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個人だけでなく法人にとっても、税金の支払いは避けて通れない義務です。
しかし、予期せぬ売上の急減、取引先の倒産、あるいは設備投資のタイミングでの資金ショートなど、どうしても「今、手元に現金がない」という危機は誰にでも起こり得ます。
2026年現在、金利情勢の変化に伴い、税金を滞納した際の延滞税負担は年利9%を超える非常に重いペナルティとなっています。
これを放置することは、高利の借金を抱えたまま放置することと同義であり、最悪の場合、事業の生命線である銀行口座や売掛金を失うことになります。
また、税金はたとえ破産したとしても免責されることはないので、税金の支払いを滞納することは絶対に避けるべきです。
ですが、安心してください。経営を継続させながら誠実に納税するための救済措置がしっかりと用意されています。
この記事では税金を支払うことができないときの対処法、税務署との具体的な交渉術、そして2026年度の最新ルールまでを徹底的に解説します。
記事の目次
- 1 放置は即差し押さえのリスク|税金が払えない時に経営者がまず取るべき3つの初動
- 2 種類別で異なる滞納の緊急度|消費税や法人税など優先して支払うべき税金の判断基準
- 3 利益に対して課税される法人税や所得税の猶予が認められやすいケース
- 4 納税を最大1年間待ってもらえる2つの猶予制度|納税の猶予と換価の猶予の違いを比較
- 5 2026年度の延滞税は最大年9.1%|滞納を続けることで発生するペナルティと金利負担
- 6 税務署の担当者を納得させる相談準備|納税の意思を伝えるための具体的な提出書類
- 7 納税資金を確保するための具体的な資金調達手段|セーフティネット貸付と経営改善
- 8 ファクタリングや資産売却による即日キャッシュ確保のメリットと注意点
- 9 どうしても払いきれない場合の最終手段|滞納処分の停止と法的整理の検討
- 10 よくある質問|税金の分割払いや督促状に関する10の疑問
- 10.1 税務署に内緒で滞納したらメインバンクにバレる可能性はあるか
- 10.2 赤字決算で1円も払えない場合でも猶予は認められるか
- 10.3 自宅などの個人資産が差し押さえられる基準と回避する方法
- 10.4 猶予期間中にさらに新しい税金が発生した際の対処法
- 10.5 分納(分割払い)の回数は最大で何回まで相談に乗ってもらえるか
- 10.6 差し押さえをされた後からでも解除してもらうことは可能か
- 10.7 税務署が自宅へ「ガサ入れ」に来ることは本当にあるのか
- 10.8 延滞税を安くしてもらうための裏技はあるか
- 10.9 取引先に滞納がバレるのが一番怖いのですが、防ぐ方法は?
- 10.10 税理士がいない場合、誰に相談すればいいですか?
- 11 まとめ|税金が払えない状況を打破するために経営者が今日から始めるべきこと
放置は即差し押さえのリスク|税金が払えない時に経営者がまず取るべき3つの初動
税金が払えないと分かった時、経営者に中には「恐怖」や「恥ずかしさ」から現実を直視できずに督促状を封も開けずに放置してしまう人の少なくありません。
しかし、放置をしている時間こそが、税務署があなたの財産を調査し、差し押さえの準備を進める「デッドライン」となります。
税金が払えないときには次の行動をとってください。
- 税務署または徴収部門へ相談する
- 資金繰り表を作成する
- 公的融資による納税資金の調達を検討する
税金を払えないとわかった時に取るべき3つの行動について詳しく解説していきます。
督促状の期限が切れる前に管轄の税務署または徴収部門へ電話相談する
まずは税務署などへ相談しましょう。
納期限を過ぎると、「督促状」が届きます。この督促状が届いてから数日を経過すると、法律上はいつでも差し押さえができる状態になります。
税金は裁判なしで差し押さえができるので、借入金の返済を滞納するよりも差し押さえされやすい債務だと理解しておきましょう。
