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資金調達の方法としてファクタリングの利用を検討していませんか?ファクタリングは経済産業省が推奨する資金調達のひとつであり、多くの中小企業や個人事業主から注目されています。しかし、利用経験がなく「本当に安全なのか?」「どういう仕組みなのか?」といった疑問を感じる人も少なくありません。
そこで本記事では、ファクタリングについて詳しく解説します。仕組みや安全性、利用するメリット・デメリットまで解説するので、ファクタリングに関するさまざまな疑問を解決するのに役立ちます。また、即日資金調達できるおすすめのファクタリング会社も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
即日資金調達できるファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業や個人事業主などが保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、入金期日よりも先に現金化できる金融サービスです。
多くの企業で採用されている信用取引では、取引先に商品やサービスを提供しても代金が支払われるのは一定期間が過ぎた後です。黒字経営にも関わらず、資金繰りに苦しむ企業は少なくありません。ファクタリングを利用すれば即日資金調達が可能なため、「現金がなく、人件費や外注費が支払えず信用を落としてしまった」という状況を作らずに済みます。
なお、ファクタリングは売掛債権の売却であり借入ではないため、利用しても負債が増えず返済の必要もありません。
【基本】ファクタリングの流れ・種類・必要書類について
ファクタリングを利用するにあたり、流れや種類、必要書類を押さえておきましょう。
ファクタリングで資金調達できる仕組み
ファクタリングを利用して資金調達するまでの流れは、以下の通りです。
- 取引先にサービス・商品を納品する
- 自社に売掛債権が発生する
- ファクタリング会社に契約を申し込む
- ファクタリング会社によって審査が行われる
- 審査に通ったら売掛債権をファクタリング会社に売却する
- 売掛債権の額面から手数料を差し引いた金額が自社に入金される
- 取引先から売掛金が入金される
- 入金された売掛金をファクタリング会社に支払う
つまり、将来的に支払われる売掛債権をファクタリング会社に売却し、入金期日前に現金化する仕組みです。また、ファクタリングを利用する際は手数料がかかります。売掛債権の額面から2%〜18%程度の手数料を差し引いた金額が入金されます。
ファクタリングの種類
ファクタリングには、大きく分けて以下2種類の方式があります。
種類 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
特徴 | 自社とファクタリング会社の2社間で行われる | 自社とファクタリング会社と取引先の3社間で行われる |
取引先への通知 | 不要 | 必要 |
入金までのスピード | 速い | やや遅い |
手数料の相場 | 8%〜18% | 2%〜9% |
売掛債権を売却して現金化するという仕組みは同じですが、特徴や入金スピードなどが異なります。どちらが自社に合っているのか見極められるよう、それぞれ詳しく解説します。
2社間ファクタリング
2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の2社間で行われるファクタリングです。取引先(売掛先)を交えずに契約するため、売掛債権の譲渡を知られず信頼関係に影響を与えません。
大まかな流れは、以下の通りです。
- ファクタリング会社に売掛債権を売却する
- ファクタリング会社から売掛債権の額面から手数料を差し引いた金額が入金される
- 支払期日に、取引先から自社に売掛金が支払われる
- 入金された売掛金をファクタリング会社に支払う
2社間は取引先に通知する必要がなく、3社間ファクタリングより手続きがスムーズです。申し込みから入金までのスピードが速く、ファクタリングサービスによっては即日の資金調達も可能です。
ただし、ファクタリング会社にとっては利用者が売掛金を使い込むリスクがあるため、手数料は割高に設定されています。
メリット | デメリット |
・取引先に通知する必要がない ・即日の資金調達も可能 |
・3社間よりも手数料が高め |
3社間ファクタリング
