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個人事業主として事業を拡大したい、あるいは新しい設備を導入したいと考えたとき、真っ先に検討すべきなのが「補助金」や「助成金」です。
補助金・助成金の返済不要という言葉は非常に魅力的ですが、多くの個人事業主が陥る致命的な罠があります。それは、「補助金は後払い(精算払い)である」という事実です。
「100万円の補助金が出るから、150万円の設備を買おう」と決めても、その150万円は事業者が最初に全額支払わなければなありません。
本記事では、2026年に個人事業主が狙うべき最新の補助金・助成金リストに加え、受給までの「資金不足(キャッシュフローの空白)」をどう乗り切るか、ファクタリングをはじめとする実戦的な資金調達術まで徹底的に解説します。
記事の目次
2026年最新|個人事業主が優先的に申請すべき補助金と助成金の比較一覧表
まず、個人事業主はが今どの制度を狙うべきか、全体像を把握しましょう。
2026年度は特に「デジタル・AI枠」の拡充と、従来の「ものづくり補助金」の再編が大きなトピックです。
個人事業主が利用できる主な制度は次のとおりです。
返済不要で数百万円の受給も狙える個人事業主向け主要公的な支援制度
| 制度名称 | 管轄 | 主な用途 | 最大補助額(目安) | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 経済産業省 | 販路開拓・広告・PC購入 | 50万円〜250万円 | ★☆☆ |
| デジタル化・AI導入補助金 | 経済産業省 | ソフトウェア・AIツール・EC | 50万円〜450万円 | ★★☆ |
| 中小企業新事業進出補助金 | 経済産業省 | 新商品開発・設備投資 | 1,000万円〜 | ★★★ |
| キャリアアップ助成金 | 厚生労働省 | 非正規雇用の正社員化 | 80万円(1人当たり) | ★★☆ |
| 人材開発支援助成金 | 厚生労働省 | 従業員の教育・リスキリング | 経費の45%〜75% | ★★☆ |
補助金と助成金のどちらを選ぶべきか判断するための3つのチェックポイント
「補助金」と「助成金」は似て非なるものです。どちらを優先すべきかは、あなたの事業状況によって決まります。
基本的には次の3つの比較軸から最適な選択肢を検討しましょう。
- 「事業の成長」か「人の成長」か
- 「審査」の有無を許容できるか
- 「スピード」と「確実性」のどちらを重視するか
3つの比較軸について詳しく解説していきます。
「事業の成長」か「人の成長」か
新しいPCやソフトを買いたい、広告を出したい場合は、経済産業省系の「補助金」を選びます。
従業員を正社員にしたい、研修を受けさせたい場合は、厚生労働省系の「助成金」が適しています。
基本的に投資などをおこなう場合には、補助金で、従業員の雇用やスキルアップを図りたい場合には助成金を活用しましょう。
「審査」の有無を許容できるか
補助金には「採択(コンテスト)」があります。優れた事業計画を書いても、予算の関係で落ちることがあります。
助成金は、要件をすべて満たしていれば原則として誰でも受給可能です。
より確実に受け取りたいのであれば助成金を、投資計画などに自信があるのであれば補助金を選択することで資金調達の幅は広がります。
「スピード」と「確実性」のどちらを重視するか
補助金と助成金の選択において「スピード」と「確実性」は極めて重要な判断軸です。
経済産業省系の補助金は事業の成長性を競う「採択制」のため、確実に受給できる保証はありませんが、採択されれば大型の設備投資などを早期に実行できる推進力があります。
対して厚生労働省系の助成金は、要件さえ満たせば原則として受給できるため確実性は非常に高いものの、半年から1年以上の雇用維持や労働改善の実績を積んだ後に申請を行う仕組みが主流であり、実際に入金されるまでのスピード感は緩やかです。
不採択のリスクを許容してでも事業拡大の速度を上げたいなら補助金、時間はかかっても着実に公的支援を得たいなら助成金という、自社の資金繰りと経営戦略に合わせた冷静な使い分けが求められます。
個人事業主が補助金・助成金の受給で得られる4つのメリット
補助金や助成金の申請は手間がかかりますが、それに見合うだけの圧倒的なメリットがあります。
- 返済不要の資金調達により自己資金を温存したまま攻めの投資ができる
- 国や自治体の厳しい審査を通過することで事業の社会的信用力が向上する
- 採択に向けた事業計画書の作成プロセスで自社の強みと課題を客観視できる
- 採択事業者限定のセミナーやビジネスマッチングなど付随する支援を受けられる
補助金・助成金を受給することは、単に「返済不要の資金を調達できる」という以上のメリットがあります。
補助金・助成金を受給する際に得られる4つのメリットについて詳しく解説していきます。
