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フリーランスは会社員より自由度の高い働き方ができる一方で、金融機関からお金を借りる際には不利になる属性です。しかし、フリーランスとして独立開業したい人・独立開業している人の中には、事業資金として借入を検討している人も多いでしょう。
お金を借りるなら銀行融資の利用が思い浮かびますが、フリーランスが資金調達する方法はそれだけではありません。とは言え、資金調達の経験がなくどのような方法が自分に適しているかわからない人も多いと思います。
そこで、本記事ではフリーランスがお金を借りる方法15選を紹介するとともに、有利にお金を借りる方法や注意点も解説していきます。フリーランスでもお金を借りる方法は多いので、本記事を参考にして資金調達を実現しましょう。
記事の目次
フリーランスがお金を借りるのは難しい?
フリーランスは自由な働き方ができる一方で、サラリーマンに比べ社会的信用度が見劣りすることは否めません。事実、フリーランスが個人ローンをお金を借りるのは難しい現状があり、クレジットカードでは作れる種類が限られることもります。
また、法人や個人事業主ほど事業に特化しているわけではないので、事業資金を借りることも簡単ではありません。
つまりフリーランスは個人ローンも事業資金も借りるのが難しい属性だといえます。
ここでは、フリーランスがお金を借りるのが難しい原因を紹介していきます。
フリーランス・個人事業主・自営業者の違い
フリーランス・個人事業主・自営業者の違いは以下の通りです。
フリーランス | 特定の会社・団体に属さずに業務を行う、働き方を指す言葉。あくまで働き方を表す呼称で、法律(税法)による区分ではない |
個人事業主 | 継続して事業を行う個人で、税務署に開業届を提出している税法上の区分 |
自営業者 | 明確な定義はないが会社に属さずに自ら独立して個人で事業を営む方のことで、個人事業主やフリーランスだけでなく会社経営者なども含む |
それぞれの関係を整理すると、フリーランスは働き方を意味する言葉なので個人や法人も含みます。企業に属さず独立して仕事を請け負っていれば、個人・法人問わずフリーランスとなるのです。そのため、会社(法人)や団体に属さないフリーランスでも法人化は可能です。
また、個人事業主であっても働き方いかんでフリーランスに含まれます。しかし、あくまでも個人事業主は開業届を税務署に提出した個人なので、法人化した個人は含みません。
一方、自営業者は属さずに自ら独立して事業を営む方のことなので、そういった意味合いではフリーランス・個人事業主ともに自営業者に含まれます。意味合いとしてはフリーランスに近いですが、経営者が含まれる点が大きな違いです。
最近では「フリーランスは自宅やカフェなどで自由な働き方をする個人」を指すのが一般的です。
税務上や銀行融資では「個人事業主」として扱われます。
フリーランスは収入が不安定なのでお金を借りるのが難しい
フリーランスは収入が不安定なケースが多く、個人ローンを借りるハードルは会社員より高めです。安定した報酬を得ているフリーランスもいる一方で、会社員のような給与の安定性がないことは否めません。事実、内閣官房が行ったフリーランス実態調査結果を見ると、収入が少ない・安定しないと回答したフリーランスが6割もいたのです。
消費者金融や銀行などでは貸倒れを防ぐために、大半の場合は安定収入を最低条件として設定します。そのため、収入が不安定になりがちなフリーランスは、お金を借りるのが難しいケースがあるのです。
フリーランスは仕事が不安定なのでお金を借りるのが難しい
フリーランスがお金を借りるのが難しいのは、仕事が不安定といった理由も挙げられます。金融機関は利用者の安定した返済能力を重視するため、仕事が不安定で収入が途切れるリスクがあると審査通過は困難です。
金融機関からお金を借りるなら、過去の実績などで返済能力があると示しましょう。
事業と生活が一体化しているので借りるのが難しい
フリーランスは自宅などで仕事をするため、事業と生活が一体化している属性です。
そのため、生活費と事業の支出の区分が曖昧です。
例えば、マイカーを事業の営業にも使用している場合、そのガソリン代のうちどこまでが生活費でどこからが事業支出なのかを明確に区分することはできません。
ところが事業資金は事業の経費にしか使用できませんし、個人向けローンで借りたお金は事業の支出に使用することは不可能です。
にもかかわらずフリーランスは事業と生活が一体化しているため、審査では「生活費と事業の経費が区分されているか」という点が非常に厳しく審査されます。
税金対策として生活費として事業の経費に混ぜ込んでしまっている場合には、審査に通過することが難しくなるでしょう。
フリーランスは個人向けローンと事業資金の2つの融資を借りられる
フリーランスは個人でありながら事業者でもあるので、住宅ローンや自動車ローンやフリーローンなどの個人むけローンと、事業の運転資金や設備資金の2つの融資を借りられる属性です。
個人の消費にお金が必要な場合には個人向けローン、事業の運転資金や設備投資に利用する場合には事業資金というように使い分けるのが一般的です。
なお、それぞれ審査対象は以下のように異なります。
- 個人向けローン:個人の収入や安定性と個人信用情報
- 事業資金:事業の収益や売上や経費の金額
個人事業主として、個人の収入があり信用情報に問題なく、事業の売上や仕入れも一定規模なのであれば、どちらの資金も借りることは可能です。
しかし、税金対策のためなどで意図的に赤字にしている場合には、個人向けローンも事業資金も借りることは難しくなります。
一般金融サービスを利用したフリーランスがお金を借りる方法
一般金融サービスを利用したフリーランスがお金を借りる方法には、以下のようなものがあります。
- 銀行融資でお金を借りる
- 信用金庫の融資でお金を借りる
- 事業用クレジットカードのキャッシングでお金を借りる
- ビジネスローンでお金を借りる
それでは、フリーランスがお金を借りる方法について解説していきます。
銀行融資でお金を借りる
フリーランスがお金を借りる方法として最もポピュラーなのが銀行融資です。ただし、銀行の主な取引先は大手企業・中小企業となっており、フリーランスもお金を借りることはできますが簡単ではありません。また、銀行と言ってもメガバンク・市銀行・地方銀行では、お金を借す対象や方針が異なります。
事業規模の小さなフリーランスがメガバンクに相談に行っても相手にされない可能性があるので、まずは地方銀行や信用金庫へ相談にいきましょう。
銀行融資は大きく分けてプロパー融資と保証付融資の2つの種類があります。
プロパー融資と保証付融資では以下のようにお金を借りる難易度が異なります。
プロパー融資 | 金融機関が事業融資を行う場合に、自身の責任で実行する融資 |
保証付融資 | 信用保証協会が保証をしている融資。万が一、返済が滞った場合は、信用保証協会が金融機関に立て替え払いを行う |
プロパー融資は難易度が高いので、フリーランスが銀行融資でお金を借りる際には、地方銀行+保証付融資の組み合わせでの検討をおすすめします。なぜならば、地方銀行の方がメガバンクより審査が緩い傾向があるからです。また、保証付融資を利用すれば、万が一返済が滞った際に信用保証協会が立て替え払いを行ってくれるので、お金を借りやすくなります。
申し込みから融資までの期間は2週間~1ヶ月程度、金利は1%~3%ほどが相場です。金利についてはあくまで目安であり、信用力によって大きく変動します。
銀行融資は、事業を拡大したいなどまとまった資金が必要なシーンで検討しましょう。ただし、50万円~100万円の小口のお金を借りる場合には不向きです。
なお、フリーランスが銀行融資でお金を借りる流れは以下の通りです。
- お金を借りる銀行に申し込む
- 銀行から指定された書類を提出
- 銀行側の担当者と面談
- 審査
- 契約
- 融資実行
最初のステップはどの銀行からお金を借りるかになるので、フリーランス向けの融資を行っている銀行を選ぶようにしましょう。
銀行融資のメリット
銀行融資には以下のメリットがあります。
- 金利が低い
- 継続的に取引できる
- 高額の借入が可能
銀行融資の金利は1%〜3%程度ですので、最も低コストで調達できる借入方法の1つだと言っても過言ではありません。
また、一度融資取引をおこなうと、毎年確定申告書を銀行へ提出しなければなりません。
そのため銀行と継続的に関係性を構築することができます。
一度、メインバンクとして関係性を構築してしまえば、新しい融資制度や補助金ができたときなどに自社に有利な情報を提供してもらえますし、いざ資金繰りに困った際にも、スピーディーに資金を用意してくれる可能性があります。
銀行融資では年商を超えるような大きな金額を借りることも可能なので、大きな設備投資をする際などにも活用できるでしょう。
銀行融資のデメリット
銀行融資には以下のデメリットがある点も頭に入れておきましょう。
- 担保や保証人を求められる場合がある
- 業況悪化時には返済を求められることもある
- 経営に関与される
- 営業がしつこいことがある
プロパー融資を利用する場合には、担保や保証人がないと借入ができない場合があります。
また、プロパー融資を利用している企業が業況が悪化した際には、銀行にとって大きな損失が発生する可能性があるので、融資金の一括返済を求められる可能性もあります。
さらに、一度融資取引をおこなうと、毎年確定申告書を提出して決算状況を確認されるので、業況が悪い場合には、経営に口を出されることも少なくありません。
反対に、業況がよい場合には、銀行員のノルマのために「お金を借りてくれ」という営業がいつこく来ることもあるようです。
信用金庫の融資でお金を借りる
信用金庫の融資も、フリーランスがお金を借りる方法です。銀行が企業を主な取引先にしているのに対し、信用金庫は地域の繁栄を目的とており、中小企業や個人を主な取引先にしています。そのため、運転資金や設備投資のための資金を必要とする場合であれば、フリーランスへの融資も積極的です。
