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個人事業主や法人の方が資金繰りに困った際には、事業者ローンでお金を用意するのも1つの方法です。事業者ローンは通常の銀行融資よりも借入までの期間が早く、基本的に資金用途が自由なので、フレキシブルな資金繰りが行えます。
しかし、事業者ローンは通常の銀行融資よりも金利が高く設定されているので、計画的な利用と返済が求められるのです。
この記事では事業者ローンの金利相場を解説するとともに、事業者ローン選び方・金利を抑える方法・おすすめ事業者ローン5選も紹介します。本記事を読めば適切な金利相場がわかり、自分に最適な事業者ローンが見つかります。
事業者ローンで計画的な借入を行い、資金繰りの一助にしてください。
記事の目次
事業者ローンの金利相場
事業者ローンは事業資金専用の金融商品で、法人経営者および個人事業主だけ申し込むことが可能です。事業者ローンを取り扱っているのは銀行・ノンバンクだけでなく、国・地方自治体・日本政策金融公庫のような公的金融機関もあります。事業者ローンの金利相場は以下の通りです。
事業者ローンの取扱金融機関 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
メガバンク | 1.0%~14.0% |
ネット銀行 | 3.1%~13.8% |
地方銀行 | 2.7%~14.9% |
ノンバンク | 5.0%~18.0% |
日本金融国庫 | 1%~3% |
ここでは、それぞれの事業者ローンの金利相場について解説していきます。
メガバンクの事業者ローン金利相場
メガバンクで取り扱っている事業者ローンの金利相場は1.0%台?14.0%です。
銀行名 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
三菱UFJ銀行 | 1.0%~14.0% |
みずほ銀行 | 1.0%~13.0% |
三井住友銀行 | 1.0%~12.0% |
同じメガバンクであっても事業者ローンの適用金利に差があるのは、審査結果に応じて顧客ごとに事業者ローンの金利が適用されるからとなっています。
なお、事業者ローンの金利は以下の要素によって決まります。
- 融資額
- 借入期間
- 事業の安定性
- 事業主の信用力
- 担保の有無
事業者ローンの金利を低く抑えたいのであれば、以上の要素を考慮し自分に最適な事業者ローンを選ぶようにしましょう。
ネット銀行の事業者ローン金利相場
ネット銀行の事業者ローンの金利相場は3.1%~13.8%です。
銀行名 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
楽天銀行 | 3.1%~10.8% |
住信SBIネット銀行 | 3.1%~13.8% |
ソニー銀行 | 3.3%~13.8% |
PayPay銀行 | 3.5%~13.8% |
auじぶん銀行 | 4.0%~13.8% |
一般的にネット銀行は店舗を持たず人件費・設備費といったコストや手間が少ないので、メガバンクや地方銀行に比べ事業者ローンの金利が低いとされています。
地方銀行の事業者ローン金利相場
地方銀行の事業者ローンの金利相場は2.7%~14.9%です。
銀行名 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
北海道銀行 | 2.7%~14.9% |
東北銀行 | 3.0%~14.0% |
静岡銀行 | 3.0%~13.0% |
北國銀行 | 2.9%~14.5% |
福岡銀行 | 2.9%~14.5% |
メガバンクと比較すると、地方銀行は貸出先が限られているため貸倒リスクが低いので、メガバンクよりも低い金利で事業者ローンを提供できます。
ノンバンクの事業者ローン金利相場
ノンバンクの事業者ローンの金利相場は5.0%~18.0%です。
金融機関名 | 業者ローンの金利相場(年率) |
SMBCファイナンス | 5.0%~18.0% |
オリックス | 5.0%~18.0% |
アコム | 6.0%~18.0% |
プロミス | 5.0%~18.0% |
ジャックス | 5.0%~18.0% |
アイフル | 6.0%~18.0% |