3社間ファクタリングは、自社・ファクタリング会社・取引先(売掛先)の3社間で行われるファクタリングです。取引先を交えるところが2社間と大きく異なる点です。
大まかな流れは、以下の通りです。
- ファクタリング会社に売掛債権の売却を申し込む
- 自社から取引先に売掛債権を売却することを通知し、承諾を得る
- ファクタリング会社から売掛債権の額面から手数料を差し引いた金額が入金される
- 支払期日に、取引先からファクタリング会社に売掛金が支払われる
3社間ファクタリングは、取引先の承諾を得て売掛金がファクタリング会社に直接支払われます。ファクタリング会社にとっては自社を通さずに売掛金を回収でき、使い込まれるリスクが低くなるため手数料を低めに設定しています。
ただし、3社間ファクタリングは取引先に経営・財務状況の悪化を疑われる恐れがありますので注意しましょう。あらかじめ十分に説明し、信頼関係を損なわないように配慮してください。
メリット | デメリット |
・2社間よりも手数料が低め | ・取引先への通知が必須 ・即日の資金調達は難しい |
ファクタリング利用時に必要な書類
ファクタリングを利用する際は、以下の書類が必要です。
- 売掛金が確認できる書類(請求書など)
- 入金が確認できる預金通帳
- 代表者の身分証明書
- 直近の確定申告書
ファクタリング会社によっては印鑑証明書・納税証明書・取引先との契約書の提出を求められる場合もあります。即日資金調達したい場合は事前に必要書類を確認し、準備を進めておきましょう。
ファクタリングで即日資金調達する5つのコツ
ファクタリングで即日資金調達するコツは、以下の5つです。
- 2社間ファクタリングを利用する
- 業績の良い取引先の売掛債権を売却する
- 午前中までに申し込む
- 審査が柔軟なファクタリング会社を選ぶ
- オンライン上で完結できるファクタリング会社を選ぶ
即日資金調達するコツについて、それぞれ詳しく解説します。
①2社間ファクタリングを利用する
ファクタリングで即日資金調達するためには、3社間ファクタリングではなく2社間ファクタリングを利用しましょう。
2社間ファクタリングは自社とファクタリング会社だけで取引するため、売掛先の承諾を得る必要がありません。一方、3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要になるため時間がかかります。即日資金調達を目指すなら、手続きのスムーズな2社間ファクタリングを選択しましょう。
②業績の良い取引先の売掛債権を売却する
即日資金調達するためには、業績の良い取引先の売掛債権を売却しましょう。
ファクタリングで審査されるのは売掛先の業績や信用です。売掛先に問題がある場合、審査が通らず資金調達できないことがあります。審査にかかった時間がムダになるため、確実に資金調達できるよう業績の良い売掛先に絞るのがポイントです。
③午前中までに申し込む
即日に資金調達するためには、午前中までに申し込むのが重要なポイントです。
ファクタリングは審査後に入金されるため、多少時間がかかることがあります。午前中のうちに申し込めば、審査に時間がかかっても当日入金される可能性が高くなるのです。逆に午前を過ぎてしまうと、銀行の営業時間内である15時までに間に合わず、入金が翌日以降になる可能性があります。
また、必要書類に不備があるとファクタリング会社から却下されます。午前中に申し込んでおけば、早い段階で不備に気付けるため訂正して再度の申し込みが可能です。
④審査が柔軟なファクタリング会社を選ぶ
審査が柔軟なファクタリング会社なら、即日資金調達の可能性を高められます。審査に通りやすいため、スムーズな取引が可能になります。
柔軟に審査してくれるファクタリング会社の特徴は、以下の2つです。
- 独立系ファクタリング会社
- フリーランスや個人事業主の取引実績が多い
即日資金調達したいなら、銀行系ファクタリング会社やノンバンク系ファクタリング会社は避けるのが無難です。審査が比較的厳しいため、少しでも不安材料がある場合は通過できない可能性があります。
⑤オンライン上で完結できるファクタリング会社を選ぶ
即日資金調達するためには、オンライン型ファクタリングの利用が必須です。
オンライン型ファクタリングは、申し込みから入金まですべてネット上で完結できるファクタリングサービスです。必要書類はデータとして送信するだけなので、郵送する必要がありません。審査はAIが行うケースが多く、結果が出るのもスピーディーです。
ファクタリングのメリット