申し込みから融資までは2週間~1ヶ月程度、金利の相場は2%~5%となっています。借入可能額は10万円~5,000万円と幅広く対応しているため、柔軟なニーズに対応可能です。
また、信用金庫もフリーランスのような小規模事業者に対して融資をおこなう際には、信用保証協会の保証をつけて融資をおこなうのが一般的です。
信用金庫の融資でお金を借りるのに向いているのは、その地域で事業を営んでいるフリーランスです。地域の発展・経済促進に関わる事業を行っているフリーランスなら、信用金庫と関係を築いておくと役に立つでしょう。そのため、予め信用金庫の会員になっておき、お金を借りる場合は最初に相談するのがおすすめです。
なお、フリーランスが信用金庫の融資でお金を借りる流れは以下の通りです。
- 信用金庫会員の申し込み
- 担当者が事業所を訪問
- 口座開設
- 融資申し込み
- 信用金庫側の担当者と面談
- 審査
- 契約
- 融資実行
地域の信用金庫がどこか調べたい場合は、全国信用金庫協会公式サイトで探すといいでしょう。
信用金庫のメリット
信用金庫のメリットは以下のとおりです。
- きめ細かく対応してくれる
- 少額の融資でも借りやすい
- 業況悪化の際も面倒見がよい
- 地域の経済事情に詳しい
信用金庫の職員は「顧客のところへ細かく訪問する」ことが仕事です。
そのため、融資手続きの際にも、大抵の場合は信金の職員が会社や事務所まで訪問してくれるので、わざわざ窓口まで訪問する必要がありません。
さらに、信金は融資のボリュームをそれほど求めているわけではなく、融資の件数を重視しています。
そのため、数十万円程度の非常に少ない金額の事業資金融資でも嫌な顔をせず、積極的に手続きをしてくれます。
少ない金額の融資を受けたいフリーランスに事業資金融資はおすすめです。
また、信金からお金を借りるということは信金の出資会員になるということです。
信金は会員を守ろうとしてくれるので、業況が悪化した際には、銀行よりも粘り強く取引企業の面倒を見てくれる傾向があります。
業況が悪化し銀行融資を断られた企業でも、信金と付き合っておけば運転資金を融資してくれる可能性があるでしょう。
信金職員は地域の企業をきめ細かく回っているので、地域の経済事情に精通しています。
そのため、信金と取引しておけば、メガバンクなどの大きな金融機関では知り得ない情報をいち早く知ることができる点も信金と取引するメリットです。
信用金庫のデメリット
信用金庫と取引することには以下のデメリットもあります。
- 大きな金額の融資が難しい
- 融資スピードが遅い
- 出資を求められることがある
- 担保や保証人を求められることがある
信金は規模が小さな金融機関ですので数億円単位の高額融資を受けることは不可能です。
ある程度事業規模が大きくなったら、メガバンクなどへ相談した方がよいでしょう。
また、信金の営業マンはそれほど融資知識があるわけではありません。
担当者によって個人差はあるものの、あらゆる場面で「上司に聞かなければ分からない」というケースが多いので、融資の際のスピードはどうしても遅くなってしまいます。
また、信金で融資を受けるには出資会員にならなければならない場合があります。
出資会員になるには5,000円以上(信金によって異なる)など、一定の金額が必要になるので、この点は銀行と比較してデメリットだと言えます。
なお、信用金庫もプロパー融資を受ける際には、担保や保証人の提供を求められることがあります。
事業用クレジットカードのキャッシングでお金を借りる
事業用クレジットカードのキャッシングを利用するのも、フリーランスがお金を借りる方法です。事業用クレジットカード(ビジネスカード)にキャッシング機能を付帯しておけば、万が一のときにATMでお金を借りられるので役に立ちます。
キャッシング機能さえ付帯していれば即日でお金が借りられますが、金利は2%~18%とやや高めになっています。
事業用クレジットカードのキャッシングでお金を借りるのに向いている人は、今すぐ資金を必要としているフリーランスです。10万円~50万円などの少額を借入・返済を繰り返すのが一般的な使い方と言えます。
なお、フリーランスが事業用クレジットカードのキャッシングで、お金を借りる流れは以下の通りです。
- 事業用クレジットカードへの申し込み
- 審査
- 契約
- 事業用クレジットカードを持ってATMに行く
- 利用限度額の範囲内でお金を借りる
フリーランス不可・キャッシング機能が付帯していない事業用クレジットカードもありますので、前もって確認してから申し込みましょう。
ビジネスカードのメリット
ビジネスカードでキャッシングするメリットは以下のとおりです。
- ATMですぐにお金を借りられる
- 使い道が自由
- 海外で現地通貨を引き出せる
クレジットカードにキャッシング枠をつけておけば、ATMですぐにお金を引き出すことが可能です。
カードの利用にATMが対応してさえいれば、日時や場所を選ばずにどんなタイミングでもお金を借りられるので、深夜や休日や出張先などで、急にお金が必要になった場合も、すぐに借入できます。
また、借りたお金は何に使用しても自由です。
銀行などからの借入が、資金使途を厳しく審査されることと比較すると、この点はクレジットカードのキャッシングのメリットだと言えるでしょう。
また、クレジットカードのキャッシング最大のメリットが海外ATMで現地通貨を引き出せるという点です。
クレジットカードの国際ブランドに対応している海外ATMであれば、海外においても現地通貨をキャッシングすることができます。
普段はクレジットカードでキャッシングをすることはないという方も、海外出張が多い方は海外用にキャッシング枠を作成しておくと便利でしょう。
カードローンでお金を引き出せるのは日本国内のみですので、この点はクレジットカードのキャッシングの大きなメリットだと言えます。
ビジネスカードのデメリット
ビジネスカードのメリットは以下の通りです。
- 金利が高い
- 返済が一括
- 高額の借入は難しい
- ショッピング枠が減少する
ビジネスカードの最大のデメリットが金利の高さです。
多くのカードで金利は15%〜18%程度と法定金利ギリギリの水準ですので、あまりにも多用すると確実に収益を圧迫します。
またビジネスカードは個人向けカードのように分割やリボ払いなどが認められていないものがほとんどです。
そのため、返済は原則として一括払いのみとなっています。
翌支払日には借りたお金を返済しなければならないため、一時的にお金が不足した時以外に利用するのはおすすめできません。
確実に入金されるお金が入ってくるまでのつなぎとしてのみ利用しましょう。
キャッシング枠はクレジットカードのショッピング枠の範囲でしか作成できません。
フリーランスが高額な限度額のクレジットカードを保有することは難しいため、キャッシング枠は100万円以下が限度だと理解しておきましょう。
また、キャッシング枠はショッピング枠の範囲でしか作成できないため、キャッシング枠を作成すれば、その分ショッピング枠は減少します。
例えばショッピング枠100万円のクレジットカードに30万円のキャッシング枠を作成した場合、ショッピング枠は70万へ減額されてしまうので注意しましょう。
ビジネスローンでお金を借りる
ビジネスローンを利用するのも、フリーランスがお金を借りる方法です。ビジネスローンは事業資金専用のローンで、銀行を始めとした金融機関で多岐に渡り取り扱いがあります。事業資金であえれば使途を問われることはありませんので、幅広く利用できる点が魅力です。
また、フリーランスを対象としているローン商品であれば審査も比較的緩くなっており、担保と保証人なしでお金を借りることも可能です。
申し込みから融資まで最短即日~3日間とスピーディーですが、金利は3%~18%とやや高めです。なお、フリーランスを対象としているものでは10%以上の商品が大半で、借りられる金額の目安は最大で800万円程度です。
ビジネスローンでお金を借りるのに向いている人は、運転資金や設備投資のためのまとまった資金を用意したいフリーランスに向いています。一般的な銀行融資と比較して金利が高いのがネックなので、メリットとデメリットを比較してお金を借りるといいでしょう。
なお、フリーランスがビジネスローンで、お金を借りる流れは以下の通りです。
- ビジネスローンへの申し込み
- 仮審査
- 必要書類の送付
- 本審査
- 契約
- 融資実行
フリーランスがお金を借りるまでのステップは多いですが、審査は比較的スピーディーとなっています。
ビジネスローンのメリット
ビジネスローンでお金を借りるメリットは以下の通りです。
- 最短即日で資金調達できる
- 代表者個人の信用情報で審査を受けられる
- 銀行融資より審査が甘い
- 税金滞納があっても借りられる
ビジネスローンは最短即日で資金調達できます。
銀行融資では2週間以上の時間がかかるため、急いでお金が必要な際にはビジネスローンは重宝します。
また、ビジネスローンの審査は主に代表者の個人信用情報についておこなわれるのが一般的です。
そのため、会社の業況に問題はあっても、代表者の個人信用情報に問題さえなければ審査に通過できる可能性があります。
この点で、ビジネスローンの審査は銀行融資よりもかなり緩くなっている点が特徴です。
銀行や日本政策金融公庫の審査に通過できない場合には、ビジネスローンを利用することを検討しましょう。
また、銀行・日本政策金融公庫・制度融資・信用金庫など、金利が低いほとんどの事業資金融資は税金の滞納があると借りることができません。
しかし、ビジネスローンの多くが納税証明書の提出を必要としないので、税金の滞納があっても融資を受けられます。
税金を滞納してしまった場合には、まずビジネスローンで滞納を解消してから、金利の低い銀行融資などを利用するのがよいでしょう。
