事業資金の調達方法
融資の返済が滞るとどうなる?返済期間や返済できない際の対処法・返済方法を解説!
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ファクタリング【即日スビード資金調達】

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銀行融資を受けたいけど、返済に不安を感じる方は多いでしょう。

せっかくの銀行融資を受けられても、融資の返済が行えないと最終的に訴訟による差し押さえの憂き目に陥りかねません。

今回の記事では、借入先別の融資返済期間を紹介するとともに、融資返済が滞った際に起きるトラブルや融資返済期間や返済できない際の対処法・返済方法を解説していきます。

銀行融資の返済に不安を抱いている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

記事の目次

借入先別の融資返済期間

融資の返済では、一般的に借入先ごとに融資返済期間が設定されています。

ここでは、公庫・民間金融機関における融資返済期間について解説していきます。

公庫の融資返済期間

創業融資における融資返済期間は制度にもよりますが運転資金なら7年、設備資金なら20年以内に設定されているのが一般的です。もちろん、より短い融資返済期間に設定することも可能となっています。

なお、元本の返済を猶予し利息のみの返済を行う期間を「据置期間」と言い、公庫の創業融資の場合は必要性が認められれば最大で2年とすることが可能です。ただし、据置期間であっても融資返済期間に含まれます。

そのため、融資の返済が先送りになる訳ではないので、据置期間が長くなるとそれに比例して返済額も大きくなる点に注意が必要です。

民間金融機関の融資返済期間

民間金融機関の融資返済期間は、短期返済と長期返済により異なります。

項目 短期返済 長期返済
融資返済期間 概ね1年以内 1年以上
融資返済時の原資 売掛金 利益・減価償却
融資返済方法 期日に一括返済 月々一定額返済
総融資返済額 少ない 多い
利息 低い 高い
融資返済のリスク 低い 高い
融資時の審査 比較的通りやすい 厳しい

それでは、それぞれの融資返済期間について解説していきます。

短期返済

短期返済は短期借入金を利用する場合の返済方法で、運転資金やつなぎ資金などの資金使途で用いられます。返済期間は概ね1年以内となっており、金融機関によっては2年~3年といった返済期間を設けている場合もあります。

融資返済方法は期日に一括返済となっているものの、利息・総融資返済額が少なくてすむので、毎月の返済額を抑えたい場合や、総返済額を抑えたい場合に最適です。

なお、融資返済期間延長が認められると、利息のみの返済で延長が可能ですが、認められない場合は一括返済をしなければなりません。

長期返済

長期返済は長期借入金を利用する場合の返済方法で、設備投資など大規模な資金調達の他、近年では運転資金の借入といった資金使途で用いられます。

融資の返済期間は一般の事業融資よりは長期間に設定され、運転資金で7年以内、設備資金で10年以内が一般的です。

融資返済方法は元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。元利均等返済は、月々の返済額が一定である一方、返済期間が長いです。元金均等返済は、月々の返済額を抑えられるものの、返済期間は短くなります。

なお、長期返済の返済期間を決める際には、以下の点に注意し毎月の返済額と返済総額を検討し決定しましょう。

  • 借入金額
  • 金利
  • 返済方法
  • 毎月の返済額
  • 返済期間
  • 返済総額

長期返済では据置期間を1年~2年程度認められるケースがあるので、状況に応じ利用すると無理のない融資返済が受けられます。

融資の返済計画・返済期間の考え方

融資を受けることができても、返済ができないと経営に悪影響が出てしまいます。

そのため、事前に融資の返済計画や返済期間をシミュレーションしておくことが大切です。ここでは、融資の返済計画および返済期間のシミュレーションについて解説していきます。

融資の返済計画の立て方

融資の返済計画は、以下の手順に沿って立てていきます。

  1. 借入残高の把握
  2. 収支状況の把握
  3. 月々の返済金額(元金+利息)の計算

融資の返済は事業の利益から返済するので、月々の返済金額は以下の金額であることが必要です。

月々の返済金額<税引後利益+減価償却費

そのため、々の返済金額が事業の利益を上回らないようにするため、収支状況を正確に把握し融資の返済計画をシミュレーションすることが重要になります。

また、返済計画書をシミュレーションするメリットは、無理のない返済を実現するだけでなく以下のようなメリットも享受できるのです。

  • 月々の返済額が明確になるので完済予定日の目処が立つ
  • 借入先別の借入金額・利息・返済残高が把握できる
  • 返済計画に沿って返済が行えているか確認できる
  • 返済計画の変更が必要になっても早めに対応できる