銀行系の事業者ローンに比べると金利が高い傾向がありますが、これはノンバンク系の方が資金調達コストが高いことやリスクを取って独自審査で融資を行えるのが要因となっています
日本政策金融公庫の事業者ローン金利相場
日本政策金融公庫の事業者ローン金利相場は1%~3%程度です。日本政策金融公庫の国民生活事業(主要利率一覧表)で公開されているので、気になる人はチェックしましょう。
なお、日本政策金融公庫の事業者ローンの金利は、以下の条件によって変わってきます。
- 利用する融資制度
- 担保の有無
- 資金使途
- 返済期間
そのため、実際の金利がどの程度になるか知りたい場合は、日本政策金融公庫の支店窓口に問い合わせるようにしましょう。
なぜ通常の融資より事業者ローンの金利が高いのか
ビジネスローンの金利が比較的高めであるのは、以下のような理由があるからです。
- 短期間で融資開始が行えるため
- 貸倒のリスクが高いため
- 担保・保証が原則必要ないため
事業者ローンの金利は、通常の融資よりも高めに設定されています。
金融機関名 | 融資の金利 | 事業者ローンの金利 |
メガバンク | 1.0%~3.0% | 1.0%~14.0% |
地方銀行 | 1%~4.0% | 2.7%~14.9% |
ノンバンク | 2.0%~18.0% | 5.0%~18.0% |
ここでは、なぜ通常の融資より事業者ローンの金利が高いのか解説していきたいと思います。
短期間で融資開始が行えるため
融資より事業者ローンの金利が高い理由の1つが、短期間で融資開始が行える点です。
事業者ローンは通常の銀行融資と比べ、融資開始まで短期間で行えることをメリットとしています。特にノンバンク系の事業者ローンであれば、即日審査・即日融資を謳うものもあるのです。銀行などの同様に、融資が2週間~1ヶ月じっくり審査を行うのに対し、事業者ローンであれば3営業日~5営業日で融資が開始できます。
つまり、通常の融資よりも事業者ローンは比較的審査基準が甘くなりますが、その分だけ金利が高くなっているのです。
貸倒のリスクが高いため
融資より事業者ローンの金利が高いもう1つの理由が、融資よりも貸倒のリスクが高いことが挙げられます。
事業者ローンを利用する人は、その前に公的機関や銀行の融資審査に落ちたケースも多く、経営状態が芳しくないなど貸倒のリスクを抱えていることも珍しくありません。事業者ローンは、貸倒をカバーするため金利を高めに設定しているのです。
例えば、200万円を金利15%で100社に事業者ローンで融資を行い、10社で貸倒が起こったとしても事業者ローンを提供している金融機関は利益を出すことが可能です。
- 利息収入:30万円×90社=2,700万円
- 貸倒金額:200万円×10社=2,000万円
- 合計収支:2,700万円-2,000万円=700万円
このように、事業者ローンは貸倒のリスクが高いものの、万が一貸倒が起きても利息でカバーできる金利に設定されているので、柔軟な審査対応が行えるのです。
担保・保証が原則必要ないため
担保・保証が原則必要ないことも、融資より事業者ローンの金利が高い理由の1つです。
一般的な融資では、万が一返済ができなくなったとしても、担保や保証人が用意されていれば資金を回収できます。一方、事業者ローンは担保・保証が原則的に必要なく、資金の回収ができなくなるリスクは高いものの、金利を高く設定することで貸し手側の保全が図られているのです。
どの事業者ローンの返済方法を選ぶかで支払い金利が変わる
事業者ローンは、どの返済方法を選ぶかで支払い金利が変わります。事業者ローンを取り扱っている金融機関の代表的な返済方法は以下の通りです。
- 元利均等返済
- 残高スライドリボルビング返済
- 元本一括返済方式
ここでは、それぞれの返済方法のメリット・デメリットについて解説します。
元利均等返済
元利均等返済とは、事業者ローンの返済額と支払い金利の合計が毎回同じ額になるように設定された返済方法です。事業者ローンの返済開始時は利息部分が多くなるように設計されており、返済が進むにつれ元本部分が多くなります。例えば、毎月の返済額が10万円で返済まで30ヶ月掛かる場合、元本と利息の割合は返済が進むにつれ以下のようになるのです。
返済回数 | 1ヶ月目 | 10ヶ月目 | 20ヶ月目 | 30ヶ月目 |
