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支払期日が迫っているのに、ファクタリング会社に渡すお金が手元にない。
督促の電話が鳴るのか、取引先に知られるのか、横領になってしまうのか。
不安ばかりが膨らむ状況だと思います。
ただ、支払いが1日遅れただけですぐ逮捕される、ということはありません。
そして、払えなくなった理由によっては、そもそも払う必要がないこともあります。
何が起きるのか、そして今日から何ができるのか。ひとつずつ見ていきます。
30秒でわかる、あなたの現在地
ファクタリングの代金を払えないと言っても、状況は人によって違います。
自分がどのケースにあたるか知りたい方は、下の4つの質問をご活用ください。
| 順番 | 確認すること | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| 1 | 取引先から入金はありましたか | 3へ | 2へ |
| 2 | 契約書に「償還請求権」「買戻し」「返還義務」の定めがありますか | 契約書の確認へ | 立て替えは原則不要 |
| 3 | 入ってきたお金を、他の支払いに使いましたか | 最優先で対応が必要 | 今日中に送金する |
| 4 | その契約は、一般的なファクタリングの条件を満たしていますか | 今日やることへ | 専門家への相談へ |
2の「償還請求権」は、売掛金を回収できなかったときに、ファクタリング会社が代金を返すよう求められる権利です。
これがついている契約は、買取ではなく貸付とみなされることがあります。
ファクタリング会社に代金を払えなくなる理由
そもそもファクタリングの「支払い」が融資の返済とどう違うのかを、この章で整理します。
ファクタリングは融資ではなく、売った売掛金を回収してそのまま渡す取引です。
だから融資のような猶予や分割ができず、払えないという状態が起きます。
ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売る取引です。
売った時点で、その売掛金はもう自社のものではありません。
2社間ファクタリングでは、取引先は契約を知りません。
だから期日になると、これまでどおり自社の口座に入金されます。
そのお金をファクタリング会社に渡すことを、一般に「返済」と呼んでいます。
2社間ファクタリングでお金が動く順番
| 順番 | 自社 | ファクタリング会社 | 取引先 |
|---|---|---|---|
| 1 | 売掛金を売る | 売掛金を買い取る | 関与しない |
| 2 | 手数料を引いた代金を受け取る | 代金を支払う | 関与しない |
| 3 | 売掛金を受け取る | — | 期日に支払う |
| 4 | 入ってきたお金を渡す | お金を受け取る | 関与しない |
3で入ってくるお金は、すでにファクタリング会社のものです。
自社はそれを預かっているだけで、自由に使えるお金ではありません。
3社間ファクタリングなら渡す義務がない
3社間ファクタリングでは、取引先がファクタリング会社に直接払います。
自社の口座を通らないので、そもそも使い込みようがありません。
取引先にはファクタリングの利用が知られます。
そのかわり、お金を渡す義務そのものがなくなります。
手数料も2社間より安くなる傾向があります。
売掛金がまだ回収できていないだけ。
償還請求権のない契約なら、自腹での立て替えは原則不要。
やることは連絡と回収協力のみ。
預かったお金を渡せていない状態。
契約違反として一括請求や遅延損害金の対象に。
使い道しだいでは罪に問われることも。
緊急度 低取引先が払ってくれない場合
取引先からの入金がないために代金を払えないケースについて、この章で説明します。
結論から言えば、償還請求権のない契約なら、自腹で立て替える必要は原則ありません。
この章では、その理由と、契約書で確認しておきたい点をまとめました。
ふつうのファクタリングは、取引先が払えなくなるリスクごと売掛金を買い取る契約です。
これをノンリコース、日本語で償還請求権なしといいます。
取引先が倒産しても資金不足でも、そのリスクを負うのは買い取った側です。
契約書の確認が最優先
契約書に償還請求権や買戻し特約が入っていると、話が変わります。
回収できなかったときに自社へ請求できる契約は、実質的に貸付と同じだと見られることがあります。
金融庁は、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行う業者の存在が確認されているとして、注意を呼びかけています。
また、経済的に貸付けと同様の機能を有すると思われる取引は、貸金業に該当するおそれがあるとしています。