返済計画をシミュレーションすることは、融資の返済リスクを低減することができるので、しっかりとシミュレーションするようにしましょう。

融資の返済期間の考え方

融資の返済期間は、公庫(日本政策金融公庫など)の創業融資であれば、設備資金は20年以内、運転資金は7年以内と設定されています。一方、民間の金融機関であれば運転資金で7年以内、設備資金で10年以内が一般的です。

そのため、融資の返済期間をシミュレーションする際には、これら融資の返済期間を勘案し完済するのにどの程度の返済期間が必要なのかを考える必要があります。

また、いずれの融資も据置期間(公庫:1年~2年、民間金融機関:1年~3年)が設けられており、期間中であれば元金の返済をせず利息のみ支払うことが可能です。

金融機関 公庫 民間金融機関
据置期間 1年~2年 1年~3年

創業当初などは経営が軌道に乗るまである程度時間がかかるので、返済期間と同じように経営が軌道に乗るまでどれくらいかかるかを勘案し、措置期間を活用するようにしましょう。

ただし、措置期間を決定するのは各金融機関の担当者なので、自分で措置期間を設定できない点は留意する必要があります。

なお、一般的に融資の返済期間を短くすれば、月々の返済は高くなるものの払う利息は少なくなります。その逆に、返済期間を長くすれば、月々の返済額は少なくなるものの支払う利息は多くなるのです。

そのため、融資の返済期間を決める際には、以下の点を考慮し決定しましょう。

  • 借入金額:借入金額が多いほど返済期間を長く設定する
  • 月々の返済額:収入と支出を考慮して決定する
  • 将来的な事業収支:将来的な事業収支が増える目処があれば返済期間を短くする

融資返済シミューレションで返済金額・返済期間を確認しよう

融資を受ける際には、融資返済シミュレーションで月々の返済金額や完済までの返済期間を確認することができます。返済計画を立てる上では、融資返済シミュレーションは非常に役立つサービスなので、ぜひとも活用しておきたいサービスです。

具体的な融資返済シミュレーション手順としては以下のようになります。

  1. 実質年率の把握
  2. 返済方式の確認
  3. 具体的な融資返済シミュレーションの実行

実質年率とは、元金以外で支払うべき費用(手数料など)を含めた利息年率のことを指します。実質年率を把握することで、実際の返済すべき金額の合計額を知ることが可能になります。

また、融資の返済は月々決まった金額を返済する約定返済が基本です。しかし、約定返済は元利定額返済方式と残高スライド元利定額返済方式に大別され、同じ金額の融資でも返済方式によって異なるので、確認しておく必要があります。

  • 元利定額返済方式:元金と利息を合わせた一定金額を月々返済する方式(例:月々5万円の中に元金・利息含む)
  • 残高スライド元利定額返済方式:元金・利息を含む一定額を返済するものの、返済金額が借入残高によってスライドする

この内、残高スライド元利定額返済方式は、借入残高が少なければ月々の返済金額も減りますが、借入残高によって返済金額も異なるので毎回確認する点は注意が必要です。

そのほかにも、時期を定めずに返済する臨時返済方法もあります。その名の通り、臨時収入などを活用して融資を返済する方法で、借入の日数や借入残高を減らすことができます。繰り上げて返済すれば利息の総額を減らすことができるので、臨時返済をうまく活用しましょう。

具体的な融資返済シミュレーションの実行方法は、金利から計算する方法があります。

融資額✕金利÷365日✕借入日数=利息

    たとえば、100万円を金利10%で融資を受け、1年で返済すると利息は以下のようになります。

    100万円✕0.1÷365日✕365日=10万円

    利息がわかれば返済シミュレーションで返済の目処が立てやすくなりますが、この計算式で求められる利息は目安なので注意が必要です。

    そのほかにも、インターネットから無料で利用できる、計算ソフトを用いたシミュレーターで融資返済シミュレーションを行う方法もあります。利息・返済総額・月々の返済金額・完済までの期間が計算できるので、あわせて利用してみましょう。

    融資の返済ができないときに起こるトラブル

    融資が返済期日までに返せないと、信用情報に遅延履歴が残るだけでなく、最悪の場合訴訟まで発展しかねません。

    融資の返済遅延を放置したままにすると、債務者の条件は悪くなる一方なので、必ず融資の返済は行うようにしましょう。融資の返済ができないときに起こるトラブルは、以下の通りです。

    融資返済の督促

    融資の返済期限が過ぎても返済できないと、まず融資返済の督促が行われます。返済期限の翌営業日または翌々営業日に、借入先の担当者から融資返済の督促の電話がかかってくるのです。

