新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅な売上減少や業績悪化に陥った中小企業や個人事業主を対象に、国や自治体、公・民の金融機関がさまざまな資金繰り支援策を講じています。
返済不要の持続化給付金や、実質無利子の新型コロナウイルス感染症特別貸付など、すでに制度を活用して資金繰りの立て直しを図っている方も多いのではないでしょうか。
一方で、「自社が支援策の対象事業者になっているのかわからない」「そもそも、どこに相談すればいいのか?」といった疑問の声も少なくありません。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受けた中小企業や個人事業主の方が活用できる資金繰り支援制度をまとめました。
持続化給付金
<対象者要件>
2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月がある法人・個人事業者
<支援内容>
法人に200万円まで、個人事業者に100万円までの給付
<申請期間>
令和2年5月1日~令和3年1月15日
続化給付金の概要
支援策の種類 | 給付金 |
提供主体 | 中小企業庁 |
上限金額 | 【法人】200万円まで 【個人事業主】100万円まで |
金利 | - |
担保・保証人 | - |
借入期間 (返済据置期間) |
- |
詳細 | https://jizokuka-kyufu.go.jp/form/top_register.html |
持続化給付金は2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下、対象月)がひと月でもある事業者を対象に、返済不要の資金を給付する制度です。
給付額(S)は、法人で最大200万円、個人事業主で最大100万円までです。対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入(A)から、対象月の月間事業収入(B)に12を乗じて得た金額を差し引いた額となります。給付額の算定式は【A―B×12=S】です。
直前の事業年度(2019年度)の年間事業収入・・・300万円(A)
直前の事業年度の4月の月間事業収入・・・30万円対象月の月間収入が前年同月比で50%以上減少しているため、給付対象となる。
算定式は、300万円(A)―13万円(B)×12=144万円(S)
法人X社には144万円が給付される。
申請に必要な書類
- 確定申告書類
- 対象月の売上台帳等
- 通帳の写し
- 本人確認書類(個人事業者等)
持続化給付金の申請から受給までの流れ
- 申請の要件を確認して提出書類を準備
- 持続化給付金・申請用ホームページにマイページ作成
【申請する】ボタンを押して、メールアドレスなどを入力[仮登録] 入力したメールアドレスに、メールが届いていることを確認して[本登録]へ
ID・パスワードを入力して[マイページ]が作成されるので、 基本情報・売上額・口座情報 を入力 - 必要書類を添付して申請
- 持続化給付金事務局で申請内容を確認
- 通常2週間程度で、給付通知書を発送/登録の口座に入金
家賃支援給付金
<対象者要件>
2020年5月~12月の売上高について、1ヶ月で前年同月比50%以上減少、または連続する3ヶ月の合計で前年同期比30%以上減少した中堅企業、中小企業、個人事業者
<支援内容>
法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円を一括支給
(自らの事業のために専有する土地・建物の賃料に限る)
<申請期間>
2020年7月14日から2021年1月15日
家賃支援給付金の概要
支援策の種類 | 給付金 |
提供主体 | 中小企業庁 |
上限金額 | 【法人】600万円まで 【個人事業主】300万円まで |
金利 | - |
担保・保証人 | - |
借入期間 (返済据置期間) |
- |
詳細 | https://yachin-shien.go.jp/flow/index.html |
家賃支援給付金は、2020年5月の緊急事態宣言の延長等を受け、中小企業庁が売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えする目的で地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金を支給する制度です。
支給対象は、以下1・2・3のすべてを満たす事業者となります。
- 資本金10億円未満の中小企業および個人事業者
- 2020年5月~12月の売上高について、1ヶ月で前年同月比ー50%以上、または連続する3ヶ月の合計で前年同期比-30%以上
- 自らの事業のために専有する土地・建物の賃料
また、申請時の直近1ヶ月における支払賃料(月額)に基づいて算定した給付額(月額)の6倍が給付額となります。具体的な算定方法は以下のとおりです。
支払い賃料(月額) | 給付額(月額) |
支払賃料(月額)75万円以下の法人 | 支払賃料×2/3 |
支払賃料(月額)75万円超の法人 | 50万円+[支払い賃料の75万円の超過分×1/3]※月額100万円が上限 |
支払賃料(月額)75万円以下の個人 | 支払賃料×2/3 |
