資金繰りと経理の効率化
資金繰りショートとは何か?倒産する前に経営者が取るべき具体的な対処法
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資金繰りショートのメカニズム、原因と対策を解説します。

こんにちは、ベストファクターの四ツ柳と申します。

会社の健全な経営に欠かせない「資金繰り」も、手元の現金(キャッシュ)が不足する事態が続けば、やがてショートしてしまいます。

中小企業は言うまでもなく、どれだけ体力のある大手企業でも、資金繰りのショートは起こりえます。資金ショートに陥ったとき、経営者は会社と社員を守るために、どのような対策を講じなければならないのでしょうか?

今回は資金繰りショートのメカニズム、具体的な原因と対策について解説します。

会社が資金繰りショートに陥るとどうなるか?

資金繰りショートは、会社の収支のバランスが崩れ、入ってくる現金(キャッシュ)よりも出ていく現金の方が多い状態が続き、資金が回らなくなる状態です。

人間の体にたとえると、出血多量で体に必要な血液が足りなくなる状態ですので、いかに危険であるかおわかりいただけるでしょう。

資金繰りショートになったからと言って、ただちに会社が倒産するわけではありませんが、買掛金が支払えないと取引先からの信用を失い、また従業員の給料が支払えないと人が離れていってしまいます。

とくに、手形の不渡りが半年に2回続くと、銀行の取引が停止するため、事実上の倒産となります。

経営者は会社を倒産させないためにも、お金の出入り(=収支)を管理して、資金が不足しないように資金繰りを行う必要があります。

資金繰りショートになる原因

資金繰りが悪化した状態が続くと、いずれ資金が底を尽きて資金繰りがショートします。

資金繰りがショートしてしまう原因はひとつだけではなく、複数が絡まり合っていることがほとんどです。

いずれにしても、会社の収支のバランスがとれていない状態は、健全な経営であるとは言えません。

利益の減少|原因1

商品やサービスが売れなくなれば、当然ながら売上が減っていきます。

また、売上が好調に見えても、値引き合戦などで利益率が低くなっている場合は、手元に入ってくるキャッシュ(=収入)が減り、資金繰りが苦しくなります。

売上の急増|原因2

会社が商品やサービスを納入するまでには、原材料や設備費用、人件費、外注費などがかかります。

売上が急増すると利益アップにも期待できますが、一方で多額の先行投資が必要になり、資金繰りが悪化します。

資金の回収と支払いのバランスの悪化|原因3

資金繰りの鉄則は、「回収が先、支払いは後」です。

取引先からの売掛金の回収は早く、仕入先への支払いは遅くする。つまり、キャッシュが入ってくる期間を短く、キャッシュが出ていく期間を長くすることが、会社の収支のバランスが取れている状態です。

これが、「支払いが先、回収は後」になれば、手元にキャッシュがない状態で支出が増えるため、資金繰りが悪化します。

不良在庫の増加|原因4

小売店などによくある資金繰り悪化の要因として、需要以上に商品を仕入れてしまい、売れずに残ってしまう「不良在庫」が挙げられます。

売れない商品の保管を続ければ、品質は劣化、需要も落ちて不良在庫化します。保管スペースも圧迫され、管理費用もかさんでいくので、結果的に資金繰りが悪化するのです。

売掛金の回収遅れや貸し倒れ|原因5

一般的な商取引では、商品・サービスの納入後、売掛金が会社に入金されるのは1~2ヶ月先です。

売掛金を取引先から回収できなかった、あるいは取引先への請求を忘れていたなどの原因で、期日通りにキャッシュが手元に入ってこなければ、資金繰りが悪化します。

さらに、取引先が倒産したり、売掛金を支払わずに連絡が取れなくなったりすれば、貸し倒れとなってキャッシュが手元に入ってきません。

商品やサービスを納入するため、仕入れ費用や人件費というコストを支払っているのに、そのコストの原資である売掛金が入金されなければ、資金繰りショートに陥ってしまいます。

