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「工事代金の入金まで期間が長く、資金繰りが難しい」
「追加工事の発注で予期せぬ出費が発生した」
建設業者は、他業種に比べて資金繰りが難しいと言われています。
その理由として、工事を受注してから資材を仕入れる必要があることや、人件費や外注費など先出しの費用が発生することが資金繰りを難しくしている原因に挙げられます。しかも、売上の入金は工事を受注してから数ヶ月先という状況が一般的であるため、受注はできるが先払いの資金が不足しているという事態に陥ることが少なくありません。
では、建設業者が資金繰りを悪化させないためには、また無理なく資金調達を成功させるためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
今回は、建設業の資金繰り改善のポイントや、自社にとって最適な資金調達方法について解説します。
記事の目次
建設業の資金繰りが難しい3つの理由
なぜ建設業者は「資金繰りが難しい」と言われているのでしょうか?
ここでは、以下の3つの理由を取り上げています。
- 工事代金の受け取り時期が遅い
- 依然として手形取引が多い
- 銀行融資の審査に通りにくい
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
出入金のズレがある|理由1
建設業の資金繰りが難しい最大の理由が、出入金にズレが生じることです。基本的に、建設業取引では代金の入金が工事完了後に行われます。
しかし、工事受注時に資材の仕入れ費や、作業員への人件費、協力会社への外注費など、さまざまな支払いが先行します。また工期が延長したり、追加工事が発生したりすれば、自己資金で立て替える必要も出てきます。
公共工事には前払金保証がありますが、保証されるのは工事代金の一部(通常4割)であり、元請より下の階層の業者は恩恵を受けられない場合がほとんどです。
このように、工事中に次々と会社から資金が出ていく一方で、入金は工事が完了するまで支払われないため、出入金のズレが建設業の資金繰りを難しくしています。
依然として手形取引が多い|理由2
建設業界では依然として手形取引が多いことも、資金繰りを難しくしている原因の1つと言えるでしょう。建設業は製造業、卸売業に次いで第3位の手形取引の多い業界であり、2019年の建設業界全体の手形残高は約2兆円でした。
工事代金の受け取り方法は現金が主流ではあるものの、手形取引も依然として残っており、とくに下請け比率50%以上の建設業者で手形での工事代金の受け取り率が増加しています。
つまり、中小零細の建設業者ほど手形での取引が多くなり、厳しい資金繰りを強いられる傾向があります。
建設業界では、少しずつ手形廃止や支払いサイトの短縮の動きが出ており、建設業の支払い側も受け取り側も、手形による取引をやめたがっていますが、現状ではなかなかやめられない状態が続いています。
理由としては、業界の商習慣として定着している手形を今さらやめられないこと、支払側もしくは受取側が電子記録債権を利用していないことなどが考えられます。
工事代金の支払いに手形が多く、資金繰りにお悩みの方は、手形の支払期日前に金融機関や専門業者に手形を買い取ってもらって現金化する「手形割引」も検討しましょう。
銀行融資の審査に通りにくい|理由3
中小規模の建設業は、工事代金の入金が数ヶ月先に及ぶこと、赤字経営や税金滞納といった問題を抱えているケースが少なくないことから、他の業種に比べると銀行側がお金を貸しにくいという事情があります。
仮に銀行で融資を受けられるとしても、審査から資金調達まで1ヶ月以上かかることもあるため、銀行融資を前提とした資金繰り計画は好ましくないと言わざるを得ません。
建設業の資金繰りを改善するポイント
建設業者は「出入金のズレがある」「手形取引が多い」「銀行融資の審査に通りにくい」という事情から、資金繰りの安定が難しいことを解説しました。
では、建設業の方は資金繰り改善に向けてどのように動けばいいのでしょうか。
資金繰り表を作成する
会社のお金の出入りを管理するためには、資金繰り表の作成が必須です。
資金繰り表とは、会社の収入や支出(お金の流れ)をあらわす表のことで、会社の財務状況を把握したり、資金不足の原因を究明したりする目的で作成します。
建設業で資金繰り表を作成せずに、どんぶり勘定で資金管理を行っている会社は少なくありません。
資金繰り表を作成して工事ごとの原価計算や、利益計画と資金計画の作成・管理を徹底して行い、会社の経営状況をしっかり把握しましょう。
資金繰り表はエクセルで作ることもできますが、会計ソフトを使えばより簡単で、わかりやすい表を作ることができます。
当サイトでは今すぐ使える無料の資金繰り表テンプレートを配布していますので、ぜひご利用ください。