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンでお金を借りることには以下のデメリットがあるので注意してください。
- 金利が高い
- 創業資金は借りられない
- 高額の借り入れはできない
ビジネスローンの金利は10%〜18%程度と銀行融資などと比較すると非常に高くなります。
資金調達にかかるコストはビジネスローンの方が圧倒的に大きいので、恒常的に利用すべきものではありません。
お金が足りなくなった場合のみ活用しましょう。
またビジネスローンは確定申告書がないフリーランスが利用することは不可能です。
そのため、創業前や創業間もなくのタイミングで融資を受けることはできません。
創業資金を借りたいのであれば、銀行融資や日本政策金融公庫の融資を利用してください。
また、ビジネスローンで借りられる金額は500万円〜1,000万円程度が限度です。
ビジネスローンでは高額な設備資金の借入は不可能です。
また、1ヶ月の運転資金が数千万円規模になる、中堅以上の企業の運転資金の借入にも不向きなので、少額の資金が緊急で必要なタイミングでのみ活用できるローンだと認識しておきましょう。
融資制度を利用したフリーランスがお金を借りる方法
融資制度を利用したフリーランスがお金を借りる方法には以下のようなものがあります。
- 日本政策金融公庫の融資でお金を借りる
- 地方自治体の融資でお金を借りる
- 補助金・助成金
- 小規模企業共済の一般貸付制度でお金を借りる
- 小規模事業者経営改善資金融資制度でお金を借りる
それでは、それぞれについて解説していきます。
日本政策金融公庫の融資でお金を借りる
日本政策金融公庫の融資を受けることも、フリーランスがお金を借りる方法です。日本政策金融公庫は民間金融機関を補完し、フリーランスを含む事業者を支援する政策金融機関となっています。そのため、お金を借りることを検討しているフリーランスに対して審査もやさしく、創業融資から事業拡大まで幅広い用途で利用可能です。さらに、セーフティネットとしても機能し、自然災害や急激な経済悪化に伴う資金繰りに苦しむフリーランスもサポートしてくれます。
申し込みから融資までは2週間程度で、金利は1%と非常にリーズナブルです。借りられる金額の目安は、フリーランスや小規模事業者に対する融資の平均額が1,000万円程度です。
日本政策金融公庫の融資でお金を借りるのに向いている人は、創業資金・まとまった運転資金・大規模設備投資を考えている方です。特に、創業融資に関しては無担保・保証人なしで利用できるので、創業を考えているフリーランスは検討するといいでしょう。
なお、フリーランスが日本政策金融公庫の融資で、お金を借りる流れは以下の通りです。
- 電話による事前相談
- 面談
- 書類提出
- 審査
- 契約
- 融資
最寄りの支店がわからない場合は、日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤルで確認できます。
日本政策金融公庫のメリット
日本政策金融公庫の融資には以下のメリットがあります。
- 金利が低い
- 融資の制度が多い
- 銀行や信用金庫とは別枠で借りられる
- 創業に強い
日本政策金融公庫は国が100%出資している中小事業者のための金融機関です。
そのため、金利が低く審査にも比較的通りやすくなっています。
制度によって異なるものの、適用される金利は1%〜3%台の低金利で、銀行融資の審査に落ちた企業でも審査に通過できる場合もあります。
また、融資の制度が非常に多く、創業、事業承継、M&A、経営危機、設備投資、災害、事業転換など資金が必要になる様々な場面に対応した融資制度を数多く用意しています。
銀行や信用金庫は中小事業者に対して信用保証協会の保証をつけて融資するのが一般的です。
そのため、信用保証協会の保証枠がいっぱいになってしまったら、中小事業者は銀行や信用金庫から融資を受けることができません。
日本政策金融公庫は信用保証協会の保証をつけずに融資を実行するので、銀行や信用金庫とは別枠でお金を借りられるのはメリットです。
また、日本政策金融公庫は創業に必要な資金の融資を積極的におこなっています。
これからフリーランスとして開業したい方は、事業計画書を作成し、相談に行けば、創業に必要な資金を借りられる可能性が非常に高いと言えます。
一定の条件をクリアすれば、自己資金なしのフルローンで借りることもできるので、創業を希望する方は相談しましょう。
日本政策金融公庫のデメリット
日本政策金融公庫の融資には以下のデメリットもあるので理解しておきましょう。
- 融資までに時間がかかる
- 支店と担当者を選ぶことができない
日本政策金融公庫は申込時と契約時には必ず面談が必要です。
また、銀行のように地域に支店がたくさんあるわけではないので、人員的にもタイトとなっており、審査にも時間がかかります。
そのため、申込から融資まで2週間〜3週間程度の時間がかかる点には注意しましょう。
また、日本政策金融公庫は申込者の居住地と申込のタイミングで担当する支店と担当者が割り当てられるので、希望して支店や担当者を選ぶことはできません。
銀行であれば、支店や担当者を希望すれば、希望が通ることもありますし、その担当者と長期的に人間関係を構築していくことも可能です。
日本政策金融公庫とは人づきあいで良好な関係性を構築して、資金的な面倒を見てもらうことはできません。
地方自治体の融資でお金を借りる
地方自治体の融資を受けることも、フリーランスがお金を借りる方法です。各地方自治体では、公的融資制度を提供しているケースがあります。融資と言っても自治体が直接融資するのではなく、自治体が指定する金融機関と信用保証協会が連携して融資を提供しています。
具体的には自治体が金融機関に預けている預託金を原資として、信用保証協会の保証をつけて融資を実施します。
銀行などの一般的な融資と比較すると低金利で融資が可能です。そのため、銀行や信用金庫からお金を借りることを検討しているなら、まず地方自治体に問い合わせるといいでしょう。
申し込みから融資までは1ヶ月以上かかりますが、金利は金融機関より低く設定されています。借りられる金額の目安としては、大規模投資を目的としている場合3,000万円~5,000万円です。また、信用金庫と連携しているケースだと、10万円~100万円程度の小口融資にも対応できます。
地方自治体の融資でお金を借りるのに向いている人は、今すぐ資金が必要でないもののより有利な利率でお金を借りたい人です。フリーランスで金融機関の審査通過に自信がない場合は、地方自治体とじっくり相談してみましょう。
なお、フリーランスが地方自治体の融資で、お金を借りる流れは以下の通りです。
- 各自治体の市役所の市民課で融資制度について尋ねる
- 融資斡旋を申し込む
- 地方自治体が斡旋書を交付し金融機関に送付
- 金融機関で融資への申し込み
- 金融機関経由で信用保証協会に保証依頼する
- 審査(面談を含む)
- 契約
- 融資実行
場合によっては、中小企業診断士などの専門家と面談が必要な ケースもあります。金融機関に直接申し込むよりも手続きは面倒になりますが、フリーランスでもより確実にお金を借りることができます。
制度融資のメリット
制度融資には以下のメリットがあります。
- 金利が低い
- 利息や保証料を自治体が補助してくれる場合がある
- 融資の種類が多い
- 企業の規模や業況に関わらず同じ金利で借りられる
- 審査に通りやすい
制度融資は、地元の自治体が地元の企業を援助するために制度設計している商品です。
そのため、金利は1%〜3%程度のかなり低く設定されており、さらに自治体や制度によっては利息や保証料の補助を受けられる場合があります。
また、地元の課題や政策課題や社会問題を解決するための様々な融資制度が用意されており、経営危機、創業、事業承継、AI投資など様々な場面で利用できる多くの種類の制度が用意されています。
制度は自治体によって異なるので詳しくは自治体の商工課などへ相談してください。
制度融資は自治体が金利や限度額などをあらかじめ決めたパッケージ商品です。
そのため、審査に通過できればどんな企業でも同じ金利、同じ返済期間の同条件で融資を受けられるのが特徴です。
融資金の原資は銀行が地元金融機関に預けている預託金で、信用保証協会の保証までつくので、制度融資を実行する上で銀行にはリスクはほとんどありません。
そのため、審査に通過しやすいという点も制度融資のメリットです。
制度融資のデメリット
制度融資には以下のデメリットがあります。
- 申込や契約に手間と時間がかかる
- 訪問しなければならない先が多い
- 信用保証協会の保証が降りなければどこからも借りられない
制度融資は、銀行、信用保証協会、地元自治体の3者に申込を行い、3者と契約する融資制度です。
そのため、申込も契約も3者と行う必要があるので、記入や提出する書類の数は膨大になります。
また、銀行と地方自治体の担当者との面談は必ず必要になりますし、場合によっては信用保証協会の担当者とも面談が必要になる場合もあります。
借入までには手間と時間がかかるので、場合によっては申込から融資実行まで1ヶ月程度の時間がかかってしま可能性もあるでしょう。
制度融資は信用保証協会が融資に保証を与えるからこそ、銀行は安心して融資を受けられる信用保証協会の保証付融資の1つです。
そのため、信用保証協会の審査に通過できない場合には、いくら他の金融機関に変えたとしても融資を受けることはできません。
実質的には信用保証協会が審査をしていると言っても過言ではないでしょう。
補助金・助成金
お金を借りる訳ではありませんが、補助金・助成を受給するのもフリーランスの資金調達方法です。補助金と助成金はそれぞれ以下のように異なります。
- 補助金:政策目標を達成するために、企業・個人事業主の事業をサポートするための制度
- 助成金:資金を提供して雇用や職場環境などの問題解決を支援する制度
