態が起こります。
建設業で黒字倒産という言葉がよく出るのは、この構造があるためです。
建設業の支払期日は、取適法ではなく建設業法で決まる
建設工事の請負契約は取適法の対象外で、建設業法が支払期日を定めています。
2026年1月に下請法が取適法(中小受託取引適正化法)に変わりましたが、建設工事の請負契約はその対象になりません。代わりに建設業法が適用されます。
| 規定 | 内容 |
|---|---|
| 建設業法24条の3 | 注文者から出来高払または竣工払を受けたとき、その工事を施工した下請負人に、相応する下請代金を1か月以内に支払う |
| 建設業法24条の4 | 下請負人から工事完成の通知を受けた日から20日以内に検査を行い、検査後に引渡しの申出があれば直ちに引渡しを受ける |
| 建設業法24条の5 | 特定建設業者は、引渡しの申出日から起算して50日以内に下請代金を支払う |
※ 国土交通省 中国地方整備局の資料による整理です。24条の5は、下請負人が特定建設業者または資本金4,000万円以上の法人である場合を除きます。
交渉で使えるのはこの3つ
元請けが施主から入金を受けているのに下請代金が止まっている場合、24条の3の1か月が根拠になります。検査が始まらない場合は24条の4の20日です。
取適法の60日ではなく、建設業法の期限で話を進めます。
建設業者でも取適法の対象になる取引がある
工事の請負は建設業法ですが、鉄骨やコンクリート部材の製造を外注すれば製造委託、設計図面の作成を委託すれば情報成果物作成委託として、取適法の対象になり得ます。
この場合は受領日から60日以内という取適法の上限が働きます。
入金が遅れているときの進め方は元請け・取引先から入金がないときで扱っています。
着工前に資金が要るなら、注文書買取という選択肢がある
請求書が出る前の段階、注文書を受け取った時点で資金化する方法です。
建設業では、工事を受けてから請求までの期間が長くなります。その間の材料費を用意するために、注文書の段階で資金化する形が使われます。
| 項目 | 請求書買取 | 注文書買取 |
|---|---|---|
| 資金化できる時期 | 工事が終わり、請求書を出したあと | 注文書を受け取った時点。着工前から可能です |
| 必要なもの | 請求書 | 注文書、工事の契約書 |
| 対応する会社 | 多くの会社が対応します | 限られます |
| 手数料 | 注文書買取より低めです | 工事完了までのリスクを見るため高めです |
| 審査で見る点 | 売掛先の支払い能力 | 発注元の信用に加え、工事を完遂できるか |
注文書買取に対応している会社の例
ウィットは、発注時の注文書または入金待ちの請求書を買取対象としていることを公式サイトに明記しています。買取金額の下限も設けていないとしています。
手数料は公式に記載がないため、問い合わせで確認する項目です。
まだ発生していない債権を譲渡できる根拠は民法466条の6にあります。仕組みは譲渡禁止特約とファクタリングで扱っています。
建設業で多かった手形払いが、使えなくなる
紙の手形・小切手の交換は2027年3月末を目途に廃止され、取適法の対象取引では手形払い自体が禁止されました。
建設業は支払サイトが長く、手形で受け取る場面が残っていた業種です。切り替えの影響が大きくなります。
| これまで | これから |
|---|---|
| 手形で受け取り、期日前に割り引いて資金化していた | 振込かでんさいに変わります。手形割引という手段がなくなります |
| 銀行の手形割引枠を運転資金として使っていた | 枠がそのまま消えます。当座貸越など別の枠への切り替えが要ります |
| 支払いも手形で出していた | 現金での支払いに変わり、手元資金の必要額が増えます |
受け取る側も支払う側も資金が前倒しになる
手形がなくなると、受け取りは早まる一方で、支払いも早まります。差し引きでどちらに振れるかは、受取手形と支払手形のどちらが多かったかで変わります。
自社がどちらなのかを先に把握しておくと、必要な資金の見通しが立ちます。
手形割引とファクタリングの違いは手形割引とファクタリングの違いで扱っています。
工事の段階に合わせて、いくら資金化できるか確認する
請求書と注文書のどちらをお持ちでも、金額と支払期日を伝えれば手数料の目安と手取り額を確認できます。着工前の資金についても相談できます。
電話:0120-767-014(受付 平日10:00〜19:00)
