事業資金の調達方法
個人事業主は資金調達で融資を受けられる?融資以外の資金調達方法も解説!
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「融資を受けられるのは法人だけで、個人事業主は融資を受けられないのでは?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか?個人事業主でも問題なく融資を受けられますが、注意すべきポイントがいくつかあります。

今回は個人事業主の融資について、融資の種類や注意点、融資以外の資金調達方法などを解説します。本記事を読むことで、融資に関する基本情報や資金調達方法を把握できます。スムーズに資金調達を行い、資金繰りを安定させ事業を長く継続させましょう。

記事の目次

個人事業主は起業時に資金調達で融資を利用できる?

個人事業主は資金調達で融資を利用できますが、いくつか事前にやっておくべきポイントがあります。具体的には、以下の2点です。

  • 開業届を提出する
  • 確定申告をする

個人事業主で融資を考えている方は、まず上記2点を事前に済ませておきましょう。

開業届を提出する

まず、融資を受けるためには開業届を提出する必要があります。開業届とは事業の開始を申請する届出で、管轄の税務署へ開業後1ヶ月以内に提出しなければなりません。

開業届の未提出による罰則は特にありませんが、多くの融資制度では開業届の提出を申請条件としています。したがって、融資を受ける際は開業届を事前に届け出ておきましょう。

確定申告をする

融資を受ける際は、確定申告をした後に行いましょう。確定申告は年間の所得や経費を正確に申告し、正しい税金の計算・納税をするための作業です。

融資を申し込む際、確定申告書の提出も求められます。確定申告により事業の収支や経営状況が可視化でき、金融機関は確定申告の情報をもとに融資の可否を判断するためです。

創業したばかりなど、確定申告をしていない段階で融資を申請する場合、審査に通らない可能性もあります。融資を受ける場合は、確定申告後に申請した方が良いでしょう。

個人事業主が利用できる融資

個人事業主が利用できる融資制度として、主に以下の5つが挙げられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 制度融資
  • 銀行からの融資
  • 金融会社からの融資
  • ビジネスローン

上記の中から自分にあった融資制度を利用しましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は国がバックアップする金融機関で、中小企業や個人事業主を対象としたさまざまな融資プログラムを提供しています。低利融資や新規開業時の資金調達、事業拡大に関する融資などさまざまなニーズに応じた融資制度が用意されています。

特に初めての資金調達を検討する個人事業主には、安心して利用できる選択肢の1つと言えるでしょう。要件を満たした上で事業計画書を作成できれば、比較的審査が通りやすい点が魅力です。

制度融資

制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供する公的な融資制度です。制度融資には中小企業向けの融資制度や特定の業種・事業内容を対象とした融資制度などがあります。

自治体によって融資制度の内容が異なるものの、低利での融資や長期間の借り入れが可能など、個人事業主にとって有利な条件が設定されています。ただし、多くの団体が関わっているため手続きに時間がかかる点がデメリットです。

銀行からの融資

一般的な銀行融資も、個人事業主が利用できる資金調達の方法の1つです。メガバンクや地方銀行など、多くの銀行が中小企業や個人事業主向けの融資プログラムを提供しています。

信用情報や事業計画、過去の収支などをもとに銀行が融資の可否を判断します。低金利で多額の融資を受けられるものの、審査が非常に厳格である点がデメリットです。銀行からの融資を希望する場合は、事業計画や確定申告などを通して安定した経営状況を銀行側に伝える必要があります。

金融会社からの融資

金融会社や信販会社からの融資も、個人事業主が選択できる方法の1つです。金融会社が提供する融資は柔軟な審査基準を持つことが多く、比較的銀行よりも審査が通りやすい点が特徴です。

短期間での迅速な資金調達を行いたい個人事業主に向いています。ただし、利息が高めに設定されている場合が多いため、返済計画をしっかりと立てることが重要です。

ビジネスローン

ビジネスローンは事業資金専用のローン商品で、特に短期間での融資を求める個人事業主に人気の方法です。オンラインでの申し込みが主流となっており、申し込みから融資までの手続きがスピーディーです。

銀行や金融機関の融資を受ける場合は基本的に担保や保証が必要ですが、ビジネスローンは無担保・無保証で申し込みできます。利用条件・審査基準・利息などは各ローン会社によって異なるため、よく比較検討することが大切です。