補助金・助成金は国・自治体の給付制度で、フリーランスが受給しても返済義務はありません。補助金・助成金いずれも受給のためには申請が必要ですが、助成金は要件を満たしていれば支給されるのに対し、補助金は予算・定員が限られるので給付されない場合もあります。
そのため、補助金はフリーランスにとってハードルの高い資金調達方法です。一方、助成金は労働環境に関するものが対象なので、従業員を雇っているフリーランスなら検討しましょう。
補助金・助成金受給までの期間は半年以上かかり、受給できる金額の目安は目的・概要・事業内容によって異なります。また、補助金の中には3,000万円を超えるものもあるものの、事業資金の一部の支援にとどまるのが一般的です。加えて、基本的には補助金・助成金は後払いになるので、融資を受けて事業を展開したいフリーランスには不向きと言えます。
補助金・助成金が向いているフリーランスは、対象になる事業を展開する予定がある人です。
なお、フリーランスが補助金を受給するまでの流れは概ね以下の通りです。
- 公募されている補助金に申請する
- 審査
- 採択
- 交付申請を行う
- 交付決定
- 事業開始
- 進捗などの検査
- 報告書の提出
- 補助金の支給
フリーランスが助成金を受給するまでの流れは概ね以下の通りです。
- 公募されている助成金に申請する
- 申請書提出
- 書類審査および面談
- 採択の可否決定
- 助成対象期間開始
- 事業完了後に実施状況の報告書を提出
公募されている補助金や助成金を知るためには、ミラサポplus(中小企業向け補助金・総合支援サイト)を利用するといいでしょう。
補助金・助成金のメリット
補助金や助成金のメリットは「返済の必要がないこと」の1点と言っても過言ではありません。
返済の必要がなく、補助や助成されたお金は自己資金として利用できます。
そのため、その後の資金繰りも圧迫しませんし、財務体質も強固なものとなります。
補助金・助成金のデメリット
補助金や助成金は特に融資と比較して以下のデメリットがあります。
- 資金使途が限定されている
- 原則として後払い
- 全額の補助を受けられるものは少ない
- 雑所得として課税される
補助金や助成金は、あらかじめ決められた使い道か、採択された際の投資計画への使い道の2つの方法に対してしか利用できません。
運転資金の融資であれば、運転資金の中であれば何に使用しても自由ですが、補助金・助成金は使い道がかなり限定されており、本当に目的の使途に使用したことを証明するために領収書の提出まで求められます。
また、補助金助成金は原則的に後払いです。
最初に補助対象の経費を全額前払いし、その後、支払った金額×補助率で算出された金額の補助を受けるという仕組みです。そのため、最初に必要になる経費全額を自己資金や借入で用意しなければならない点に注意しましょう。
また、補助対象経費全額の補助を受けられるものはほとんどありません。
基本的には経費の3分の1〜2分の1程度しか補助を受けられないので、完全無料で設備投資ができるわけではないという点に注意しましょう。
また、受け取った補助金は雑所得として課税対象になります。
高額な補助金を受け取った場合には、圧縮記帳などの税金対策をしなければ、高額な課税が行われる可能性が高いという点にも注意してください。
また、補助金は受け取る前も受け取った後も、申請や報告などが借入とは比べものにならないほど煩雑になるという点もデメリットです。
返済不要のお金を受け取れるのはメリットですが、デメリットも多いので注意してください。
小規模企業共済の一般貸付制度でお金を借りる
小規模企業共済の一般貸付制度の利用も、フリーランスがお金を借りる方法です。小規模企業共済はフリーランスなどの中小企業の経営者が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる退職金制度です。節税効果が高いとされるため、フリーランスなどの小規模企業の経営者が税金対策に利用することがあります。
小規模企業共済に加入しているフリーランスであれば、掛金を納めた期間に応じた貸付限度額範囲内でお金を借りることが可能です。
お金を借りるまでの期間は1週間~2週間程度で、利率は年1.5%に設定されています。借りられる金額の目安としては掛金総額の7割~9割となっており、10万円~2,000万円の間で5万円単位でお金を借りられます。
小規模企業共済が向いているのは、「掛け金が必要額を上回っている」「リーズナブルな利率で借りたい」などに当てはまるフリーランスです。
なお、フリーランスが小規模企業共済の一般貸付制度で、お金を借りる流れは以下の通りです。
- 共済相談室に電話相談
- 必要書類を揃えて必要事項を記入
- 借入窓口で手続きを行う
- 借入金の受け取り
フリーランスが小規模企業共済の一般貸付制度を利用するには、共済相談室(050-5541-7171)に電話して確認する必要があります。
小規模事業者経営改善資金融資制度でお金を借りる
小規模事業者経営改善資金融資制度を利用することも、フリーランスがお金を借りる方法です。
通称「マル経融資」と呼ばれます。
商工会議所等で原則6ヶ月以上の経営指導を受けた方に対し、無担保・無保証人で日本政策金融公庫が融資を行う制度です。
資金繰りが厳しくなりやすい小規模企業を経済的に支援する目的で運営されており、商工会議所がフリーランスの身元保証を行うのでその他の日本政策金融公庫の貸付よりお金を借りやすいのが特徴です。
お金を借りるまでの期間は、6ヶ月以上の経営指導を受ける必要があるため時間がかかります。金利は1.21%の固定金利で、最高で2,000万円までお金を借りることが可能です。フリーランスが保証人・担保なしで2,000万円までお金を借りられるのは、マル経融資のみとなっています。
経営指導を受けたい・低金利でお金を借りたい・大きい金額を借入したいといった人に、マル経融資は向いています。ただし、マル経融資は2年分の決算報告書などが必要なため、創業融資には利用できませんので注意しましょう。
フリーランスがマル経融資で、お金を借りる流れは以下の通りです。
- 商工会議所で経営相談を受ける
- 商工会議所から推薦を受ける
- 日本政策金融公庫の審査を受ける
- 融資
なお、マル経融資でフリーランスがお金を借りるには、商工会議所の会員になる必要があります。年会費がかかりますが、経営相談・創業・起業・独立のサポートを受けることが可能です。また、融資・補助金の斡旋などに加え、会員同士の交流会もあり地域の事業者と繋がることができます。
小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)のメリット
マル経融資で資金調達するメリットは以下の3点です。
- 金利が低い
- 審査に通りやすい
- 他の制度とは別枠で融資を受けられる
マル経融資は、商工会議所と連携した小規模事業者向けの特別な融資制度ですので、他の融資制度と比較してかなり金利が低くなっています。
信用度が低い段階から低金利で資金調達できるのはメリットです。
また、マル経融資は経営指導員から所定の期間経営指導を受けていれば、かなり高い確率で審査に通ります。
経営指導と言っても難しいことではなく、経営指導員と経営などについて話をするだけですので全く難しくありません。
フリーランスとして開業したての頃は経営指導を利用してみるとよいでしょう。
さらにマル経融資は他の融資制度とは別枠ですので、例えば、経営危機の際に利用できるセーフティーネット貸付を限度額ギリギリまで借りて「これ以上日本政策金融公庫から融資を受けることが難しい」という事業者であっても、マル経融資であれば他の融資制度とは別枠ですので、追加の借入ができる可能性があります。
小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)のデメリット
マル経融資には以下のデメリットがあるので理解しておきましょう。
- 何度も利用できない
- 融資限度額が少ない
- 融資までには長い時間がかかる
マル経融資を利用できるのは原則として1回きりです。
何度も経営指導を受けて何度も利用するようなことはできないので注意しましょう。
また、マル経融資の限度額は2,000万円と決められており、フリーランスなどが利用する場合には100万円程度が限度です。
それほど大きな金額を調達できる制度ではない点にも注意してください。
マル経最大のデメリットは融資までには長い時間がかかる点でしょう。
6ヶ月間の経営指導を受けた上で申込ですので、最初に経営指導を受けてから最短でも7ヶ月程度の時間がかかります。
お金が必要になったからといって、すぐに申込ができるわけではないという点には十分注意しましょう。
その他のフリーランスが資金調達する方法
フリーランスがその他の方法で資金調達するには以下のようなものがあります。
- ファクタリングで売掛債権を現金化
- クラウドファンディング
- 不動産や株券など資産現金化
- 生命保険を用いた資金調達
- 家族や知人からのお金を借りる
- 出資者を募ってお金を借りる
借入以外にもさまざまな方法でフリーランスは資金調達できます。
フリーランスが資金調達できるその他の方法について詳しく解説していきます。
ファクタリングで売掛債権を現金化
ファクタリングを利用すれば、フリーランスでも手軽に資金調達できます。ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却して資金調達をする方法です。債権譲渡のため負債が増えず、銀行融資・ビジネスローンなどより審査のハードルが低いのが特徴です。
資金調達までの期間は即日~1週間程度で、リーズナブルなファクタリング会社なら1%~12%ほどの手数料でファクタリングが利用できます。
ファクタリングでの資金調達に向いているのは、お金を借りたくない・信用情報などに不安がある・資金繰りを改善したいといった方です。
なお、フリーランスがファクタリングで売上債権を現金化する流れは以下の通りです。
- ファクタリング業者の選択