工事の段階ごとに、使える手段が変わる
いま手元にあるのが注文書か、出来高の確認書か、請求書かで選べるものが決まります。
段階別の選択肢
| 注文書を受け取った段階(着工前) | 注文書買取。対応する会社を探す形になります |
| 工事中で、出来高の確認が済んでいる | 出来高分の請求書が出せれば、請求書買取が使えます |
| 完工したが、検査が終わっていない | 請求額が確定していないため、買取の対象になりにくい段階です |
| 検査が終わり、請求書を出した | 請求書買取。最も条件が良くなる段階です |
| 支払期日を過ぎても入金がない | 買取の対象外です。催促と回収の手続きに移ります |
出来高の認定が止まると請求できない
出来高払の契約では、元請けが出来高を認定しないと請求が立ちません。認定が遅れている場合は、資金調達より先に認定を進める交渉が要ります。
建設業で審査が左右される点
見られているのは自社の決算ではなく、元請けの信用と請求額が確定しているかどうかです。
| 見られる点 | 条件が良くなる | 条件が厳しくなる |
|---|---|---|
| 元請けの規模 | ゼネコン、官公庁、地場の大手 | 設立間もない会社、個人 |
| 請求額の確定 | 検査が終わり、金額が動かない | 検査前、追加工事の精算が残っている |
| 入金実績 | 同じ元請けからの入金が通帳で追える | 初めての元請け、入金が遅れた履歴がある |
| 契約書類 | 注文書・注文請書・契約書が揃っている | 口頭の発注だけで書面がない |
| 工事の進捗 | 完工済み | 着工前、工期が長く残っている |
書面がないことが一番の障害になる
建設業では、電話やメールだけで発注が進むことがあります。書面がないと取引の実在を示せないため、審査で止まります。
注文書が出ていない場合は、元請けに発行を依頼するところから始まります。
建設業に特有の3つの落とし穴
譲渡制限、相殺、そして一人親方の立場です。
公共工事の約款に譲渡制限がある
官公庁や自治体の工事では、標準の契約約款に債権譲渡の制限が置かれていることがあります。民間の元請けでも、下請契約の約款に同じ条項が入っている場合があります。
2020年4月施行の改正民法466条2項により、譲渡制限の特約があっても債権譲渡そのものは有効です。ただし契約書に解除や違約金の定めがあれば、元請けがそれを主張する余地は残ります。
材料支給分が相殺される
元請けから材料を支給されている場合、その代金が下請代金から差し引かれます。請求額の満額が入らないため、資金化できる金額も変わります。
相殺の有無は申込時に伝える
相殺後の金額を伝えないまま申し込むと、入金額が想定と合わなくなります。契約書の相殺条項と、実際の控除額を確認しておきます。
一人親方・個人事業主の扱い
一人親方として受注している場合、法人でないことを理由に断られる会社があります。一方で個人事業主に対応する会社も相当数あります。
フリーランス法の対象になる場合がある
従業員を雇わず一人で受注している場合、フリーランス法の保護を受ける余地があります。この法律では、受領日から60日以内の支払いが義務づけられています。
ただし建設工事の請負として建設業法が適用される場面との切り分けは、契約の実態によります。
融資や補助金との使い分け
急ぎかどうかと、返済を増やしてよいかどうかで分かれます。
| 手段 | 間に合う速さ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ファクタリング | 最短で当日 | 入金待ちの資金が足りない。負債を増やしたくない |
| 銀行の運転資金融資 | 数週間 | 計画的な資金需要。金利は最も低くなります |
| 信用保証協会付き融資 | 1か月前後 | 設備投資や長期の資金。保証協会の審査が別に入ります |
| 日本政策金融公庫 | 数週間 | 創業時や事業の立て直し |
| 補助金・助成金 | 交付決定後の後払い | 当面の資金には使えません |
融資や制度を含めた資金繰りの立て直しは建設業の資金繰り改善で扱っています。会社ごとの条件の比べ方はおすすめ優良ファクタリング会社13選にまとめています。
工種によって、資金繰りの詰まり方が違う
材料費の比率と工期の長さで、どこで現金が足りなくなるかが変わります。
| 工種 | 詰まりやすい場面 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 内装・リフォーム | 工期は短いものの、材料を先に仕入れます。小口の工事が重なると資金が分散します | 買取下限のない会社を探し、複数の請求書をまとめます |