まずは、電話一本で構いません。電話口では「税金の支払いが困難であること」を伝え、窓口での面談予約を取ってください。
この時、感情的になる必要はありません。担当者は毎日、何十人もの相談を受けています。淡々と、しかし誠実に「支払う意思がある。しかしお金がない」と伝えることが、最悪の事態を防ぐ第一歩です。
ここで、実際に使える「税務署への初動電話スクリプト」を紹介します。この通りに話せば、担当者とのコミュニケーションはスムーズに始まります。
【税務署への電話相談:実践スクリプト】
「お忙しいところ失礼いたします。〇〇(社名または氏名)と申します。
本日届きました督促状の件で、ご相談のお電話を差し上げました。
現在、〇〇(売上の急落や入金ずれ等)の影響で、期限内の納付が非常に困難な状況にあります。
本来であればすぐに全額お支払いすべきところなのですが、現状では難しく、分納や猶予の相談をさせていただきたいと考えております。
つきましては、一度窓口に伺って詳しい状況をご説明したいのですが、ご担当者様のご都合はいかがでしょうか?」
このように「困っている事実」と「相談したいという意思」を明確に伝えれば、必ず相談に乗ってくれますし、何がなんでも期日までに支払うように強要されることはまずありません。
現在の現預金と売掛金の入金予定を整理し資金繰り表を作成する
電話で予約を取ったら、次にすべきは「現状の見える化」です。税務署の担当者が最も嫌うのは「適当な嘘」や「根拠のない見通し」です。
まずは以下の情報を収集してください。
- 会社にあるすべての通帳のコピー(直近6ヶ月分)
- 今後の売掛金の入金予定表(いつ、どこから、いくら入るか)
- 毎月必ず発生する固定費(給与、家賃、光熱費、借入返済金
- 現時点での正確な滞納額(延滞税を含む)
これらを整理し、後述する「資金繰り表」に落とし込むことで、「なぜ払えないのか」「いつならいくら払えるのか」を客観的に証明できるようになります。
こうすることによって、税務署に対して交渉が有利になり、支払期限の延長や分納などを認めてもらいやすくなります。
日本政策金融公庫などの公的融資による納税資金の調達を検討する
税金を支払うことができないのであれば、支払いのために必要な資金の借り入れを検討しましょう。
「税金を払うために借金をする」ことに抵抗を感じるかもしれません。
しかし、2026年の延滞税率(最大9.1%)は、公的融資の金利(通常1〜3%程度)に比べて圧倒的に高いのが現実です。
日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」などは、社会的・経済的環境の変化により資金繰りに苦しむ事業主を対象としています。
税金の未納がある状態でも、猶予申請を進めている段階であれば相談に乗ってもらえるケースが多いです。
また、支払期限が到来する前であれば、通常の運転資金として税金の支払いに必要な資金を借りられる場合があります。
高すぎる延滞税を支払う代わりに、低利の公的融資へ「借り換える」という発想を持つことが、経営判断として正しい選択となる場合があります。
| 相談から差し押さえまでのタイムライン(2026年度版) | |||
| 段階 | 税務署のアクション | 経営者のリスク | 推奨される対応 |
| 納期限当日 | 未納状態の発生 | 延滞税(年2.4%〜)の発生開始 | この日までに電話一本入れるのが理想 |
| 20日以内 | 督促状の送付 | 心理的プレッシャー、法的要件の成立 | 即座に電話し、面談の予約を取る |
| 督促後10日 | 差し押さえが可能に | いつでも口座凍結される法的リスク | 財産目録と資金繰り表を持参し面談 |
| 1ヶ月〜 | 周辺調査の開始 | 取引先や銀行への調査による信用低下 | 猶予申請書を提出し、受理を目指す |
| 最終段階 | 滞納処分の執行 | 預金凍結、売掛金の取立て、事業停止 | (こうなる前に必ず猶予を確定させる) |
税金は滞納期間が長くなればなるほどリスクが大きくなります。
「支払いができない」という申し出をしにくい気持ちはわかりますが、取り返しがつかない事態になる前に早めに相談しましょう。