ファクタリングを利用するメリットは、以下の7つです。
- 決済前に最短即日で売掛金を現金化できる
- 自社の業績が悪くても利用できる
- 取引先の倒産リスクに備えられる
- 信用情報に影響が出ない
- 銀行融資より審査が柔軟
- 保証人・担保が不要
- 必要書類が少なく手間がかからない
自社にとってどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
決済前に最短即日で売掛金を現金化できる
ファクタリングを利用するメリットは、決済前の売掛金を現金化できることです。
本来であれば、売掛債権を手に入れても実際に入金される日まで時間がかかります。場合によっては、1ヶ月近く待たなければいけないこともあるでしょう。
ファクタリングを利用すれば売掛金をすぐに現金化できるため、取引先から入金されるのを待つ必要がありません。なかには、即日入金にも対応しているファクタリング会社もありますので、早く資金調達したいときに有効です。
自社の業績が悪くても利用できる
ファクタリングは、自社の業績が悪くても利用できる資金調達法です。
なぜなら、ファクタリングで審査されるのは売掛先の支払い能力だからです。取引先の業績や信用情報に問題がなければ、自社が赤字続きでも税金や社会保険料の支払いを滞納していても利用できます。
一方、銀行の融資やローンの場合は審査対象が自社になるため、業績が悪いと審査で落とされる可能性があります。自社の業績にやや不安がある場合は、ファクタリングを利用するのが確実です。
取引先の倒産リスクに備えられる
ファクタリングは取引先の倒産リスクに備えられるところも、利用するメリットのひとつです。
売掛債権をもっていても売掛先が倒産すれば、売掛金を回収できず自社は大きな損失を出したり連鎖倒産したりする可能性があります。
しかし、ファクタリングを利用しておけば、先に売掛金を回収できて損失を出さずに済みます。ファクタリング会社はファクタリング利用会社に対し、代金の支払いを請求する権利(償還請求権)が基本的にないため、取引先が倒産してしまってもファクタリング会社から回収できなかったお金は請求されません。
ファクタリングは危機管理としても使える有効な手段といえます。
信用情報に影響が出ない
ファクタリングを利用しても信用情報に影響はありません。
ファクタリングは売上の売掛債権を現金化するだけなので、借金とは異なります。会計上も売掛金が解消されるだけで、負債が増えるわけではありません。
ファクタリングの利用は信用情報に影響を与えず、企業としての信用力も変わりません。信用情報が傷付かないため、将来的に融資を受ける予定でも安心して利用できます。
銀行融資より審査が柔軟
ファクタリングの審査は銀行融資よりも柔軟です。売掛債権は売掛先が倒産しない限り回収できるので、銀行融資と比べると審査は通りやすい傾向にあります。
また、審査が短期間で済むところもファクタリングを利用するメリットです。融資よりも早く資金調達できるため、急に現金が必要になったときもファクタリングなら対応できます。
保証人・担保が不要
ファクタリングは保証人・担保なしで、まとまった資金を調達できます。
売掛債権さえあれば資金調達できるため、融資などのように保証人や担保をわざわざ用意する必要がありません。保証人や担保を用意するのが難しい企業が、利用しやすい資金調達法です。
必要書類が少なく手間がかからない
ファクタリングは必要書類が少なく、手間がかからないところもメリットのひとつです。
基本的には身分証明書・通帳のコピー・請求書などがあれば申し込めます。一方、銀行融資は決算書・試算表・事業計画書・資金繰り表などさまざまな書類が必要です。ファクタリングなら必要書類が少ないので、準備に手間と時間をかけずに資金調達できます。
特にWeb上で申し込みから現金化まで完結できるオンラインファクタリングは、対面や郵送よりも必要書類が少ない傾向にあります。スピーディーに入金されるため、即日資金調達に向いているのがオンラインファクタリングの特徴です。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは、以下の6つです。
- 銀行融資よりも手数料が割高
- 売掛債権額面のすべてを調達できないことがある
- 債権譲渡登記が必要になることがある
- 取引先の業績によっては利用できないことがある
- 取引先にファクタリングの事実が知られる(3社間の場合)
- 譲渡禁止特約がついた売掛債権は利用できないことがある