参考:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
貸金業の登録がないのに償還請求権つきで契約している業者は、貸金業法に違反している可能性があります。
契約書にこの言葉がある場合は、払う前に弁護士へ相談するのが安全です。
まずファクタリング会社へ連絡し、回収に協力する
| 1 | 取引先に連絡し、いつ入金されるのかを日付まで確認します。 |
|---|---|
| 2 | その内容をファクタリング会社に伝えます。期日を過ぎてからではなく、遅れそうだとわかった時点で連絡するのがポイントです。 |
| 3 | 取引先とのやり取りを残しておきます。メールや発注書が、入金がなかった証拠になります。 |
| 4 | 契約書に償還請求権があるか確認します。書いてあれば弁護士に相談します。 |
入金がないだけの場合でも、連絡を絶つと状況は悪くなります。
払う気がないと思われ、法的な手続きに進みやすくなるからです。
緊急度 高入金されたお金を渡せない場合
入金されたお金を使ってしまい、ファクタリング会社に渡せなくなったケースについて、この章で説明します。
これは単なる支払いの遅れではなく、契約違反として扱われます。
この章では、その場合にいくら請求されるのかと、何が起きるのかをまとめました。
2社間ファクタリングの契約書には、入金されたらすぐ渡すという義務が書かれています。
預かっているお金なので、自社が自由に使えるお金ではありません。
元本に遅延損害金と違約金が上乗せされる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 未払いの元本 | 渡すはずだった売掛金の全額 |
| 遅延損害金 | 契約書に書かれた利率で計算されます。年14.6%前後の契約が多く、20%前後の例もあります |
| 違約金 | 契約書に書かれていれば、そのとおり請求されます |
| 回収にかかった費用 | 債権譲渡登記の費用や、裁判の費用を請求されることがあります |
契約書を開くと、遅延損害金が年何%と書かれているかがわかります。
いくら増えるのかわからないまま日が過ぎるのが、いちばんまずい状態です。
支払いが滞ると、ファクタリング会社が取引先に債権譲渡通知を送ることがあります。
これが届くと取引先に資金繰りの悪化が伝わり、2社間を選んだ意味がなくなります。
通知が出る前に動けるかどうかで結果が変わります。
ファクタリングの代金を払えないと横領になるのか
支払いが遅れただけなら、すぐに横領になるわけではありません。
横領や詐欺が問題になるのは、入金されたお金を他に使った場合や、最初から渡す気がなかった場合です。
この章では、どのケースでどんな罪に問われる可能性があるのかを整理します。
罪になるかは「お金の使い道」と「最初の意図」で決まる
| ケース | どんな状況か | 問われる可能性のある責任 |
|---|---|---|
| 契約違反にとどまる | 取引先から入金がないなど、自社に落ち度がない理由での遅れ | お金の問題として扱われます。すぐ罪に問われるものではありません |
| 単純横領 | 初めての利用で、入ってきたお金をたまたま他の支払いに使った | 刑法252条。5年以下の拘禁刑 |
| 業務上横領 | 繰り返し利用していて、仕事として預かったお金を使った | 刑法253条。10年以下の拘禁刑 |
| 詐欺 | 架空の請求書、同じ売掛金を二重に売る、最初から渡す気がない契約 | 刑法246条。10年以下の拘禁刑 |
| 罪 | 法定刑 | 重さの目安 |
|---|---|---|
| 単純横領 | 5年以下 | 5年 |
| 業務上横領 | 10年以下 | 10年 |
| 詐欺 | 10年以下 | 10年 |
2025年6月1日から、懲役と禁錮はまとめて「拘禁刑」に変わりました。それより前の行為には、これまでどおり懲役が適用されます。古い記事では今も懲役と書かれていることがあり、いつの時点の情報かで内容が変わってきます。
連絡を絶たず事実を隠さなければ事件になりにくい
実際には、支払いが遅れただけで警察が動くことはほとんどありません。
分かれ目は、お金を何に使ったかと、その後どう対応したかです。
| 刑事事件に発展しにくい | 刑事事件に発展しやすい |
|---|---|
| 遅れる前に連絡している | 連絡を絶ち、所在がわからない |
| 入金がないことを資料で示せる | 入金があったことを隠している |
| いつ払えるかを伝えている | 同じ売掛金を他社にも売っている |
| 回収に協力している | 最初から渡す気がなかったと判断される |
右の列にあてはまるほど、悪質だと見られます。