支払賃料(月額)75万円超の個人 | 25万円+[支払い賃料の37.5万円の超過分×1/3]※月額50万円が上限 |
たとえば、支給対象の法人の支払賃料(月額)が60万円である場合、【60万円×2/3】を6倍した240万円が一括支給されます。
新型コロナの影響で売上減少を来たしている状況では、地代・家賃の支払いは大きな負担となるため、対象となる事業者の方は積極的に本制度の利用をおすすめします。
ただし、本制度はローン支払い中の自己保有の土地・建物や、私宅として使用している建物の地代・家賃は対象外です。
申請に必要な書類
- 賃貸借契約の存在を証明する書類(賃貸借契約書)
- 申請時の直近3ヶ月分の賃料支払実績を証明する書類(銀行通帳の表紙および支払実績がわかる部分の写し、振込明細書等)
- 本人確認書類
- 売上減少を証明する書類(確定申告書、売上台帳等)
家賃支援給付金の申請から受給までの流れ
- ポータルサイトで手続き用ログインIDとパスワードを登録
- マイページから各種情報を入力して必要書類を添付
- 給付通知書の受領
- 登録の口座に入金
新型コロナウイルス感染症特別貸付
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している小規模事業者※
※商工会議所、商工会または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けており、商工会議所等の長の推薦が必要
<支援内容>
小規模法人・個人に無担保・基準利率(年1.75%以内)・別枠8,000万円以内の貸付
ただし、4,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
<申請期間>
期限なし
新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 日本政策金融公庫 |
上限金額 | 8,000万円(別枠) |
金利 | 基準利率F(年1.26%~1.65%) 一部対象者は4,000万円を限度として、融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率 |
担保・保証人 | 不要 |
借入期間 (据置期間) |
設備資金10年以内(4年以内) 運転資金7年以内(3年以内) |
詳細 | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html |
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、日本政策金融公庫の資金繰り支援制度のひとつです。国民生活事業と中小企業事業とで上限額や基準金利が異なりますが、中小企業や個人事業主の方は基本的に国民生活事業の制度を利用します。
本制度の対象者要件は以下のとおりです。
最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
(1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
(2)令和元年12月の売上高
(3)令和元年10月から12月の平均売上高引用元:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html
融資限度額は、すでに公庫で借り入れている融資制度の貸付残高にかかわらず、別枠で8,000万円までです。このうちの最大4,000万円(日本公庫の既存融資の借換部分も含む)まで、当初3年は基準利率(年1.36%~1.75%)から-0.9%の利率が適用され、3年経過後は、基準利率に戻ります。
さらに、個人事業主・フリーランスや、貸付の申込みを行った直近の月間売上が15%~20%以上減少している法人は、特別利子補給制度の対象となる場合があり、基準利率-0.9%した残りの金利が当初3年間、実質無利子となります。
詳しくは特別利子補給制度の項でご確認ください。
申込に必要な書類
詳しくはこちら→https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_info_a.pdf
新型コロナウイルス感染症特別貸付の申込から融資までの流れ
- 申込に必要な書類を準備して、最寄りの公庫支店まで郵送
- 資金使途や事業の状況などについて公庫の担当者と面談
- 融資決定後、公庫から借用証書などの契約に必要な書類を送付
- 契約手続き完了後、2週間程度で融資金が指定の金融機関の口座に振り込み
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的な業況悪化を来たしているが、中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる飲食業や宿泊業者(業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合は、新型コロナウイルス感染症特別貸付と同様)
<支援内容>
小規模法人・個人に無担保・基準利率(年1.75%以内)・別枠8,000万円以内の貸付
ただし、4,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率