種類別で異なる滞納の緊急度|消費税や法人税など優先して支払うべき税金の判断基準
「すべての税金を一度に払うのは無理だ」となった時、どの税金から優先して支払うべきでしょうか。税金の種類によって、税務署の「徴収の厳しさ」には明確な差があります。
消費税や法人税や住民税の支払いの優先順位について詳しく解説していきます。
赤字でも支払い義務が生じる消費税が最も滞納してはいけない理由
結論から言えば、最優先で確保すべきは「消費税」です。
消費税を滞納してはならない理由は2つあります。
1つ目は、消費税が「預り金」という性格を持っている点です。自社が顧客から預かった税金を国に納める行為を怠ることは、税務署から「他人のお金を事業資金に流用した」とみなされる可能性があるので注意しなければなりません。
これは法人税のような「自らの利益に対する課税」よりも道義的に厳しく追及されます。
2つ目は、滞納額が大きくなりやすい点です。
消費税は利益ではなく売上にかかる税金なので赤字でも支払わなければなりません。
そのため、消費税は資金繰りが苦しい時期に数千万円単位の未納が発生することがあります。
税務署は消費税の滞納に対しては、他よりも圧倒的に早く、厳しい差し押さえを行う傾向があると言われています。。
利益に対して課税される法人税や所得税の猶予が認められやすいケース
法人税や所得税は、あくまで「出た利益」に対する課税です。赤字であれば発生しません。
もし前期は黒字だったが今期は赤字で、前期分の税金が払えないという場合、止むを得ない事情があると判断され、納税の猶予が認められやすい典型的なケースです。
地方税(事業税・住民税)の滞納がもたらす自治体独自の差し押さえリスク
意外と盲点なのが、市役所や県税事務所が管轄する地方税です。
国税(税務署)は組織が大きいため、対応がマニュアル化されている側面がありますが、地方自治体は担当者の裁量が大きく、かつ非常にスピーディに動くことがあります。
数万円、数十万円という少額の滞納であっても「逃げ得は許さない」という姿勢で、即座に口座や不動産を差し押さえる自治体も少なくありません。
金額が少ないからといって、地方税を滞納することがないよう注意してください。
税金よりも督促が厳しい場合がある社会保険料の猶予制度と交渉術
厳密には税金ではありませんが、厚生年金保険料などの社会保険料は、税金以上に督促が厳しいと言われています。
社会保険料は延滞金も高く、金額も大きいので、一度滞納するとあっという間に膨れ上がります。
社会保険料についても、税金と同様の「換価の猶予」が認められる制度があります。
年金事務所は「会社が潰れても保険料は取る」というスタンスを崩さないことが多いですが、誠実な納付計画を示せば、分納に応じてもらえます。税務署への相談と同時に、必ず年金事務所へも足を運んでください。
納税を最大1年間待ってもらえる2つの猶予制度|納税の猶予と換価の猶予の違いを比較
税金が払えない時の救済策は、大きく分けて2つの「猶予(ゆうよ)」があります。これらを正しく理解し、自分のケースに当てはめることが解決の鍵です。
災害や盗難などの偶発的な事情で活用できる「納税の猶予」の適用要件
「納税の猶予」は、あなたに責任がない不可抗力な事情で納税が困難になった場合に適用されます。
以下の要件に当てはまる場合、申請が可能です。
- 財産が災害(火災、地震等)に遭った、または盗難に遭った
- 本人や生計を一にする親族が病気、または負傷した
- 事業を廃止、または休止した
- 事業において著しい損失を受けた(前年同期比で利益が激減した等)
この制度の最大の特徴は、猶予期間中の「延滞税が全額、または一部免除される」点です。2026年の高金利下において、この免除は経営にとって計り知れないメリットとなります。
事業の継続を困難にしないために差し押さえを猶予する「換価の猶予」の仕組み
多くの経営者が利用するのがこちらの「換価の猶予」です。これは、災害などの特別な事情がなくても、「一時に納税することで事業の継続や生活の維持が難しくなる」場合に認められます。