- ファクタリングへの申し込む
- 買取希望の売上債権と必要書類を提出
- 審査
- 契約
- 入金
ファクタリング業者選びは手数料の安さだけで選ばず、東証上場企業や取引実績など信頼性が担保されていることが重要です。
ファクタリングのメリット
ファクタリングには以下のようなメリットがあります。
- 最短即日で資金調達できる
- 売掛先企業の信用で審査を受けられる
- 売掛債権が回収不能になっても責任が及ばない
- 資金繰りが安定する
2社間ファクタリングであれば最短即日で資金調達できます。
銀行融資などでは資金が間に合わない場合も、ファクタリングであれば急ぎの入用に間に合う可能性があるでしょう。
また、売掛先企業の信用で審査を受けられるので、赤字や債務超過などを理由に審査に通過できない企業でも優良企業の売掛債権さえ手元に保有していれば資金調達できる可能性があります。
さらに、ファクタリングは償還請求権なしで実施されるので、万が一、ファクタリング後に売掛債権が回収不能になったとしても、利用者には責任は及びません。支払いに心配のある企業に対する売掛債権を抱えているのであればファクタリングをおこなえば安心です。
本来、売掛債権は期日になるまで資金化できない資産です。
しかしファクタリングによって資金化することで、入金を前倒しにできるので、企業内部に資金が滞留する時間が長くなり、資金繰りを安定させることができます。
ファクリングのデメリット
ファクタリングには以下のデメリットもあるので理解した上で利用しましょう。
- 手数料が高い
- 悪徳業者が混じっている
- 本質的に資金繰りは改善しない
- 調達可能額が限られている
ファクタリング最大のデメリットが手数料の高さです。
- 2社間ファクタリング:8%〜15%程度
- 3社間ファクタリング:1%〜8%程度
上記がファクタリングの手数料相場です。
そのため、例えば、1ヶ月先が入金期日の売掛債権1,000万円を手数料10%でファクタリングした場合、年利換算では10%×12ヶ月=120%もの手数料になります。
銀行融資が年3%も利息を支払えば資金調達できることと比較すると、ファクタリングの手数料の高さはデメリットです。
なお、弊社のファクタリングは手数料2%〜と、低負担のファクタリングを実現しています。
ファクタリング会社の中には、法外な手数料を設定したり、実質的な貸付をおこなう悪徳業者も残念ながら混じっています。
国や自治体に届出も許認可も必要ないので、自己責任で優良業者を探すしかありません。
初めての業者と取引する際には、必ずインターネットの口コミなどを確認し、問題のありそうな業者と取引をすることを避けた方がよいでしょう。
また、ファクタリングで企業の資金繰りは本質的に改善することはありません。
ファクタリングは将来的に入金になる予定の資金を前倒しで受け取っているだけですので、ファクタリングによって資金調達しても、当初の入金予定日には入金がないため、その頃には再び資金繰りが苦しくなります。そこで、再度ファクタリングを利用するというように、ファクタリングから抜け出すことができなくなる可能性があります。
ファクタリングは継続的に利用するのではなく、短期的かつ緊急でお金が必要になった際のつなぎとして利用することをおすすめします。
なお、ファクタリングで資金調達できるのは売掛債権の金額が限度です。
融資のように年商を超えるような大きな金額を受け取れるわけではないので注意してください。
クラウドファンディング
クラウドファンディングも、フリーランスが資金調達する方法です。クラウドファンディングは、フリーランスや企業の事業活動に共感する人たちによる資金提供によって成り立っています。
様々なクラウドファンディングがあるものの、大きく分けて以下の6つに分類可能です。
- 購入型
- 寄付型
- 融資型
- 株式型
- ファンド型
- ふるさと納税型
この内、フリーランスが事業を展開する際に活用できるクラウドファンディングは、寄付型・融資型・ファンド型となります。やり方によっては支援が広がりますので、フリーランスにも十分なチャンスがある資金調達方法です。
資金調達までの期間は、通常クラファンの平均募集期間は30日~60日となっています。なお、寄付型・融資型・ファンド型は以下の通りとなっています。
タイプ | 特徴 |
寄付型 | 資金提供者が調達者に寄付 |
融資型 | 貸金業法上の契約に基づき、資金提供者が資金調達者に対して融資し、元本と利子(金利の目安は3%~7%程度)の返済を受ける |
ファンド型 | 資金提供者が資金調達者と匿名組合出資契約などを締結して資金を提供し、分配等を受ける |
クラウドファンディングで資金調達することに向いているフリーランスは、実現したいプロジェクトが明確に決まっている場合となります。ただし、資金提供者とのコミュニケーションや支援を広げるための活動などそれなりに労力がかかる点には注意が必要です。
なお、フリーランスがクラウドファンディングで資金調達する流れは以下の通りです。
明確な事業計画を立てる
クラウドファンディングサイトで募集をかける
事業の宣伝を行う
資金が集まったら事業を実施
返済・分配金など資金調達に応じた行動をする
フリーランスが利用できるクラウドファンディングサイトは、以下のようなものがあるので目的に応じて利用しましょう。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングには以下のメリットがあります。
- 返済不要
- 計画段階から資金調達できる
- テストマーケティングができる
日本のクラウドファンディングは「買取型」と言って、お金を提供してくれる「支援者」は、資金提供の代わりに行われるリターンを購入するという考え方です。
そのため、クラウドファンディングで受け取ったお金は返金する必要がありません。
自己資金として事業のために使用することができます。
また、クラウドファンディングは「こんな事業をしたい」という事業計画やビジョンをクラウドファンディングサイトに掲載して資金を集めるので、事業の計画段階から資金調達できます。
創業融資のほかに、事業計画の段階から資金を集められる数少ない方法だと言えるでしょう。
クラウドファンディングは、事業計画を公開し、多くの賛同者が集まれば多くの資金を集められるので、市場調査にも活用できます。
賛同者が多ければ事業が成功する可能性も高く、賛同者が少なければその事業は見直した方がよいかもしれません。
市場の反応を知りたい時にはテストマーケティングとしても活用できるクラウドファンディングがおすすめです。
クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングには以下のようなデメリットもあるので注意してください。
- リターンを提供しなければならない
- 資金が集まるかは不透明
- 事業のアイディアを盗まれる可能性がある
クラウドファンディングでは支援者に対して必ずリターンを提供しなければなりません。
目標金額に届かなくても資金を受け取れるALL IN方式を選択した場合には、場合によってはリターンの方が大きくなり、金銭的に損をしてしまう可能性もあるので注意しましょう。
また、クラウドファンディングの中には、案件を公開したものの数万円程度の資金しか集まらないものも多数あります。
多くの人から賛同を得られるような事業やアイディアでないと資金を集めることが難しいので、単に「お金を儲けたい」というようなケースでは、資金調達が困難です。
クラウドファンディングを利用したことによって、事業のアイディアなどを盗まれてしまう可能性があります。
事業計画はネット上に公開され、誰でも見える状態にあります。
せっかく斬新なアイディアでも、案件を見た他人がアイディアを盗んで先に事業化してしまう可能性もあるので注意してください。
不動産や株券などの資産を現金化
不動産や株券などの資産の現金化も、フリーランスが資金調達する方法です。現金化できる資産としては、以下のようなものが挙げられます。
- 不動産
- 株式証券
- 自動車
- 貴金属
- 高値が付きそうな個人の収集物
- 仮想通貨 など
現金化できる資産がある場合は、お金を借りる前に検討してみるといいでしょう。
資産売却のメリット
資産を売却して資金調達をおこなうメリットは以下のとおりです。
- 負担なく資金が増える
- 貸借対照表が小さくなる
- 固定資産の管理コストが軽減する
出資にも借入にもデメリットがありますが、資産の売却であればこれらのデメリットなくして資金調達が可能なので経営への影響を最小限に必要な資金を得ることができます。
また、今は不要な資産をできる限り売却してスリムな経営をする「貸借対照表のオフバランス化」が評価される時代です。不要な資産を売却し、現金を増やせば金融機関などからの評価が向上するでしょう。
不動産や自動車などを保有することによって管理コストがかかります。
不要な資産や負債を売却すればこれらの管理コストはかからないので、企業の収支にもプラスになるでしょう。
資産売却のデメリット
資産を売却して資金調達することにはあまりデメリットはありません。
しかし不動産や有価証券などは、日々価格が動いているものですので、売却するタイミングによっては損をしてしまう可能性があります。
また、お金がないからと言って事業運営に必要な不動産まで売却してしまうと事業に支障をきたしてしまう可能性もあるので、売却する資産は慎重に見極めた上で資金調達をおこないましょう。
生命保険を用いた資金調達
生命保険を用いた資金調達も、フリーランスができる資金繰りの方法です。生命保険を用いた資金調達方法には、以下のようなものがあります。
- 解約に伴う払戻金
- 契約者貸付の利用
払戻金が付いている生命保険に加入しているなら、解約した際の払戻金でフリーランスが資金調達することが可能です。ただし、フリーランスにとって生命保険の解約は大きな決断となるので、十分に検討してから実行しましょう。