<申請期間>
期限なし
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 日本政策金融公庫 |
上限金額 | 8,000万円(別枠) |
金利 | 基準利率F(年1.26%~1.65%) 一部対象者は4,000万円を限度として、融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率 |
担保・保証人 | 不要 |
借入期間 (据置期間) |
設備資金10年以内(4年以内) 運転資金7年以内(3年以内) |
詳細 | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_seiei_m.html |
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付は、飲食業者や宿泊業者など生活衛生関係の事業を営む方を対象としています。融資上限額や金利については、先に解説した公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付と同じです。
こちらも特別利子補給制度を併用することで実質的に無利子で借り入れができます。詳しくは特別利子補給制度の項でご確認ください。
申込に必要な書類
詳しくはこちら→https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_info_c.pdf
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付の申込から融資までの流れ
- 申込に必要な書類を準備して、最寄りの公庫支店まで郵送
- 資金使途や事業の状況などについて公庫の担当者と面談
- 融資決定後、公庫から借用証書などの契約に必要な書類を送付
- 契約手続き完了後、2週間程度で融資金が指定の金融機関の口座に振り込み
マル経融資(新型コロナウイルス感染症関連)
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方※
※商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要
<支援内容>
通常の融資額+別枠1,000万円
当初3年まで特別利率F(年1.21%)-0.9%(別枠の1,000万円以内)
4年目以降は特別利率F
<申請期間>
期限なし
マル経融資(新型コロナウイルス感染症関連)の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 日本政策金融公庫 |
上限金額 | 通常の融資額+別枠1,000万円 |
金利 | 特別利率F(年1.21%) 当初3年まで特別利率F-0.9%(別枠の1,000万円以内) 4年目以降は特別利率F |
担保・保証人 | 不要 |
借入期間 (据置期間) |
運転資金 7年以内(1年以内) 設備資金 10年以内(2年以内) |
詳細 | https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_faq_m_b.pdf |
マル経融資は小規模事業者経営改善資金ともいい、商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で借り入れできる制度です。
今般の新型コロナの資金繰り支援として、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者に対し、通常の融資額+別枠1,000万円の拡充措置が取られています。
マル経融資で借り入れを希望する事業者の方は、あらかじめ自治体の商工会議所や商工会などに相談しましょう。
さらに、既存融資の借換部分を含めて、当初3年間に適用される低減利率の限度額「1,000 万円」まで低減利率を適用することができます。
こちらも特別利子補給制度を併用することで実質的に無利子で借り入れができます。詳しくは特別利子補給制度の項でご確認ください。
申込に必要な書類
- 前期・前々期の決算書および確定申告書
- 決算後6ヶ月以上経過の場合は最近の残高試算表
- 法人税・事業税・法人住民税の領収書または納税証明書
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 見積書・カタログ等(設備資金の申込みの場合)
マル経融資の申込から融資までの流れ
- 地域の商工会・商工会議所への加入、経営相談
- 商工会・商工会議所で金融指導を受け、経営改善に取り組む
- 商工会・商工会議所にマル経融資の相談
- 商工会・商工会議所から推薦を受ける
- 公庫から推薦を受けた事業者に融資決定通知
- 推薦を受けた事業者と公庫で融資契約
- 融資実行
衛生環境激変特別貸付(新型コロナウイルス感染症関連)
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少しているが、中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる旅館業、飲食店営業および喫茶店営業を営む方(業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合は、以下概要を参照)