個人事業主が融資を受ける上での基礎知識

個人事業主が融資を受ける上で、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 融資を受けるタイミング
  • 起業時の融資の受けやすさは個人・法人に差はない

融資を受けるタイミング

融資を受けるタイミングとして最も多いのが、以下2つのパターンです。

  • 開業時
  • 事業拡大時

開業後間もないタイミングは、オフィスや店舗の準備・設立などに費用がかかる上、売上も安定していないためある程度の資金が必要となります。開業直後は事業が安定しておらず融資を受けるハードルは高いですが、創業時を対象とした融資制度を提供している金融機関を活用しましょう。

例えば、日本政策金融公庫では「新創業融資制度」と呼ばれる、新規事業を開始する人を対象とした融資制度を設けています。開業時に融資を受けたい場合は、創業直後の事業者を対象とした融資を活用するのがおすすめです。

また、新しい事業やサービスの拡大、新しい設備投資が必要な場面も融資を受ける適切なタイミングです。事業拡大のタイミングでは経営状況も安定しているケースが多いため、創業時よりも融資を受けやすくなります。

起業時の融資の受けやすさは個人・法人に差はない

起業時の融資申請において、個人事業主と法人との間で融資の受けやすさに大きな差はありません。基本的に事業計画が適切に組まれていれば、組織の規模に関係なく融資を受けられます。ただし、個人事業主と法人では融資審査で見られるポイントが若干異なります。

個人事業主の場合、事業の収益性・安定性とともに個人の信用を重視されるケースが多いです。個人事業主となる前の職歴・専門性・熱意のアピールが大切です。

一方、法人として融資を受ける場合、組織としての信用や事業計画の確実性が評価される傾向にあります。新規法人の場合、創業メンバーの経歴・ビジネスモデルの独自性・市場の将来性などが融資審査のポイントとなります。

個人事業主が融資審査で見られるポイント

個人事業主が融資審査で見られるポイントとして、主に以下の7つが挙げられます。

  • 資金の使い道
  • 事業計画に基づく融資額
  • 自己資金があるか
  • 経営状態が良好か
  • 融資希望額が妥当か
  • 返済能力があるか
  • 滞納など信用情報

融資を受ける際は、上記のポイントを意識し事前準備を整えましょう。

資金の使い道

資金の使い道は融資審査で最も重要なポイントであり、「どのような目的で資金を求めているのか」を問われます。

新しい設備投資や運転資金としての利用など、具体的な用途の明確化が重要です。資金の使い道が、事業計画と整合性をとれているかなども判断されます。

事業計画に基づく融資額

事業計画に基づいた、適切な融資額であるかどうかも重要です。単に「お金が欲しい」という理由だけでは審査に通りづらく、具体的な事業計画に基づいた融資額の明示が求められます。

金融機関は業種ごとの目安となる売上や利益を把握しており、目安から大幅に外れた売上や利益をもとにした返済計画では審査に通過できません。現実的な事業計画となっているか確認し、計画に基づいた具体的な融資額を提示しましょう。

自己資金があるか

自己資金は、できる限り準備しておきましょう。自己資金が多いほど、返済能力が高いと判断され融資審査が通りやすくなります。

もし自己資金が少なくとも、健全な事業計画を作成し無理のない返済計画を金融機関側に伝えられれば融資を受けられるでしょう。ただし、あくまで計画であるため、自己資金が少ないと審査のハードルは高くなるのは避けられません。

経営状態が良好か

経営の安定性や健全性は、返済能力を判断する上で非常に重要なポイントです。売上や利益が堅調に推移しており、黒字化できていれば返済能力は十分にあると判断され融資審査が通過しやすくなります。経営状態・財務状況をよくするために、コスト削減・売上拡大・キャッシュフローの確保など適切な改善策を行いましょう。

融資希望額が妥当か

金融機関は、融資希望額が実際の事業計画や必要経費に見合っているかを慎重にチェックします。必要以上に多額の融資を希望する場合、金融機関は理由や詳しい使い道を確認してきます。

大切なのは希望額が具体的な事業計画に基づいていると明確に示すことです。事業計画や収支予測をもとに、融資額の妥当性をしっかりとアピールしましょう。

返済能力があるか

金融機関は事業計画をもとに、借りた資金を返済する能力があるか厳格に審査します。審査時は、現在の収益状況・将来の収益見込み・負債の状態など事業の健全性を示す指標を詳しく提示しましょう。特に将来の収益見込みについては、具体的な根拠や計画をもとに説明すれば返済能力が十分にあると金融機関にアピールできます。