| 土木・造成 | 工期が長く、出来高払の認定まで請求できません | 出来高の請求書か、注文書買取を検討します |
| 設備・電気 | 機器の仕入れが大きく、着工前に支出が集中します | 注文書買取が最も役立つ工種です |
| 解体・外構 | 工期は短いものの、重機のリース料と人件費が先に出ます | 完工後すぐの請求書買取で間に合うことが多くなります |
| 鉄骨・部材の製造 | 工事の請負ではなく製造委託にあたる場合があります | 取適法の対象なら受領日から60日以内という上限が働きます |
複数の現場が重なるときが最も危ない
1件ずつなら回る資金繰りでも、着工が重なると材料費と外注費が同時に出ます。受注の判断と資金の判断を分けて見る必要があります。
繰り返さないための備え
契約の段階で決めておけることが3つあります。
| 備え1 | 注文書を必ず書面でもらう 口頭の発注だけでは、取引の実在を示せません。資金化の可否にも、入金が遅れたときの交渉にも関わります。 |
| 備え2 | 出来高払の条件を契約で決める 何をもって出来高とするか、認定の期限はいつかを書面にします。認定が遅れる原因の多くはここが曖昧なことです。 |
| 備え3 | 現場ごとの入出金を一覧にする 工事ごとに、いつ・いくら出て、いつ・いくら入るかを並べます。着工が重なる月が先に分かります。 |
会社を選ぶときに、建設業だから見る点
注文書に対応しているか、建設業の商流を理解しているかが分かれ目になります。
問い合わせで確認する6点
| 1 | 注文書の段階で買い取れるか 着工前の資金が必要なら、ここで候補が絞られます。 |
| 2 | 出来高の請求書を扱えるか 完工前の出来高払に対応しているかを確認します。 |
| 3 | 買取金額の下限 小規模な工事では、下限30万円で弾かれることがあります。 |
| 4 | 譲渡制限がある契約への対応 公共工事の約款がある場合に進められるかを聞きます。 |
| 5 | 個人事業主・一人親方への対応 法人でないことを理由に断る会社があります。 |
| 6 | 手取り額 掛け目と諸費用を含めて、口座にいくら入るかを金額で聞きます。 |
建設業に特化した会社もある
建設業専門をうたうサービスがあります。商流を理解している分、出来高や追加工事の説明が通りやすい一方、選択肢は限られます。
特化型と総合型の両方から見積もりを取り、手取り額で比べる形が確実です。
建設業の条件で比べた8社
注文書への対応、買取下限の有無、支払サイトの長い請求書を扱えるか。建設業ではこの3点で差が出ます。
数値は各社の公式サイトに記載があるものだけを載せています。公式に記載がない項目は「要問合せ」としました。他媒体の数値は使っていません。
| 会社 | 注文書 | 買取下限 | 手数料 | 入金スピード |
|---|---|---|---|---|
| けんせつくん | 対応 | 要問合せ | 2%〜 | 審査開始から最短2時間 |
| ウィット | 対応 | 下限なし | 要問合せ | 最短2時間 |
| 日本中小企業金融サポート機構 | 要問合せ | 下限なし | 1.5%〜 | 要問合せ |
| ベストファクター | 要問合せ | 原則30万円以上 | 2%〜 | 最短6時間 |
| アクセルファクター | 要問合せ | 30万円 | 2%〜 | 最短即日 |
| PayToday | 要問合せ | 要問合せ | 1%〜 | 要問合せ |
| ZIST | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | 最短当日 |
| うりかけ堂 | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ |
※ 各社公式サイトの記載にもとづきます。8社とも個人事業主に対応しています。手数料はいずれも下限のみの公表で、上限は記載がありません。買取金額や手数料を公式に出していない会社が多いため、空欄を埋めず「要問合せ」としています。
けんせつくんとウィットは同じ運営です
建設業界専門の「けんせつくん」は株式会社ウィットが運営しています。相見積もりを取るときに、同じ会社へ2回申し込む形にならないよう注意が要ります。
けんせつくん|建設業界専門で、注文書から買い取る