実務上は、一度に払うのではなく、12回などの「分割払い(分納)」を認めてもらうための制度です。
資金繰りが苦しく税金を支払うだけの資金が手元にないのであれば、換価の猶予の利用を検討してください。
猶予が認められた際の延滞税の免除・軽減ルールと2026年度の適用金利
猶予が認められると、本来なら年9%近くかかる延滞税が、特例によって年1%〜2%程度まで大幅に引き下げられます。
この金利差は、数百万〜数千万円の滞納がある場合、年間で数十万〜数百万円のコスト削減に繋がります。
猶予は単なる「先延ばし」ではなく、究極の「コストカット策」なのです。
黙って延滞すると高額な延滞税が発生するので、支払いが厳しい時には猶予の申し出を必ずおこなうようにしてください。
| 納税の猶予 vs 換価の猶予 比較表 | ||
| 比較項目 | 納税の猶予(国税通則法46条) | 換価の猶予(国税徴収法151条) |
| 主な理由 | 災害、病気、著しい損失など | 一時に納税すると事業継続が困難 |
| 延滞税の扱い | 全額または一部免除(極めて低い) | 原則として一部免除(軽減される) |
| 申請の期限 | 特になし(事由発生後速やかに) | 納期限から6ヶ月以内 |
| 猶予の期間 | 1年以内(状況により最大2年) | 1年以内(状況により最大2年) |
| 差し押さえ | 猶予期間中は執行されない | 既になされている場合は解除・中断される |
2026年度の延滞税は最大年9.1%|滞納を続けることで発生するペナルティと金利負担
2026年(令和8年)の延滞税率は、過去数年間の低金利時代とは一線を画す高い水準にあります。
事業者が税金を滞納することのリスクについて詳しく解説していきます。
令和8年1月から適用される最新の延滞税率と具体的な支払い利息シミュレーション
2026年度の延滞税率は、以下のように設定されています(※特例基準割合の変動により微増減あり)。
- 納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:年2.4%
- 2ヶ月を経過した日以降:年8.7%〜9.1%
例えば、消費税500万円を1年間滞納し続けた場合、最初の2ヶ月分(約2万円)に加えて、残り10ヶ月分で約37万円の延滞税が加算されます。
延滞することによって合計で約40万円近い「無駄な出費」が発生するのです。
これが猶予申請によって年2%程度に抑えられれば、負担は10万円以下になります。この30万円の差額は、従業員一人の給与や、一ヶ月分の家賃に相当する重い数字です。
銀行融資の審査に致命的な悪影響を及ぼす納税証明書が出ないことのリスク
多くの経営者が「税金を後回しにしても、銀行から借りて返せばいい」と考えます。
しかし、現実は逆です。銀行は融資の際、ほとんどの「納税証明書(その3の3)」の提出を求めます。
ここに未納の記載がある、あるいは証明書自体が発行されない状態では、新規融資の審査は100%通りません。
さらに怖いのは、既存の融資への影響です。銀行との契約(金銭消費貸借契約)には通常「税金の滞納」が期限の利益の喪失事由(一括返済を求められる理由)として含まれています。
税務署が銀行口座の調査に入った時点で銀行に滞納が知れ渡り、追加融資が止まるだけでなく、一括返済を迫られる「資金ショートの連鎖」が始まります。
税理士や弁護士などの専門家に相談するタイミングと費用対効果の目安
「自分で交渉に行くのが不安だ」「何を話せばいいかわからない」という場合は税理士に依頼して猶予の交渉などを依頼するのがよいでしょう。
行政に猶予を認めてほしい場合、税理士の介入は非常に有効です。
税理士は税務署の担当者と同じ「税務のプロ」として共通言語で話ができ、具体的には以下のようなメリットがあります。
- 「今の資金繰りなら月〇〇円の分納が妥当である」という論理的な裏付け
- 「納税の猶予」を適用させるための、過去の判例や通達に基づいた主張
- 提出書類の正確な作成
これらのサポートにより、個人で交渉するよりも高い確率で、有利な条件(長い分納期間や延滞税の免除)を引き出すことが可能です。