    電話を無視すると今度は郵送融資返済の督促が行われます。融資の返済が遅れると、遅延損害金の支払い額が増えるだけでなく、信用情報も悪化していくので、融資返済の督促が行われたら迅速に対応するようにしましょう。

    遅延損害金の支払いの請求

    融資の返済期限を1日でも過ぎると、遅延損害金の支払いの請求が行われます。

    遅延損害金(遅延利息)は、融資の返済が遅れたときにその損害を賠償するために必要なもので、日本政策金融公庫であれば年率8.70%、民間金融機関であれば年率14.6%~29.2%が一般的です。

    遅延損害金が発生する日は、契約書に記載されている融資返済期日の翌日、または督促状に記載されている融資返済期日の翌日となります。なお、遅延損害金の計算方法は、以下の通りです。

    • 融資残高✕遅延損害金年率✕滞納日数÷365日=遅延損害金

    たとえば融資の借入が200万円の場合、遅延損害金年率14.で50日間滞納すると、遅延損害金は146,000円となります。

    • 200万円✕14.6%✕50日÷365日= 146,000円

    遅延損害金は融資額と延滞日数に比例して大きくなるので、早めに返済するようにしましょう。

    融資の一括返済の請求

    融資返済の督促に応じずさらに返済を滞納してしまうと、およそ3ヶ月後に融資の一括返済の請求が行われます。

    融資の一括返済の請求時に支払う金額は、元金と利息に遅延損害金を上乗せした金額を支払わなければなりません。そのため、融資の残高が多いと融資の一括返済が非常に厳しくなるので、融資返済の督促は放置せず早めに対応しましょう。

    訴訟による差し押さえ(強制執行)

    融資の一括返済の請求に応じないと、債務は借入先金融機関から保証会社に移され、裁判所を通じ訴訟に発展します。

    訴訟に発展すると裁判所は債務者に裁判への出頭要請をし、債務者の出頭の如何に関わらず裁判が行われるのです。裁判に出頭せず裁判が行われると、保証会社の言い分で裁判が行われ不利になるので、裁判所の出頭には応じるようにしましょう。

    裁判後、債権者の申し立てが認められると、訴訟による差し押さえ(強制執行)が行われ、以下のような財産が差し押さえられます。

    • 預金口座内の現金(預金66万円以下は差し押さえ不可)
    • 一部の給与債権
    • 土地・不動産
    • 自動車
    • 貴金属
    • ブランド品や家電などの20万円の価値があるもの

    訴訟による差し押さえ(強制執行)が行われると、その後の経営にも差し支えが出るので、訴訟に発展した場合は裁判所に出頭するようにしましょう。

    最終的には黒字倒産や破産をすることにも

    赤字経営が続いてしまうと倒産すると考えがちですが、原因になるものの必ずしも赤字経営が倒産と同義語ではありません。

    会社が倒産するのは会社経営ができなくなったときで、特に外部へ支払わなければならない現金がなくなった場合に倒産するのです。

    多くの会社では、売掛け・買掛けといった具合に、掛け取引で経営を行うのが一般的となっています。

    売掛けに対する入金が翌々月になる場合、その間は手元に売掛けの現金がない状態です。

    そのため、その間に融資を返済するための現金がない状態だと、帳簿上黒字でも倒産してしまいます。これを黒字倒産と言いますが、意外に身近な存在となっており、特に自転車操業的な経営だと倒産に繋がりやすいのです。

    なお、倒産後は破産手続き・特別精算手続きを行い、融資の返済に対して可能な限り弁済します。必ずしも倒産して会社がなくなる訳ではないので、債務整理を行い会社を再建する選択肢も検討するといいでしょう。

    融資の返済ができないときの対処方法

    融資の返済ができないときには、以下の対処法を検討してみましょう。

    1. 追加融資による資金調達
    2. リファイナンス(他社金融機関への乗換え)を行う
    3. キャッシングによる資金調達
    4. 融資の返済計画見直し(リスケ)
    5. 専門家に債務整理の相談を行う

    それでは、それぞれの対処法について解説していきます。

    追加融資による資金調達

    融資の返済ができないときには、運転資金を追加融資することで凌ぐことができます。

    ただし、あくまで追加して融資を受ける訳ですから、現在の融資返済に加え追加融資分の返済が必要になるので、月々の返済総額が増える点には注意が必要です。

    なお、返済不要で資金調達する方法が幾つかあります。

    1. 資本金の増資
    2. 補助金・助成金
    3. ファクタリング(売掛債権を現金化)
    4. クラウドファンディング
    5. 親族・友人からの借入

