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資金調達の際に被害に遭いやすい詐欺を紹介!特徴や対処法を徹底解説!
「急ぎで資金調達が必要になったから個人間の融資でもよいのかな」「資金調達時に気を付けるべき点はある?」など、資金調達に関する悩みや疑問を持っている方も多いでしょう。
資金調達の方法は数多くの種類があり、初めての資金調達では不安を抱えてしまいます。複雑な資金調達の仕組みを悪用した詐欺が増加しており、被害に遭う方が多いです。特に資金調達が必要となる状況では、落ち着いた状態で判断ができず誤った選択をしてしまうケースが見られます。
資金調達が必要となった際には、落ち着いて冷静な判断を下すことが大切です。
本記事では、資金調達時に多い詐欺被害の特徴・被害に遭わないための方法・被害に遭った際の対処法について解説します。記事の内容を頭の片隅に置いて、資金調達時に詐欺被害に遭わないよう役立てましょう。
記事の目次
資金調達する時に多い詐欺はどのようなものがある?
主な資金調達詐欺のパターンは以下の3つです。
- 融資詐欺
- 書類偽造による詐欺
- ファクタリング詐欺
緊急で資金が必要になり焦っている状態の場合「一刻も早く資金調達をしなければ」と判断が鈍ってしまいます。詐欺被害に遭うと資金調達するどころか、逆に資金繰りに困るケースが少なくありません。本末転倒な事態に陥らないためにも、詐欺のパターンを把握して被害に遭わないようにしましょう。
融資詐欺
資金調達の際に遭いやすい詐欺被害の1つ目は、融資詐欺です。
融資をする際には、さまざまな手段を用いた詐欺があります。よくあるケースは以下の通りです。
- 融資前に保証金の振り込みを求められる
- 高額な手数料や利息を請求される
- 審査不要を謳っている
- 有名企業・金融機関名を騙る
法務省のデータによると、特殊詐欺全体では女性が7割以上を占めており、65歳以上の方で被害に遭うケースが大半です。しかし条件付きの融資詐欺の中でも、融資をすると見せかけて保証金の支払いを求める融資保証金詐欺は、40代未満の若い世代でも被害が増加しています。融資保証金詐欺に遭う被害者に男性が多く、油断できない詐欺形態です。
特殊詐欺による被害額は平成26年をピークに減少していますが、融資保証金詐欺による被害額はほぼ一定を保っています。令和2年の融資保証金詐欺による被害額は4億円ほどです。
融資保証金詐欺は毎年一定の被害者がいるため侮れません。「若い人に被害者が多いけど、自分は大丈夫だ」と油断していると被害に遭いやすいため注意しておきましょう。
融資保証金詐欺についてまとめていますので、以下の記事を参考にしてください。
融資保証金詐欺とは?実際の事例と騙されないための対策方法を解説!
書類偽造による詐欺
書類偽造による詐欺は被害者が詐欺師と共謀しており、警察に被害届を出しにくいといった特徴があります。
書類偽造詐欺の一例は以下の通りです。
- 詐欺師が被害者に、200万円の融資のための保証金として100万円の振り込みを求める
- 詐欺師・被害者が共謀して書類を偽造し、金融機関から100万円の融資を受ける
- 被害者は200万円の融資のための保証金として、詐欺師に100万円振り込む
- 100万円を振り込んだあと、詐欺師が音信不通になる
そのほかに、企業単体で融資を受けるために書類偽造して逮捕された事例もあります。朝日新聞によると2019年に嘘の決算書を提出して、1億円の銀行融資をだまし取った装飾品販売会社の元社長が逮捕されました。
弁護士が選ぶ刑事弁護人の事例では、依頼人と共犯者で架空の会社を立ち上げて融資名目で銀行から金銭をだまし取ろうとしていました。しかし依頼人は罪悪感に耐えられず、事件になる一歩手前で弁護士とともに自首をして警察の捜査に協力します。その結果、依頼人は詐欺罪や詐欺未遂罪に問われず、逮捕されませんでした。
自首したため罪に問われなかった事例もありますが、書類偽造に加担すると、詐欺罪・公文書偽造・私文書偽造といった罪に問われます。資金繰りに困窮していたとしても、絶対に書類偽造は行わないようにしましょう。
ファクタリング詐欺
近年、資金調達方法として注目されているファクタリングですが、以下のような詐欺被害に遭うケースが見られます。
- 違法な給与ファクタリングを利用してしまった
- 法外な手数料を請求された
- 貸金業に登録していないファクタリング会社で償還請求権ありの契約を結んでしまった