裏を返せば、連絡を続けて事実を隠さないことが、いちばんの守りになります。
期日を過ぎた後に起きること
支払いが止まってから差押えに至るまでの流れを、時系列でまとめました。
今どの段階にいるかがわかれば、まだ打てる手が見えてきます。
| 時期 | 起きること | この時点でできること |
|---|---|---|
| 期日当日 | 入金があったかどうかを確認されます。 | 間に合いそうにないなら、その日のうちに連絡します。 |
| 期日の翌日から | 電話やメールで催促が始まります。遅延損害金も、ここから増えていきます。 | いつ、いくら払えるのかを具体的に伝えます。 |
| 連絡がつかないままだと | 取引先への確認や、債権譲渡通知の送付が行われます。 | ここで取引先に知られます。通知が届く前に連絡できるかが分かれ目です。 |
| その後 | 契約を解除され、残りの一括請求と損害賠償の請求に進みます。 | 弁護士に相談したほうがよい段階です。 |
| 要注意法的手続き | 支払督促を出されるか、裁判を起こされます。 | 支払督促は、届いてから2週間以内に異議を出さないと確定します。裁判所からの封筒は開けずに放置するのがいちばん危険です。 |
| 判決・仮執行宣言の後 | 預金や他の売掛金、不動産が差し押さえられます。 | 社長が連帯保証人になっていれば、個人の財産も対象になります。 |
裁判所から来た書類を放っておくと、反論する機会そのものがなくなります。
支払督促に異議を出せば通常の裁判に移り、こちらの事情を説明できます。
信用情報はどうなるのか
この章では、支払いが遅れると信用情報や今後の融資にどう影響するのかを説明します。
CIC・JICC・KSCといった信用情報機関に事故情報が載ることは基本的にありませんが、銀行にまったく知られないわけでもありません。
これらの機関に加盟しているのは、貸金業者や銀行です。
ファクタリング会社は貸金業者ではないので、そもそも加盟していません。
住宅ローンや自動車ローンの審査に直接ひびくものではない、ということです。
債権譲渡登記から銀行に伝わることはある
| どこから伝わるか | 内容 |
|---|---|
| 債権譲渡登記 | 登記された内容は誰でも取れます。銀行が融資の審査で確認することがあります |
| 取引先から伝わる | 債権譲渡通知が届けば、取引先に資金繰りの状況が伝わります |
| 業者どうしの情報共有 | 契約違反などの情報を共有する仕組みを掲げる機関があります。今の運営状況や加盟している会社の範囲は、利用前に確かめておくと安心です |
信用情報に載らないことと、銀行に知られないことは別の話です。
とくに債権譲渡登記は誰でも見られるので、次の融資の話に響くことがあります。
緊急度 高今日やること
今日から打てる手を、期日前・当日・期日後の3つの場面に分けてまとめました。
どの場面でも最も効果的なのは、連絡を絶たないことです。
期日前
| 1 | 契約書で支払期日、振込先、遅延損害金の利率を確認します。 |
|---|---|
| 2 | 取引先に入金予定日を確認します。ずれるなら、いつになるか日付まで聞いておきます。 |
| 3 | いくら足りないのかを計算します。全額なのか一部なのかで、打つ手が変わります。 |
| 4 | ファクタリング会社に見通しを伝えます。期日を過ぎてから連絡するのとでは、受け取られ方がまるで違ってきます。 |
期日当日
| 1 | 取引先から入金があったか確認します。 |
|---|---|
| 2 | 入ってきたお金は、他のお金と分けておきます。混ざると使ってしまいます。 |
| 3 | 銀行の当日扱いの締切までに振り込みます。多くの銀行で15時前後が目安です。 |
| 4 | 間に合わないとわかった時点で連絡します。終わってからの事後報告では遅すぎます。 |
期日を過ぎた後
| 1 | 連絡を絶ちません。電話に出られない時間があるなら、メールでそう伝えておきます。 |
|---|---|
| 2 | 催促の内容と日時を記録に残します。あとで話を整理するときの材料になります。 |
| 3 | 契約書を読み直し、どうなったら一括請求や契約解除になるのかを確かめます。 |
| 4 | 自分では払えそうにないなら、早めに弁護士に相談します。 |
やってはいけない3つのこと
追い詰められると、つい選んでしまいがちな手が3つあります。
どれもその場しのぎにしかならず、かえって状況を悪くするものです。
払えないこと自体より、連絡がつかないことのほうが重く見られます。
悪質だと判断され、取引先への通知や法的な手続きに進む理由になります。
今日払える金額がゼロでも、状況を伝えるだけで扱いは変わります。
穴を埋めようとして、もう売った請求書を別の会社にも持ち込むケースです。