元本 | 7万円 | 8万円 | 9万円 | 10万円 |
利息 | 3万円 | 2万円 | 1万円 | 0円 |
事業者ローンの返済方法を元利均等返済とするメリットは、返済額が一定なので返済計画が立てやすく無理なく返済が行える点が挙げられます。一方、デメリットとしては、元本がなかなか減らず返済が長期になると返済総額がかなり膨らんでしまう点です。
そのため、事業者ローンの支払い金利を抑えたい場合は、返済期間を短く設定すると良いでしょう。
残高スライドリボルビング返済
残高スライドリボルビング返済は、一般的にはカードローンの返済で採用されている返済方式です。利用時点の借入残高に応じて毎月の返済額が決まるので、返済により借入残高が減ると返済額が少しずつ減少していくのが特徴です。
事業者ローン借入直後の残高 | 返済額 |
20万円以下 | 1万円 |
~50万 | 1万5,000円 |
50万円~100万円 | 2万5,000円 |
100万円~200万円 | 4万円 |
200万円~300万円 | 6万円 |
300万円~400万円 | 7万円 |
400万円~500万円 | 8万円 |
メリットとしては、月々の返済負担額が少なく事業者ローンの残高が減ると返済額が軽減される点が挙げられます。一方、デメリットとしては返済額が一定でないため返済計画が立てにくく、事業者ローンの元本の減りが遅く支払い金利が膨らむ点です。
元本一括返済方式
元本一括返済方式とは、事業者ローンの元本を一括返済するもので、返済満了まで金利分の利息のみを支払う返済方法です。例えば、事業者ローンで100万円を借入し、金利が15%で1年間の期限で借りた場合の返済イメージは以下のようになります
返済回数 | 金利返済額 | 元本返済額 |
1ヶ月目 | 1万2,500円 | 0円 |
2ヶ月目 | 1万2,500円 | 0円 |
… | … | … |
12ヶ月目 | 0円 | 100万円 |
元本一括返済方式のメリットとしては、事業者ローンの月々の返済額を最大限抑えられるので、返済の余裕が生まれることが挙げられます。一方、デメリットとしては事業者ローン返済期間が長くなることと、金利の支払い総額が膨れることです。また、元本を一括返済しなければならないのでまとまったお金が必要になる点もデメリットです。
事業者ローンを選ぶ際のポイント
事業者ローンは取り扱っている金融機関によりサービスが異なり、中には自由度の高い事業者ローンも提供されています。自分にとって最適な事業者ローンを選ぶためにも、ここで紹介するポイントを抑えて事業者ローンを選ぶと良いでしょう。
事業者ローンの金利相場を比較する
業者ローンを選ぶ際には、金融機関の金利相場の比較が必要です。事業者ローンを取り扱う金融機関は、メガバンク・地方銀行・ネット銀行・ノンバンクなどが取り扱っており、それぞれの金融機関によって金利相場は異なっています。
事業者ローンの取扱金融機関 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
メガバンク | 1.0%~14.0% |
ネット銀行 | 3.1%~13.8% |
地方銀行 | 2.7%~14.9% |
ノンバンク | 5.0%~18.0% |
事業者ローンの借り手からすると金利が低いことに越したことはありませんが、以下の点を踏まえ総合的に判断するようにしましょう。
- 事業者ローンの融資上限金額
- 事業者ローンの融資期間
- 担保・保証人の有無
事業者ローンの金利相場はもっとも重要な選ぶポイントですが、それ以外の項目も含め総合的に判断するのが賢明です。
事業者ローンの必要書類を確認する
事業者ローンに申し込んだあとで必要書類を用意し始めても、手続き完了までスムーズに進みません。事業者ローンは一般的な融資よりも短期間で融資を開始できますが、準備に時間を要するとそのメリットが失われるので、あらかじめ事業者ローンに必要な書類を用意しておきましょう。
特に納税証明書や確定申告書と言った公的書類は、発行まで時間が掛かることが多いので、前もって用意しておくことで有効に時間を使えるようになります。
十分な利用限度額の事業者ローンか確認する
事業者ローンを選ぶ際には、十分な利用限度額が設定されているか事前に確認しておくことが必要です。