給与ファクタリングは、2021年に東京地裁で違法との判決が下されました。手数料として年利換算数百%~数千%の違法な金利が発生するため、利用すると経済的困窮・厳しい取り立てといったトラブルに巻き込まれるリスクが高いです。
ファクタリングは規制が少ないため、中には悪質がな業者も存在しています。法外な手数料を請求するファクタリング業者には注意しましょう。
ほかにも、償還請求権ありのファクタリング契約はファクタリング会社が貸金業に登録している必要があります。償還請求権ありの契約は違法業者である可能性が大きいため、契約を中断して慎重に検討しましょう。
資金調達する時によくある詐欺の特徴
資金調達する時によくある詐欺の特徴は以下の5つです。
- SNSで融資を希望する人を探している
- 手数料などが高すぎる
- 他と比較して条件が良すぎる
- 融資前に金銭の要求がある
- 信用実績のための融資を謳っている
それぞれの特徴について詳しく解説していきます。詐欺の特徴を知り、詐欺被害に遭う可能性を減らしておきましょう。
SNSで融資を希望する人を探している
SNSで融資を希望する人を探しているパターンは、ほとんどの場合詐欺です。
InstagramやTwitterで資金調達をした場合、個人情報が漏れてしまったりトラブルに巻き込まれたりする可能性が高いため注意が必要です。近年ではSNSを利用した詐欺被害が増加しており、金融庁のサイトには「SNS等を利用した個人間融資にご注意ください!」と注意するように呼びかけられています。
個人間の取引の場合だとしても貸金業に該当するため、国か都道府県からの貸金業登録を受けておかなければなりません。貸金業登録を済ませていない個人間で取引を行うと、貸金業の法律を守らず違法な融資を利用することになる可能性が非常に高いです。
SNSに有名な金融機関の広告が出ていると「聞いたことのある金融機関だから大丈夫だ」と申し込みをしてしまいたくなります。しかし、無許可で大手金融機関の名前を利用して偽の広告を貼り付けている場合が多く、本物か偽物かを見分けることが大切です。
広告をクリックしてみて、LINEへ誘導されたりSNSから直接申し込みできたりする形になっている場合は詐欺の恐れがあります。通常は公式ホームページなどの公式サイトに移る場合がほとんどです。遷移したページから会社情報などを確認した上で申し込みましょう。
また、この場合の広告は「人数限定のキャンペーン」など、なにかしらのキャンペーンを謳っているため、公式サイトからキャンペーン情報を確認する手段が有効です。
手数料・利息が高すぎる
手数料・利息が高すぎる場合も、詐欺の可能性があるため注意が必要です。
金融庁によれば融資などで資金調達をする場合の金利は、最大20%までと法律上で定められています。そのため、融資を受ける際に20%以上の金利がかかる場合は違法です。法律の改正がされるまでは29.2%が上限に定められていましたが、平成22年6月18日以降は上限が20%に変更されている点に注意しましょう。
ファクタリングの場合、貸金業とは異なるため20%の上限が適用されません。ファクタリングの手数料の相場は金額やファクタリング方法によって異なりますが、1%~20%程度に設定されている場合がほとんどです。基本的には返済の踏み倒しリスクの少ない3社間ファクタリングの方が手数料が安く設定されています。
ファクタリング手数料が高い場合でも、手数料が20%を大幅に超えるようなファクタリング会社は詐欺を目的としている恐れがあるため、避けるべきでしょう。
他と比較して条件が良すぎる
他と比較して条件が良すぎる場合も詐欺の可能性を疑うべきです。
たとえば「手数料0.5%で融資の上限金額なし」「審査なしで即日融資」などをアピールしている場合は、条件が良すぎるため詐欺の恐れがあります。融資をする側の立場で考えると、手数料0.5%や審査なしというのはリスクが大きすぎます。そもそも融資をする場合には、返済能力の審査を行うように義務付けられています。そのため、審査がないというのはあり得ません。
このように条件が良すぎる場合は、そもそもお金を融資するつもりがなく契約前にお金を要求されるだけでしょう。
金融機関などが融資を提供しているのは、利子分を利益として獲得するためです。利息が出なかったり返済の踏み倒しリスクがあったりする場合に融資を行っていると利益を得られません。経営が成り立たなくなるような条件の場合は注意しましょう。
融資前に金銭の要求がある
融資前に金銭の要求がある場合は、詐欺の可能性が非常に高いです。