    資本金の増資は返済不要の資金調達方法の一つで、会社の財務体質の強化が期待できます。ただし、資本金の増資は増資に伴う手数料、株主構成変化、税金負担増加などを招くため、経営状況を加味して慎重に判断することが必要です。

    補助金や助成金は、国・地方自治体が支給されるもので返済不要ですが、一定の条件を満たすことが求められます。また、ファクタリングは売掛債権を早期に現金化できるため、資金繰り・キャッシュフローの改善を図ることが可能です。

    いずれの方法を選ぶにしても、メリットとデメリットを比較検討した上で、慎重に決定するようにしましょう。

    リファイナンス(他社金融機関への乗換え)を行う

    融資の返済ができないときには、リファイナンス(他社金融機関への乗換え)を行うことで凌ぐことができます。リファイナンスとは他社金融機関で新たに融資を受け、今までの融資を返済し新しく融資を組み替えることです。

    融資の返済条件を変更することをリスケジュール(リスケ)と言いますが、リファイナンスであればリスケのように、自社の信用に傷がつくこともありませんし、事業計画書の提出も必須ではありません。

    ただし、リファイナンスは金融機関側から見ると、追加融資の審査をすることと同じなので、事業計画書を作成し財務改善と返済見通しを説明するとスムーズに融資の審査が進みます。

    なお、事業計画書を作成する際には、経営革新等支援機関を活用すると以下のメリットがあるのでおすすめです。

    • 金融機関からの信頼性向上…専門家が計画書を作成するので信頼性が増す。
    • 補助金申請時に有利…申請時に認定経営革新等支援機関の関与が必須で審査時に加点される。

    伴走支援型特別保証制度を活用すると、計画書作成時の費用補助を受けることが可能になり、よりリファイナンスを有利に受けることができます。

    また、リファイナンスを行う際には、融資の期間をできるだけ長くすると、元金返済が少なくてすみ資金繰りが楽になります。

    逆に融資の期間が長くなると金融機関での審査のハードルが上がるので、伴走支援型特別保証制度を利用するなど、金融機関が融資しやすくなる制度の活用をしましょう。

    伴走支援型特別保証制度とは

    新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者を支援するために、金融機関が中小企業者に対して継続的に支援して、資金繰りの改善を図る制度です。

    なお、伴走支援型特別保証制度を利用するには、次の要件を満たす必要があります。

    • 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者であること
    • 経営改善計画を策定していること
    • 金融機関が継続的な伴走型の支援を行うこと

    この制度を利用すると、担保や保証人なしに低金利で融資を受けることができます。また、金融機関側で経営改善計画の実行状況をモニタリングするので、必要な支援を受けられるメリットがあります。

    キャッシングによる資金調達

    イレギュラーな方法であるものの、他金融機関からキャッシングによる資金調達方法でも融資の返済が行えます。

    最短即日での融資が行えるようになるものの、金利が高く返済額が大きくなる可能性があり、借入を繰り返すと融資の返済がより困難になることが考えられるので注意が必要です。

    基本的に融資の返済ではおすすめできる方法ではありませんが、少額の借入であれば影響を小さくできるので、最終的な手段として利用するようにしましょう。

    融資の返済計画見直し(リスケ)

    融資の返済ができないときには、融資の返済計画見直し(リスケ)を行うことも一つの方法です。融資の返済を滞納する前であれば、リスケを行うことで返済日の変更・返済額の見直しを行うことができます。