また、生命保険を解約しなくても、契約者貸付を利用することでフリーランスが資金調達することも可能です。払戻金の最大90%の資金調達ができますが、保険会社が定める割合で金利が発生します。
生命保険からの借入のメリット
生命保険の契約者貸付を利用するメリットは以下の通りです。
- 解約返戻金があれば誰でも借入ができる
- 返済が自由
- 金利は低め
- 返済しないこともできる
- 借入まで時間がかからない
生命保険の契約者貸付は、解約返戻金があれば、どんな人でも借入が可能です。
審査は解約返戻金があるかどうかだけですので、個人信用情報がブラックの人でも融資を受けることができます。
また、返済期間には特に決まりはありませんし、返済方法も自由です。
借りた後にすぐ返済することもできますし、長期間借りて何年か経った時にまとまったお金が入ってきたときに返済もできます。
金利も2%〜3%台程度と低めなので、銀行融資と同じような低負担で利用できます。
もしも返済できない場合には、保険料を減額するか保険を解約することもできるので、どうしても返済するお金がない場合には返済しないことも可能です。
借入までは数日から1週間程度ですので、急いでお金が必要なときにも活用できる借入方法です。
生命保険からの借入のデメリット
生命保険の契約者貸付からお金を借りることのデメリットは以下のとおりです。
- 返済しなければ保険金が少なくなる
- 保険失効や解除のリスクがある
- 調達可能額が限られている
生命保険の契約者貸付は、返済しなければ保険料が減額されるので、当初契約した保険料を受け取ることはできません。また、借入金と利息の合計が解約返戻金を上回ってしまった場合には、保険が失効したり解除になったりするので、保険そのものを失ってしまう可能性がある点にも注意しましょう。
また、生命保険の解約返戻金から借りることができる金額は、解約返戻金の範囲内です。
よほど高額な保険に入っていない限りは、高額の借入はできません。
調達可能額に限りがある点も銀行融資などと比較してデメリットです。
家族や知人からのお金を借りる
家族や知人からのお金を借りることも、フリーランスが資金調達する方法です。金融機関からお金を借りるわけではありませんので、審査や書類を用意する必要もなく手間のかからない方法と言えます。
しかし、手間のかからない資金調達方法である一方、返済が滞ると信頼関係が傷付く恐れがあります。家族や知人からお金を借りることで、大きなトラブルに発展する恐れもあるので注意しましょう。
そのため、家族や知人からお金を借りる際には、借用書を作成することをおすすめします。誰に・いつ・どの程度のお金を借り・いつまでに返済するのか明確化しておけば、不要なトラブルを防ぐことができます。また、同時にしっかりとした返済計画を伝え、お金を借りた相手の不安を取り除いてあげることも重要です。
家族や知人からの借入のメリット
家族や知人からの借入のメリットは利息がかからず、返済に柔軟性があるという点です。
一般的に、個人的な人間関係から個人でお金を借りる場合には、利息は発生しません。
また借入時に返済期日や返済方法は自由に決められるので、貸主さえ同意すれば、希望する返済期日や返済方法でお金を返すことが可能です。
家族や知人からの借入のデメリット
家族や知人からお金を借りるデメリットは、人間関係を壊してしまう可能性があるという点です。
特に友人関係の場合には、本来は対等であったはずの人間関係が「借りた方が下、貸した方が上」という関係になってしまう可能性が非常に高くなります。
返済に遅れた場合には人間関係が壊れるのはもちろん、たとえ期日通りに返済したとしても借入前の平等な人間関係を維持することは非常に難しいでしょう。
親からお金を借りて起業する人も多いですが、親であれば人間関係が壊れることは滅多にありません。
しかし大切な老後資金を借りてしまった場合には、親に対しても精神的な負担を強く強いることになります。
肉親であっても必ず借用書を作成し、約束した期日には確実にお金を返済するようにしてください。
出資者を募ってお金を借りる
投資家など出資者を募ることも、フリーランスが資金調達する方法です。フリーランスに出資してくれる投資家には、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどがいます。
エンジェル投資家とは、フリーランスなどの起業家に対して資金提供する裕福層の個人投資家を指します。自らも起業を経験し多額の利益を得たことで、後進の育成をし活力のある経済を作るという社会的意義を持っている方が多いです。そのため、創業間もない斬新なアイディアを持ったフリーランスに投資を行うことも多々あります。
一方、ベンチャーキャピタル(Venture Capital)とは、頭文字を取ってVCなどと呼ばれる投資会社のことです。広く投資家から資金を集め、ファンドとしてフリーランスなどに出資を行います。なお、VCは資金を第三者から集めて収益を上げることが目的のため、フリーランスにとってかなりハードルが高い資金調達方法です。
事業内容やビジョンに自信があるなら、ほかの資金調達方法を併せて検討してみましょう。
出資者を募るには知人の紹介・ベンチャー系イベントに参加・直接コンタクトを取る・マッチングサービスなどの方法があります。この内、マッチングサイトとしては以下のようなものがあります。
出資のメリット
出資のメリットは以下の2点です。
- 返済の必要がない
- 資金使途は自由
出資の最大のメリットは返済の必要がない点です。
出資を受けたお金は自己資金になるので、財務状況はかなり改善します。
また補助金などとは異なり、完全に自社のお金として利用できるので、調達したお金は事業のためであれば何にでも使用することが可能です。
出資のデメリット
出資には以下のデメリットもあるので、理解した上で出資を募るようにしてください。
- 経営に強く関与される可能性がある
- 配当金の支払いが必要
- 株式会社でなければ資金調達できない
- 優良企業でないと資金調達は難しい
出資とは会社の株式を発行して投資家へ交付することです。
会社の株式の持分割合が変わるので、場合によっては出資者が最大株主となり、会社の方針の決定権を持つこともあります。経営者や創業者が追い出されてしまう可能性もあるでしょう。
また、株主には利益に応じた配当金を支払わなければならず、配当金の額によっては借入金よりもコストが高くなることもあります。
なお、出資とは株式を投資家へ発行することですので、株式会社でなければ出資を募ることは不可能です。
個人事業主や合同会社などの形態でフリーランスをしている方は出資で資金調達することは不可能であると認識しておきましょう。
中小事業者が投資家から資金調達することは非常に難しいのが実情です。
よほど特殊は技術やノウハウを持っていなければ、投資家から出資を受けることはできない点にも注意してください。
フリーランスが有利にお金を借りるためにしておくこと
フリーランスが有利にお金を借りるためにしておくことは以下の通りです。
- 開業届を出しておく
- 確定申告しておく
- 事業用クレジットカードの作成
それでは、それぞれについて解説していきます。
開業届を出しておく
フリーランスが有利にお金を借りるためにも、開業届を提出しておきましょう。なぜなら、大半の金融機関は開業届の提出が融資の最低条件に設定されているからです。
開業届はフリーランスが事業を開始したこと、どのような事業を営んでいるのか税務署に知らせる書類です、事業開始後1ヶ月以内に提出すべきですが、それ以上でも事業開始日を調節し提出日と1ヶ月以上離れなければ問題なく受理されます。国税庁のページからダウンロードできるので、フリーランスとして事業を開始したら提出しておきましょう。
確定申告しておく
フリーランスがお金を借りるためには、確定申告しておきましょう。確定申告はフリーランスの収入を証明する書類となるので、お金を借りる際には必要となります。なお、銀行・信用金庫では決算書が求められるケースがあるため、青色申告で決算書を作成しておきましょう。
事業用クレジットカードの作成
フリーランスが有利にお金を借りるためにも、事業用クレジットカードの作成をしておきましょう。事業用クレジットカードは、個人カードと異なり事業用に使用できるカードです。そのため、事業用クレジットカードの利用履歴があると、お金を借りる際に金融機関から信用を得やすくなります。また、事業用クレジットカードを作っておけば資金繰りが困ったときにも安心です。
フリーランスがお金を借りる際に影響するポイント
フリーランスがお金を借りる際、金融機関は様々な視点から審査を行います。フリーランスがお金を借りる際に影響するポイントは以下の通りです。
- 財政状態
- 経営者としての資質
- 事業計画
- 自己資金
- 資金使途
- 返済能力と融資希望額の釣り合い
- 信用情報の瑕疵
- 必要書類の準備
- 担保
- 生活資金と事業資金の区分
それでは、それぞれについて解説していきます。
財政状態
フリーランスがお金を借りる際に、金融機関は必ず財政状況を確認します。なぜなら、フリーランスは安定収入がないことが一般的で返済能力に不安があるからです。なお、フリーランスがお金を借りる際に、金融機関が確認する財政状況は以下の通りです。
- 収入
- 支出
- 資産
- 負債
- 信用情報
フリーランスはお金を借りるときに備えて、返済能力が証明できる確定申告書・決算書などを作成しておくのがおすすめです。
経営者としての資質
フリーランスがお金を借りる際には、経営者としての資質も判断材料になります。お金を借りる際に面接・会社訪問が必要になる場合、金融機関は経営者であるフリーランスの以下の点を審査しています。
- どのような経験を積んできたか
- 営業や接客ができるか
- 論理的思考ができるか
- 事業経営への熱意・覚悟を有しているか
- 金融機関に対して正直に情報開示を行っているか
- 適切な計数観念はあるか
- 経営者に向いている性格か