通常、資金調達を行う場合には融資よりも前に金銭を要求されません。資金調達詐欺は多くのケースで、融資よりも前に「保証金」「手数料」などの名目を称してお金を要求されます。「こちらでは融資できませんが、他の会社を紹介できます」といって、実在する金融機関を紹介して紹介料として金銭を要求されるような場合もあります。
融資前にお金の要求があった場合には、警察や国民生活センターに相談してみましょう。
信用実績のための融資を謳っている
「信用実績のために融資を行っている」と謳っているような場合には、詐欺の可能性が高いため注意が必要です。
今までにローンやカードの使用履歴がないため融資が受けられない方に対して、信用実績を作るためと称して融資をしようとする詐欺があります。「実績を作るためだから、利子が高くても大丈夫」と考えてしまい、詐欺被害に巻き込まれる可能性があります。信用実績を作るために、高利子で少ない額から融資をスタートして徐々に融資金額を大きくしていき、詐欺に至るケースが多いです。
「信用実績がないと融資ができないため、まずは実績を作りましょう」などといい、こちら側にメリットがあるような言い回しで勧誘されます。
しかし、通常の金融機関では信用実績がないからといって実績を作るために融資を行うことはありません。もし信用実績を作るための融資を見かけたら、それは詐欺ですので手を出さないように注意しましょう。
資金調達に見せかけた詐欺に遭わないための方法
資金調達に見せかけた詐欺に遭わないための方法は以下の4つの方法があります。
- WebやSNSで調査する
- 貸金業登録の有無を確認する
- 契約書や会社情報を確認する
- 個人間の融資を避ける
早急に資金調達をしなければならない場合、判断が鈍って詐欺被害に遭う可能性が高まります。そのため、急いでいる時こそ上記の4つを確認しながら資金調達を行いましょう。
WebやSNSで調査する
資金調達に見せかけた詐欺に遭わないための方法1つ目は、WebやSNSで調査する方法です。
融資を受ける際に少しでも怪しいと感じたら、WebやSNSで会社名・代表者氏名・電話番号などを検索してみましょう。既に被害に遭っている方がいれば、検索した際に被害報告などが検索結果として出てきます。WebサイトやSNSを調査して会社情報がまったく出てこない場合は、詐欺の可能性があるため利用はおすすめできません。
検索結果が多く出てきて信頼できそうだと思っても、他に同じ名前の企業が多くあるような会社名にしているケースが多いため安易に信用してはいけません。たとえば「株式会社アシスト」という企業名は日本中に数多く存在しており、その中に詐欺会社が1つあったとしても他の企業に埋もれてわからない場合があります。
また、Webサイトで検索した際に肯定的な内容が書かれている記事があっても、簡単に信用してはいけません。Webサイトは誰でも作れることから嘘の情報が記載されている可能性があり、複数のWebサイトやSNSをチェックした上で利用を検討しましょう。
貸金業登録の有無を確認する
資金調達に見せかけた詐欺に遭わないための方法2つ目は、貸金業登録の有無を確認する方法です。
融資をする個人や企業は、都道府県に貸金業登録をしておかなければ融資を行えません。そのため融資での資金調達の場合に限りますが、貸金業登録の有無を確認する方法は有効です。
貸金業登録をしている個人や企業であるかを確認するためには、金融庁が提供している「登録貸金業者情報検索サービス」を利用するのがおすすめです。このサイトに名前が載っていない個人や企業が融資をしようとしていれば詐欺だとわかります。
融資を提供している会社の貸金登録番号は、会社のホームページに記載してあります。また、登録番号・所在地・商号・名称・代表者名・電話番号の中から一部の情報でも検索できるため、簡単に調べられるでしょう。
契約書や会社情報を確認する
資金調達に見せかけた詐欺に遭わないための方法3つ目は、契約書や会社情報を確認する方法です。
会社情報で確認するポイントは、以下の通りです。
- 公式サイトが存在しているか
- 公式サイトに住所・所在地が明記されているか
- 実在する住所か
- 電話番号が他社・個人のものでないか
会社の住所が嘘の記載である場合は、資金調達をしたい方をターゲットとした詐欺の可能性が高いです。実際に存在しない住所の場合には、面談を要求してみるとよいでしょう。
契約書の内容は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 利息・手数料が法外ではないか