    ただし、融資の返済を滞納してしまうと、督促が行われリスケのハードルが上がるので、返済期日が間に合わなくなったことがわかった時点で相談するようにしましょう。

    なお、融資返済の滞納後でも督促に応じた上でリスケの相談をすれば、対応策を金融機関側が行ってくれる場合があります。

    融資返済の滞納前ほど条件が良くなる訳ではありませんが、遅延損害金が膨れ上がるリスクをさけられるので、一度相談することをおすすめします。

    専門家に債務整理の相談を行う

    返済計画の見直しをしても融資返済の目処が立たない場合は、弁護士・司法書士などの専門家に債務整理の相談を行うことを検討しましょう。

    債務整理を行うことで、借入の一部もしくは全額の免除を受けられ、債権者とのやり取りを専門家が代行してくれるので、督促への負担を軽減することができます。

    なお、債務整理には任意整理、個人再生、自己破産、特定調停があり、融資残高と返済能力によりとるべき選択肢が異なります。

    債務整理の種類 概要
    任意整理 弁護士や司法書士が債務者に代わり債権者と交渉し、返済の減額・返済猶予・利息の免状・減額を行い、元金のみを3年~5年で返済する方法。
    手続きが簡易で、信用情報に傷がつくこともないメリットがある。
    個人再生 裁判所に申し立て弁済計画を立ててもらい、融資返済猶予、融資返済期間の引き伸ばしをして返済する方法。
    破産に比べ融資返済が免除される範囲が広く、信用情報に傷がつきにくいメリットがある。
    自己破産 裁判所に申し立て融資返済義務を免除してもらう方法。
    一定の財産を処分する必要はあるものの、ほとんどの融資返済を免状できるメリットがある。
    特定調停 簡易裁判所の仲裁のもと、債権者との間で利害関係を調整(弁済条件の軽減など)することを目的とし、申し立てる特別の民事調停手続き。
    専門家を通さず債務者と交渉でき、かかる費用を節約できるほか、債権者の同意が得られなくても調停が成立するメリットがある。
    将来利息を免除できるので月々の融資返済額を減らすことが可能。

    債務整理の手段によっては、信用情報に傷がつくので将来的な収入に悪影響を及ぼすケースがあります。

    財産を残しつつ融資の返済を目指すなら任意整理・個人再生、返済の目処の立たない場合は自己破産、弁護士・司法書士に相談する費用を節約したい場合は特定調停を選択するのがいいでしょう。

    なお、どの債務整理を選べばいいかわからない場合は、弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。弁護士・司法書士への相談は初回相談を無料としているケースが多いので、自分に適した債務整理を選択することができるでしょう。

    融資の返済をリスケするメリットとデメリット

    自社の業績が悪化し資金繰りが悪化しそうになったら、まずはリスケを検討しましょう。資金繰りが困難になる原因は、融資の返済が資金繰りを圧迫している可能性があります。

    融資の返済を猶予してもらうことは、経営を立て直すのに最もポピュラーな手段なのです。

    ただし、リスケしてもあくまでも金融機関の目的は、融資の回収であることに変わりありません。そのため、融資の返済をリスケことにはメリットとデメリットがあることを理解しておく必要があります。

    ここでは、融資の返済をリスケするメリットとデメリットについて解説していきます。

    メリット①融資返済の資金繰りが楽になる

    リスケを行うと返済にまわしていた資金が必要なくなるので、融資返済の資金繰りが楽になります。

    一般的なリスケであれば、元金返済なしで半年〜1年間の利息分の返済のみにできるのです。金融機関との交渉次第では、融資の元金も多少は返済するケースもありますが、融資の返済を猶予してもらえると、一時的ではあるものの資金繰りの改善を期待できるでしょう。

    リスケ中に財務状況を立て直すことができれば、融資本来の目的を果たすことができます。

    メリット②キャッシュフローの改善

    融資をリスケするもう一つのメリットは、キャッシュフローの改善です。

    リスケによる融資返済が減少すれば、企業のキャッシュフローを軽減でき以下のメリットを享受することができます。

    • 返済遅延のリスクを軽減し事業運営の資金を確保できる
    • 融資返済負担を軽減でき将来的な投資・事業拡大の資金調達の余地が生まれる

    なお、融資返済のリスケを行うと費用がかかることもあるので、十分な検討を行う必要があるのです。そのため、十分に融資返済計画をシミュレーションし、計画性のある融資返済を実現しましょう。

    メリット③法的な回収措置が行われず倒産のリスクを回避できる

    リスケをすれば、再建のための時間的猶予ができ、とりあえず倒産を回避できます。事業者はこの間に経営体質を抜本的に変更しなければならず、変えることができれば大きなメリットにつながります。

    経営体質を変えられなければ、銀行は強行な法的回収措置をとり、会社はさらに厳しい状況に追い込まれますが、資金繰りの改善を実行し、正常な返済をしても問題ないよう立て直すことで、倒産を逃れることができるのです。

    メリット④金融事故を防げる

    融資返済のリスケは、債務整理を行う前に選択できる方法なので、信用情報への瑕疵を防げます。リスケにより融資の契約条件が更新され、現状の返済能力に見合ったプランに組み替えることも可能なのです。

    ただし、融資のリスケを行うこと信用情報に異動情報が記録される点には注意が必要です。信用情報における異動情報は、融資返済遅延・債務整理・自己破産と言った金融事故を起こした際に記録されるものです。

