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個人や法人、規模にかかわらず、事業を継続する上で資金繰りを把握・管理することは重要です。
売上が減少しているときはもちろん、売上が急増しているときでも、注意深く事業の資金繰りを追っていかないと、気づいたときには倒産の一歩手前という状況に陥ってしまいます。
今回は、自営業者の方の資金繰りについて、悪化の原因や改善のポイント、おすすめの資金調達方法について解説します。
記事の目次
資金繰りとは?
資金繰りとは、事業資金が不足しないように、収入と支出をコントロールしてやり繰りすることです。ここで言う「資金」とは、現金、預金、有価証券など、すぐに支払いに利用できるものを指します。
資金が事業(会社)にとっての血液や空気にたとえられるように、資金の流れが止まってしまうと事業を継続することができなくなり、ついには倒産を招くことになります。
つまり、赤字が続いても手元に資金があれば事業を存続できますが、黒字であっても資金が底を尽きた場合は倒産してしまいます。
資金繰りは資金繰り表を作成することで「見える化」ができます。
資金繰り表で資金の流れを把握すれば、近い将来に起こりうる資金不足を予測、早めに資金を調達したり、経費を削減したりして対策を講じることができます。
余裕を持った資金計画を立てることは、事業規模や会社か自営業かに関わりなく、堅実な経営につながります。
自営業者の資金繰りが悪化する要因
自営業者の資金繰りが悪化する主な要因として、以下の3つが挙げられます。
売上が大きく減少する
自営業者の資金繰りが悪化する主な要因の1つが、売上が大きく減少することです。
たとえば、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で平常時よりも売り上げが上がっていない状態でも、仕入れ費や固定費、借入金の返済などの支払いは発生します。
入ってくる資金よりも出ていく資金が多ければ、当然ながら事業は赤字に傾きます。赤字の状態が続くと、事業を継続するための資金が不足していき、結果的に倒産となってしまいます。
ただし、赤字を垂れ流していても、倒産せずに経営を続けている会社や事業もあります。借入などの資金投入によって手元の資金を確保して、返済しながらなんとか事業を続けている状態です。
このような赤字状態を継続しながら、他人資本(借入など)を次々に回転させる経営状態を、自転車を漕ぐ様子にたとえて「自転車操業」と言います。
売上が急増する
前述したように、資金繰りが悪化する要因は手元資金が減少することにあります。
では、その資金の源泉となる売上を上げさえすれば資金繰りが改善されるかと言えば、実際はそうではありません。
多くの事業者は、「商品やサービスの提供が先、代金の支払いは後」の掛取引です。売上が増加しても、実際に売上金が入金されるまでにはタイムラグがあり、その期間にも仕入れコストや固定費は発生します。
売上が急増すればするほど、経費として出ていく資金は増え、一方で入ってくる資金は数ヶ月後となるため、資金繰りが悪化するのです。
このように、帳簿上は黒字が出ている(売上は上がっている)のに、手元の資金が枯渇したために倒産することを「黒字倒産」と言います。
経営者が資金繰りを把握していない
自営業者の方の多くは本業が忙しく、収支の管理がおろそかになる「どんぶり勘定」になりがちです。
実は、どんぶり勘定で経営者が正確な資金繰りを把握していない状態こそ、資金繰りが悪化する最大の原因となります。
資金の管理と運用が計画的でないと、近い将来に起こりうる資金不足が予測できず、気づいたときにはすでに手遅れということも有り得ます。
つまり、経営者自身が異形の資金繰り状況を正確に把握することが、最大の資金繰り改善方法となるのです。
自営業者が資金繰りを改善するには
自営業者が取り組むべき具体的な資金繰り改善の方法をご紹介します。
資金繰り表で状況を把握する
前述の通り、経営者が事業の資金繰りを把握していないことが資金繰りを悪化させる原因の一つです。
日頃から経営者自身が資金繰り表を作成・管理していれば、資金繰り悪化の兆候を早期に発見して、資金調達や経費削減などの具体的な対策を講じることができます。