スポットの相談料や申請代行費用として数万円〜10万円程度かかることが一般的ですが、削減できる延滞税の額を考えれば、十分すぎるほど元が取れる支出です。
税金を支払うことができない場合には、税理士へ相談することも検討するとよいでしょう。
税務署の担当者を納得させる相談準備|納税の意思を伝えるための具体的な提出書類
税務署へ行く際、「手ぶら」で行くのは絶対に避けてください。それは丸腰で戦場に行くようなもので、担当者を納得させるための、客観的な資料を用意していく必要があります。
税務署の担当者を納得させるための資料のポイントや交渉のポイントについて詳しく解説していきます。
財産の状況を正確に申告するための財産目録と財産収支状況書の作成ポイント
猶予申請の核となるのが「財産目録」です。
ここには、あなたの会社が持つすべての資産を正直に書きます。具体的には以下の内容を記載するようにしてください。
【財産目録に記載すべき項目】
- 現金、預金(すべての口座)
- 売掛金(相手先、回収予定日、金額)
- 棚卸資産(在庫の評価額)
- 固定資産(車両、機械、不動産)
- 有価証券、保険解約返戻金
「差し押さえが怖いから預金口座を隠そう」と考えるのは最悪の選択です。
税務署は金融機関への照会権限を持っており、隠し口座は必ず見つかります。隠蔽が発覚した瞬間、猶予の道は閉ざされ、即座に差し押さえへと舵を切られる可能性が高いので、必ず申告は正直におこなうようにしてください。
いつまでにいくら払えるかを明確に示すための納税計画書の書き方見本
ここで、本記事の目玉である「納税計画書の簡易テンプレート」を解説します。
エクセルで以下のような表を作成し、持参してください。
【納税計画書テンプレートの構成案(Excel用)】
・A列:年月(例:2026年4月〜)
・B列:経常利益(予測売上 - 予測経費)
・C列:返済等(銀行への返済金)
・D列:納税可能額(B - C)
・E列:納付予定額(実際に税務署に払う額)
・F列:滞納残高(現在の滞納総額 - E)
【作成のコツ】
1. 「欲張らない」:月々の納付額を多く見せようと無理な金額を書くと、一度の遅れで猶予が取り消されます。
2. 「根拠を添える」:なぜその売上が上がるのか、受注書や契約書の写しを添えると説得力が増します。
3. 「生活費を確保する」:個人事業主の場合は、自分と家族の最低限の生活費を引いた後の金額で計画を立ててください。
担当者の心象を良くする誠実な態度の取り方と交渉時に持参すべきものリスト
税務署の担当者も人間です。「この経営者は今は苦しいが、立て直そうという強い意志がある」などとポジティブに思わせれば、法的に許容されるギリギリの範囲で融通を利かせてくれることがあります。
交渉の際には次のような点を意識してください。
- 服装:派手なブランド品は避け、清潔感のあるスーツや作業着。
- 態度:低姿勢だが、卑屈になりすぎない。現状を冷静に報告する。
- 持参物:印鑑、身分証、通帳の写し(全ページ)、決算書(直近3期分)、試算表(直近分)。
納税資金を確保するための具体的な資金調達手段|セーフティネット貸付と経営改善
猶予を受けて「時間」を稼いだら、次にすべきはその時間を使って「現金」を確保することです。
納税資金を確保するため資金調達方法について解説していきます。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付による緊急時の低利融資活用法
日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は、一時的な業績悪化に苦しむ中小企業にとっての強い味方です。融資限度額は大きく、返済期間も長めに設定できます。
重要なのは、公庫の担当者に対しても「税務署と相談済みであり、猶予制度を利用して計画的に返済している」と正直に話すことです。
隠しているのがバレるのが一番の不利益になります。
各自治体が実施する制度融資と信用保証協会の保証付き融資を併用する手順
各都道府県や市区町村が行っている「制度融資」も検討してください。
これは自治体、金融機関、信用保証協会の三者が連携する仕組みです。