返済不要の資金調達により自己資金を温存したまま攻めの投資ができる
最大のメリットは、何と言っても「返済の必要がない」ことです。
銀行融資であれば毎月の元金返済と利息が発生し、キャッシュフローを圧迫します。
補助金であれば、受け取った資金をそのまま次の事業投資に回せるため、自己資金を温存しながらレバレッジをかけた経営が可能になります。
自己資金だけではおこなうことができない、攻めの投資がてきる点が補助金・助成金受給の大きなメリットです。
国や自治体の厳しい審査を通過することで事業の社会的信用力が向上する
補助金に採択されるということは、国や専門家から「この事業は継続性があり、社会に役立つ」と公認されたことを意味します。
これは「〇〇補助金 採択事業者」として、ホームページや名刺でアピールできる強力な武器になります。
この実績が、後の銀行融資の審査を有利にしたり、大手企業との取引のきっかけになったりすることも少なくありません。
会社の社会的信用度をアップさせたい時にも補助金や助成金は有効です。
採択に向けた事業計画書の作成プロセスで自社の強みと課題を客観視できる
補助金申請には「事業計画書」の作成が不可欠です。
「現在の会社の強みは何か」「3年後の売上目標はどう達成するか」を言語化するプロセスは、会社にとっては強み弱みを客観視して、長期的な会社のビジョンを描く絶好の機会になります。
普段、目の前の業務に追われて見落としがちな「事業の方向性」を再確認できるため、たとえ不採択になっても、その計画書自体が今後の経営指針として役立ちます。
採択事業者限定のセミナーやビジネスマッチングなど付随する支援を受けられる
補助金や助成金の受給は、金銭的支援に留まらず、採択事業者という「信頼の証」を得ることで多角的な経営支援を受けられる点が大きな魅力です。
特に経済産業省系の補助金では、採択者限定のビジネスマッチングや展示会への優先出展が用意されているケースが多く、自社だけでは接点を持てない大手企業やパートナーと繋がる貴重な機会となります。
また、最新の経営ノウハウやデジタル活用を学べる専門家セミナーも開催され、資金の活用効率を最大化させるための伴走型支援がセットになっているのが昨今の潮流です。
資金獲得を機に、人的ネットワークや専門知識を同時にアップデートできることは、単なる資金調達以上の価値を事業にもたらします。
申請前に必ず知っておきたい補助金受給のデメリットと課税対象に関する注意点
補助金には、個人事業主が陥りやすい「税金」と「資金繰り」などの次のような落とし穴が存在します。
- 受給した補助金は雑所得として所得税や住民税の課税対象になる
- 採択後も定期的な実績報告や5年間の書類保存義務といった事務負担が発生する
- 不正受給とみなされた場合は返還命令だけでなく加算金や刑事罰の対象となる
- 設備投資の完了まで全額自己負担となる
補助金や助成金を受給することによって、税負担や事務的な負担が増える可能性があるので、十分注意が必要です。
補助金や助成金を受給することの4つの注意点について詳しく解説していきます。
受給した補助金は雑所得として所得税や住民税の課税対象になる
補助金は返済不要ですが、税務上は「利益」とみなされます。
会計上は「雑収入」として処理され、所得税・住民税、さらに国民健康保険料(所得割)の算定根拠に含まれる点に注意が必要です。
具体的に、100万円の補助金を受給した場合の負担増を試算してみましょう。
- 所得税:約200,000円(課税所得330万円〜695万円の税率20%区分の場合)
- 住民税:約100,000円(一律約10%)
- 国民健康保険料(所得割):約100,000円〜150,000円(自治体により異なるが約10%前後)
合計すると、受給額の約30%〜45%(30万円〜45万円程度)が、翌年の税金や保険料として実質的に「消える」計算になります。
もちろん、補助金を活用して投資した分の減価償却費など、費用計上できる分も増えますが、やはり公的な負担は増えてしまうことには間違いありません。
ここを理解せずに受給額のすべてを設備購入や運転資金に使い切ってしまうと、翌年の納税時期に多額の請求が届き、キャッシュがショートする「黒字倒産」のリスクが生じます。
受給した際は、あらかじめ納税用のキャッシュを別口座に確保しておくなどの徹底した資金管理が不可欠です。
採択後も定期的な実績報告や5年間の書類保存義務といった事務負担が発生する
補助金や助成金は「お金をもらっておしまい」ではありません。
補助金事業が完了した後も、どのように資金を使ったかの実績報告書を提出する必要があります。
また、購入した設備の領収書や帳簿などは、受給後5年〜10年間の保存義務があります。
万が一、会計検査院などの調査が入った際に書類が不備であれば、返還を命じられるリスクもあります。
不正受給とみなされた場合は返還命令だけでなく加算金や刑事罰の対象となる