建設業界専門をうたうサービスです。公式サイトでは、発注時の注文書または入金待ちの請求書を買取対象としていること、手数料は2%からであること、審査開始から最短2時間で対応することを明記しています。
個人事業主についても「個人事業主の方や受注時の注文書でもご利用可能です」と記載があります。買取金額の下限と契約方式は公式に記載がないため、問い合わせで確認する項目です。
ウィット|買取金額に下限を設けていない
公式FAQに「金額に下限は設けておりません」と明記しています。注文書の買取にも対応し、申込から最短2時間程度としています。2社間のほか、手数料を抑えたい場合の3社間にも対応します。
小規模な内装工事や解体工事など、1件あたりの金額が小さい現場で候補になります。手数料は公式に記載がありません。
日本中小企業金融サポート機構|下限も上限も設けていない
非営利型の一般社団法人が運営しています。買取金額に制限を設けておらず、1万円から2億円までの買取実績があるとしています。手数料は1.5%からです。
赤字決算や税金の滞納があっても利用できると明記しています。ただし支払いが遅れている売掛金と、売掛先が個人の債権は買取の対象外です。
PayToday|支払サイトが長い請求書に対応する
通常は30日から45日先までのところ、最大90日後の請求書の買取に対応すると公式サイトに記載しています。建設業のように支払いまでが長い取引で意味を持ちます。
掛け目を使わず、請求金額100%から手数料を引いた金額が入金される点と、債権譲渡登記を行っていない点も明記しています。手数料は1%からです。ただし営業は平日の日中のみのため、土日や夕方以降は動きません。
アクセルファクター|買取上限が1億円まである
買取金額は30万円から1億円、手数料は2%からと公表しています。新規申込者の審査通過率を93.3%として公表している数少ない会社です。関東財務局・関東経済産業局の認定経営革新等支援機関でもあります。
請求先が個人の債権と、30万円未満の請求書は買取の対象外としています。大規模な工事で金額が大きい場合の選択肢になります。
よくある質問
元請けに知られずに使えますか
2社間であれば元請けに通知しません。元請けはこれまでどおり自社に支払い、自社がファクタリング会社へ送金します。ただし契約書に債権譲渡の制限がある場合は、解除条項の有無まで確認してから判断する形になります。
工事が終わっていなくても使えますか
出来高の確認が済んで請求書を出せる状態であれば使えます。出来高が認定されていない段階では、注文書買取に対応する会社を探す形になります。
元請けから入金がない分を資金化できますか
できません。支払期日を過ぎた債権は買取の対象外です。回収は建設業法を根拠にした催促と法的手続きで進め、当面の資金は期日前の別の請求書でつくる形になります。
一人親方でも利用できますか
個人事業主に対応している会社であれば利用できます。注文書や請求書、通帳の入出金履歴で取引の実在を示せるかが条件になります。
赤字や税金の滞納があっても使えますか
ファクタリングは元請けの支払い能力を見る取引のため、利用できる場合があります。ただし売掛金がすでに差押えを受けている場合は対象外です。
元請けが施主から入金を受けているのに払ってくれません
建設業法24条の3は、注文者から出来高払または竣工払を受けたときは、1か月以内に下請代金を支払うと定めています。入金の事実を確認できれば、この条文を根拠に支払いを求められます。
まとめ
| なぜ建設業で使われるか | 材料費と外注費が工事中に出て、入金は完工・検査のあとになるためです |
|---|---|
| 支払期日の根拠 | 建設工事の請負は取適法の対象外で、建設業法が適用されます。元請けが入金を受けたら1か月以内、検査は通知から20日以内、特定建設業者は引渡し申出から50日以内です |
| 着工前の資金 | 注文書買取に対応する会社であれば、請求書が出る前でも資金化できます |
| 手形の廃止 | 紙の手形の交換は2027年3月末を目途に廃止されます。割引枠に頼っていた場合は別の枠への切り替えが要ります |
| 特有の注意点 | 公共工事の譲渡制限、材料支給分の相殺、一人親方の扱いです |
| 会社選び | 注文書への対応、出来高請求書の扱い、買取下限、個人事業主への対応を確認し、手取り額で比べます |
建設業の資金繰りは、受注が増えるほど苦しくなる構造を持っています。工事ごとに、いつ現金が出ていつ入るかを並べておくと、どの工事で足りなくなるかが先に見えます。