自治体が利子補給をしてくれることがあるため、極めて低金利で借りられます。
ただし、これには「納税証明書」が必要になるため、やはり税務署で猶予の決定(猶予通知書の発行)を受けていることが前提となります。
ファクタリングや資産売却による即日キャッシュ確保のメリットと注意点
どうしても数日以内に資金が必要な場合の「最終手段」がファクタリングです。売掛金を売却して即日現金化できます。
メリットは、借金ではないため納税証明書が不要で、スピーディであること。
デメリットは、手数料が極めて高い(5%〜20%程度)ことです。
一度ファクタリングに頼ると、翌月の売掛金が減り、またファクタリングを使うという「ファクタリング地獄」に陥るリスクがあります。
あくまで「差し押さえを止めるための一回限りの緊急薬」として考えてください。
納税資金不足を二度と起こさないためのキャッシュフロー経営の導入ステップ
納税資金が足りなくなる最大の理由は「税金分のお金を利益と一緒に使ってしまうこと」です。
キャッシュフローを本質的に改善する方法は以下のとおりです。
【今日からできる改善策】
1. 納税専用口座を作る:売上が入ったら、消費税相当分(約10%)を即座に別口座へ移す。
2. 資金繰り表を毎月更新する:半年先までの現金の増減を常に予測しておく。
3. 経費の徹底削減:使っていないサブスク、過剰な車両リース、効果のない広告費などを、税務署に指摘される前に自ら削る。
どうしても払いきれない場合の最終手段|滞納処分の停止と法的整理の検討
どれだけ猶予を受け、資金調達を試みても、事業の継続が不可能だという結論に達する場合もあります。
その際の最終的な選択肢について解説します。
生活や事業継続が困難な場合に検討される滞納処分の停止とは何か
「滞納処分の停止」は、滞納者に財産が全くなく、差し押さえをしても費用倒れになる、あるいは滞納者の生活を著しく困窮させると判断された場合に、税務署長が行う措置です。
これが3年続くと、納税義務は消滅します。
しかし、これは「事業を畳み、身ぐるみ剥がされた状態」に近い場合に限られます。現役で事業を続けているうちは、まず適用されないと考えてください。
自己破産をしても税金の支払い義務が消えない非免責債権の真実
これが最も重要な知識です。
一般の借金(銀行融資や買掛金)は自己破産でゼロになりますが、税金は「非免責債権」であり、破産しても追いかけてきます。
「会社を潰せば税金も払わなくて済む」という思い込みは危険です。
法人の滞納については会社消滅と共に消えるケースもありますが、第二次納税義務(経営者が肩代わりする義務)が発生する場合や、個人事業主の場合は一生ついて回ります。
民事再生や任意整理を通じて税金以外の債務を圧縮し納税に充てる方法
事業を再生させるための賢い方法は、税金以外の債務(銀行借入など)を法的に整理することです。
民事再生などで銀行への返済を大幅にカット、または猶予してもらい、その浮いたキャッシュを「絶対にカットできない税金」の支払いに充てる。
これが、2026年において事業を存続させるための最も現実的な「敗者復活」のシナリオです。
ただし、民事再生は裁判所が認めなければ適用されませんし、任意整理には債権者との交渉が必要です。
基本的には個人が整理を成功させるのは不可能なので、弁護士へ相談した方がよいでしょう。
よくある質問|税金の分割払いや督促状に関する10の疑問
税金の分割払いや督促状に関するよくある質問は以下のとおりです。
- 税務署に内緒で滞納したらメインバンクにバレる可能性はあるか
- 赤字決算で1円も払えない場合でも猶予は認められるか
- 自宅などの個人資産が差し押さえられる基準と回避する方法
- 猶予期間中にさらに新しい税金が発生した際の対処法
- 分納(分割払い)の回数は最大で何回まで相談に乗ってもらえるか
- 差し押さえをされた後からでも解除してもらうことは可能か
- 税務署が自宅へ「ガサ入れ」に来ることは本当にあるのか
- 延滞税を安くしてもらうための裏技はあるか
- 取引先に滞納がバレるのが一番怖いのですが、防ぐ方法は?