工事進行基準で代金を回収できる工事を増やす
建設業の会計方式には、工事終了後に売上と経費を計上する「工事完成基準」、工事を進めながら売上や経費を分散して計上する「工事進行基準」の2つがあります。
当然ながら、資金繰りが楽な会計方式は工事進捗基準です。工事中に追加工事が発生しても、都度代金を請求することができます。
工事完成基準と違って工事完了後に大幅な赤字が出ることがなく、また元請けの不明瞭な依頼を防げるというメリットもあります。
ただし、工事進行基準でも代金の支払いが売掛金や手形の場合は、支払いサイトに注意が必要です。支払いサイトを短めに設定できないか交渉してみましょう。
自社に合った適切な資金調達方法を利用する
工事を受注して売上は上がっても、支払いサイトの関係で手元の資金が不足すれば、いずれ資金が底をついて黒字倒産を招いてしまいます。
資金不足に陥らないためには、自社に合った適切な資金調達方法で手元に資金を増やすことが大切です。
すでに借入がある状況で新たに融資を検討する場合は、将来発生する利益で返済可能かを十分に見極めましょう。将来的に売上や利益が増える見込みがなければ、返済負担が大きくなって資金繰りを悪化させてしまいます。
また、借入状況や業績によっては、取引のある金融機関から追加融資を断られる可能性もあるので、借入以外の資金調達方法を確保しておくことをおすすめします。
借金にならない資金調達「ファクタリング」
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社が買い取り、所定の手数料を差し引いた買取代金を、期日よりも先に振り込むサービスです。
支払いサイトが長い売掛債権も最短即日~3日で回収できるため、期日を待たずに新規の工事の経費に回したり、追加で発生した工事の費用に充てたりすることができます。
ここでは、ファクタリングを建設業の資金繰りに活用する方法について解説します。
元請けに秘密で資金調達できる「2社間ファクタリング」
ファクタリングには、利用者・ファクタリング会社・売掛先(元請け)の3社で契約する「3社間ファクタリング」と、利用者・ファクタリング会社の2社のみで契約する「2社間ファクタリング」の2種類があります。
元請けにファクタリングの利用を知られたくないという建設業者の方には、「2社間ファクタリング」をおすすめします。
ファクタリングは、欧米では一般的な事業資金の調達方法として普及していますが、わが国では銀行融資やビジネスローンと比べ、普及率・認知度ともに低いと言わざるを得ません。
元請けがファクタリングを知らない場合、債権を他社に売却するという行為が「あの会社は銀行から借入ができないほど業績が悪い」というネガティブなイメージにつながり、今後の取引関係や事業運営に支障をきたすおそれがあります。
「2社間ファクタリング」であれば、元請けに一切秘密でファクタリングを利用できます。
ただし、2社間ファクタリングの手数料は、売掛債権の額面の10%~20%(オンラインは10%以下)と高めに設定されており、無計画で利用するとかえって資金繰りを悪化させてしまいます。
ファクタリングはあくまでも単発利用、緊急の資金調達として検討しましょう。
資金繰り改善のためのコンサルティング
ファクタリング会社の中には、ファクタリング利用期間中に無償で財務コンサルティングサービスを提供しているところもあります。
財務コンサルティングサービスは、資金繰り計画のサポートや新たな資金調達先の斡旋など、資金繰り改善を目的としています。
本業が忙しくて資金繰りにまで手が回らないといった方でも、財務のプロがサポートすることで、本業の建設業に注力していただきながら資金繰りや財務体質を改善することができます。
弊社ベストファクターの財務コンサルティングでは、利用者の69.7%がキャッシュフロー改善成功、59.2%が企業価値改善に成功しています。
建設業者の方におすすめのファクタリング業者3選
建設業界には「建設業会計」というやり方があるように、一般企業とは異なる特殊な会計処理が必要です。
したがって、ファクタリングで資金繰りを改善するには、建設業者との取引実績が豊富で、業界に精通したファクタリング業者を選ぶ必要があります。
ここでは、建設業者の方におすすめするファクタリング業者をご紹介します。
けんせつくん|建設業者の資金調達に特化したファクタリング
契約形態 | 2社間ファクタリング(オンライン契約) |
買取限度額 | 制限なし |
手数料 | 5%~ |
入金までの期間 | 最短即日 |
URL | http://xn--y8jd4aybzqd.jp/ |
けんせつくんは建設業界専門のファクタリングサービスです。建設業者の方の資金調達や資金繰りの悩みに関して、建設業界経験のある専門スタッフが相談を承っています。