後から知って後悔しないよう、しっかり押さえておきましょう。
銀行融資よりも手数料が割高
ファクタリングのデメリットは、銀行融資よりも手数料が高くつきやすいところです。
手数料の相場はそれぞれ以下の通りです。
- 銀行融資:年利1%〜10%
- ファクタリング:年利40%相当
(支払いサイト90日の売掛債権と仮定して2%〜18%。(12ヶ月÷3ヶ月)×18%=年利72%相当に値する。10%でも年利40%相当。)
なるべく手数料を抑えたい場合は、3社間ファクタリングを利用するのがおすすめです。3社間ファクタリングは取引先がファクタリングの利用を承諾しているため、ファクタリング会社にとっては未回収リスクが少なくなる分、手数料を低めに設定しています。
以下がファクタリングの手数料相場です。
- 2社間ファクタリング:8%~18%
- 3社間ファクタリング:2%~9%
少しでも手数料を抑えたいなら、3社間ファクタリングの利用を検討しましょう。
売掛債権額面のすべてを調達できないことがある
ファクタリングを利用すると、売掛債権額面のすべてを調達できないことがあります。なぜなら、売掛金には掛け目がかかるため、売掛債権の全額が買取り対象にはならないからです。
掛け目とは担保などに対して時価よりも低く見積もるために用いる掛け率です。主に金融機関が融資するとき、融資上限金額を算出する際に用います。たとえば、100万円の担保に対して掛け目が90%なら90万円の融資が受けられる計算になります。掛け目の影響により担保評価額が通常よりも低くなると、資金調達できる金額が予想よりも少なくなるのです。
ファクタリングでも売掛債権から70%〜90%程度の掛け目がかけられ、そこからさらに手数料が引かれるケースがあります。掛け目が設定されていないファクタリング会社なら、売掛債権額に近い資金が調達できるためおすすめです。
債権譲渡登記が必要になることがある
利用するファクタリング会社によっては、債権譲渡登記が必要になることがあります。債権譲渡登記とは、売掛債権を誰かに譲り渡した事実を第三者に証明するために行う登記です。
すでに他のファクタリング会社に売られた売掛債権を、別のファクタリング会社に売って二重譲渡するのを防ぐのが目的です。債権譲渡登記を行えば、売掛債権の権利者が誰なのかを第三者が確認できます。
その一方で、ファクタリングを利用した会社にとっては、ファクタリングの事実が多くの関係者に知られるリスクになります。知られるリスクを回避したいなら、債権譲渡登記が不要なファクタリングサービスを利用しましょう。
取引先の業績によっては利用できないことがある
ファクタリングは、売掛先の業績によっては審査落ちして資金調達できない可能性があります。
ファクタリング会社が審査で重視するのは、売掛先の支払い能力です。取引先の業績が悪ければファクタリング会社が背負うリスクが高くなるため、ファクタリングを断られる可能性が高くなるのです。たとえ資金調達できたとしても、取引先の業績が悪いと手数料が高く設定されるため、実際に入金される額は少なくなる傾向にあります。
ファクタリングを利用するときは、業績の良い取引先に絞るのも重要です。
取引先にファクタリングの事実が知られる(3社間の場合)
3社間ファクタリングは、取引先にファクタリングの利用を知られるところがデメリットです。
3社間ファクタリングは取引先の承諾を得たうえで売掛債権を現金化するため、取引先にはファクタリングを利用した事実が必然的に知られてしまいます。取引先によっては資金繰りに困っていると思われ、今後の取引に影響が出る可能性もあるでしょう。
対策としてはファクタリングに理解がある企業や、信頼関係がしっかり築けている企業の売掛債権を選ぶのが有効です。また、手数料は若干高くなりますが2社間ファクタリングの利用も検討しましょう。
譲渡禁止特約がついた売掛債権は利用できないことがある
ファクタリングでは、一般的には譲渡禁止特約がついた売掛債権を現金化できません。
譲渡禁止特約とは、第三者への譲渡が禁止されている特約です。2020年の民法改正によって、譲渡禁止特約がついた売掛債権もファクタリング可能になりました。ただし、譲渡禁止特約付きの売掛債権を利用できるかどうかは、ファクタリング会社によって異なるため事前確認は必須です。
また、譲渡禁止特約がついた売掛債権を売却する場合は債務者へ通知しなければいけません。利用できるのは3社間ファクタリングのみになるので、取引先に知られたくない場合は注意が必要です。