例えば、設備投資の資金調達を目的として事業者ローンを利用する場合、機械設備の購入費だけを見込んでいると事業を安定的に運営していくことは難しくなる可能性があります。なぜなら、事業者ローンで機械設備を購入しても、製品の製造販売をして実際に売上を得るには一定の時間を要するからです。
その他にも、製品を製造するための原材料購入・従業員への給与支払いなど、機械設備を稼働して売上を得るためには運転資金も必要となります。つまり、設備投資をする際には運転資金も含めて資金計画を立て、事業者ローンで資金を調達してください。そのため、十分な利用限度額の事業者ローンか確認しておきましょう。
事業者ローンの返済期間を試算する
事業者ローンを選ぶ際には、融資を受けてからどの程度の返済期間が必要になるか試算しておきましょう。なぜならば、どのタイミングで事業者ローンの返済が完了するかを知っておくことは、将来的な事業計画に大きな影響を与える要素となるからです。
例えば、返済期間を抑えておけば、その後に設備投資を増やすといった長期計画が立てやすくなります。事業の状況が好調であれば返済期間を短く設定できますし、経営者の年齢が若ければ返済期間を長く設定することもできるでしょう。
いずれにしても、中長期の事業計画を検討する際には、毎月の返済額や金利とともに中長期の資金繰りも勘案しておくことも重要です。
事業者ローンの融資実行までの期間を確認する
事業者ローンを選ぶ際には、融資実行までどの程度の期間が必要になるか確認しておきましょう。なぜならば、融資で入金が実行される期間までに、資金繰りがショートする可能性があるからです。
また、融資の実行が遅れるのは金融機関や借り手の不備だけにとどまらず、自然災害や経済危機などが要因になる可能性もあります。そのため、事業者ローンを選ぶ際には、時間的余裕のない資金繰りスケジュールを組むのは避けるようにしましょう。
事業者ローンの金利を抑える方法
業者ローンを選ぶ際には、借りられる事業者ローンの金利をなるべく低く抑えるのも1つの方法です。ここでは、事業者ローンの金利を抑える方法について解説していきます。
どのニーズに重点を置くか明確にする
返済方法は支払い金利を大きく左右するので、どのニーズに重点を置くか明確にしましょう。
- 事業者ローンの月々の返済額を抑えたい
- 短期間で事業者ローンを完済したい
- 金利の支払い総額を減らしたい
どのニーズに重点を置くかで選ぶべき返済方法は変わります。月々の返済額を抑えたいのであれば、元利均等返済または残高スライドリボルビング返済がおすすめです。また、支払い金利を抑えたいのであれば、元利均等返済または元本一括返済方式で返済期間を短く設定すると良いでしょう。
それぞれのメリット・デメリットを検討し、自分に最適な返済方法を選びましょう。
繰り上げ返済がついている事業者ローンを選ぶ
事業者ローンを選ぶ際には、繰り上げ返済がついているものを選ぶのがおすすめと言えます。繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別にまとまった額を返済する方法です。 返済は元本のみに充てられるので、その分の支払い金利がなくなり総支払額を減らすことができます。
しかし、事業者ローンの中には全額繰り上げ返済・一部繰り上げ返済が禁止されている金融機関もあるのです。事業者ローンは銀行の一般的な融資が通過しない場合に利用する人が多いですが、事業者ローン通過後に銀行の一般的な融資が通過する可能性もあります。その場合、繰り上げ返済不可の事業者ローンだと、銀行融資を受けられたのに高い金利を払い続けなければなりません。
あとで損をしないためにも、繰り上げ返済がついている事業者ローンを選ぶようにしましょう。
元利均等返済の事業者ローンなら返済精度が上げられる
元利均等返済の事業者ローンなら返済額が毎月一定なので、返済精度が上げられます。なぜならば、支払い金利と元本を毎月定額で支払うので、計画的な返済が行えるからです。
実際に、損益計算・資金繰り計算を経営管理上行っているのであれば、毎月の返済額が一定である方が返済精度が上がり計画性が増しますし、事業者ローン完済までのスケジューリングもより綿密に立てられます。一方、返済額が変動する事業者ローンの返済方法だと計画値がずれ、スケジューリングは難しくなるのです。