二重譲渡は詐欺罪になる可能性があり、業者どうしで情報が共有されることもあります。
一度やれば信用を失い、次の資金調達の道も自分で閉ざします。
ファクタリングは売掛金の買取なので、分割払いという仕組みがそもそもありません。
分割を認めるのは、実質的に貸付です。
貸金業の登録がないのに分割に応じる業者は、それ自体が危ない証拠です。
ただし、弁護士が間に入り、和解として分割で合意するのは別の話です。
この場合は、きちんと合意書を交わしたうえで進めます。
払えないときの相談先
お金が足りないとき、相手によって、待ってもらえる制度があるかどうかは違います。
この章では、ファクタリング会社・税務署・銀行・取引先・弁護士に、それぞれ何を相談できるのかをまとめました。
| 相談先 | まずすること | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| ファクタリング会社 | 契約の内容と、今の支払状況を伝えます。 | 期日が厳しく、待ってもらう制度がありません。連絡だけは先に入れておきたいところです。 |
| 税務署・年金事務所 | 納付の相談や、分割で納める協議を申し出ます。 | 滞納を放っておくと売掛金を差し押さえられ、渡したくても渡せなくなります。 |
| 銀行・日本政策金融公庫 | 返済条件を変えてもらえないか相談します。 | 元本の返済を止めたり期間を延ばしたりして、毎月の負担を減らせることがあります。 |
| 取引先 | 支払期日を延ばせないか相談します。 | 相手との関係にもよりますが、交渉できる余地があるのはここです。 |
| 弁護士 | 契約の内容や、催促・裁判のリスクを確認します。 | 弁護士が受任通知を送れば、原則として直接の取り立ては止まります。 |
税金を滞納しているなら納付相談が最優先
税金を滞納していると、税務署が取引先に差押えの通知を送ることがあります。
こうなると売掛金ごと押さえられ、ファクタリング会社に払いたくても払えません。
売掛金の譲渡と差押えのどちらが優先するかは、手続きを済ませた順番で決まります。
どちらにしても現場は混乱するので、滞納があるなら納付の相談を先に済ませておくのが安全です。
契約書のどこを確認するか
払えなくなったときの扱いは、契約書のどこに何が書いてあるかで変わります。
この章では、契約書のうち確認しておきたい7つの条項をまとめました。
| 確認 | 条項 | 見るところ |
|---|---|---|
| □ | 償還請求権・買戻し特約 | 回収できなかったときに自社へ請求できる定めがあるか。あれば貸付とみなされることがあります |
| □ | 回収委託・引渡義務 | 入ってきたお金をいつまでに渡す義務があるか。払う義務の根拠になる条項です |
| □ | 期限の利益喪失 | 何をすると一括請求になるか。連絡がつかないことが条件に入っている契約もあります |
| □ | 遅延損害金の利率 | 年何%と書かれているか。年14.6%前後の契約が多く見られます |
| □ | 債権譲渡登記 | 登記を見送っているか、すでに済んでいるか。銀行の融資審査に影響します |
| □ | 契約解除 | 解除されたとき、何をいくら返すことになるか |
| □ | 担保・連帯保証 | 社長個人の保証が入っていないか。入っていれば個人の財産も対象になります |
こうした条項が見当たらない、契約書の控えをもらっていない。
これも危ない兆候です。
手元にない場合は、ファクタリング会社に控えをもらうところから始まります。
当てはまるほど違法な貸付の疑いが強まる
次の項目に多くあてはまるなら、その取引は売買ではなく、実質的な貸付かもしれません。
| 確認 | あてはまる項目 | なぜ問題か |
|---|---|---|
| □ | 償還請求権がついている | 回収できないリスクを自社が負う形になり、売買とは言いにくくなります |
| □ | 分割払いを認められた | 代金の受け渡しではなく、借金の返済に近くなります |
| □ | 担保や保証人を求められた | 売掛金の売買なら、本来いらないものです |
| □ | 手数料の水準が著しく高い | この後の年率換算の表で確かめられます |
| □ | 契約書の控えをもらえない | あとから条件を確かめられない時点で危険です |
あてはまる項目が多いほど、払う義務の中身を争える可能性が出てきます。
自分だけで結論を出さず、契約書を持って弁護士に相談するのが安全です。
手数料が高いと、翌月も同じことが起きる
そもそも払えなくなる原因のひとつが、手数料の高さです。
この章では、手数料がどれだけの負担になっているのかを、年率換算と累計額で見ていきます。
ファクタリングは、翌月入るはずのお金を先に受け取るだけです。