<支援内容>
【旅館業】別枠3,000万円
【飲食店営業および喫茶店営業】別枠1,000万円
<申請期間>
令和2年2月21日~
衛生環境激変特別貸付(新型コロナウイルス感染症関連)の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 日本政策金融公庫 |
上限金額 | 通常の融資額+ 【旅館業】別枠3,000万円 【飲食店営業および喫茶店営業】別枠1,000万円 |
金利 | 基準利率(年2.06%~2.45%) ただし、振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員の方は、特別利率C(年1.16%~1.55%) |
担保・保証人 | 原則不要 |
借入期間 (据置期間) |
7年以内(2年以内) |
詳細 | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/47_gekihen_2_m.html |
衛生環境激変特別貸付は、飲食業店営業および喫茶店営業、旅館業といった生活衛生関係営業者を対象に、感染症または食中毒の発生による衛生環境の著しい変化に起因する一時的な業況悪化から、経営の安定を図るための特別貸付制度です。
日常的に実施される貸付制度ではなく、感染症等の発生による衛生環境の激変に伴い、生活衛生関係営業者の経営に対する影響がある場合に、厚生労働省及び財務省の指示を受けて発動されます。過去には口蹄疫(平成22年)や新型インフルエンザ(平成21年)といった感染症関連で発動実績があります。
今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少している生活衛生関係営業者は、別枠で最大1,000万円(旅館業は別枠で最大3,000万円)の融資が受けられます。
資金の使いみち(運転資金に限る)、返済期間、担保の有無などによって、異なる利率が適用されます。また生活衛生同業組合の組合員で振興計画の認定を受けている方は、基準利率よりも金利の低い特別利率Fで借り入れができます。
申込に必要な書類
最寄りの日本政策金融公庫へお問い合わせください。
衛生環境激変特別貸付の申込から融資までの流れ
- 最寄りの日本政策金融公庫に融資の相談
- 各種確認資料、証明書の準備
- 融資の申込
- 公庫から融資決定通知
- 融資契約
- 融資実行
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
<対象者要件>
売上高の減少幅の数値に関わらず、今後の新型コロナの影響が見込まれる全ての事業者
<支援内容>
担保なしで基準利率(年2.06%~2.45%)、最大4,800万円までの融資
<申請期間>
期限なし
経営環境変化対応資金の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 日本政策金融公庫 |
上限金額 | 4,800万円 |
金利 | 基準利率(年1.86%) |
担保・保証人 | 原則不要 |
借入期間 (据置期間) |
設備資金 15年以内(据置期間3年以内) 運転資金 8年以内(据置期間3年以内) |
詳細 | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/47_gekihen_2_m.html |
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、本来であれば社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上減少等の業況悪化を来たしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方の資金繰りを支援する制度です。
今般の新型コロナ感染拡大を鑑み、令和2年2月14日より貸付要件が緩和され、「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象となりました。
基準利率(年1.86%)で最大4,800万円まで借り入れができ、資金の使いみち、返済期間、担保の有無などによっては異なる利率が適用されます。
申込に必要な書類
最寄りの日本政策金融公庫へお問い合わせください。
経営環境変化対応資金の申込から融資までの流れ
- 最寄りの日本政策金融公庫に融資の相談
- 各種確認資料、証明書の準備
- 融資の申込
- 公庫から融資決定通知
- 融資契約
- 融資実行
新型コロナ対策資本性劣後ローン
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症の影響を受けているスタートアップ企業や事業再生に取り組む中小企業・個人事業者
<支援内容>
別枠で最大7,200万円の融資(期限一括返済)
<申請期間>
期限なし
新型コロナ対策資本性劣後ローンの概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 日本政策金融公庫 |
上限金額 | 一般保証とは別枠で最大2億8,000万円までを100%保証 |