企業経営者にとって事業者ローンの返済計画は非常に重要なので、毎月定額で返済できる元利均等返済は使い勝手が良い事業者ローンと言えるでしょう。
上限金利が低い事業者ローンを選ぶ
事業者ローンを選ぶ際には、上限金利が低いものを選ぶようにしましょう。
なぜならば、事業者ローンの金利は融資を受ける企業の信用度・経営状態により変わります。経営状況が良ければ低金利で、経営状況が悪い場合は高い金利を提示されるのです。つまり、最低金利が提示されるよりも上限金利に近い金利を提示される可能性が高いので、上限金利が低い事業者ローンを選べば比較的低い金利で融資を受けられます
限度額が大きい事業者ローンを選ぶ
事業者ローンを利用する場合は借入を1社にまとめられるようにするためにも、限度額が大きい事業者ローンを選ぶのが賢明です。
事業者ローンは通常の融資より融資限度額が低く設定されており、概ね500万円~1,000万円程度がメインとなっています。このような状況を踏まえると、仮に事業者ローンで限度額上限500万円借りた場合でも、資金繰りが苦しく別の事業者ローンを組むような借入を行うことも考えられるでしょう。
その場合、事業者ローンを提供している金融機関側からみれば、資金繰りが苦しいと判断され信用度が下がり、今後の事業者ローンの審査が厳しくなることが考えられるのです。そのため、借入を1社にまとめられるように、限度額が大きい事業者ローンを選ぶ方がおすすめです。
有担保の事業者ローンを選ぶ
事業者ローンを選ぶ際には、金利を低く設定できる有担保の事業者ローンを選ぶのがおすすめです。
事業者ローンの金利の高さは、融資を行う際の金融機関側のリスク回避の考え方を反映しています。事業者ローンで融資を行っても、回収できないことを想定して通常の融資よりも高めに金利を設定しているのです。
しかし、不動産などを担保とできる有担保の事業者ローンであれば、融資のリスクを低くできるので無担保のローンよりも金利を低く設定できます。有担保の事業者ローンの取り扱いがない場合もありますが、有担保の事業者ローンを中心として検討するようにしましょう。
創業時は日本政策金融公庫の事業者ローンを選ぶ
創業時は、日本政策金融公庫の事業者ローンを選ぶのをおすすめします。
事業者ローンは、業歴1年以上の実績がない場合利用できません。そのため、創業時・開業時には日本政策金融公庫の事業者ローンを選ぶようにしましょう。日本政策金融公庫とは、公の金融機関で個人事業主・法人に対し積極的に事業資金の貸付を行う機関です。
特に、日本政策金融公庫でもっとも利用者が多いのが「新創業融資制度」となっています。3,000万円(運転資金は1,500万円まで)までなら無担保・無保証にて融資してくれる制度です。
資金の用途 | 創業時・開業時の店舗の賃借料・設備の購入・仕入れ・人件費など |
融資限度額 | 3,000万円(運転資金は1,500万円まで) |
返済期間 | 各融資制度で定める返済期間内 |
金利(年率) | 2.5%~2.7%程度 |
担保・保証人 | 原則不要 |
新創業融資制度の金利は2.5%~2.7%程度と低く設定されており、担保を設定すればさらに低く金利1%で利用できます。創業融資の条件が非常にいいため、創業時は日本政策金融公庫の事業者ローンを選ぶといいでしょう。
長期返済を考えるなら銀行系の事業者ローンを選ぶ
長期返済を考えるなら、銀行系の事業者ローンを選ぶことをおすすめします。
事業者ローンの月々の返済額を抑えたいなら返済期間を長くするのが手っ取り早いですが、事業者ローンは金利が高めに設定されているので、返済期間を長くすると支払い金利が膨れ上がります。そのため、事業者ローンの月々の返済額を抑えつつ低金利で利用したいのであれば、銀行系の事業者ローンを選ぶのがおすすめです。
例えば、事業者ローンの借入が1,000万円であった場合、金利に1%でも差があれば年間10万円の利息の差が出てしまいます。支払い金利を返しても元本は減りませんので、10年間で返済しようとすると100万円もの金利で支払わなければなりません。そのため、長期返済を考えるのであれば、何よりも金に重点を置いて選ぶべきと言えます。
銀行系の事業者ローンであれば、ノンバンク系の事業者ローンと比べて金利相場は安いです。
事業者ローンの取扱金融機関 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