滞納など信用情報

信用情報は個人事業主の金融機関との取引履歴や返済履歴、滞納情報などを示すもので、融資審査において非常に大きな影響を持ちます。過去に滞納や延滞があった場合、「融資しても返済が滞るのではないか」と返済能力に疑問をもたれ、審査を通過しにくくなるでしょう。しかし、過去の滞納等があっても、適切な説明や改善の取り組みをアピールできれば審査の通過が期待できます。

個人事業主が融資を利用する上での注意点

個人事業主が融資を利用する上で注意すべき点として、以下の6つが挙げられます。

  • 自己資金を厚くする
  • 融資を受けるタイミングは「起業前」がおすすめ
  • 資金調達は早めに行う
  • 融資申請に必要な書類はもれなく準備
  • 専門家に相談する
  • 私的利用はしない

融資を受ける際は、上記のポイントに注意してください。

自己資金を厚くする

まず、自己資金は厚くしておきましょう。先述の通り、自己資金が多くあるほど返済能力が高いと判断され、融資審査も通りやすくなります。

融資を申請する金融機関によって必要な自己資金は異なりますが、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、自己資金の目安として開業資金の10分の1を求めています。一般的には、融資額の30%を自己資金として用意しておくのが望ましいとされています。なお、自己資金が豊富であれば融資額や利率においても有利な条件での取引が期待できるでしょう。

融資を受けるタイミングは「起業前」がおすすめ

融資を受けるタイミングは、「起業前」にするのがおすすめです。多くの人が事業を開始してから資金調達を考えがちですが、実は起業前に融資申請する方が有利です。起業後は「思ったように事業が安定せず資金が足りない」という状態で融資を受けるパターンが多くなり、結果として融資審査を通過しづらくなります。

起業前は事業での実績がないというハードルはあるものの、事業計画を準備し自己資金を用意すれば融資審査を通過できるケースも多いです。個人事業主で融資を受けたい場合は、起業前に申請しておきましょう。

資金調達は早めに行う

事業計画を綿密に作成し、資金調達は可能な限り早めに行いましょう。銀行融資で3週間~1ヶ月程度、、制度融資だと入金までに3ヶ月程度かかる場合もあります。

資金が足りなくなった状態で融資申請を行うと、審査手続きの間に資金がショートしてしまう可能性もあります。審査の早い融資は基本的に金利が高く、不利な条件で契約せざるを得ません。事業を円滑に進めるためにも将来的な資金の必要性を予測し、早めに融資の手続きを始めるのがおすすめです。

融資申請に必要な書類はもれなく準備

融資申請に必要な書類は、あらかじめ確認して揃えておきましょう。多くの融資制度では、事業計画書や確定申告書など事業の状況を把握できる資料の提出を求められます。

必要な書類を用意できなかったり不備があったりした場合、審査を受け付けてもらえず多くの時間を費やしてしまいます。事前に必要書類を融資申請先に確認し、金融機関の要求に応じて迅速に提供できるように準備しておきましょう。

専門家に相談する

融資手続きが不安なら、税理士などの専門家に相談しましょう。特に個人事業主の場合は全てを自分1人で行わなければならず、経営上の数字など融資に必要な情報を把握できていないケースも多くあります。

融資審査に必要な書類の作成は専門的な知識を要することも多く、事業と同時に必要書類の準備を行う時間がない個人事業主も多いでしょう。融資の手続きに不慣れな方は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

私的利用はしない

個人事業主が事業用に融資を受け、私的利用など他の目的に資金を利用した場合は契約違反となります。

もし私的利用が判明すれば、融資資金の一括返済を求められる可能性もあります。私的な利用は避け、プライベートと事業の資金を明確に区別し、将来的なトラブルを避けましょう。

融資以外に利用できる個人事業主の資金調達方法

融資以外に利用できる個人事業主の資金調達方法として、以下5つの方法があります。

  • ファクタリング
  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング
  • 生命保険の払戻金
  • 親族から資金調達する