翌月になれば、その分の入金はもうありません。
売上が増えるわけでも経費が減るわけでもないので、資金繰りそのものは変わりません。
年率に換算すると手数料の重さがはっきりする
この表は、ファクタリングが貸付だという意味ではありません。
手数料の重さを、融資などと比べやすくするために単純に割り戻しただけです。
| 手数料 | 支払サイト30日 | 60日 | 90日 |
|---|---|---|---|
| 2% | 約24% | 約12% | 約8% |
| 5% | 約61% | 約30% | 約20% |
| 10% | 約122% | 約61% | 約41% |
| 15% | 約183% | 約91% | 約61% |
| 20% | 約243% | 約122% | 約81% |
利息制限法の上限は、元本の額に応じて年15%から20%です。
ファクタリングは売買なので、この規制は直接あてはまりません。
それでも、もし貸付と判断されたらどう見えるかは、知っておいて損はありません。
同じ会社でも条件しだいで手数料は2〜10%に開く
株式会社アレシア(ベストファクター)が公開している取引事例6件を、手数料の低い順に並べます。
同じ会社でも、条件によってここまで差が出ます。
| 業種・債権額 | 調達方法 | 手数料 | 負担の大きさ |
|---|---|---|---|
| システム開発 900万円 | 3社間 | 2% | |
| 歯科医院 400万円 | 3社間 | 4% | |
| 運送業 2,500万円 | 3社間・2社間の併用 | 5% | |
| 製造業 500万円 | 2社間 | 6% | |
| 塗装業 60万円 | 3社間 | 7% | |
| WEB制作 100万円 | 2社間 | 10% |
出所:株式会社アレシア(ベストファクター)が公開している利用事例。2026年8月時点で確認。
3社間の3件は2%から7%、2社間の2件は6%から10%でした。
ただし手数料は、売掛金の中身や取引先の信用力、支払サイトで変わります。
たった6件で、方式ごとの相場を決めつけることはできません。
もうひとつ、金額が小さい案件ほど手数料が高い傾向も見えます。
60万円で7%、100万円で10%です。
少額を何度も繰り返すと、負担が重くなりやすいということです。
繰り返すほど手数料で資金が目減りする
株式会社アレシア(ベストファクター)が公表している2026年5月の実績では、1件あたりの平均買取額は290万円でした。
この金額をもとに、手数料の違いで負担がどれだけ変わるか並べます。
| 手数料 | 1回あたり | 累計(12回利用) | 負担の大きさ |
|---|---|---|---|
| 2% | 5.8万円 | 69.6万円 | |
| 5% | 14.5万円 | 174万円 | |
| 10% | 29万円 | 348万円 | |
| 20% | 58万円 | 696万円 |
※債権額290万円を月1回、12か月利用した場合の単純計算です。実際の手数料は債権の内容や取引先の信用力によって変わります。
手数料20%で1年続けると、2%の場合と626万円も差がつきます。
この差が、翌月ファクタリング会社に渡すお金を削っていきます。
手数料の負担を計算する
この章では、手数料の負担を自分の数字で計算できます。
売掛金の額と手数料、支払サイトを入れると、手元にいくら残るか、年間でいくら払うことになるかがわかります。
ファクタリングから抜け出す手順
毎月ファクタリングを使い続ける状態から抜け出すには、順番があります。
いきなりやめると資金が回らなくなるため、5つのステップで少しずつ切り替えていく方法をまとめました。
| STEP1 | いまの手数料を確かめます。年率に直すと、負担の重さが見えてきます。 |
|---|---|
| STEP2 | 手数料の安い会社に切り替えます。同じ金額を売っても、手元に残る額が変わります。 |
| STEP3 | 取引先の承諾が取れる案件は3社間に切り替えます。お金を渡す義務そのものがなくなります。 |
| STEP4 | 材料費や外注費の先払いが原因なら、注文書の段階で現金化する方法を考えます。 |
| STEP5 | 並行して銀行や公庫の融資に切り替えます。長く借りられるお金に置き換えるのがゴールです。 |
STEP4の注文書買取は、建設業や製造業のように受注から入金まで長い業種で特に役立ちます。材料費や外注費の支払いが先に来る、という構造そのものを崩せるからです。
| 受注注文書が届く | ▶ | 材料費・外注費先に支払い | ▶ | 人件費先に支払い | ▶ | 納品・入金ここでやっと回収 |
通常のファクタリングは納品後の請求書が対象のため、先に来る支払いには間に合いません。注文書ファクタリングなら、受注の段階で資金化できます。