メガバンク | 1.0%~14.0% |
ネット銀行 | 3.1%~13.8% |
地方銀行 | 2.7%~14.9% |
ノンバンク | 5.0%~18.0% |
ただし、銀行系の事業者ローンは金利が安い一方で、審査が厳しい傾向があります。ノンバンク系の事業者ローンは金利が高い一方で審査は甘めです。事業者ローンを検討する場合は、メガバンク・地方銀行・ノンバンクの順に検討すると良いでしょう。
低金利の事業者ローンを利用する際の注意点
低金利で自社のニーズに適った事業者ローンを見つけたら、早速申し込みましょう。しかし、低金利の事業者ローンを利用する上でもいくつか注意点があります。ここでは、低金利の事業者ローンを利用する際の注意点に関して解説していきます。
事業者ローンの審査は厳しいので事前準備を怠らない
一般的に低金利の事業者ローンほど審査が厳しくなっているので、事前準備を怠らないようにしましょう。
まず、低金利の事業者ローンに提出する書類に不備があるのは論外です。足りない書類がないか確認し、記載の不備・計算間違いがないか複数回、できれば複数人でチェックするのをおすすめします。また、低金利の事業者ローンに、事業計画書・返済計画書などを提出する場合は、事業の安定性・将来性があることを記載しつつ、返済計画に無理がないようにアピールするのが重要です。
ただし、長文になるのもあまり良くないので、審査しやすいよう簡潔に記載するようにしましょう。
事業者ローンの返済額を多めに設定する
金利や手数料など元本以外の支払い増加を防ぐためにも、事業者ローンの返済額を多めに設定するようにしましょう。
例えば、事業者ローンの返済期間が最長5年に設定されていると、より安全で確実な返済をするために、返済額を最小限に抑えて期間内を目一杯に利用して返済を考える人もいると思います。しかし、そういった事業者ローンの返済を行うと支払い金利が嵩んでしまうのです。
また、返済が残っているうちにさらに事業者ローンで借入が必要になれば、返済中の事業者ローンがあることが審査に影響してくるかも知れません。このような場合、事業者ローンを繰り上げ返済で完済する方法もありますが、金融機関によっては繰り上げ返済の際に手数料を請求することもあるのです。
このような、元本以外の支払いを防ぐためにも、事業者ローンの返済額を多めに設定する方が賢明と言えます。
金利の高い事業者ローンに同時に申し込む
低金利の事業者ローンに申し込むときには、同時に高金利のものにも申し込むというのも1つの手です。
ローンの金利は審査の厳しさと反比例します。審査が厳しいローンほど金利は低く、審査に通りやすいほど金利は高くなる傾向があるのです。そのため、なるべく早く資金調達をしたい場合は、金利の低い事業者ローンに申し込みしてしまうと審査落ちしてしまうリスクがあり、資金調達が間に合わないことが懸念されます。
しかし、金利の高い事業者ローンに同時に申し込んでおけば、資金調達ができないリスクを低減できるので、同時に申し込んでおく方が安全と言えるでしょう。
低金利を謳う悪質事業者ローンに注意する
やたらに低金利を謳う事業者ローンには注意するようにしましょう。事業性融資を謳った悪質事業者ローンの可能性があるからです。
特に、誰にでも低金利で事業者ローンの貸付を行うような、事実誤認を誘うような事業者ローンには注意するようにしましょう。日本貸金業協会では、これらの表現は「誇大広告の禁止等に関する基準」で禁止されており、一般的な事業者ローンでは使われません。
また、怪しい広告の事業者ローンを見つけた場合は、安易に申し込まず金融庁の登録貸金業者情報検索サービスから貸金業登録番号を確認するようにしましょう。
事業者ローンの金利から利息を計算する方法
事業者ローンを借りる際には、事業者ローンの金利から利息を計算する方法を知っていると、より精度の高い返済計画を立てられます。事業者ローンの金利から利息を計算する方法は以下の通りです。
- 事業者ローンの借入残高 × 金利 ÷ 365 × 借入日数
この計算式で事業者ローンの金利計算を行うと、その時点の支払い金利額がわかります。
例えば、事業者ローンで200万円を金利15%で60日間の借入をしているとすると、60日までの支払い金利額は49,315円となります
- 200万円 × 0.15% ÷ 365 ×60日=49,315円