ファクタリングは違法?やばい?安全性について
ファクタリングは合法の資金調達法であるため、違法ではありません。実際に金融庁でも、法的な債権の売買契約として認めています。
しかし、ファクタリングが違法だと誤解されることがあるのも事実です。なぜなら、ファクタリング業者を装って法外な手数料を請求したり違法業者に機密情報を流したりするヤミ金融業者が存在するからです。
安全に利用するためには、悪徳業者と優良業者を見極める必要があります。注意が必要な業者には、次のような特徴が見られます。
- 審査を行わない
- 会社の情報が不明瞭
- 売掛金の分割払いに対応している
- 担保・保証人を要求する
- 口コミ・評判が悪い
悪徳業者によって法外な手数料を請求されれば、かえって資金繰りを悪化させる事態になります。多重債務に陥る恐れもあるため、ファクタリングを利用するときは業者選びも重要なポイントです。
ファクタリング以外の資金調達法を紹介!特徴や違いを解説
ファクタリング以外の資金調達法には、以下のものがあります。
それぞれの特徴について解説します。ファクタリングと何が違うのか、見ていきましょう。
銀行融資
銀行融資とは、銀行から資金を借入れる資金調達法です。資金調達ではビジネスローンを利用するのが一般的で、担保・保証人が不要なサービスも多々あります。借入をしたら、銀行に対して金利を上乗せした金額を毎月返済します。
ファクタリングとの違いは、ファクタリングは買取りであるのに対し、銀行融資は借入れであるところです。ファクタリングは自社でもつ売掛債権を買取ってもらうため、利用しても負債にはなりません。一方、銀行融資は銀行からお金を借りるため負債となり返済義務が発生します。
また、銀行融資は審査が厳しく資金調達できるまで時間がかかりやすい傾向にあります。即日資金調達も可能なファクタリングに比べると、銀行融資は3週間~1ヶ月の時間がかかり急ぎの資金調達ニーズには応えられません。しかし、資金調達コストはファクタリングよりも低いため、大きな金額を資金調達したい場合には銀行融資が向いています。
手形割引
手形割引とは期日前の手形を、銀行または手形割引業者に現金化してもらう資金調達法です。手形割引を利用する際は手数料が必要になるため、実際に入金される金額は手形の額面よりも少なくなります。とはいえ、即日現金化できる業者も多く、スピーディーに資金調達できるところがメリットです。
手形割引とファクタリングの仕組みは似ていますが、現金化する対象はそれぞれ異なります。ファクタリングは売掛債権、手形割引は手形を現金化する資金調達法です。
また、手形割引は支払期日までに手形が不渡りになると、満額に利息を加えた金額を弁済しなければいけません。しかし、ファクタリングなら基本的に償還請求権がなく、売掛金を回収できなくても弁済する必要はありません。
でんさい割引
でんさい割引はファクタリング同様、売掛債権を対象とした資金調達法です。仕組みとしては、でんさい(電子記録債権)を銀行などの金融機関に譲渡して資金を調達します。全国の銀行が窓口となるでんさいネットに加入した企業同士が、パソコン・スマートフォンなどを通じてオンライン上で手形のように決済が行えます。
でんさいのメリットは以下の通りです。
- 手形の管理業務・手続き業務の軽減
- 印紙代・輸送費などのコスト削減
でんさいは、手形や振り込みに代わる新しい決済手段として注目を集めています。
でんさい割引とファクタリングの違いは、償還請求権があるかどうかです。ファクタリングは売掛債権が未回収でも弁済義務はありませんが、でんさい割引は手形割引と同じく弁済が必要です。
一方、でんさいはファクタリングよりも信頼性が高く手数料が低いところがメリットです。手数料の相場はファクタリングが2%〜18%であるのに対し、でんさいは1.5%〜5%程度です。手数料を抑えたいなら、でんさい割引の利用を検討しましょう。
売掛債権担保融資
売掛債権担保融資(ABL)とは、売掛債権を担保に融資を受ける資金調達法です。ファクタリングとの違いは、売掛債権担保融資は売掛債権を担保にして融資を受けるのに対して、ファクタリングは売掛債権を売却して資金を調達するところです。
また、売掛債権担保融資の審査では、売掛先だけでなく利用者の信用力も見られます。ファクタリングの場合、自社が赤字続きでも税金を滞納していても売掛先に問題なければ資金調達できます。しかし、売掛債権担保融資の場合は利用者の信用力も判断基準のひとつになるため、経営状態が悪い場合はファクタリングを利用するのがおすすめです。