売上が落ちているのに、赤字を埋めるために毎月使うのは勧められません。
手数料の分だけ確実にお金が減り、余計に抜け出せなくなります。
その場合は、銀行への返済条件の見直しや経費の削減から手をつけるほうが先です。
払えなくならないための会社の選び方
どのファクタリング会社を選ぶかで、あとで払えなくなるリスクは変わります。
この章では、会社を選ぶときに見ておきたい5つの基準を説明します。
| 見るところ | なぜ大事か |
|---|---|
| 3社間に対応しているか | 取引先が直接払うので、お金を預かる場面がなくなります |
| 手数料の上限を公表しているか | 下限だけの表示では、実際にいくら引かれるか事前にわかりません |
| 資金繰りの相談ができるか | お金を用意するだけで終わると、翌月も同じことが起きます |
| 注文書に対応しているか | 材料費や外注費の先払いという、よくある原因に手を打てます |
| 少額やオンラインに対応しているか | 必要な額に届かない、中途半端な調達を避けられます |
とくに2つ目は見落としがちです。
「2%〜」とだけ書かれている場合は、上限が何%なのかを申し込む前に確認しておきたいところです。
条件別ファクタリング会社10社の比較
前の章で挙げた5つの基準で、ファクタリング会社10社を一覧にしました。
公表されていない項目は「要問合せ」と記載しています。
| 会社名 | 手数料 | 入金までの速さ | 3社間 | 注文書 | 買取可能額 | 契約方式 | 資金繰りの相談 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ベストファクター | 2%〜(上限は要問合せ) | 最短即日 | ○ | ◎ | 要問合せ | 対面・オンライン | ○ |
| ビートレーディング | 2%〜(上限は要問合せ) | 最短50分 | ○ | △ | 下限・上限なし | 対面・オンライン | ○ |
| PMG | 2%〜(上限は要問合せ) | 最短2時間 | ○ | ◎ | 〜2億円 | 対面・オンライン | ○ |
| 日本中小企業金融サポート機構 | 2%〜10%程度 | 最短40分 | ○ | △ | 下限・上限なし | 対面・オンライン | ○ |
| アクセルファクター | 2社間1%〜12% 3社間0.5%〜10.5% |
最短2時間 | ○ | △ | 下限・上限なし | 対面・オンライン | ○ |
| トップマネジメント | 2社間3.5%〜12.5% 3社間0.5%〜3.5% 注文書3.5%〜12.5% |
最短即日 | ○ | ◎ | 下限・上限なし | 対面・オンライン | ○ |
| PAYTODAY | 1%〜9.5% | 最短30分 | △ | △ | 10万円〜上限なし | オンライン | △ |
| ラボル | 一律10% | 最短30分 | ✕ | ✕ | 1万円〜(上限は非公表) | オンライン | ✕ |
| ペイトナー | 一律10% | 最短10分 | ✕ | ✕ | 1万円〜300万円 (初回30万円まで) |
オンライン | ✕ |
| 株式会社No.1 | 0.5%〜15% | 最短30分 | ○ | △ | 要問合せ | 対面・オンライン | △ |
※表は横にスクロールできます。
凡例|注文書:◎=受注段階での買取に対応、△=限定的または要問合せ、✕=請求書のみ。3社間:○=対応、△=要問合せ、✕=非対応。
掲載内容は各社の公表情報にもとづくもので、実際の条件は審査により決まります。申込前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。
下の3社は少額とオンライン完結に強く、必要な額が小さいときの選択肢になります。
ただし3社間や資金繰りの相談には対応していません。
抜け出す道筋まで考えるなら、上の会社のほうが向いています。
3社間に対応し、資金繰りの相談までできる会社
ベストファクター
株式会社アレシアが運営するファクタリングサービスです。
買い取って終わりではなく、資金繰りの状況を見たうえで調達方法を提案しています。
| 運営会社 | 株式会社アレシア |
|---|---|
| 取扱サービス | 2社間ファクタリング、3社間ファクタリング、注文書買取(グループ連携) |
| 手数料 | 2%〜(上限は要問合せ)/初期費用0円 |
| 入金までの速さ | 最短即日 |
| 契約方式 | 対面・オンライン。全国へ出張対応 |
| 対象 | 法人・個人事業主 |