金利 | 融資後3年間は1.05% 融資後3年経過後は、毎年直近決算の業績に応じる |
担保・保証人 | 不要 |
融資期間 | 5年1ヶ月、10年、20年のいずれか |
詳細 | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html |
劣後ローンとは、簡単に言うと自己資本とみなすことができる借入金です。
金融機関等からの借入金は本来、貸借対照表上では負債として扱われますが、劣後ローンは自己資本(純資産)とみなされます。通常のローンは借り入れをすることによって自己資本比率が低下しますが、劣後ローンは自己資本扱いとなるため、むしろ自己資本比率が改善して、今後、他の金融機関から融資が受けやすくなります。
新型コロナ対策資本性劣後ローンの対象となる事業者は、以下のとおりです。
- J-Startupプログラムに選定された企業または中小企業基盤整備機構が出資する投資ファンドから出資を受けた方
- 中小企業再生支援協議会の支援を受けて事業の再生を図る方
- 原則として認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の指導を受けて事業計画を策定した方であって、かつ民間金融機関等との協調支援により事業の発展又は継続を図る方
参考:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html
融資限度額は7,200万円(別枠)ですので、すでに新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用されている方でも申し込みができます。
金利は当初3年間は1.05%で固定、4年目以降は返済期間(5年1ヶ月、10年、20年のいずれか)と直近決算の業績に応じた利率が適用されます。
税引き後当期純利益額 | 期間5年1ヶ月 | 期間10年 | 期間20年 |
0円以上 | 3.4% | 3.4% | 4.8% |
0円未満 | 1.05% | 1.05% | 1.05% |
なお、契約にあたっては完済までの間、毎期の経営状況の報告等を含む特約を締結する必要があります。
申請に必要な書類
詳しくはこちらでご確認ください→https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/shihonseiretsugo_info.pdf
新型コロナ対策資本性劣後ローンの申込から融資までの流れ
- 最寄りの公庫の支店まで必要書類を郵送もしくはインターネット申込
- 公庫から面談等についての通知
- 面談
- 融資決定、借用証書など契約に必要な書類が公庫から郵送される
- 手続き完了後、融資金が登録した口座に入金
危機対応融資
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化を来たし、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上した中小企業等(業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合は下記の概要を参照)
<支援内容>
融資限度額3億円まで、当初3年間は基準金利-0.9%、4年目以降基準金利1.11%→0.21%(利下げ限度額:1億円)
<申請期間>
期限なし
危機対応融資の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 商工中金 |
上限金額 | 3億円 |
金利 | 商工中金の所定の基準金利 当初3年間は基準金利-0.9%、4年目以降基準金利1.11%→0.21%(利下げ限度額:1億円) |
担保・保証人 | 無担保 |
借入期間 (据置期間) |
設備20年以内、運転15年以内(据置期間5年以内) |
詳細 | https://www.meti.go.jp/covid-19/shikin_sodan/pdf/shochu_01.pdf |
危機対応融資は、そもそも大規模な経済危機や災害などの被害を受けた事業者が、経営の安定化を図るために活用できる融資制度です。今般の新型コロナウイルス感染症による影響を受け、業況が悪化した事業者に対し、危機対応融資による資金繰り支援を実施しています。
本制度の対象者要件は以下のとおりです。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化を来たし、次の①または②のいずれかに該当する方
①最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方
②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、店舗増加や合併、業種の転換など、売上増加に直結する設備や雇用等の拡大している企業(ベンチャー・スタートアップ企業を含む。)など、前年(前々年)同期と単純に比較できない場合等は、最近1ヶ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している方
a 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む。)の平均売上高