ファクタリングでの資金調達が向いている個人事業主・中小企業の特徴
資金調達の方法はさまざまですが、そのなかでもファクタリングの利用が向いている個人事業主・中小企業には以下の特徴があります。
- 急いで資金調達したい
- 銀行から融資を断られた
- 黒字倒産を回避したい
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
特徴①急いで資金調達したい
急いで資金調達したい場合は、最短即日で資金調達が可能なファクタリングの利用がおすすめです。銀行融資のように審査に時間がかかったり、担保・保証人を用意したりする必要がありません。
条件によっては申し込みから2時間程度で入金される場合もあります。急な支払いが必要になったとき、ファクタリングを利用すれば柔軟に対応できます。
特徴②銀行から融資を断られた
ファクタリングは、銀行から融資を断られた個人事業主・中小企業におすすめの資金調達法です。銀行の審査に通らない理由としては、赤字決算や税金滞納など経営状況が心配されているケースが挙げられます。融資は返済義務が発生するため、経営状況に不安材料があると断られる可能性が高くなります。
一方、ファクタリングの審査対象は売掛先企業です。利用者の経営状況が悪くても、売掛先の経営状況に問題がなければ資金を調達できます。また、開業して間もない企業も銀行の審査はハードルが高いため、ファクタリングでの資金調達が有効です。
特徴③黒字倒産を回避したい
売上があるにもかかわらず、決済前に現金がなくなれば黒字倒産になります。このような資金不足に悩む個人事業主・中小企業は少なくありません。ファクタリングを利用すれば決済前に人件費や仕入れ費などの支払いが必要になっても、黒字倒産を回避できます。
即日資金調達ができるおすすめのファクタリング会社6選
ファクタリング会社によって手数料や入金スピードなどは異なります。今回は、即日資金調達できるおすすめのファクタリング会社を6つ紹介します。
ファクタリング会社名 | ベストファクター | JBL | 日本中小企業金融サポート機構 | ビートレーディング | みんなのファクタリング | OLTA(オルタ) |
取り扱いサービス | 2社間・3社間 | 2社間・3社間 | 2社間・3社間 | 2社間・3社間 | 2社間 | 2社間 |
手数料 | 2社間:5%~ 3社間:2%~ |
2%〜 | 1.5%〜10% | 2社間:4%~12%程度 3社間:2%~9%程度 |
不明 | 2%〜9% |
入金スピード | 最短即日~3営業日程度 | 最短2時間 | 最短即日 | 最短2時間 | 最短1時間 | 最短即日 |
利用額 | 30万円~売掛先1社につき1億円 | 最大1億円 | 無制限 | 3万円~無制限 | 最大50万円 | 無制限 |
申し込み方法 | 電話・Web・出張訪問 | 電話・Web・メール・LINE | 電話・Web・メール | Web・対面 | Web | Web |
自社に合っているファクタリング会社を見つけられるよう、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
ベストファクター|柔軟な審査で買取り率92%!多くの事業主・企業が利用しやすい
※画像引用:ベストファクター公式サイト
ベストファクターは業界最高水準の買取り手数料を強みとするファクタリング会社です。買取り手数料は2%〜となっており、調達できる資金を増やしたい企業におすすめです。
公式サイトには、7つの項目に答えるだけで買取り手数料を診断できる「簡易診断シミュレーター」があります。申し込む前に実際に入金される金額を把握できるため、資金計画を立てやすくなるでしょう。
また、ベストファクターでは電話診断にも対応しています。買取り可能かどうかが5分でわかるので、審査結果の待ち時間を短くできます。
「売掛債権を買取ってもらえるのか?」「買取り手数料はいくらなのか?」などを一刻も早く把握し、スピード感のある入金を目指したい企業におすすめです。
取り扱いサービス | 2社間・3社間 |
手数料 | 2%〜20% |
入金スピード | 最短即日〜3営業日程度 |
調達可能金額 | 売掛先企業1社につき1億円まで |
審査通過率 | 92.2% |
審査時の必要書類 | ・身分証明書 ・入出金の通帳 ・請求書 ・見積書 |
公式サイト | https://bestfactor.jp/ |
JBL | 最短2時間で資金調達ができるAIファクタリング!