事業に対する熱意・覚悟は勿論のこと、冷静な分析力や信念、事業戦略があるかどうかが問われます。
また、フリーランスの人となり、印象も審査に影響を及ぼすポイントとなるのです。そのため、フリーランスがお金を借りる際には、普段の格好は別として清潔感のある身なりで臨むといいでしょう。
事業計画
フリーランスがお金を借りる際には、事業計画の有無も判断材料になります。
事業計画書は事業目的を明確化し、目標達成のための手段・戦略を記す計画書です。概ね1年~数年単位で具体的な数字に基づいて作成していきます。なお、事業計画書を作成すべき理由は以下の通りです。
- 金融機関からお金を借りるのを有利にするため
- クライアントに事業を説明するため
- 事業の状況を把握し管理するため
融資を申し込む前に事業計画書を作成し、金融機関の審査を有利に進めましょう。
自己資金
フリーランスがお金を借りる際には、自己資金の有無も判断材料になります。自己資金とはフリーランスが自ら所有しているお金を指し、以下のような項目が当てはまります。
- 預金・貯金
- 配偶者名義の預金
- 保有資産を売却してできた資金
- 退職金
- 親・親族から贈与されたお金
開業資金を調達する目的で金融機関からお金を借りる場合には、フリーランスが開業準備を証明するために自己資金が必要です。
なお、金融機関からお金を借りるためには、創業資金の3割程度の自己資金を用意するケースが多くなっています。事実、日本政策金融公庫の2020年度新規開業実態調査によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は約3割との結果が出ています。ただし、創業資金の3割の自己資金があれば必ず融資を受けられるわけではありません。金融機関によって異なるので、審査項目の1つであると留意しておきましょう。
資金使途
フリーランスが金融機関からお金を借りる際には、お金を借りる条件の1つとして資金使途を問われるのが一般的です。大抵の場合、資金使途は事業資金に限るとされており、事業資金は大きく分けて以下の3つに分類することができます。
- 起業資金(事業の立ち上げに必要な資金)
- 運転資金
- 設備資金
フリーランスがお金を借りる場合には、何のための資金を必要としているか理解しておくことが重要です。金融機関からお金を借りる際には、担当者に説明できる程度に理解しておきましょう。
返済能力と融資希望額の釣り合い
返済能力と融資希望額の釣り合いを考えておくことも、フリーランスがお金を借りる際のポイントです。金融機関からお金を借りる際、原則として審査基準や審査落ちの理由は開示してもらえません。しかし、審査落ちの原因の1つとして考えられるのが、融資希望額に対し返済能力が低いことが挙げられます。
一般的に融資希望額が大きくなるほど、それに見合った返済能力が必要です。そのため、フリーランスがお金を借りる際には、返済能力と融資希望額の釣り合いが取れる金額を提示しましょう。
信用情報の瑕疵
フリーランスがお金を借りる際、信用情報の瑕疵の有無が審査に影響します。信用情報登録機関に登録されている情報は以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 収入
- 職業
- 勤務先
- クレジットカードやローンの申し込み・利用状況
- 返済履歴
- 借入額
フリーランスがお金を借りるとき、金融機関は信用情報を参照し利用者の信用力を判断します。信用情報に瑕疵があるとお金を借りられなくなるケースがあるので、フリーランスは以下の点に注意しましょう。
- スマホ料金の滞納
- 水道光熱費の滞納
- 税金の滞納
- クレジットカードローンなどの各種ローンに複数申し込む行為
情報開示請求制度を利用すれば、フリーランスが自分自身の信用情報を確認することが可能です。各信用情報機関への開示請求手続きは、インターネット・郵送いずれでも可能なのでお金を借りる際に確認してみましょう。
必要書類の準備
フリーランスがお金を借りる際、必要書類の準備を行っておくことも重要です。金融機関が指定する書類を準備していないと、審査時間がかかるだけでなく信用力に疑いを持たれ審査落ちする可能性があります。フリーランスがお金を借りる際に必要になる書類は、以下の所得を証明できる書類です。
- 確定申告書
- 納税通知書
- 納税証明書
- 所得証明書
お金を借りる金額によっては、フリーランスに所得証明書の提出を求めない金融機関もあります。フリーランスが金融機関からお金を借りる際には、どのような書類が必要になるか予め 確認しておきましょう。
担保
フリーランスがお金を借りる際、担保があると融資に有利に働きます。
担保とは融資の返済が滞った場合に金融機関が回収できる資産で、担保があることによって金融機関は貸倒れのリスクが低くなります。また、担保は融資額の増加や金利の低下、審査基準を緩和する効果もあるのです。
実際に金融商品の中には担保設定が必要なものや、担保設定によって審査通過できるものもあります。フリーランスがお金を借りる際に担保になり得るものには、以下のようなものがあります。
- 不動産
- 有価証券
- 売掛債権
- 連帯保証人
なお、担保付き融資の場合、手続きに時間がかかるので注意が必要です。
生活資金と事業資金の区分
フリーランスは生活と事業が一体化しています。
しかし個人が個人のの用途でお金を借りる消費資金は事業の用途には1円も使えませんし、事業資金は個人の消費目的には1円も使えません。
そのため、フリーランスが決算において生活支出を事業の支出を明確に分けているかという点が審査では非常に重要になります。
事業と生活が分かれていない人に対して事業資金を融資してしまったら、融資金を生活費に使用される可能性が非常に高くなるためです。
税金対策として生活費を事業の経費として算入している人は非常に多いですが、これがあまりにも金額的に多いと審査に通過することが難しくなります。
フリーランスが融資審査に通過するために、事業の支出と生活費はしっかりと分けて決算をおこないましょう。
お金を借りることとファクタリングの違い
お金を借りることとファクタリングは、どちらも資金調達という意味で共通しています。しかし、お金を借りることとファクタリングは、資金調達の方法として大きく異なるのです。
ファクタリングが売掛債権を買い取る一方で、融資は金融機関からお金を借りることで資金調達を行います。また、それ以外にも相違点がいくつか存在しているのです。
ここでは、お金を借りることとファクタリングの違いについて解説していきます。
資金調達額
お金を借りることとファクタリングでは、資金調達額が異なります。
ファクタリングは基本的に売掛債権の額面が上限になりますが、ビジネスローンは事業規模によって借りられる額が異なるのです。
なお、一般的なキャッシングを利用する場合は、総量規制によって年収の3分の1以下となるのが一般的です。フリーランスが申告する年収は、事業所得から経費などを差し引いた額となります。そのため、事業所得が300万円だとしたら一般的なキャッシング額の上限は100万円です。
資金調達までの時間
お金を借りることとファクタリングでは、資金調達までの時間が異なります。
ファクタリングの場合、売掛債権を買い取るので審査は比較的緩く最短即日で現金化可能です。ただし、3社間ファクタリングの場合、売掛先の承認を得る必要があるため、現金化まで最短でも約1週間かかるケースもあります。
また、ファクタリング非対面でオンラインにて契約を完結させられることも多いので、契約手続きにも時間がかかりません。
一方、お金を借りる場合は、金融機関によって以下のように資金調達期間が異なります。
- ノンバンク系ビジネスローン:最短即日
- 銀行融資:数週間~1ヶ月程度
いつまでに資金が必要なのかチェックし、適切な方法で資金調達を行いましょう。
急いで資金が必要なのであればファクタリング、時間的に余裕があるのであれば、まず銀行融資を試すというように使い分けるのがおすすめです。
資金調達費用
お金を借りることとファクタリングでは、資金調達費用が異なります。
ファクタリングの場合、売掛債権から手数料を差し引いた金額を手にすることができます。2社間ファクタリングであれば10%〜20%、3社間ファクタリングであれば1%〜9%程度の手数料が必要です。手数料はファクタリング会社によって異なるので、相場の範囲でなるべく手数料の安い会社を選ぶといいでしょう。
なお、ファクタリングは1ヶ月先の期日の売掛債権でも10%程度の手数料が設定されます。
1ヶ月間の資金調達のためだけに10%の手数料が発生するのであれば、年利に換算すると120%もの高利率になります。
お金を借りる場合の金利の相場は、以下の通りです。
- メガバンク:1%~14%
- 地方銀行:3%~15%
- ノンバンク:5%~18%
フリーランスは金利が高めになるケースが多いので、事前に金融機関から見積もりを取っておきましょう。
いずれにせよ、ファクタリングは融資と比較して資金調達コストが非常に高くなると認識しておきましょう。
審査の対象
お金を借りることとファクタリングでは、審査の対象が異なります。
ファクタリングは、売掛債権の買取のため売掛先の支払い能力が重視されます。たとえば、売掛先が大手企業・上場企業・地方自治体などの場合は、支払い能力が高いと判断される可能性が高いです。
一方、金融機関からお金を借りる場合は、フリーランスの返済能力・財務状況などを細かく審査します。過去の決算や担保設定・個人資産の有無なども対象となるので、比較的審査は厳しいと言えるでしょう。
返済期間
お金を借りることとファクタリングでは、返済期間が異なります。
ファクタリングは売掛債権を買い取る金融サービスなので、返済義務はありません。
数ヶ月後に入金予定になる売掛債権がファクタリングを利用したことによって入金にならなくなるだけです。
一方、金融機関からお金を借りる場合、借入目的・金額によって異なるものの返済期間が1ヶ月〜10年程度と幅広くなっています。審査によっては希望する返済期間にならないケースもあるので、金融機関に交渉してみるといいでしょう。