実際には、1ヶ月ごとに事業者ローンを返済して借入残高は減っていくので、月ごとに計算すると支払い金利も減っていきます。計算式を理解して、より計画的に事業者ローンが利用しましょう。
金利が低いおすすめの事業者ローン5選
金利が低く利用しやすい事業者ローンを厳選して5社紹介していきます。下限金利だけに目が行きがちですが、上限金利も考慮して事業者ローンを選びましょう。
あんしんワイド(GMOあおぞらネット銀行)
利用限度額 | 10万円~1,000万円(10万円単位・審査の上で決定) |
金利 | 0.90%~14.00% |
即日融資 | 不可 |
融資対象 | 営利法人(株式会社、有限会社、合同会社、合名会社、合資会社) |
公式サイト | https://gmo-aozora.com/business/financing/anshinwide.html |
あんしんワイド(GMOあおぞらネット銀行)は、借入可能額の範囲内で、事業に必要な資金を自由に借りることができる融資枠型ローンです。銀行口座の直近3ヶ月分の入出金明細等をもとに審査するので、決算書・事業計画・担保・保証人で申し込むことができます。
審査申し込み~借入まで最短2営業日で融資ができるので、お急ぎの際にも安心です。他社の事業者ローンに比べ、0.90%~の低金利で融資を受けられる強みがあり、借入限度額も1,000万円までと大きいので安心して資金繰りが行えます。またデビット後払いオプションが用意されており、利息と利用手数料が0円となるだけでなく、最大1%のキャッシュバックを受けられるのもあんしんワイドの強みです。
VIPローンカードBUSINESS(オリックスクレジット)
利用限度額 | 50万円~500万円 |
金利 | 500万円コース:6.0%~14.9% 400万円コース:6.0%~14.9% 300万円コース:6.0%~14.9% 200万円コース:6.0%~14.9% 100万円コース:6.0%~14.9% 50万円コース:8.0%~17.8% |
即日融資 | 可 |
融資対象 |
|
公式サイト | https://www.orixcredit.co.jp/loan/vipbusiness/ |
VIPローンカードBUSINESSは、事業性資金(運転資金、つなぎ資金、仕入資金、納税資金)だけでなく、プライベートでも利用できる事業者ローンです。最短即日での融資が可能で、銀行やコンビニでも利用できるので、急な資金が必要な際でも利便性が高いことが特徴です。また、総量規制の例外となる契約に該当するので、年収の1/3以上の資金も調達できます。
さらに事業者ローンとしては唯一、オリックスグループによる会員限定の優待特典が用意されています。レンタカー・ホテル・レストランなどを優待価格で利用できるので、プライベートからビジネスシーンまで幅広いメリットがあるのは大きな強みです。
PayPay銀行ビジネスローン
利用限度額 | 10万~1,000万円 |
金利 | 1.8%~13.8% |
即日融資 | 不可 |
融資対象 | 法人・個人事業主 |
公式サイト | https://www.paypay-bank.co.jp/business/loan/index.html |
PayPay銀行ビジネスローンは、インターネットで申し込みから契約まで完結できる事業者ローンです。利用限度額までなら何度でも利用可能となっているので、予期せぬ資金繰りが必要な際にも柔軟に対応することができます。事業資金なら原則として使用用途が自由なので、運転資金・設備資金・事業拡大資金など、必要に応じて幅広く利用できる事業者ローンです。
さらに、事業者ローンの返済額は1万円~10万円と低めに設定されており、繰り上げ返済手数料の負担もありません。事業の状況に合わせて都合に合わせて返済できるので、フレキシブルな資金繰りを実現できます。
スタービジネスカードローン(東京スター銀行)
利用限度額 | 50万円~1,000万円以下(10万円単位) |
金利 | 4.5%~14.5%(保証料含む) |
即日融資 | 不可 |
融資対象 |
|
公式サイト | https://www.tokyostarbank.co.jp/hojin/financing/sbcl.html |