    リスケは金融事故ではないものの、返済条件を変更するという意味では異動情報の一種として扱われ、事故情報として5年間記録されます。そのため、その期間には新たな融資やローンを組むのが難しくなり、審査にも 通りにくくなるので、条件のいい融資やローンは望めなくなるでしょう。

    ただし、将来的に業績が回復すれば信用情報に悪影響を与えることもないので、返済計画を慎重に検討してリスケを検討するようにしましょう。

    メリット⑤金融機関との信頼関係を保てる

    融資返済のリスケを行うと、金融機関との信頼関係を保てるメリットがあります。融資返済のリスケは、融資返済が困難になっても、融資元の金融機関と返済の解決策を模索することです。

    そのため、資金ショートや融資返済遅延を未然に防ぐことができるので、金融機関との信頼関係を保ちつつ返済計画を立て直すことができます。

    また、金融機関との信頼関係を保てれば、将来的な融資の機会を残すことにもつながるのです。ただし、リスケを行うことは手数料の発生や利息の増額のコストもかかるので、慎重な検討を融資元の金融機関と行うようにしましょう。

    デメリット①最長1年以内に経営を立て直す必要がある

    リスケはあくまでも融資返済の猶予期間を確保する手段なので、リスケ中にキャッシュフローを改善する経営努力が必要です。そのため、リストラや役員報酬の減額、などリスケ中に具体的に経営を立て直し、リスケ前の融資条件に戻すことが求められます。

    リスケの期間は半年~1年が一般的となっており、リスケ期間中に期間の延長も可能ですが、非常にハードルが高く容易に延長することはできません。

    なぜならば、リスケの延長は経営改善計画が実行できていないことを意味しているからです。少なくとも期間中に経営改善計画の80%を達成する必要があるので、リスケの延長は難しいことが理解できるでしょう。

    なお、リスケの延長・更新が行われないと、債権を債権回収会社に売却されるので、融資返済の督促などが行われます。

    デメリット②新たな融資が受けられない

    融資返済のリスケ中には、新たな融資が受けられないのが一般的です。そのため、事業者は手元にある資金で資金繰りを行わなければならず、融資のない状態で経営の立て直しを行う必要があります。

    ただし、リスケを行うと融資が二度と受けられることではないので、リスケ中に経営を立て直し元の融資返済条件で返済が行えるようになれば、新たな融資を受けてくれる可能性もあるのです。

    なお、リスケ解消後すぐに新規融資を申し込んでも、再び経営難に陥る可能性があるので、一定の期間様子を見る期間を設けるケースが多くなっています。

    また、金融機関側では貸倒れになったときでも資金がまわるように、信用格付けに応じた貸倒引当金を計上するようになっているのです。貸倒引当金は貸倒れを想定し、本来融資返済で得られる利益から差し引いているお金なので、融資元の金融機関の利益が低下します。

    つまり、リスケは本来融資返済で得られる利益が減る行為なので、債務者にもそれなりのデメリットがあることは理解しておきましょう。

    デメリット③利息や手数料などのコストがかかる

    融資返済のリスケを行うと、利息や手数料などのコストがかかるデメリットがあります。リスケは月々の融資返済額を減らすことを実現しますが、元金の返済が猶予されるだけなので、完済までの期間が長くなるケースが多いです。

    そのため、返済の完済長期化は、利息が増加し返済総額増加のデメリットがあります。また、リスケを行うと追加費用や手数料が必要になります。

    いずれにしても、リスケは完済期間と返済額がトレードオフの関係にあるので、慎重に検討するようにしましょう。

    融資の返済をリスケするための条件

    融資の返済をリスケするためには、以下の条件を満たす必要があります。

    1. 融資先に預金残高がないこと
    2. 資金調達の手段が他にないこと
    3. 経営収支が回復傾向にあること
    4. リスケにより当面の事業継続が可能になること

    それでは、それぞれについて解説していきます。

    融資先に預金残高がないこと

    リスケを実現するためには、融資先に預金残高がないことが条件として挙げられます。金融機関では顧客の返済能力を測るために、顧客の預金残高を確認することがありますが、預金残高がない場合は財政的に困窮している証左になります。

    その逆に、融資先に多額の預金残高があるならば、そこから返済を継続することが求められるでしょう。そのため、リスケを実現するためには、融資先に預金残高がなく融資の返済能力が低下している必要があるのです。

    融資先に経営者の預金残高もないこと

    リスケを実現するためには、融資先に経営者の預金残高がないことも必要です。

    金融機関では融資を受けている企業の経営者の預金残高を調査することがあります。もし融資先の金融機関に預金残高があるならば、経営者が融資の返済に充てられる資金があると判断するので、リスケを受けられない可能性があります。