| 公表されている実績 | 平均買取率91.9%/即日振込実行率47.8%/平均買取額290万円(2026年5月) |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 手数料の下限が2%と低い | 手数料の上限が公表されていない |
| 注文書の段階でも相談できる | オンライン完結型より手続きに時間がかかる場合がある |
| 資金繰りの相談まで対応している | 買取可能額の下限・上限が公表されていない |
公表されている平均買取率は91.9%です。
裏を返せば、およそ1割は買い取ってもらえていません。
通る前提で資金繰りを組むと、落ちたときに手が打てなくなります。
ビートレーディング
株式会社ビートレーディングが運営する、取引実績の多い会社です。
累計の取引社数は9.1万社以上、買取金額は1,824億円と公表されています。
| 取扱サービス | 2社間、3社間、診療報酬・介護報酬債権など |
|---|---|
| 手数料 | 2%〜(上限は要問合せ) |
| 入金までの速さ | 最短50分(オンラインで300万円以下の場合) |
| 買取可能額 | 下限・上限なし |
| 契約方式 | 対面・オンライン。契約はクラウドサインを使用 |
| 実績 | 累計取引社数9.1万社以上、累計買取金額1,824億円(2026年3月時点の公表値) |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 取引実績が多く、初めてでも相談しやすい | 手数料の上限が公表されていない |
| 買取額の下限・上限がなく幅広く対応 | 介護報酬債権は入金まで数日かかる |
| 拠点で財務の相談も受けられる | 最短50分は条件つき |
PMG
株式会社PMGが運営する、ファクタリングと経営支援の両方をやっている会社です。
決算書の無料診断や銀行格付け、補助金の紹介まで相談できます。
| 取扱サービス | 2社間、3社間、注文書ファクタリング |
|---|---|
| 手数料 | 2%〜(上限は要問合せ) |
| 入金までの速さ | 最短2時間 |
| 買取可能額 | 〜2億円 |
| 拠点 | 東京・札幌・仙台・千葉・さいたま・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡 |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 全国10か所に拠点があり対面で相談できる | 手数料の上限が公表されていない |
| 経営全般の相談メニューが多い | オンライン専業と比べると手続きに時間がかかる |
| 2億円までの大口に対応 | 少額の利用には向かない場合がある |
国が認定する支援機関の会社
日本中小企業金融サポート機構
ファクタリングと経営支援を行う一般社団法人です。
国が中小企業支援の専門家として認めた、認定経営革新等支援機関にあたります。
| 取扱サービス | 2社間、3社間 |
|---|---|
| 手数料 | 2%〜10%程度 |
| 入金までの速さ | 最短40分(オンライン型のFACTORUは審査最短10分) |
| 買取可能額 | 下限・上限なし |
| 契約方式 | 対面・オンライン |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 手数料の上限の目安が示されている | 法人向けの大口案件は個別対応になる |
| 非営利法人のため手数料を抑えやすい | 拠点数が限られる |
| 補助金申請や事業計画の相談もできる | オンライン型は相談の幅が狭まる |
アクセルファクター
株式会社アクセルファクターが運営する会社で、こちらも認定経営革新等支援機関です。
手数料の上限を公表しているので、コストの見当をつけやすくなっています。
| 取扱サービス | 2社間、3社間 |
|---|---|
| 手数料 | 2社間1%〜12%/3社間0.5%〜10.5% |
| 入金までの速さ | 最短2時間 |
| 買取可能額 | 下限・上限なし |
| 契約方式 | 対面・オンライン |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 上限12%と公表しており予測が立てやすい | 注文書の取扱は要問合せ |
| 3社間なら上限10.5%まで下がる | 最短2時間は書類が揃っている場合の目安 |
| 国の認定を受けた法人で相談しやすい | 対面契約は拠点の場所に左右される |
手数料の上限を明示している会社
PAYTODAY
Dual Life Partners株式会社が運営する、オンラインで完結するサービスです。
手数料の上限を9.5%と公表しており、掛け目も使わないとしています。
| 取扱サービス | 2社間ファクタリング |