b 令和元年12月の売上高
c 令和元年10月~12月の売上高平均額引用元:https://www.meti.go.jp/covid-19/shikin_sodan/pdf/shochu_01.pdf
融資限度額は上限3億円まで、信用力や担保の有無にかかわらず、一律当初3年は商工中金の基準金利から-0.9%、4年目以降は基準金利1.11%→0.21%(利下げ限度額:1億円)で借り入れができます。
さらに、商工中金による危機対応融資の既往債務の借換えや、特別利子補給制度を併用することで実質的な無利子化も可能です。
詳しくは特別利子補給制度の項でご確認ください。
申込に必要な書類
- 借入申込書(危機対応制度融資用)
- 商業登記簿謄本の写し(履歴事項全部証明書)
- 決算書の写し(直近決算期3期分)
- 事業の概要が分かる資料
- 直近の売上高が把握できる資料
危機対応融資の申込から融資までの流れ
- 申込みに必要な書類を準備する
- 最寄りの商工中金店舗の相談窓口へ申込み
- 商工中金で審査
- 融資実行
特別利子補給制度
<対象者要件>
新型コロナウイルス感染症特別貸付、マル経融資(新型コロナウイルス感染症関連)、危機対応融資で借り入れを行った中小企業、個人事業者等
<支援内容>
貸付を受けた日から最長3年間にあたる利子相当額を一括で助成
<申請期間>
2021年12月31日まで
特別利子補給制度の概要
支援策の種類 | 融資 |
提供主体 | 中小機構 |
上限金額 | 公庫(国民事業):4,000万円まで 公庫(中小事業):2億円まで 商工中金:2億円まで |
金利 | - |
担保・保証人 | - |
補給期間 | 当初3年間 |
詳細 | https://tokubetsu-riho.jp/ |
特別利子補給制度は、公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付やマル経融資(新型コロナウイルス感染症関連)、商工中金の危機対応融資といった融資制度を利用して借入を行った方のなかで、一定の要件を満たす方に対し、貸付を受けた日から最長3年間にあたる利子相当額を一括して助成することにより、実質的な無利子化を実現する制度です。
一定の要件とは売上高要件のことで、詳細は以下の通りです。
- 小規模企業者(個人事業主)事業性のあるフリーランス含む
売上高要件なし- 小規模企業者(法人事業者)
貸付の申込を行った際の最近1ヶ月またはその翌月もしくはその翌々月の売上高が、前年又は前々年の同月と比較して15%以上減少している方- 中小企業者等(上記①、②を除く事業者)
貸付の申込を行った際の最近1か月またはその翌月若しくはその翌々月の売上高が、前年又は前々年の同月と比較して20%以上減少している方参考:https://tokubetsu-riho.jp/downloads/riho_guidance.pdf
上記の売上高要件を満たせば、当初3年間の金利が実質無利子となります。
たとえば、公庫の国民生活事業の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」で運転資金 2,000万円を返済期間6年、基準利率1.36%で借り入れたケースで考えてみましょう。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は4,000万円を限度として、融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率となるため、当初3年間は金利が【1.36%-0.9 = 0.46%】で0.46%となります。
さらに、この0.46%の金利が適用される3年間の支払済利子額の約30万円は、貸付を受けた公的金融機関が後から補給という形で返金されます。融資後4年目からは基準利率1.36%が適用されます。
申込に必要な書類
- 特別利子補給助成金交付申請書及び請求書
- 誓約・同意書
- 申告書
特別利子補給制度の申込から助成までの流れ
- 貸付を受ける金融機関から申請書類を受領
- 申請書類を記入して郵送またはオンライン申請
- 事務局にて審査
- 交付決定通知書の受領
- 対象融資制度で貸付を受けた金額を完済もしくは3年経過等
- 確定通知書の受領、実際に支払った利子額の補給を受ける
セーフティーネット保証4号
- <対象者要件>
1年間以上継続して事業を行っている中小企業・個人事業者 - 新型コロナウイルスの影響により最近1ヶ月間の売上高または販売数量(建設業にあっては、完成工事高または受注残高)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2ヶ月間を含む3ヶ月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること
- 上記について市区町村で認定を受けていること
<支援内容>
一般保証とは別枠で最大2億8,000万円(信用保証料率1.0%)の100%保証
<申請期間>
2020年2月1日~2021年1月31日
セーフティーネット保証4号の概要
支援策の種類 | 保証 |
提供主体 | 信用保証協会(融資は民間金融機関) |