同社のファクタリングサービスは審査開始から最短2時間で振込というスピード、2社間契約ながら5%~という手数料の低さ、さらにオンライン契約なので、スマホだけあれば全国どこからでも申込みができます。
建設業界の方なら個人・法人を問わず、また少額であっても利用可能です。安心の2社間契約で元請けにファクタリングの利用を知られることもありません。
ビートレーディング|建設業者との取引が全体の4割
契約形態 | 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング (ともに対面契約) |
買取限度額 | 30万円~ |
手数料 | 【2社間】10%~20% 【3社間】2%~9% |
入金までの期間 | 最短即日 |
URL | https://betrading.jp/ |
ビートレーディングは、ファクタリング業界で10年以上の営業実績がある老舗です。
2社間、3社間ともに業界最安値の手数料を設定しており、申込みから最短12時間のスピード振込を可能としています。売掛債権の額面が30万円以上であれば、法人や個人に関わらず利用できます。
さらに、同社は仕事を受注した段階での資金調達が可能な「注文書ファクタリング」も提供しています。注文書ファクタリングは、仕事完了後の売掛債権を資金化する通常のファクタリングよりも、さらに早い段階で資金調達が可能です。
同社を初めて利用する方は、担当者と面談を行う必要があります。東京・仙台・大阪・福岡にそれぞれ本支店がありますので、最寄りの店舗に問い合わせましょう。
ベストファクター|2社間ファクタリングの実績で選ぶなら
契約形態 | 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング (ともに対面契約) |
買取限度額 | 25万円~ |
手数料 | 【2社間】10%~20% 【3社間】2%~9% |
入金までの期間 | 最短即日 |
URL | https://bestfactor.jp/ |
弊社ベストファクターは、元請けの承諾が不要な2社間ファクタリングの取引実績が豊富です。
全国出張対応で法人・個人を問わず、スピード対応かつ業界最安水準の手数料で2社間ファクタリングをご提供いたします。元請けはもちろん、取引銀行や社内にも完全秘密で利用できるため、信用に一切傷がつきません。
さらに、ファクタリング利用期間中は、無償の財務コンサルティングをご提供いたしております。資金繰りに関するサポートや、貴社に最適な資金調達方法などをご提案させていただきます。
初回ご利用時には担当者との面談が必要です。東京本店、大阪支店が全国出張対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
建設業者の資金繰りに関するQ&A
建設業者の方の資金繰りやファクタリングの利用について、よくある質問とその回答をQ&A形式でご紹介します。
- Q.すでに銀行から借入があり、現在も返済中なのですが、ファクタリングは利用できますか?
- A.利用できます。ファクタリングは融資とは異なる債権売買取引ですので、利用可否が申込者の方の経営状況や借入状況に左右されません。入金前の売掛債権があれば、基本的にどなたでも利用可能です。
- Q.ファクタリング利用中に元請けが倒産した場合、自社に支払いの義務が発生しますか?
- A.発生しません。ファクタリングは償還請求権(リコース)の無い「ノンリコース契約」です。ファクタリング会社が買い取った売掛債権が、元請けの倒産などで回収できなかった場合、利用者にその金額の支払いを請求することは一切ありません。
- Q.個人経営の建設業者なのですが、2社間ファクタリングは利用できますか?
- A.ファクタリング会社によって、個人事業者でも2社間取引が可能なケースと、不可のケースがあります。2社間ファクタリングの契約を結ぶにあたっては、原則として「債権譲渡登記」という手続きが必要です。しかし、債権譲渡登記は法人のみ可能な手続きであり、個人では登記ができません。このことから、個人事業者の2社間利用を不可とするファクタリング会社もあります。一方で、債権譲渡登記を省略して、個人事業者でも2社間取引を可能としているファクタリング会社もあります。
建設業の資金繰りの早期改善にファクタリング
建設業の資金繰りや資金調達について解説しました。
建設業は売上から入金までの期間が長く、入金がない間にもさまざまな経費が発生するため、資金繰りが悪化しやすいことが特徴です。工事を受注すれば入金はなくても支払いが発生しますので、建設業者は黒字倒産を起こすケースが少なくありません。
したがって、資金繰り表を作成して、しっかりと利益計画・資金計画を建てて経営を進めていくことが重要です。資金不足が予測される場合は、自社にとってもっとも有効といえる資金調達方法を選択して資金繰りの改善を図りましょう。