    資金調達の手段が他にないこと

    リスケを実現するためには、資金調達の手段が他にないことも必要です。

    融資を行う金融機関では、融資先の企業の信用状況・返済能力を評価しリスケを決定します。そのため、融資先の企業が他の資金調達手段があるのならば、金融機関はリスケを承認しない可能性が高いです。

    また資金調達は単純に現金だけでなく、株式公開や債券発行などの他の金融市場からの資金調達が可能な場合も対象になります。そのため、融資のリスケを申請する前には、他の資金調達手段がないか調べておくようにしましょう。

    とはいえ、多くの中小企業では資金調達の手段は限られ、金融機関からの融資が主な資金調達の手段となっています。リスケが必要な経営状況で第三者からの資金調達は難しいので、リスケを実現することが現実的でしょう。

    経営収支が回復傾向にあること

    リスケを実現するためには、経営収支が黒字または回復傾向にあることもことも必要です。

    融資元の金融機関では、返済能力を評価するため財務指標(収益性・経常収支など)を重視しリスケの判断を行います。そのため、収支が赤字である場合でも、経営収支が回復傾向であることを示せば、リスケにプラスに働くのです。

    リスケを申請する場合には、収益性・経常収支といった財務指標を分析するとともに、経営改善の施策を講じるようにしましょう。

    リスケにより当面の事業継続が可能になること

    リスケを実現するためには、リスケにより当面の事業継続が可能になることも必要です。

    リスケを申請する際には、その後の事業継続の可能性が重要になります。そのため、融資元の金融機関では企業の将来的な返済能力を確認するために、事業計画に加え将来的なキャッシュフロー予測も確認するのです。

    具体的な施策としては、新たな事業計画や収益改善策を制作・提示し、リスケにより当面の事業継続が可能になることを示すといいでしょう。

    リスケの対象となる5つの返済条件

    リスケの対象となるのは、返済期間の延長だけではなく、以下の5つも返済条件の対象となります。

    1. 返済期間の先延ばし
    2. 元利定額返済から元金均等返済への切り替え
    3. 返済日を変える
    4. 保証人を追加する
    5. 保証人を解除する

    それでは、それぞれについて解説していきます。

    返済期間の先延ばし

    リスケの対象となる返済条件として最もポピュラーなのが、返済期間の先延ばしです。リスケは元本・利息の返済条件を見直すことで、融資の返済負担を軽減する方法となっています。その負担を軽減する方法として代表的なのが、返済期間の先延ばしです。

    返済期間の先延ばしを行えば、月々の融資返済額が減少し資金繰りの改善も見込めるので、キャッシュフロー改善にも有効な手段となっています。

    なお、返済期間の先延ばしによって月々の融資返済額が減少しますが、一方で融資返済総額が増加する場合もあるので、事前にシミュレーションしておきましょう。

    元利定額返済から元金均等返済への切り替え

    元利定額返済から元金均等返済への切り替えも、リスケの対象となる返済条件です。元利定額返済とは、月々の融資返済額が一定で、最初に元金の利息が高く返済が進むにつれ利息が減少する返済方法となっています。

    一方、元金均等返済は、月々の融資返済額が以下のようになる返済方法です。

    元金に対する返済分を均等額+利息を加算=月々の返済額

    返済負担を均等に分散させる返済方法なので、返済期間が進むにつれ利息が減少するとともに月々の返済額も減少させることができます。

    元利定額返済は元金の返済が進むにつれて利息の割合が高くなり、返済額が高くなるケースがあるので、返済期間を延ばす等の対応が必要です。

    しかし、元金均等返済であれば、返済期間中の総返済額を減少させることができる返済方法なので、融資返済の負担を軽減できるでしょう。

    返済日を変える

    契約によって決められた返済日を変えることも、リスケの対象となる返済条件です。

    ただし、変更により遅延損害金・利息などの追加費用が発生する場合はリスケが適用されない場合があります。そのため、返済日を変えるリスケを申し出る際には、契約内容を確認することが重要です。

    また、リスケ適用までの手続きは時間がかかることもあるので、返済日に余裕をもって申し込むようにしましょう。

    保証人を追加する

    保証人を追加することも、リスケの対象となる返済条件となっています。保証人を追加すると、融資元金融機関の貸倒リスクを軽減できるので、リスケを実現しやすくなるのです。

    ただし、保証人の追加は保証人自身のリスクもあるので、慎重に行う必要があります。また、保証人を追加すると追加費用が発生するケースがあるので、契約内容を確認しておきましょう。