経営者が資金繰りを把握していない|原因6

経営者が自社の資金繰りを把握していないというケースは少なくありません。

経営のトップが資金繰りを把握していないと、資金繰りがショート寸前であるにも関わらず、何の対策も講じていないという事態に陥ってしまいます。

資金繰りショートの解決策【資金確保編】

会社の資金繰りショートを回避するには、出ていくキャッシュを減らし、手元にキャッシュを残すことが肝心です。

ここでは、「資金確保編」として、支出を減らす具体的な方法を解説します。

支払いを遅くしてもらう交渉をする

売掛金の回収よりも、経費の支払いが先に来ていることで資金繰りが悪化している場合は、仕入先に支払いを遅くしてもらうよう交渉しましょう。

仕入先への支払い日は取引を開始するときに決められるため、途中で変更することは容易ではありませんが、資金繰りショートが目前に迫っているのであれば、しっかりと状況を伝えて、支払い日延長の交渉しましょう。

最もやってはいけないのが黙って放置してしまうことです。何の連絡もせずに仕入先への支払いが遅れたりすると、これまで築いてきた信頼関係が一瞬にして崩れてしまいます。

経費を削減する

手元に多くのキャッシュを残すためには、売上を上げることも大事ですが、回収までにタイムラグがあるため、ただちに資金繰りを改善させることはできません。

より資金繰り改善に効果があるのは、仕入れ費用や人件費、在庫管理費用などの経費を削減して、出ていくキャッシュを抑えることです。

たとえば、固定費の一部を外注化(アウトソーシング)して流動費化したり、税理士に依頼して節税したりすることで、経費を削減することができます。

経費削減は、会社にかかっているコストを把握するところから始まります。従業員・部門ごとにコストを把握・見える化することで、会社が一丸となって経費削減の意識が芽生えるといった効果にも期待できます。

返済のリスケ

リスケ(リスケジュール)とは、会社の現在の財務状況でも返済可能な計画に変更することです。

たとえば、「月50万円返済×残12ヶ月」の借入金を、「月25万円返済×残24ヶ月」にリスケすれば、返済期間は長くなり、返済総額は大きくなるものの、月々の返済額は今までの半分となり、負担を減らすことができます。

銀行は、資金繰り表や返済計画書で債務者の返済計画の実現可能性が高く、かつ抜本的な経営改善計画を策定していると判断すれば、リスケに応じてくれます。

資金繰りショートの解決策【資金調達編】

資金を確保しても資金繰りの改善が見られない場合は、不足している分のキャッシュを外部から調達する必要があります。

不要な資産を売却する

抱えすぎてしまった在庫や事業用に使う見込みのない不動産、保有しておく必要がない有価証券など、不要な資産は売却してキャッシュに変えてしまいましょう。

銀行から融資を受ける際に、不要な資産が貸借対照表に記載されていれば、審査で確実に不利になってしまいます。

売れない、使わない資産に管理費などのコストをかけるよりは、早期に資金化して事業用のキャッシュに回せば、借入に頼らない資金調達も可能です。

銀行融資を受ける

資金繰りショートが目前に迫っていても、交渉次第では銀行から融資を受けることができます。

銀行から融資を受けるには、以下の項目を具体的な数字や書類を持って説明することが重要です。

  1. 資金繰り悪化の理由
  2. 事業の収益性
  3. 資産状況
  4. 返済計画
  5. 経営改善計画

上記5つの項目を見て、銀行が「融資を行っても回収できる」「必ずや経営を改善してくれる」と判断すれば、たとえ倒産ギリギリの会社でも、融資を受けられる可能性は十分にあります。

ただし、帳簿の提出や各種計画書の作成、事業費の見積もりなど、融資実行までには非常に手間と時間がかかります。

ビジネスローン・商工ローンを利用する

ビジネスローン・商工ローンは、一般の融資よりも金利が高くなりますが、資金繰りがショートしている状況ではもっとも相性の良い資金調達法です。

提出書類は銀行融資よりも少なく、スコアリングシステムにより審査のスピードも格段に早いため、最短1~2日で融資を受けることが可能です。

ただし、万が一のときに限定しなければ、返済でさらに資金繰りが苦しくなる場合があります。

ビジネスローン・商工ローンは、無理のない返済計画を立てた上で利用するようにしましょう。

ファクタリングで売掛債権を資金化する

融資以外の方法による資金調達は、売掛債権売買のファクタリングが有効です。ファクタリングを利用すれば、回収前の売掛債権を売却し、期日前に資金を受け取ることができます。