|---|---|
| 手数料 | 1%〜9.5% |
| 入金までの速さ | 最短30分(審査は最短15分) |
| 買取可能額 | 10万円〜上限なし |
| 買い取れる支払サイト | 最大90日後の請求書まで |
| 契約方式 | オンライン(対面希望は出張費と事務手数料が別途) |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 上限9.5%で、想定外の手数料になりにくい | 3社間の取扱は要問合せ |
| 支払サイトが長い請求書にも対応 | 対面を希望すると別途費用がかかる |
| 掛け目がなく請求額の全額が対象 | 決算書などの必要書類がやや多い |
先出し費用に対応できる会社
トップマネジメント
株式会社トップマネジメントが運営する、扱う商品の多い会社です。
注文書ファクタリングのほか、入金口座を管理できる形にすると手数料が下がる商品もあります。
| 取扱サービス | 2社間、3社間、注文書ファクタリング、ゼロファク、電ふぁく |
|---|---|
| 手数料 | 2社間3.5%〜12.5%/3社間0.5%〜3.5%/注文書3.5%〜12.5%/電ふぁく1.8%〜8.0% |
| 入金までの速さ | 最短即日 |
| 買取可能額 | 下限・上限なし |
| 契約方式 | 対面・オンライン |
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 受注段階で資金化する選択肢がある | 商品が多く、条件の理解に時間がかかる |
| 3社間なら上限3.5%と低い | 2社間の上限は12.5%と幅がある |
| 補助金申請と組み合わせた商品もある | 商品によって必要書類が変わる |
よくある質問
取引先が倒産して回収できません。自腹で払わないといけませんか。
償還請求権のない契約なら、原則として立て替える必要はありません。ただし契約書に償還請求権や買戻し特約があると扱いが変わります。まず契約書を確認し、書いてあれば弁護士に相談するのが安全です。
分割払いにしてもらえませんか。
ファクタリングは売掛金の売買なので、分割払いという仕組みがありません。分割を認めると、実質的な貸付になってしまうからです。ただし弁護士が間に入り、和解として分割で合意するケースはあります。
支払いが遅れると信用情報に傷がつきますか。
CIC・JICC・KSCといった信用情報機関に載ることは基本的にありません。ファクタリング会社は貸金業者ではなく、そもそも加盟していないからです。ただし債権譲渡登記は誰でも取れるので、銀行の融資審査で見られることはあります。
遅延損害金はいくらになりますか。
契約書に書かれた利率で計算されます。年14.6%前後の契約が多く、20%前後の例もあります。まずは契約書のその部分を確認するとわかります。
支払いを待ってもらうことはできますか。
貸付ではないので、返済期間を延ばすという考え方がありません。取引先から入金がない場合に相談へ応じるかは、会社によって違います。契約する前に、トラブルが起きたときの対応を聞いておくと安心です。
裁判所から支払督促が届きました。放置するとどうなりますか。
届いてから2週間以内に異議を出さないと確定し、差押えができる状態になります。異議を出せば通常の裁判に移り、こちらの事情を説明できます。届いた書類を開けずに放置するのがいちばん危険です。
他社のファクタリングに乗り換えることはできますか。
別の売掛金であれば、他社に申し込めます。ただし、すでに売った売掛金を別の会社にも売る二重譲渡は、詐欺罪になる可能性があります。乗り換えるときに気をつけたいのは、同じ売掛金が重なっていないかという点です。
社長個人の財産も差し押さえられますか。
社長が連帯保証人になっている場合や、個人としての責任を問われる場合は対象になります。契約書に担保や連帯保証の定めがないかが確認のポイントです。
まとめ
ファクタリング会社へ代金を払えないときは、まず自分がどちらのケースなのかで対応が変わります。
取引先から入金がないだけなら、償還請求権のない契約で自腹の立て替えは原則いりません。
入ってきたお金を使ってしまった場合は、契約違反では済まず、罪に問われることもあります。
どちらの場合も、最も効果があるのは連絡を絶たないことです。
今日払える金額がゼロでも、状況を伝えるだけで扱いは変わります。
同じことを繰り返さないためには、手数料の見直しが欠かせません。
手数料20%で1年使い続けると、2%の場合と626万円も差がつきます。
まずは3社間への切り替えや、手数料の安い会社への乗り換えから動けます。
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