上限金額 | 一般保証とは別枠で最大2億8,000万円までを100%保証 |
保証料 | 実質無保証料 |
担保・保証人 | 担保は必要に応じて、保証人は法人の代表者を除き原則不要 |
保証期間 | 金融機関所定の期間 |
詳細 | https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm |
セーフティーネット保証は、災害や世界的な金融危機による経営の安定に支障をきたしている中小企業が市区町村の認定を受けることで、一般保証とは別枠で最大2億8,000万円を利用できる保証制度です。
4号は特定地域の災害等により影響を受けている特定業種を対象とした保証ですが、現在はすべての業種で利用可能となっています。
また、前年実績のない創業1年未満の事業者や、前年以降店舗や業容拡大してきた事業者で単純な売上高などの比較では認定が難しい人でも、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている場合には認定対象となることがあります。
セーフティーネット保証4号の対象となる事業者の方は、本店等(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市区町村の商工担当課等の窓口に認定申請書を提出、認定を受けたうえで希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書を持参して、保証付き融資を申し込みます。
保証料率は1.0%ですが、国または都道府県が保証料補助を行うため、実質無保証料となります。
申請に必要な書類
各市区町村によって異なる場合があるため、詳しくは市区町村の担当窓口にてご確認ください。
セーフティーネット保証4号の相談から保証決定までの流れ
- 市区町村の認定窓口で必要書類の確認
- 必要書類を添え、市区町村の認定窓口にて申請
- 取得した認定書を添えて、金融機関へ保証付融資の申込
- 信用保証協会による審査、および金融機関による審査
- 保証決定
- 融資実行
セーフティーネット保証5号
- <対象者要件>
指定業種に属する事業を行っている法人または個人 - 最近3ヶ月間の売上高の合計が前年同期と比較して5%以上減少していること
- 上記について市区町村で認定を受けていること
<支援内容>
一般保証とは別枠で最大2億8,000万円(信用保証料率0.85%)の80%保証
<申請期間>
2020年2月1日~2021年1月31日
セーフティーネット保証5号の概要
支援策の種類 | 保証 |
提供主体 | 信用保証協会(融資は民間金融機関) |
上限金額 | 一般保証とは別枠で最大2億8,000万円までを80%保証 |
保証料 | 実質無保証料 |
担保・保証人 | 担保は必要に応じて、保証人は法人の代表者を除き原則不要 |
保証期間 | 金融機関所定の期間 |
詳細 | https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm |
セーフティーネット保証5号は全国的に業況が悪化している指定業種に属する事業を行っている事業者を対象とした保証制度です。令和3年1月31日までは特別措置として、指定業種が拡充されています。
この制度に基づいて市区町村の認定を受けると、信用保証協会の審査を経たうえで、信用保証協会の保証枠が一般保証とは別枠で最大2億8,000万円まで増枠され、これに基づく融資が受けられます。
保証料率は0.85%ですが、国または都道府県が保証料補助を行うため、実質無保証料となります。
なお、セーフティーネット保証4号の対象に該当する方は、セーフティーネット保証5号との併用が可能ですが、その場合は両方を合わせても保証枠が2億8,000万円を超えることはありません。
申請に必要な書類
各市区町村によって異なる場合があるため、詳しくは市区町村の担当窓口にてご確認ください。
セーフティーネット保証5号の相談から保証決定までの流れ
- 市区町村の認定窓口で必要書類の確認
- 必要書類を添え、市区町村の認定窓口にて申請
- 取得した認定書を添えて、金融機関へ保証付融資の申込
- 信用保証協会による審査、および金融機関による審査
- 保証決定
- 融資実行
危機関連保証制度
<対象者要件>新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヶ月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2ヶ月間を含む3ヶ月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる中小企業・個人事業者
<支援内容>
対象となる中小企業・個人事業主等に、一般保証とは別枠で最大2億8,000万円(信用保証料率0.8%)の100%保証
<申請期間>
2020年2月1日~2021年1月31日
危機関連保証の概要
支援策の種類 | 保証 |
提供主体 | 信用保証協会(融資は民間金融機関) |
上限金額 | 一般保証とは別枠で最大2億8,000万円までを100%保証 |
保証料 | 実質無保証料 |
担保・保証人 | 担保は必要に応じて、保証人は法人の代表者を除き原則不要 |
保証期間 | 金融機関所定の期間 |
