債権の種類とファクタリング会社が買い取ることのできる債権について解説します。
こんにちは、ベストファクターの四ツ柳と申します。
債権(さいけん)とは、相手方に一定の行為を請求する法的権利のことを指します。
債権と一口に言ってもさまざまな種類があり、分類法や債権の目的、発生要因などによって多数に分かれます。掛取引やファクタリングの際は、これらの債権について詳しく知っておくことが重要です。
今回は債権の種類とファクタリングにおける債権の取り扱いについて解説していきます。
ファクタリングと債権の種類
一般的に用いられる用語とファクタリングで扱う債権は異なります。債権と一口に言っても、確定するまでのプロセスや債権者と債務者の関係などから次のように分類されます。
確定債権
確定債権とは、納入企業が売掛先に製品を納品したり、サービスを提供したりして検収が完了し、請求書およびその額について発注者が既に合意している債権を指します。
つまり、売掛先からの入金や期日が確定している売掛債権が確定債権です。
納品やサービスの提供が完了して入金予定日が決まっていても、検収で返品や改修を求められたり、支払いが延期(中止)されたりする可能性のある債権は確定債権とはなりません。
仕掛債権
仕掛(しかかり)とは、仕事を受注して着手はしているものの、商品やサービスを納品および提供していない途中の状態を指します。
要するに「作りかけ」「まだ販売できない状態」のことで、たとえば原材料の加工の途中にあり、まだ販売できる状態になっていないモノは「仕掛品」と呼ばれます。
仕掛債権とは、見積りまたは請求書およびその額について発注者が合意したものの、施工納品やサービスの提供を終了していないために額面が確定していない債権のことです。
給与債権
勤務先の会社と雇用契約を結んだ正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト等が、労働を提供したのちその対価を受けるまでに発生する債権を指します。
つまり、給料日に入金が約束されているが、まだ受け取っていない給与を債権と捉えたものが給与債権です。
一般的には税金や年金の滞納、裁判で支払いが命じられた慰謝料等の支払い拒否があった場合、給料を差し押さえて強制的に回収するときに「給与債権」という言葉を使うことがあります。
将来債権
将来債権とは、継続的な取引または契約において将来も定期的に発生する債権で、まだその発生および請求日が到来していないものを指します。
将来取得する債権にも何らかの事情で支払いがストップするケースもありますが、大手企業や国の機関などから支払われる毎月の売掛債権のように、ほぼ確実に予測しうるものもあります。
不良債権
発注先に対して施工納品、サービスの提供を終了したものの、請求日を超過しても支払いが行われていない債権を指します。
売掛債権が不良債権になるケースでは、発注先の企業等がすでに経営が破綻しているか、業績不振によって経営が破綻するリスクがある場合がほとんどです。
原則ファクタリングできるのは確定債権
上記4種類の債権のうち、原則ファクタリングで譲渡できるのは確定債権だけです。
日本ファクタリング業協会は、「売掛債権買取は、売掛債権が発生した直後からできるわけではなく、検収が終了して売掛債権の額面が確定した後になされる」としています。
つまり、ファクタリング会社に譲渡する売掛債権は、検収が完了し、支払日と額面が確定している債権である必要があります。
多くのファクタリング会社は支払いが確定していない売掛債権の支払い不能リスクを許容しないため、買取対象を「検収完了後の確定債権」であることを明記しています。
もし「支払が確定していない未確定債権でも買い取る」というファクタリング会社があれば、利用者に不利益を与える悪質な業者である可能性があります。
ただし、後述する2020年4月1日からの改正民法施行がきっかけとなり、「確定債権のみを買い取る」としている大半のファクタリング会社でも新しい動きが出てくることが予想されます。
改正民法で将来債権もファクタリングの対象に?
2020年4月1日施行の改正民法で将来債権の譲渡が明文化されることにより、一部のファクタリング会社が確定債権と同じく将来債権の買い取りに対応する動きが出ています。
第466条の6
1.債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
2.債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
参考:民法の一部を改正する法律
将来債権ファクタリングが実施されれば、現在発生している売掛債権に加え、将来発生することが見込まれる売掛債権も買取対象となります。
たとえば、今後3ヶ月にわたって売掛先より毎月300万円の売掛債権の発生が見込まれる場合、1ヶ月後の発生済み債権から100万円、2ヶ月後の将来債権から100万円、3ヶ月後の将来債権からも100万円の合計300万円を買い取ることができます。
買取上限額は既に発生している売掛金の額となるため、上記の例では発生済み債権の300万円が買取上限額となります。
将来債権ファクタリングについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。
給与債権を買い取るファクタリング業者もある
通常のファクタリングでは売掛債権を保有する法人または個人事業主が対象で、調達した資金も事業用使途に限られるため、会社員等の個人は利用の対象外です。
しかし昨今、個人の給与債権を買い取る「個人向け給料ファクタリング」と称したサービスを提供するファクタリング業者が登場しています。
買取対象が給与債権である以外は通常の2社間ファクタリング、3社間ファクタリングと同じ取引内容で、1か月分の給与にあたる20万円~50万円の小口対応を基本としているようです。
個人向けファクタリングの手数料が通常のファクタリングと同等とみるならば、20万円〜50万円の小口利用の手数料は15%〜20%が相場と考えられます。
たとえば30万円の給与債権を手数料15%で買い取ってもらった場合、30万円ー4万5,000円=25万5,000円を給料日前に受け取ることができます。
これを金利に当てはめると、出資法で定められている上限金利18%(年利)を遥かに超える高金利となり、個人向けローン以上にコストの高い資金調達方法となります。
「信用情報ブラックでも利用できる」「ヤミ金から借りるよりもリスクは低い」といった考え方もあるかもしれませんが、給与債権ファクタリングは個人が利用するにはあまりにも破綻リスクの高い資金調達方法と断言できます。
債権買取のご相談はベストファクターまで
債権の種類とファクタリングで活用できる債権について解説しました。
現在ベストファクターでは確定債権のみを扱っており、将来債権や給与債権は対象外となっております。
「この債権は買い取ってもらえるのか?」など、ファクタリングの利用前に買取可否や手数料に関してお知りになりたい場合は、ぜひベストファクターまでご相談ください。
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