スタービジネスカードローンは、最大1,000万円までの資金使途が自由な借入が行える事業者ローンです。毎年の契約更新により、満69歳になるまで継続利用が可能で、利用枠内であれば何度でも使えるので自由度の高い融資が行えます。残高スライドリボルビング方式を採用している事業者ローンとなっており、返済のプレッシャーに苛まれることもありません。
また、スタービジネスカードローンは小口資金に特化した事業者ローンです。そのため、メガバンク事業者ローンに比べて審査が甘いので、中小企業や個人事業主にとって融資を受けやすい事業者ローンとなっています。
ビジネスローン(アクト・ウィル)
利用限度額 | 300万~1億円 |
金利 | 7.5%~15.0% |
即日融資 | 可 |
融資対象 | 法人(年商5,000万以上) |
公式サイト | https://actwill.co.jp/ |
ビジネスローン(アクト・ウィル)は、即日融資と大口融資を兼ね備えた事業者ローンです。最短即日で、最大1億円の融資が可能な事業者ローンとなっており、無担保・無保証で借入が行えるのですぐにまとまった資金調達が必要な企業には利便性の高いサービスとなっています。オンライン完結可能の事業者ローンなので、営業所まで行きづらい環境でも利用可能です。
勿論、アクト・ウィルは貸金業登録業者(登録番号 東京都知事(2)第31521号)となっています。高額な利用限度額が設定されていても、信用度が高いので安心して利用可能です。
事業者ローンの金利に関するよくある質問
事業者ローンの金利に関するよくある質問は以下の通りです。
- 事業者ローンの金利はどのくらいですか?
- 事業者ローンの金利はどのように決まりますか?
- 事業者ローンの金利を下げる方法はありますか?
事業者ローンの金利はどのくらいですか?
事業者ローンの金利は、金融機関や融資の種類によって異なりますが、概ね金利相場は以下のようになっています。
事業者ローンの取扱金融機関 | 事業者ローンの金利相場(年率) |
メガバンク | 1.0%~14.0% |
ネット銀行 | 3.1%~13.8% |
地方銀行 | 2.7%~14.9% |
ノンバンク | 5.0%~18.0% |
メガバンクよりも中小金融機関の方が金利が高く、無担保ローンよりも有担保ローンの方が金利が低い傾向があります。
事業者ローンの金利はどのように決まりますか?
事業者ローンの金利は、調達コスト・経費・貸倒リスク・利益の4つの要素で決まります。このうち、貸倒リスクはもっとも金利を左右する要素となっており、融資を行った企業が返済できるか否かの信用度で適用金利が決まるのです。
この企業の信用度は、決算書をもとに作成した信用格付けによりスコアリングされます。格付けが高ければ低金利で事業者ローンを借りられますが、格付けが低ければ高金利が適用されたり事業社ローンが借りられなかったりという結果が予測されます。
事業者ローンの金利を下げる方法はありますか?
事業者ローンの金利を決める要素は様々ありますが、借り手の企業側が改善できるのは、格付けだけとなっています。格付けとは、簡単に言えば金融機関からの評価となっており、格付けを改善する対策としては以下の方法が挙げられます。
- 業績を改善し連続黒字を実現
- 財務リストラで財政状態を改善し、キャッシュフローを黒字にする
- 経営計画書の作成し事業性評価を改善する
- 中小企業の会計に関する指針に準拠する
これらの対策を実施すれば、中小企業でも事業者ローンの金利を下げることが可能です。
事業者ローンの金利はメガバンク・地方銀行・ノンバンクの順に低い
事業者ローンの金利相場を解説するとともに、事業者ローン選び方・金利を抑える方法・おすすめ事業者ローン5選も紹介してきました。
事業者ローンは通常の融資よりも金利が高いですが、短期間で融資が受けられて担保・保証が原則必要ないメリットがあります。そのため、まとまった資金を短期間で得るには最適の融資だと言えるのです。しかし、十分な限度額がある事業者ローンであるかを確認するなど、事業者ローンを選ぶ際のポイントを抑えて選ぶことが重要となります。
また上限金利が低い事業者ローンを選ぶなど、金利を低く抑える方法を実行すれば、低金利で事業者ローンを借りることができます。ここで紹介したおすすめ事業者ローン5選を参考にしつつ、自社に最適の事業者ローンを探してみてください。