資金繰り表はExcelでも簡単に作れますが、ネット上には無料で配布されているテンプレートもあります。
当サイトでも今すぐ使える資金繰り表のテンプレートを配布しておりますので、ぜひご活用ください。
売掛債権を早期に回収する
自営業者の方はとくに、発注元であるクライアントとの力関係で、相手先の支払いサイトに応じて契約をしなければならないことが多いです。
売上の大部分を占める契約の支払いサイトが長ければ、事業の資金繰りが悪化する要因となります。
資金繰りが悪化している原因が支払いサイトにあるときは、クライアントに回収期間短縮を交渉しましょう。クライアントと十分な信頼関係が築けていれば、交渉に応じてもらえる可能性があります。
支払いを遅くする
売掛債権の早期回収を図ると同時に、買掛金などの支払いを遅くして手元の資金を確保することも検討しましょう。回収より支払いが後に来れば、資金繰りに余裕が生まれます。
相手先も資金繰りの都合があるため無理な交渉はできませんが、仮に売上の一部が手数料として取られる条件になるとしても、資金ショートを避けるためにはできるだけ支払い期日を先延ばしにするべきです。
さらに、支払いを現金ではなくクレジットカード払いすることで、出金のタイミングを1~2ヶ月先に伸ばすことができるため、可能な場合は積極的に活用することをおすすめします。
経費を削減する
事業の固定費を削減することで、手元に多くの資金を残すことができます。
たとえば、業務の一部を外注化(アウトソーシング)したり、売れ残りの在庫を処分したりすることで、固定費の削減につながります。
経費削減は、事業全体にかかるコストを把握するところから始まります。
また過度な経費削減は事業にとって不利益をもたらすリスクもあるため、経費削減が及ぼす影響を検討した上で実行しましょう。
ファクタリングで入金前の売掛債権を資金化する
ファクタリングは、入金前の売掛債権(請求書)をファクタリング会社が買い取り、所定の手数料を差し引いた買取代金を振り込むサービスです。
支払サイトの長い売掛債権であっても、ファクタリングを利用すれば最短即日で資金調達ができます。
ファクタリングには、大きく分けて「3社間ファクタリング」と「2社間ファクタリング」の2種類があります。
3社間ファクタリングはクライアントの同意が必要になるため、最短即日の資金調達は難しくなりますが、手数料が債権額面の2%~9%と低めです。
一方の2社間ファクタリングは売掛先の同意が不要なため、ファクタリング会社の審査に通過すれば、最短即日で売掛金を資金化できます。ただし、手数料は債権額面の5%~20%と高めです。
手数料や入金スピード、クライアントとの関係を考慮して、自社にとってベストなファクタリングを選びましょう。
自営業者におすすめのファクタリング会社3選
最近では、個人事業主やフリーランスに特化したファクタリングサービスも登場しています。ここでは、自営業者の方に利用をおすすめするファクタリング会社をご紹介します。
OLTA(オルタ)|手数料2%~9%で完全非対面のファクタリング
ファクタリング手数料 | 2%~9% |
面談・契約 | 不要・非対面契約 |
付帯サービス | - |
入金スピード | 24時間以内 |
買取限度額 | 制限なし |
URL | https://www.olta.co.jp/ |
OLTA(オルタ)の「クラウドファクタリング」は、オンライン完結型で早期に請求書を資金化できるサービスです。
サービスの利用にかかる手数料は業界最安水準の2%~9%のみで、それ以外のコストは一切かかりません。
買取金額に上限も下限も設定されていないため、数万円の請求書でも24時間以内に現金化することができます。利用者とOLTAの2社間契約なので、クライアントに請求書を売却した事実が知られることはありません。
クラウドファクタリングを利用するにあたっては、OLTAへの会員登録と事前審査が必要となります。会員登録は無料で、月額利用料も発生しません。
FREENANCE(フリーナンス)|自営業者のお金と保険をサポート
ファクタリング手数料 | 3%〜10% |
面談・契約 | 不要・非対面契約 |
付帯サービス | フリーランス特化型補償 |
入金スピード | 最短即日 |