    なお、リスケは貸し手・借り手双方における合意が必要な返済条件なので、保証人を追加することが合意形成に有効な場合もあります。ただし、保証人を追加することが必ずしもリスケを実現する訳ではないので、別の方法も模索しておきましょう。

    保証人を解除する

    保証人を解除することも、リスケの対象となる返済条件です。

    保証人を解除することで、融資元金融機関は債務者が返済不能になった際のリスクを全て負うことになります。しかしその代わりに、債務者は返済期間延長や返済額減額といったリスケが適用される可能性があるのです。

    ただし、あくまでの保証人を解除することは、融資元金融機関にとっては不利な側面もあるので、場合によってはリスケが認められない場合もあります。

    また、保証人の解除には融資元金融機関との合意が必要な上に、保証人の解除によって債務者の信用度が低下する場合もあります。加えて、保証人の解除の手続きには必要書類の提出も求められるので、事前に契約内容を確認しておくことが必要です。

    保証人を解除することは融資返済の負担の軽減に繋がりますが、金融機関側では容易に認められないことも多いので、その際には別の方法も検討しておきましょう。

    融資の返済に関するよくある質問

    融資の返済に関するよくある質問は以下の通りです。

    借入金や返済・支払利息の勘定項目は?

    勘定科目とは、複式簿記の仕訳や財務諸表などに用いる表示金額の内容を示す名称です。企業の財政状況・経営状況を把握するために必要で、企業の活動内容を細かく分類するために、それぞれの勘定科目で管理が行われています。

    借入金や返済・支払利息の勘定項目は以下の通りです。

    • 借入金の勘定項目:借入金
    • 返済・支払利息の勘定項目:支払利息

    たとえば、100万円を短期借入金で借入した場合、以下の仕訳を行います。

    借方 貸方
    預金 100万円 短期借入金 100万円

    そして、借入金を利息(5万円)とともに返済した場合には、以下のような仕訳になります。

    借方 貸方
    短期借入金 100万円 預金 105万円
    支払利息 5万円

    ゼロゼロ融資とは?返済できない場合の対処法も教えて欲しい

    ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症の影響で売上低迷など、業績が悪化してしまった個人事業主・中小企業が対象となる実質無利子・無担保による融資制度です。

    ゼロゼロ融資の特徴は、次の通りです。

    • 実質無利子:利子は政府の財源を裏付けとし信用保証協会が負担するので利子を支払う必要がない
    • 無担保:返済を保証するための担保が必要ない
    • 長期の返済期間:最長20年(設備資金)または15年(運転資金)で返済が可能
    • 元金の返済猶予:最長5年間、元金の返済を猶予可能

    なお、ゼロゼロ融資の返済が厳しい状況にある場合には、次の4つの対処法を検討しましょう。

    1. 融資以外での資金調達
    2. 金融機関での相談
    3. 事業再生を図る
    4. 法人破産する

    融資・出資の違いは返済義務だけ?

    融資・出資の違いは返済義務だけではありません。

    融資とは貸主が借主に資金を貸し付ける契約ですが、出資は出資者が投資先に資金を提供しその見返りとして株式を取得する契約となっています。そのため、融資の場合、貸主は借主に資金を貸し付ける代わりに、元本と利息を返済してもらう必要があるのです。

    一方、出資は出資者は投資先に資金を提供しますが、元本を返済する必要はなく、投資先の業績が向上した場合に配当金を受け取ることができます。また、融資の場合、貸主は借主の信用力を審査し、担保を要求することが必要です。

    一方、出資の場合、出資者は投資先の事業内容・将来性を審査することで出資金額を決定するのが一般的です。このように、融資と出資は資金の提供方法・返済義務・担保の有無などの点で異なっています。

    返済に困ったらまずは融資先の担当者に相談しよう

    融資の返済に困ったら、まずは融資元の金融機関の担当者に相談してください。

    融資の返済が1日でも滞れば、信用情報に延滞履歴が残るだけでなく、最終的には訴訟による差し押さえ(強制執行)に発展しかねません。融資の返済を放置すると、債務者の条件は悪くなる一方なので、リスケなど早めの対処を行いましょう。

    融資の返済をリスケことは、メリットとデメリット双方あり、リスケの対象となる返済条件も存在しています。余裕をもった融資返済を目指すようにし、計画的に融資を活用し自社の発展に役立ててください。

    また、融資の返済にお困りの方は、即日資金調達が可能なファクタリングを検討するのもおすすめです。

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