会社経営者や個人事業主は、日頃から自社の資金繰りについて把握しておく必要があります。
売上の減少はもちろん、売上の急増も自社の資金繰りを悪化させる原因となります。資金繰りで大事なことは、いかに利益を上げるかよりも、いかに手元の資金を不足させないかです。
自社の資金繰りを管理して、いつ資金がショートするかを予測できれば、融資やファクタリングなどで窮地を脱することができます。
本記事では、手軽に資金繰りの管理、将来の資金繰りシミュレーションができる「資金繰りアプリ」をご紹介します。
会社を倒産させないためには資金繰りの把握が重要
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、営業自粛や事業縮小に追い込まれ、売上が減少して資金繰りが苦しくなったという事業者の方も多いのではないでしょうか?
会社が倒産する前には、必ずと言っていいほど「手元の資金がショートする」タイミングが訪れます。
資金ショートは売上が減少しているときはもちろん、業績が好調で売上が右肩上がりに成長しているときも注意が必要です。
商取引では、売上の発生と売上の入金にタイムラグがあります。売上が伸びている状況では売上の入金を待つ間にも、次の取引の着手金や準備金が必要となるため、資金ショートに陥るリスクが高まります。このように黒字の状態で倒産に陥ることを、「黒字倒産」と言います。
逆に言えば、どれだけ会社が赤字を出していても、手元に十分な資金があれば倒産することはありません。
資金繰り表で会社のお金の流れを「見える化」すれば、手元の資金がいつショートするのかを事前に把握して、融資やファクタリングなど具体的な対策を講じることができます。
経営者は自ら資金繰り表を作成して、常日頃から会社の資金繰りを把握しておくことが大切です。
資金繰りアプリとは
資金繰りアプリとは、スマホやパソコンにインストールして資金繰り表の作成や管理ができるアプリケーションソフトです。
資金繰り表はエクセルで自作したり、無料で配布されているテンプレートをダウンロードしたりといった方法でも作成・管理できますが、資金繰りアプリをスマホにインストールしておけば、すぐに立ち上げて確認できるというメリットがあります。
本格的な会計ソフトほど多機能ではないものの、個人事業主や小規模~中規模法人の資金繰り表作成・管理は、資金繰りアプリでも十分に可能です。
おすすめの資金繰りアプリ4選
手軽に資金繰り表の作成・管理ができるスマホアプリをご紹介します。
月額500円で資金繰り管理ができる「feliz(フェリス)」
料金プラン(年間) | 【標準プラン】月額500円(税抜) 【お得プラン】5,000円(税抜) |
こんな方におすすめ |
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公式サイトURL | https://tact-info.com/cashflow/index.html |
「feliz(フェリス)」は月額500円の格安料金で使える資金繰り専用アプリです。
アプリに売掛金や買掛金の回収・支払期日を入力することで、自動で入出金が反映されます。さらに、売掛・買掛金の月別残高表も出力できるため、将来の残高見込みの情報も確認できます。
入力された情報から自動で資金繰り表が作成され、営業収支や経営収支の前年対比だけでなく、各経費科目ごとの比較もグラフで表示されます。
低コストで導入できるため、現在利用している会計ソフトに資金繰り表作成機能が付いていない方や、資金繰り表作成のみお試しで使ってみたい方におすすめです。
シンプルながら汎用性が高い「資金繰り」
料金プラン(年間) | 370円 |
こんな方におすすめ |
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公式サイトURL | https://apps.apple.com/jp/app/資金繰り/id948081920 |
スマホアプリ「資金繰り」は、シンプル操作で使いやすさにこだわった資金繰りアプリです。
370円の買い切りタイプながら、入出金の費目設定、日別の入出金の確認、資金繰り表の作成などが行えます。また、費目の設定が自由にできるため、自社に合った利用ができます。
ただし、現状ではデータの保存とバックアップ、PDF出力等の機能が付いていません。データが溜まってくると動作が重くなってしまうようです。
無料で使える資金繰りアプリ「スマホ社長」
料金プラン(年間) | 無料 |
こんな方におすすめ |
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公式サイトURL | https://www.sorimachi.co.jp/smp-pres/ |
「スマホ社長」は、株式会社ソリマチが提供する無料の資金繰りアプリです。
インストール後、金融機関のインターネットバンキングと連携することで、利用者が登録した口座情報等を取り込みます。登録した口座情報から、合計残高や残高推移、口座別の残高や明細の確認が可能です。
口座の入出金の動きから会社の現在の損益がわかり、また月次残高推移グラフで複数の口座情報から将来の預金有高を予測できます。
無料ということもあって、基本的に利用できる機能は銀行残高の管理と将来の予測のみです。銀行取引以外の売掛・買掛の取引が多い方にとっては物足りないかもしれません。
また、iOS端末(iPhone、iPadなど)にのみ対応です。
資金繰り表をタブレットで簡単作成できる「社長の管理会計クラウド」
料金プラン(年間) | 月額5,000円~(税抜) |
こんな方におすすめ |
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公式サイトURL | https://uconnect.jp/psa/ |
「社長の管理会計クラウド」は、2019年10月にリリースされ、現在も機能拡張中の資金繰り表作成ソフトです。
パソコンやスマホだけでなく、タブレットでも簡単に資金繰り表を作成・管理ができます。また、姉妹アプリである粗利管理クラウドツールと併用すると、リアルタイムで粗利益の管理が行えます。
2020年12月時点では、基本的に資金繰り管理表の作成・管理しかできないため、月額5,000円はややコストが高めの印象があります。
今後も短期利益計画・中長期利益計画のリリースが予定されていますので、まずは30日間無料お試しで、機能や使い勝手を確認すると良いでしょう。
資金繰りアプリに関するQ&A
資金繰りアプリに関して、よくある質問とその回答をQ&Aにまとめました。
- Q.資金繰り表と損益計算書の違いを教えて下さい。
- A.資金繰り表は会社のお金の流れを表す書類であり、会社の財務状況を正確に把握したり、将来の資金ショートを予測したりする役割があります。一方の損益計算書は会社の「利益」を把握するための書類であり、売上の発生時点での費用・利益を表すことはできても、会社の実際のお金の出入りまでは把握できません。したがって、損益計算書上で売上が出ていても、その売上金が入金されるまでにはタイムラグがあるため、注意が必要です。
- Q.資金繰りアプリを使用すると、どんなことができますか?
- A.銀行やクレジットカードなどの残高確認、入出金の費目設定、日別の入出金の確認、月初残高・月末残高の確認、資金繰り表の作成・管理、資金繰りのシミュレーションなどができます。
- Q.資金繰りアプリと会計ソフトはどのように違いますか?
- A.資金繰りアプリはあくまでも資金繰りの管理や資金繰り表の作成、日別・月別の入出金の確認等に特化したアプリです。帳簿付けや決算書作成、確定申告などはできません。会計ソフトのなかには、サービスのひとつとして資金繰り管理機能が利用できるものもあります。
ベストファクターの資金繰り表テンプレートもおすすめ
はじめて資金繰り表を作る方には、インターネット上で無料あるいは有料で公開されている資金繰り表テンプレートをダウンロードして使用する方法もおすすめです。
基本的な機能はあらかじめ備わっており、必要に応じて編集ができます。
ベストファクターでは、エクセルベースの資金繰り表を無料で配布しています。
エクセルがインストールされたパソコンにダウンロードすれば、すぐに自社の資金繰り表として使用することができますので、ぜひご確認ください。
ご自由にお使いください。