- 税理士がいない場合、誰に相談すればいいですか?
税務署に内緒で滞納したらメインバンクにバレる可能性はあるか
100%バレると考えておいた方がよいでしょう。
税務署は調査の一環として銀行へ「預金照会」をかけます。この通知が銀行に届いた時点で、あなたの信用格付けは「破綻懸念先」に近いレベルまで下落し、追加融資は即刻停止されます。
赤字決算で1円も払えない場合でも猶予は認められるか
「誠実な納税の意思」があれば認められます。ただし、社長の給与(役員報酬)を削る、自家用車を売却するなどの「誠意」をセットで求められるのが通例です。
自宅などの個人資産が差し押さえられる基準と回避する方法
個人事業主の場合は、全財産が対象です。法人の場合は原則対象外ですが、経営者が納税保証をしていたり、会社と個人の財布が混同されている(社長貸付金が多い等)場合は、個人の自宅がターゲットになります。
猶予期間中にさらに新しい税金が発生した際の対処法
猶予期間中に「新しい滞納」を作ると、その瞬間にこれまでの猶予はすべて取り消され、全額一括納付を求められます。過去の分納分よりも、新しい税金の期限内納付を優先するのが鉄則です。
分納(分割払い)の回数は最大で何回まで相談に乗ってもらえるか
法律上は1年以内、再延長で最大2年です。つまり最大24回払いが基本です。
差し押さえをされた後からでも解除してもらうことは可能か
非常に困難ですが、可能です。差し押さえられた額よりも有利な条件の担保を提供したり、親族からの援助で一部を即納するなど、税務署にとって差し押さえを続けるよりもメリットがある提案が必要です。
税務署が自宅へ「ガサ入れ」に来ることは本当にあるのか
あります。滞納額が高額で、かつ呼び出しを無視し続けている場合、早朝に複数の徴収官が自宅やオフィスを訪れ、金目のものをすべて差し押さえていく「捜索」が執行されます。
延滞税を安くしてもらうための裏技はあるか
裏技はありませんが、唯一の正攻法が「納税の猶予」の申請です。これ以外で延滞税が減ることはありません。
取引先に滞納がバレるのが一番怖いのですが、防ぐ方法は?
税務署が売掛金の差し押さえや調査を行う前に、猶予申請を確定させることです。猶予が認められている間は、取引先への調査は原則行われません。
税理士がいない場合、誰に相談すればいいですか?
お住まいの地域の「商工会議所」や「青色申告会」で、無料の相談会が開かれていることがあります。また、各自治体の「中小企業支援センター」なども力になってくれます。
まとめ|税金が払えない状況を打破するために経営者が今日から始めるべきこと
税金が払えないという現実に直面するのは、経営者として非常に辛く、困難な経験です。
しかし、厳しい経済状況下において、あなたと同じ悩みを抱えている人は決して少なくありません。
税金を滞納した場合にすべきことを整理します。
- 逃げない:督促状を開け、税務署に電話をする(スクリプトを活用してください)。
- 隠さない:通帳と売上予定を整理し、現状を正確に把握する。
- 制度を使う:納税の猶予、換価の猶予を申請し、延滞税を最小限に抑える。
税務署は、事業を潰すことを望んでいるわけではありません。事業を継続させ、将来にわたって税金を納め続けてもらう方が、国にとっても利益だからです。
誠実な態度と、論理的な計画。この二つを持って窓口に向かえば、必ず道は開けます。悩んでいるのであればまずは税務署や税理士へ相談しましょう。
時間がかかればかかるほど、延滞税の金額も差し押さえのリスクもどんどん大きくなります。とにかく早めに相談するようにしてください。