※画像引用:JBL公式サイト
JBLは株式会社日本ビジネスリンクスが運営するファクタリング会社です。
最大の特徴は、申し込みから入金まで最短2時間という業界最速級のスピード対応です。すべての手続きがオンライン上で行われるため、来店したり書類を郵送したりする手間がありません。即日対応率は87%と高い水準を誇っており、「すぐに現金が必要」というときにおすすめです。
また、JBLではAIによるオンライン査定を行っています。5項目をクリックするだけで、たった10秒で手数料や資金調達額がわかります。だいたいの見積もりを把握できるため、他社と比較したいときに便利です。
ファクタリングの申し込みは公式サイト・電話・メール・LINEからできます。急なトラブルでまとまった現金が必要になったときも、JBLなら早期対応が可能です。
取り扱いサービス | 2社間・3社間 |
手数料 | 2%〜 |
入金スピード | 最短2時間 |
調達可能金額 | 最大1億円 |
審査通過率 | 90%以上 |
審査時の必要書類 | ・身分証明書 ・入出金の通帳 ・請求書 ・決算書 ・取引先との成因書類 |
日本中小企業金融サポート機構|買取り可能額に下限なし!小額の資金調達におすすめ
※画像引用:日本中小企業金融サポート機構公式サイト
日本中小企業金融サポート機構では、買取り可能額に上限下限を設けていません。少額ファクタリングも利用できるので利便性が高く、使い勝手の良いファクタリング会社といえます。
また、日本中小企業金融サポート機構は関東財務局長及び関東経済産業局長が認定する「経営革新等支援機関」です。ファクタリングサービスを提供するだけでなく、経営全体のサポートも行っています。資金繰りなど経営に関する悩みを相談できるので、経営者にとって頼りになる存在です。
ファクタリング会社によっては印鑑証明書・納税証明書・確定申告書などが必要ですが、日本中小企業金融サポート機構なら必要書類は4点のみです。必要書類をそろえるのに時間がかからないところも、利用するうえで嬉しいポイントです。
取り扱いサービス | 2社間・3社間 |
手数料 | 1.5%〜10% |
入金スピード | 最短即日 |
調達可能金額 | 無制限 |
審査通過率 | 95%以上 |
審査時の必要書類 | ・身分証明書 ・入出金の通帳 ・請求書 |
ビートレーディング|注文書ファクタリング取り扱いあり!早く資金調達できる
※画像引用:ビートレーディング公式サイト
ビートレーディングはオンライン契約を導入するファクタリング会社です。手続きが簡素化されているため、申し込みから最短2時間で入金が可能です。また、審査は必要書類を2点のみ用意するだけで申し込みできます。見積もりの内容に納得できなければキャンセルもできるので、気軽に申し込めるところも魅力のひとつです。
ビートレーディングは月間契約数が1,000件、これまで5.2万社以上(2023年9月時点)との取引実績があります。さらに、最大買取り率は98%と業界でも高めで手数料がリーズナブルです。一人ひとりのニーズに合わせて柔軟に対応してくれるので、他社で断られた人も利用しやすいのが特徴です。
申し込みはWeb・電話・LINEから行えるため、自分の環境に合わせて申し込み方法を選択してください。LINEでは30秒で見積もりが取れるため、どれくらいの資金が調達できるのか瞬時にわかります。ファクタリングに関する疑問もチャット形式で回答してくれるので、初めて利用する人も安心です。
取り扱いサービス | 2社間・3社間 |
手数料 | 2社間:4~12%程度 3社間:2~9%程度 |
入金スピード | 最短2時間 |
調達可能金額 | 3万円~無制限 |
審査通過率 | 98% |
審査時の必要書類 | ・請求書など売掛債権に関する資料 ・入出金の通帳 |
みんなのファクタリング|オンラインファクタリングが可能!最短60分で資金化できる
※画像引用:みんなのファクタリング公式サイト
みんなのファクタリングは2社間に特化したファクタリング会社です。早期資金化を得意としており、申し込みから入金まで最短1時間で完了します。18時30分までに依頼すれば、土日祝でもその日のうちに振込まれるので、急に現金が必要になったとき当てにできます。
また、債権譲渡登記・事務手数料・振込み手数料などの費用がかからず、低コストで利用できるのもみんなのファクタリングのメリットです。