- 設定されている金利は適切か
- 償還請求権などの疑わしい記載はないか
契約書に記載の内容がおかしいと感じたら契約を取りやめるべきです。
契約書の内容以前に、契約書がないまま融資を進めようとしてくる場合は詐欺の可能性が高いです。「なるべく早めに融資をするために契約書は省きます」など、それらしい理由を付けて契約を推し進めてくる場合がありますが、そのまま契約するのはおすすめできません。契約書がないまま融資を受けると、後々のトラブルにつながる恐れがあります。
個人間の融資を避ける
資金調達に見せかけた詐欺に遭わないための方法4つ目は、個人間の融資を避ける方法です。
個人間の融資はリスクが高いため、WebやSNS上で融資希望者を募っているような個人と取引するのはおすすめできません。WebやSNS上では相手についての情報が少なく、信頼できる人かそうでないかを見分けるのが困難です。
信頼できるようなプロフィールだったり、とても条件がよい融資だったりしても、相手の顔もわからないSNS上の個人と取引するのはリスクが大きすぎます。もし犯罪に巻き込まれるなどの重大が発生すると、信頼性に大きな影響を与える恐れがあります。
資金調達をする際にはリスクの大きい個人間の融資よりも、金融機関や投資家などの信頼できる相手から融資を行ってもらいましょう。
資金調達で詐欺被害に遭った場合の対処法
もし資金調達の時に詐欺被害に遭ったら、どのように対処すればよいのでしょうか。
資金調達時に詐欺被害に遭った場合、「警察に被害届を提出する」「無料の相談窓口に連絡する」という2つの方法があります。
詐欺被害の拡大を防ぐためにも、早めに相談して対処するのが大切です。それぞれの方法を解説していきます。
警察に被害届を提出する
資金調達で詐欺被害に遭ったら、警察に被害届を提出するのが大切です。
警察に被害届を提出すれば、警察は詐欺グループの捜査に踏み切れます。詐欺グループを捕まえたとしても、詐欺被害に遭って取られたお金が戻ってくる可能性は低いです。しかし、被害届を出さずに詐欺グループを野放しにしておくと、今後も被害者が増えたり身内が詐欺被害に遭ったりするなどの可能性も考えられます。そのため、詐欺被害に遭った場合は警察に被害届を提出して被害の拡大を防ぎましょう。
被害届の提出をする際には、証拠となる取引のメッセージや詐欺グループの口座情報などの提出が必要になるため、あらかじめ準備しておくのがおすすめです。
資金調達詐欺の疑いがあるなら、すぐに警察に相談して対応を検討しましょう。
無料の相談窓口に連絡する
資金調達で詐欺被害に遭ってしまった場合には、無料の相談窓口に連絡するのがおすすめです。
資金調達時の詐欺被害に関する無料の相談窓口は以下の3つがあります。
- 消費者ホットライン
- 国民生活センター
- 総合相談センター
消費者ホットラインは契約や悪質商法におけるトラブルや製品・食品・サービスによる事故などの相談に対応しています。地方公共団体が設置している身近な消費生活相談窓口に案内してくれるサービスで、3桁の電話番号「188(イヤヤ)」で簡単に連絡を取れるため、悩んでいる方は相談してみましょう。
国民生活センターはトラブル時の調査・消費者への情報提供などを行って、消費者被害の未然防止や拡大防止をしている機関です。国や全国の消費生活センターなどとの連携により、幅広く対応しています。
総合相談センターは詐欺被害の可能性がある場合に相談可能です。各地方自治体が行っており、法律相談・家庭問題などの専門相談にも対応しています。
資金調達で詐欺に遭わないように気を付けよう
急に資金調達が必要になり、すぐにでも融資できるところを探していると判断を誤ってしまいがちです。急ぐ気持ちもわかりますが、詐欺被害に遭ってしまうと元も子もなくなります。
資金調達時の詐欺に多い特徴である、個人間の融資・条件が良すぎる・融資前に金銭の要求があるなどを知っておけば「詐欺ではないか?」と早期に気付ける可能性があります。また、Web上での調査をする・契約書を交わす・個人間融資は避けるといった基本的なポイントを守りましょう。本記事で紹介した内容を意識しながら資金調達をすれば、資金調達詐欺に遭う可能性を減らせます。
もし資金調達時に詐欺に遭ってしまった場合には、警察や無料相談窓口で相談するのがおすすめです。急ぎの資金が必要でも詐欺には用心し、安全で信頼性の高い金融機関・ファクタリング会社などから資金調達を行いましょう。