意図的ではなくても、対象外の経費を計上したり、別の目的で資金を流用したりすると「不正受給」と判断されます。
この場合、補助金の全額返還はもちろん、年利10%程度の加算金が請求され、さらに事業主名が公表されるなどの社会的ペナルティを受けます。
悪質な場合は詐欺罪として立件されるケースもあります。
設備投資の完了まで全額自己負担となる後払い原則による黒字倒産リスク
補助金は、まず自費で設備を購入し、その領収書を提出して初めてお金が振り込まれます。
例えば100万円の補助金(補助率2/3)を獲得して150万円の投資をする場合、先に150万円を自分で支払う必要があります。
手元の現金がないのに150万円の契約をしてしまうと、補助金が入る前に支払いが滞り、最悪の場合は「黒字倒産」の状態に陥ります。
補助金や助成金を受給する際には、前払い分の補助対象経費をどのように調達するか、用意するかを検討しなければなりません。
個人事業主の採択実績が豊富な3大補助金の最新要件と活用例
2026年度、個人事業主が狙うべき主要な3つの補助金を詳しく見ていきましょう。
一般的に3大補助金と言われるものは次の3つです。
- 小規模事業者持続化補助金
- デジタル化AI導入補助金
- 中小企業新事業進出補助金
販路開拓やPC購入にも使える小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、従業員の少ない小規模事業者や個人事業主が販路開拓や業務効率化に取り組む費用を支援する制度です。
返済不要な資金を得られる点が最大の利点で、チラシ作成や店舗改装、展示会出展など活用の幅が広いのが特徴です。
一方、最大の注意点は「後払い」であることです。
先に自己負担で支払いを行い、事業終了後の検査を経て受給するため、一時的な資金繰りの検討が欠かせません。
採択を勝ち取るポイントは、単なる願望ではなく、自社の強みと市場ニーズを合致させた具体的かつ実現可能性の高い事業計画書を提示することです。
インボイス対応や賃上げなど、国の施策に沿った加点項目を確実に押さえることも重要です。
「デジタル化・AI導入補助金」は、IT導入補助金が2026年度に進化し、AI活用やDX推進を強力に支援する制度です。
最大のメリットは、高価なAIツールやSFA、会計ソフト等の導入費用を最大数百万円規模で補填できる点にあります。
一方で、補助金共通の課題である「精算払い(後払い)」に加え、AI活用の具体性や生産性向上への寄与を厳密に証明する事業計画が求められる点はデメリットです。
採択を勝ち取るポイントは、導入するAIが自社の課題をどう解決し、具体的な売上増やコスト削減に繋がるかを数値で明示することです。
セキュリティ対策の実施など、国が示すDX指針に沿った加点項目を確実に押さえることも重要です。
新分野への挑戦を後押しする中小企業新事業進出補助金
中小企業新事業進出補助金は、従来のものづくり補助金などを統合・刷新し、新分野への展開や新サービス開発、生産プロセスの革新を目的とした大規模な投資を支援する2026年度の最重要制度です。
メリットは最大数千万円規模の手厚い補助額と、採択によって「国が認めた成長企業」という高い社会的信用が得られる点にあります。
一方で、審査難易度が極めて高く採択率が低いことや、精算払いのため多額の初期投資資金を自前で用意しなければならない点は大きなデメリットです。
採択のポイントは、単なる設備の更新ではなく、その投資がいかに「革新的」であり、どう市場を切り拓くのかを具体的な数値で証明することです。
特に2026年からは賃上げや雇用拡大へのコミットメントが審査の成否を分ける重要な鍵となります。
採用や教育で活用したい個人事業主向け助成金のおすすめ3選
従業員を1人でも雇っている、あるいは雇う予定があるなら、助成金を活用しない手はありません。
個人事業主でも活用できるおすすめの助成金は次の3つです。
- キャリアアップ助成金
- 人材開発支援助成金
- 特定求職者雇用開発助成金
それぞれの助成金の特徴やメリットについて詳しく解説していきます。
未経験者の正社員化で最大80万円が支給されるキャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を行う事業主を支援する制度です。
最大のメリットは、正社員への転換1人あたり最大80万円といった高額な受給が可能で、優秀な人材の定着やモチベーション向上に直結する点です。
一方で、就業規則の整備や事前の計画書提出、転換後6ヶ月間の賃金支払い実績が必要な「後払い」方式であり、事務手続きが非常に緻密で煩雑な点がデメリットです。
採択のポイントは、管轄の労働局に提出する「キャリアアップ計画」の内容を遵守し、法定帳簿を漏れなく整備することです。
残業代未払いや労働基準法違反があると受給できないため、事前の労務環境チェックが成否を分けます。