加えて、みんなのファクタリングでは償還請求権のないノンリコース契約を行っています。売掛先が倒産したとしても利用者に支払いを請求することはないので、売掛先の倒産リスクに備えられます。
取り扱いサービス | 2社間 |
手数料 | 不明 |
入金スピード | 最短1時間 |
調達可能金額 | 最大50万円 |
審査通過率 | ― |
審査時の必要書類 | ・身分証明書 ・入出金の通帳 ・請求書 |
OLTA(オルタ)|一部買取りも可能!融通が利きやすいファクタリング会社
※画像引用:OLTA公式サイト
OLTAは2社間取引に特化したオンライン型のファクタリング会社です。売掛先に周知する必要がないうえにオンライン上で完結できるため、最短即日でスピーディーな資金調達が可能です。「今日中にまとまった現金が必要」というときも、OLTAなら安心して任せられるでしょう。
また、手数料が2%~9%とリーズナブルなところも、多くの人に選ばれる理由のひとつです。AI審査やオンライン完結によって人件費をカットし、手数料相場である8%~18%より圧倒的に安い手数料を実現しています。
買取可能金額に下限・上限がなく、個人事業主・中小企業・大企業まで幅広く対応できるのもOLTAの強みです。
取り扱いサービス | 2社間 |
手数料 | 2%〜9% |
入金スピード | 最短即日 |
調達可能金額 | 無制限 |
審査通過率 | ― |
審査時の必要書類 | ・身分証明書 ・昨年度の決算書一式 ・入出金明細 ・請求書 |
【Q&A】ファクタリングでの資金調達に関するよくある質問
最後に、ファクタリングに関するよくある質問を見ていきましょう。
違法業者を見分けるポイントはありますか?
違法業者には、以下5つの共通点があります。
- 給与ファクタリングの取り扱いがある
- 分割払いに対応している
- 手数料が不明瞭である
- 契約書がない
- 本社の基本情報(所在地・電話番号など)が不明
ひとつでも該当する場合は違法業者の可能性が高いため、利用・契約を避けましょう。
銀行系ファクタリングを利用したほうが安全ですか?
銀行は銀行法に定められた金融機関で信頼性が高く、提供しているファクタリングも安心して利用できます。
ただし、銀行系ファクタリングは審査が厳しいため、「審査に通りにくい」「入金まで時間がかかる」などのデメリットがあります。ノンバンク系のファクタリングサービスにも優良業者は多く、違法業者・悪徳業者はほんの一部です。安全性・信頼性を重視するなら銀行系、スピード・審査の通りやすさを優先するならノンバンク系を選びましょう。
売掛金を回収できないとファクタリング会社から取り立てられますか?
取り立てられないケースと、取り立てられるケースがあります。
取り立てられないケースは償還請求権がないファクタリングを利用した場合です。売掛先の倒産などにより売掛金を回収できなかったとしても、ファクタリング会社から支払いを求められません。
しかし、償還請求権があるファクタリングを利用した場合は、請求に伴い発生した支出も含めて、ファクタリング会社に対して全額返金する必要があります。ファクタリング会社のなかには、悪質な取り立てを行う違法業者がいるのも事実です。償還請求権があるファクタリングを利用する場合は、ファクタリング会社についてしっかり調べましょう。
ファクタリングは即日資金調達が可能!優良業者を利用しよう
ファクタリングは売掛債権を即日現金化できる資金調達法です。売掛債権を売却するだけなので、融資や借入れとは違って負債を抱えずにまとまった資金を調達できます。ファクタリングを利用すれば売掛債権を入金期日前に現金化できるため、キャッシュフローの枯渇や黒字倒産のリスクを回避するのに有効です。
入金スピードや手数料などは、ファクタリング会社によって異なります。また、ファクタリング会社のなかには違法な取り立てや、法外な手数料を請求する違法業者が潜んでいることもあります。安心して利用するためには違法業者と優良業者を見極め、信頼できるファクタリング会社を選ぶのが重要です。
今回の記事で紹介したファクタリング会社は、いずれもコンプライアンスを重視した優良業者です。特に、ベストファクターは柔軟な審査で買取り率が高く、スピーディーな対応を得意としています。見積もり・相談は無料ですので、急ぎの支払いや資金繰りで困っている場合は気軽にお問い合わせください。