返済方法
お金を借りることとファクタリングでは、返済方法が異なります。
2社間ファクタリングは、ファクタリング会社への入金を一括払いする必要があり、分割払いはできません。3社間ファクタリングは売掛先が直接、ファクタリング会社に売掛金を入金します。
一方、金融機関からお金を借りる場合、一括を含め様々な返済方法を選択できます。分割払いや限度額を設定する残高スライド返済など様々な返済方法を選べるため、フリーランスでも無理なく返済可能です。
柔軟な返済方法を選択したいのであれば、借入を選ぶべきでしょう。
売掛先への通知
お金を借りることとファクタリングでは、売掛先への通知の有無が異なります。
ファクタリングの場合、3社間ファクタリングでは売掛債権の譲渡が売掛先に通知されます。なお、2社間ファクタリングの場合は基本的に売掛債権譲渡の通知は行われません。
一方、金融機関からお金を借りる場合、フリーランスとの取引で得た情報は守秘義務があるので売掛先に通知されません。万が一、取引で得た情報を売掛先に通知した場合、管轄官庁からペナルティが課される可能性があります。
なお、借入を行なった場合、貸借対照表には「どこからいくら借りたのか」という明細が記載されるのが一般的です。
そのため銀行や投資家などが貸借対照表を見た場合、外部からの資金調達の詳細を知られてしまうのは、借入の方になります。
追加の資金調達
お金を借りることとファクタリングでは、追加で資金調達できるかどうかが異なります。
ファクタリングの場合、信用できる売掛債権があれば追加の申し込みが可能です。
一方、金融機関からお金を借りる場合、返済能力の有無によって追加の資金調達ができるかどうかが変わります。
事業計画書をしっかりと準備して、将来的に売上が伸びると示す必要があります。
一般的には1年間に借入できるのは1回のみですので、いくら秀逸な事業計画を策定しても、年に何度も追加借入をおこなうことは不可能です。
会計上の分類
お金を借りることとファクタリングでは、会計上の分類が異なります。
ファクタリングの場合、債権譲渡による資金調達なので負債に計上されません。
一方、金融機関からお金を借りる場合は、借入金になるので会計上も負債として計上します。そのため、フリーランスが継続的にお金を借りると、負債が増え金融機関からの評価も下がるので注意が必要です。
ファクタリングであれば負債が増えないので自己資本比率が悪化せず、貸借対照表の総額も増えません。
自己資本比率は高く、貸借対照表はできる限り小さく、が銀行などから評価される経営ですので、ファクタリングの方が貸借対照表に対する評価は高くなります。
フリーランスが融資とファクタリングを活用するシーン
フリーランスが融資とファクタリングを活用するシーンは異なります。ここでは、融資とファクタリングの相違点を踏まえ、フリーランスが融資とファクタリングを活用するシーンについて解説します。
フリーランスがファクタリングを活用すべきシーン
フリーランスがファクタリングを活用すべきシーンは、早急に資金が必要な場合です。ファクタリングは最短即日で売掛金を現金化することができ、オンラインでの手続きならば迅速に資金調達が行えます。また、ファクタリングであれば会計上負債として計上されません。そのため、将来的に金融機関からお金を借りるのを希望する場合は、信用情報に影響しないのもフリーランスにとって利点でしょう。
さらに、赤字経営など金融機関でお金を借りることができないフリーランスでも、売掛先の信用力が高ければ利用できます。そのため、信用力に自信のないフリーランスにもおすすめです。
フリーランスが融資を活用すべきシーン
フリーランスが融資を活用すべきシーンは以下の通りです。
- 創業時の資金調達
- 設備投資や事業拡大
- 不測の事態への対応
フリーランスとして独立する際、創業費用が必要になります。機材・備品の購入費や事務所の賃料など、これらの費用を自己資金で賄うには難しいため融資を活用するシーンも少なくありません。
また、創業してから1年程度は事業が軌道に乗らないのが一般的です。
そのため、1年程度の運転資金も手元には用意しておいた方がよいでしょう。
また、設備投資や事業拡大を行う場合も同様に、融資によって資金調達を行うのも1つの手段でしょう。また、病気や怪我になった場合や取引先の倒産といった不測の事態への対応時にも融資を活用しましょう。
さらに、ファクタリングと比較して低金利で利用できるので、コスト面が気になる方にもおすすめです。事前に融資で資金調達し先行投資する場合も有効な活用法と言えるでしょう。
フリーランスがお金を借りる際によくある質問
フリーランスがお金を借りる際によくある質問は以下の通りです。
- フリーランスが最も簡単にお金を借りる方法は?
- フリーランスが即日でお金を借りることはできますか?
- フリーランスがお金を借りた際に生活費に充てることは可能ですか?
- フリーランスがお金を借りるのに時間がかかるのはなぜですか?
- フリーランスが実績がない状態でお金を借りることは可能ですか?
お金を借りる前には、疑問点をしっかりと解消した上で申し込みをおこなってください。
フリーランスが最も簡単にお金を借りる方法は?
フリーランスが最も簡単にお金を借りる方法は、ノンバンク系のビジネスローンの利用です。信販会社や消費者金融のビジネスローンは、銀行系と比較して審査が緩くなっています。ただし、その分金利が高く設定されているので、メリット・デメリットを理解し利用しましょう。
また、カードローンもいざという時にお金を借りられる便利な資金調達方法です。しかし、個人向けのカードローンを事業資金として利用することはできない点に注意が必要です。個人向けカードローンを利用するなら、生活費にあてるのがおすすめです。
売掛債権が手元にあるのであれば、ファクタリングも請求書をアップロードするだけで簡単に資金調達できます。
ただし、これらの方法は全て銀行融資などと比較して金利が高いので、利用する際は「どうしても今日中にお金が必要」とか「銀行融資の審査に落ちた」など、これらの方法でなければならない状況下に限って利用するようにしてください。
フリーランスが即日でお金を借りることはできますか?
フリーランスが即日でお金を借りることは可能です。ビジネスローンの中には即日融資に対応しているものもあります。また、フリーランスがいざと言うときにすぐにお金を借りるためにも、事前にビジネスローンに申し込んでおくのも1つの方法です。
ただし、即日資金調達できるビジネスローンやファクタリングは資金調達に時間がかかる銀行融資などと比較して金利などがかなり高くなっているので、本当に緊急時に必要最低限の金額だけを借りるようにしてください。
フリーランスがお金を借りた際に生活費に充てることは可能ですか?
フリーランスは、事業資金として借りたお金を生活費に充てることできません。金融機関でお金を借りる際、資金使途を事業資金に限るケースがほとんどだからです。
ただし、実際にフリーランスが借りたお金を生活費に充てたかの見極めは難しく、融資した側も積極的に調査することはありません。しかし、資金使途の取り決めを破った際のペナルティを考えると、資金使途の取り決めを守る方が賢明です。
フリーランスがお金を借りるのに時間がかかるのはなぜですか?
法人・フリーランスどちらも、銀行・日本政策金融公庫などからの融資は時間がかかります。なぜなら、金融機関は、融資先の事業性・返済能力を精査し融資の可否を判断し融資を行っているからです。
また、開業資金は特に実績ではなく事業計画を審査します。
実績であれば決算書の数値を機械的に評価することによって容易にリスクを判定できますが、事業計画は文章の内容を吟味し、経営者の人間性を評価しなければリスクを判定できません。
これらの理由から、開業資金は特に審査に時間がかかります。
そのため、すぐに資金調達を行いたいのであれば、ノンバンク系のビジネスローンやファクタリングを検討しましょう。特にファクタリングであれば、審査はあるものの売掛先の信用力で売掛債権を買い取るので、融資よりも資金調達が行いやすくなっています。
フリーランスが実績のない状態でお金を借りることは可能ですか?
フリーランスが実績のない状態でお金を借りることは可能です。
銀行のプロパー融資は実績がないと借入は困難ですが、日本政策金融公庫ならフリーランス支援に力を入れており創業支援も充実しています。
また多くの自治体が制度融資でも開業資金融資を取り扱っていますので、「これから開業する」「開業してから日が浅い」という方でも融資を受けられる可能性があります。
副業のフリーランスが開業資金を借りることはできますか?
副業のフリーランスでも、新たに開業届を提出して開業資金を借りることは可能です。
事業計画を策定し、その事業計画がうまくいく可能性が高いと判断されれば副業であっても開業資金の審査に通過できる可能性は高いでしょう。
むしろ、これから開業する事業の他に給与所得があるため、審査する側からすると「返済できる可能性が高い」と判断でき、審査に有利になることもあります。
しっかりとした事業計画があれば、会社員の方であっても開業資金を借りられる可能性は高いでしょう。
フリーランスでもお金を借りる選択肢は多い
フリーランスがお金を借りる選択肢は多種多様ですが、それぞれの選択肢にはメリット・デメリットがあるので目的・金利・手数料などに応じて使い分けましょう。自分の状況や必要額に応じて、お金を借りる方法を賢く選択してください。
一般的にフリーランスはお金を借りるのが難しい立場ではありますが、だからといってお金を借りることができない訳ではありません。日本政策金融公庫のように、フリーランスでもお金を借りられる制度もあります。また、ファクタリングのように、フリーランスでも即日資金調達が望める選択肢もあるのです。フリーランスという立場でも利用できる資金調達方法を探し、状況に応じて活用してください。