買取限度額 | 1万円~ |
URL | https://freenance.net/ |
FREENANCE(フリーナンス)は、自営業者を支えるお金と保険のサービスを提供しています。
サービスを利用するにあたっては、事前にフリーナンスの専用口座を開設する必要があります。
同社のファクタリングサービス「即日払い」は手数料3%~10%で、利用者の与信スコアやフリーナンス口座の利用回数に応じて手数料が下がる仕組みです。
さらに、フリーナンスの会員は、仕事中の事故や納品物の欠陥を原因とする事故の補償サービス「あんしん補償」や、ケガや病気などの万が一に備える所得補償「あんしん補償プラス」といった保険のサービスも利用できます。
利用者の与信スコアは、電話インタビューや収入証明書の提出などでもアップすることができます。
ベストファクター|2社間ファクタリングの実績が豊富
ファクタリング手数料 | 2%~ |
面談・契約 | 要・対面契約(非対面も可) |
付帯サービス | 財務コンサルティングサービス |
入金スピード | 即日 |
買取限度額 | 30万円~ |
URL | https://bestfactor.jp/ |
弊社ベストファクターは法人や個人、また業種も問わず、幅広く売掛債権を買い取っています。なかでも2社間ファクタリングの実績が豊富で、利用者の方のクライアント様に知られることなく、業界最安水準の手数料2%~、最短即日で代金をお振込いたします。
ファクタリングの契約を結ぶにあたっては原則として面談が必要となりますが、東京本店もしくは大阪支店からスタッフが全国出張対応いたします。
面談では経営状況や将来のビジネスプランをヒヤリングさせていただき、付帯サービスである財務コンサルティングサービスに活かします。
2社間ファクタリングによる早期の資金調達に加え、財務コンサルティングサービスによる経営課題の解決を希望される自営業者の方は、ぜひベストファクターにご相談ください。
自営業者の資金繰りに関するQ&A
自営業者の資金繰りについて、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。
- Q.資金繰りとキャッシュフローの違いを教えて下さい。
- A.資金繰りとは、「お金の出入りを管理して、将来のお金の流れを予測するもの」です。キャッシュフローは「営業活動・投資活動・財務活動によるお金の増減バランスを表すもの」であり、基本的には投資家向けの資料です。上場企業は法律により作成が義務付けられていますが、自営業者が作成する必要はありません。
- Q.創業したばかりですがファクタリングは利用できますか?
- A.創業したばかりで実績の少ない自営業者の方でも、信用力の高いクライアントの売掛債権があれば、基本的にファクタリングで資金調達ができます。ただし、クライアントが契約に一切関与しない2社間ファクタリングでは、申込者の信用情報や借入状況が手数料の判断材料となります。
- Q.ファクタリングの手数料は経費として計上できますか?
- A.できます。売掛債権をファクタリングで売却して得た資金は「売上」になりますが、手数料に関しては、帳簿上では「売上債権売却損」として経費で処理します。ファクタリングは非課税取引となるため、ファクタリングで節税も可能です。
ファクタリングは自営業者の資金繰りをサポート
自営業者の方の資金繰りに関して、また資金繰りを改善する方法について解説しました。
自営業は法人に比べて収入が安定しないことなどから、資金調達方法が限られてしまいます。とくに資金繰りが悪化しているときは、資金調達の選択肢が限りなく狭まります。
ファクタリングは融資と異なり、自営業者の方の信用状況や借入状況にかかわらず、入金前の売掛債権があれば、早期の資金調達が可能です。
自営業者向けのファクタリングサービスを利用すれば、手数料を抑えられるだけでなく、自営業者ならではの経営課題に即した付帯サービスが受けられます。
新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りに困っている方や、慢性的な資金不足でお悩みの方は、ぜひ本記事を参考に、自信の経営状況にあった資金繰り対策や資金調達を実践してみてください。