詳細 | https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_crisis.htm |
危機関連保証は、セーフティネット保証4号・5号に加え、さらなる別枠として売上高が前年同月比15%以上減少している事業者に対する措置です。
通常、中小企業者は信用保証協会の保証を受ける際に、以下の保証枠を持っています。
- 有担保保証枠2億円以内
- 無担保保証枠8,000万円以内
信用保証協会の保証を受けて民間の金融機関から借り入れをする場合、この保証枠の範囲内で保証を受けることになります。
たとえば、すでに信用保証協会の無担保保証で5,000万円の枠を利用している企業のケースで考えてみましょう。新型コロナウイルス感染症の影響で売上高が減少したために、さらに4,000万円を無担保で借入れしたいと考えても、この企業の無担保保証の残枠は3,000万円ですので、通常であれば担保を提供しない限り残枠を超えた4,000万円の保証は受けられません。
しかし、危機関連保証を利用すれば、別枠で最大8,000万円まで無担保保証が利用できるので、4,000万円についても、こちらで対応できるということになります。
保証料率は0.8%ですが、国または都道府県が保証料補助を行うため、実質無保証料となります。
なお、危機関連保証とセーフティーネット保証4号・5号は併用可能です。
申請に必要な書類
- 必要書類を揃えて、市区町村へ認定を申請
- 取得した認定書を添えて、金融機関へ保証付融資の申込
- 信用保証協会による保証審査、および金融機関による審査
- 保証決定
- 金融機関から融資実行
危機関連保証の申請から決定までの流れ
- 必要書類を揃えて、市区町村へ認定を申請
- 取得した認定書を添えて、金融機関へ保証付融資の申込
- 信用保証協会による保証審査、および金融機関による審査
- 保証決定
- 金融機関から融資実行
ファクタリングによる資金繰り支援
国や自治体、民間の金融機関による資金繰り支援についてご紹介しました。返済不要の給付金や、超低金利で借りられる融資制度など、対象事業者であれば活用しない手はありません。
ただし、対象事業者であっても融資の審査に落ちてしまった、すでにもらえる給付金をすべて使ってしまったといった理由で、ふたたび資金不足に悩まれている事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
請求書(売掛債権)の早期資金化サービスであるファクタリングは、資金繰り支援にも役立ちます。ここでは、ファクタリングを資金繰り支援に活用する方法について解説します。
ファクタリングによる早期の資金調達
ファクタリングは入金前の請求書をファクタリング会社が買い取り、所定の手数料を差し引いた買取代金を最短即日で振り込むサービスです。
公・民の金融機関の融資制度のような面倒な審査などはなく、入金前の請求書があれば基本的にだれでも利用できます。「2ヶ月後に入金される売上を、いますぐ使えたらいいのに……」や「給付金が振り込まれるまでのつなぎ資金が必要」といった状況では、ファクタリングがもっとも最適な資金調達手段となるでしょう。
ファクタリングの利用において懸念される「取引先の会社に資金繰りに困っていることを知られるのではないか」という不安も、2社間ファクタリングであれば取引先に一切知られることなく、即日の資金調達が可能です。
弊社ベストファクターは、秘密厳守の2社間ファクタリングを業界最安水準の手数料2%~で取り扱っております。請求書や入出金の通帳など、必要書類を事前に準備いただくことで、最短即日で請求書を現金化いたします。
資金繰り改善のためのコンサルティング
ファクタリング会社の中には、利用中の方に無償の財務コンサルティングサービスを提供しているところもあります。
財務コンサルティングは、資金繰り改善や事業再生を目的としています。具体的な支援内容としては、資金繰り表の作成サポート、新たな資金調達先の紹介、銀行リスケの交渉サポートなどです。
資金調達や資金繰りで本業に手が付かないという事業者の方でも、財務コンサルティングを利用することで、ファクタリングで調達した資金で事業運転に注力しながら、プロのサポートで資金繰り・事業再生をすすめることができます。
弊社ベストファクターの財務コンサルティングでは、利用者の69.7%がキャッシュフロー改善成功、59.2%が企業価値改善に成功しています。
早期の資金調達ならファクタリング
新型コロナウイルス感染症の影響で売上減少や資金繰り悪化を来たしている事業者の方は、国や自治体、金融機関の資金繰り支援制度を確認しましょう。資金不足で事業継続が困難な状況でも、実質無利子の融資や返済不要の給付金で解消できる場合があります。
ただし、ここでご紹介した支援制度の多くは、今でも相談や申込で事業者が殺到しており、実際に資金が入金されるまでに2週間~1ヶ月ほどかかってしまうのが現状です。
「一刻も早く資金投入が必要!」という緊急性の高い資金ニーズには、入金前の請求書(売掛債権)を早期資金化するファクタリングをご検討ください。
弊社ベストファクターは最短即日のスピード、業界最安水準の手数料、充実した財務コンサルティングで資金繰り支援を必要とされている事業者の方をサポートいたします。