ファクタリングには、大きく分けて「3社間ファクタリング」と「2社間ファクタリング」の2種類があります。

3社間ファクタリングは「利用者」「ファクタリング会社」「売掛先」の3社間で契約を行います。債権譲渡にあたって売掛先の同意が必要になるため、1週間ほどの時間がかかりますが、手数料が債権額面の1~5%と低めです。

2社間ファクタリングは「利用者」「ファクタリング会社」の2社間で契約を行います。売掛先は一切関与しないため、早ければ即日で資金化が可能ですが、手数料が債権額面の10~20%と高めです。

手数料や入金スピード、売掛先との関係を考慮して、自社にとってベストなファクタリングを選びましょう。

資金繰りショートに関するQ&A

資金繰りショートに関して、よくある質問とその回答をQ&A形式にまとめました。

Q.資金繰りショートの対策として、リスケと借り換えはどう違うのですか?
A.借り換えとは、既存の借金の借入条件よりも、「良い条件」の借金で借り入れしなおし、そのお金で既存の借金を返済することをいいます。たとえば、3,000万円を5年で借り、月々50万円の返済を4年続け、残額600万円があるとしましょう。借り換えで新たに2,000万円を5年で借りて、既存の残額600万円を完済したことにすれば、差額の1,400万円は増加資金となります。一般的に、借り換えは既存の借入の融資元とは別の銀行に依頼するもので、リスケより先に検討するのが望ましいとされています。しかし、すでに資金繰りショートに陥っているという局面では、リスケのほうが確実性が高いと言えるでしょう。
Q.資金繰りショートを未然に防ぐには、具体的にどのような対策を行えば良いのでしょうか?
A.資金繰りを悪化させないための大前提として、経営者が自社の資金繰りを把握している必要があります。資金繰り表などを経営者自らが作成・管理して、会社の資金の流れを把握していれば、いつ資金繰りショートに陥るかを可視化、早めの対策を講じることができます。さらに、会社の経営方針を、現金収支を重視した「キャッシュフロー経営」にシフトしましょう。キャッシュフロー経営とは、売上よりも利益を重視して、会社のキャッシュをどうやって増やすか(=キャッシュフロー)を考える経営手法です。具体例には、売掛金の早期回収、在庫圧縮や資産の処分などでキャッシュフローを増加させる方法などが挙げられます。
Q.資金繰り表の作り方がわかりません。
A.資金繰り表は、月単位、週単位、日単位といった一定期間において、会社のお金の流れを表す書類です。資金繰り表に決まったフォーマットはなく、表計算ソフト(Excelなど)と会社の月次試算表があれば、簡単に作ることができます。また、インターネット上には資金繰り表のテンプレートが無料で配布されているので、そちらを参考にすると良いでしょう。詳しくはこちらの記事をご参考になさってください。

資金繰りショートは未然に防げる

資金繰りショートは、ある日とつぜん起こるものではありません。必ず原因と前兆があり、早めに対処をすれば倒産を免れることができます。

会社のお金の流れを把握するには、経営者自身が資金繰り表を作成し・管理し、

  • 営業収支がマイナス(赤字)になっていないか?
  • 収支のバランスはとれているか?(本業の稼ぎでまかなえているか?)
  • 月末の現金預金がマイナスになっていないか?

の3つのポイントに、常に目を光らせておくことが大切です。

資金繰り表は会社のお金の流れを把握するツールであるだけでなく、銀行から融資を受ける際にも、必ず提出を求められます。

経営者が会社のお金の流れを把握し、資金繰りが悪化しても経営改善の計画があれば、銀行から融資を引き出すことも難しくありません。

併せて、資金繰りショートを回避するには、手元に多くのキャッシュを残しておくことも大切です。

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  • 売掛先との取引内容履歴の確認事項
  • 売掛先との契約書類
  • 発注書、納品書、請求書など
  • 身分証明書
  • 登記簿贈本(履歴事項証明書)
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  • 売掛先との基本契約書
  • 売掛債権の因果資料
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