開業直後など、融資の審査が不安なタイミングでは上記の資金調達方法を活用しましょう。

ファクタリング

ファクタリングとは、事業者が保有する売掛金を売却して資金化する方法です。ファクタリングは売掛金をメインの審査対象とし、融資のような厳格な審査条件が設けられていないため、開業直後の個人事業主でも売掛金さえあれば資金調達できます。

また、ファクタリング会社によっては即日入金に対応している会社もあるため、すぐに資金調達できる点もメリットです。ただし、手数料が高いとかえって資金繰りが悪化しかねません。できるだけ手数料のリーズナブルなファクタリング会社を利用しましょう。

補助金・助成金

補助金・助成金は国や自治体が、特定の目的や条件を満たす事業に対して無償で資金を提供する制度です。

個人事業主を対象とした補助金・助成金も数多く実施されているため、自治体のホームページ等で情報を定期的に確認しましょう。ただし、申請要件が数多く指定されている場合もあり、条件に合致しているか細かく確認する必要があります。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを活用して多くの人々から少額ずつ資金を集める資金調達方法です。

新商品や新規プロジェクトを一般の人々に公開し、魅力に共感した出資者から支援してもらい資金調達します。事業の魅力を上手にアピールできれば、短期間で多額の資金を集められる方法です。

生命保険の払戻金

契約している生命保険を解約し、得られる払戻金を資金として活用できます。

十分な加入期間があれば、まとまった資金を短期間で手に入れられる点がメリットです。ただし、他に加入している保険がなければ無保険状態となってしまう点や、再度同じ保険に加入できるかわからない点がデメリットとなります。

親族から資金調達する

親族から事業資金を援助してもらえれば、特別な審査もなく簡単に資金調達できます。

しかし、プライベートな関係性にビジネスを絡めると、感情のもつれやトラブルの原因となりうるため、十分なコミュニケーションが重要です。また、親族であっても「いくら貸し、いつまでに返済するか」がきちんとわかる借用書を作成しましょう。

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個人事業主の資金調達に関するよくある質問

個人事業主の資金調達に関して、よくある質問を以下3つにまとめました。

  • 返済不要の資金調達方法はある?
  • 個人事業主が融資を受ける際に自己資金はどれくらい必要?
  • 銀行や日本政策金融公庫の融資にかかる時間はどれくらい?

資金調達に疑問が生じた際は、上記質問と回答を参考にしてみてください。

返済不要の資金調達方法はある?

返済不要の資金調達方法として、主に以下の4つが挙げられます。

  • エンジェル投資家
  • クラウドファンディング
  • ファクタリング
  • 補助金・助成金

エンジェル投資家とは、資産のある投資家から直接資金を援助してもらう方法です。他の資金調達方法とは異なり手数料などがかからないため、余計な費用を請求される心配がありません。

先述で紹介したクラウドファンディング・ファクタリング・補助金・助成金も、基本的に返済が不要な資金調達方法です。

個人事業主が融資を受ける際に自己資金はどれくらい必要?

融資を受ける際に必要な自己資金額は融資額などの条件によって異なりますが、創業資金の3割を自己資金として用意しているケースが一般的です。銀行や金融機関は事業主の返済能力を自己資金の有無で判断しており、一定の自己資金を持っていると審査で有利となります。

ただし、創業資金の3割を用意していれば必ず融資審査に通過できるわけではありません。自己資金以外にも、事業計画の妥当性や個人事業主の経歴・実績など総合的に判断されます。自己資金額はあくまで融資審査項目の1つであると考えておきましょう。

銀行や日本政策金融公庫の融資にかかる時間はどれくらい?

銀行の融資審査期間は銀行によって異なるため、一概に「何日間で審査が終わる」とは言えません。融資を申請する銀行に直接確認した方が良いでしょう。

日本政策金融公庫の場合、申し込みから融資を実際に受けられるまで3週間から1ヶ月程度かかるケースが多いです。日本政策金融公庫は審査完了までに時間がかかるため、早めに融資申請した方が良いでしょう。

個人事業主は資金調達に幅広い手段を検討しよう

個人事業主でも問題なく融資を受けられますが、いくつか注意すべきポイントがあります。融資審査で見られるポイントを把握した上で、必要書類の準備に万全を期しましょう。

また、個人事業主で事業を開始したばかりの場合、融資審査が通らないケースも多いです。融資以外にもファクタリングなど幅広い資金調達方法があるため、自分にあった手段で資金を確保してください。

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