従業員のリスキリングを支援する人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、従業員に対して専門的な知識や技能を習得させるための訓練を実施した際に、その経費や賃金の一部を国が助成する制度です。
最大のメリットは、最大75%という高い助成率に加え、訓練中の賃金も補填されるため、コストを抑えつつ企業の競争力を左右する「人財」を育成できる点にあります。
一方で、事前に計画届を提出し、訓練実施後も出勤簿や領収書などの膨大な書類を正確に整備しなければならない事務負担の重さがデメリットです。
受給のポイントは、自社の事業計画に即した適切なコース選定と、訓練開始1ヶ月前までの計画提出を徹底することです。
デジタル化やリスキリングなど、時代のニーズに合った訓練は特に手厚い支援が受けられます。
65歳以上の継続雇用で受給できる特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障害者、母子家庭の母など、就職が特に困難な方をハローワーク等の紹介を通じて継続して雇用する事業主を支援する制度です。
最大のメリットは、対象者の区分に応じて最大数十万円から百万円を超える手厚い助成が受けられる点で、深刻な人手不足の解消と社会貢献を同時に実現できる点にあります。
一方で、対象者の属性ごとに細かい支給要件があり、雇い入れから半年ごとの「後払い」となるため、事前の資金計画と正確な労務管理が欠かせない点がデメリットです。
受給のポイントは、雇い入れ前に必ずハローワーク等に相談し、対象外となるケースを避けること、そして出勤簿や賃金台帳を完璧に整備しておくことです。
【解決策】補助金受領までの資金不足を解消する4つの資金調達手段
さて、ここからが本記事の核心です。
補助金が採択されても、手元にお金がなければ設備は買えません。
入金までの「半年〜1年」をどう生き抜くか。そのための具体的な手段を4つ提示します。
- ファクタリング
- 日本政策金融公庫の融資
- 信用金庫の融資
- ビジネスカードの活用
補助金や助成金が入金される前に資金を確保できる4つの方法を詳しく解説していきます。
最短即日で売掛金を現金化できるファクタリング
補助金の申請中は、設備投資以外にも日々の運転資金が必要です。最もスピーディーに現金を確保できるのが「ファクタリング」です。
これは、まだ入金されていない「仕事の請求書(売掛金)」を業者に買い取ってもらう仕組みです。
ファクタリング業者の中には闇金に近いようなグレーな業者も存在するので、安全な業者を選ぶことが重要です。
利用者に人気の安全なファクタリングサービスは次の3社です。
- OLTA(オルタ):日本を代表するクラウドファクタリング。オンライン完結、手数料2〜9%と業界最低水準で、個人事業主の利用実績が非常に豊富です。
- トップマネジメント:創業15年超の独立系ファクタリング会社。補助金の「補助決定通知」を債権と見做して低い手数料でファクタリングしてくれる「ゼロファク」という専門商品を取り扱っている。
- ベストファクター:面談を重視しているので、人間性や経営者の資質などの定性的な部分を評価してくれるので、審査に通りやすい
補助金の入金(未来の現金)を待つ間、ファクタリングを利用して手元の請求書(現在の資産)を現金化することで、キャッシュフローのショートを防ぐことができます。
日本政策金融公庫の補助金特例を活用した低利のつなぎ融資制度
公的機関である日本政策金融公庫には、補助金採択者を対象とした「つなぎ融資」の相談窓口があります。
採択通知書をエビデンスとして提示することで、補助金が入金されるまでの期間、低利で資金を借りることができます。
ファクタリングより利息は低いですが、審査に1ヶ月程度かかる点に注意が必要です。
時間に余裕を持って利用しましょう。
地域密着型の信用金庫による伴走型支援とセットの短期融資パッケージ
地域密着型の信用金庫は、メガバンクにはない「顔の見える距離感」が最大の武器です。
補助金は原則後払いのため、採択から入金までの期間に発生する多額の持ち出し資金が課題となります。
この空白を埋めるのが、信金が提供する「伴走型支援セットの短期融資」です。
これは単なる資金提供に留まらず、事業計画の策定段階から担当者が深く関与し、採択率の向上や事業の成功を共に目指すパートナー型の支援です。
地元の産業事情に精通しているため、決算書上の数字だけでなく事業主の熱意や将来性を汲み取った柔軟な審査が期待できます。
補助金受給後も継続的な経営相談ができるため、個人事業主にとって非常に心強い調達手段と言えます。
ビジネスカードで現金の支出を抑える|請求書カード払いの活用も
ビジネスカードの活用は、手元の現金を温存しながら支払いを先延ばしにする強力な資金繰り対策です。
特に注目すべきは、銀行振込指定の請求書をカードで決済できる「請求書カード払い(BPSP)」サービスです。
これにより、実質的な支払い期限を最大60日程度延長でき、補助金の入金待ちや売掛金の回収ズレによる黒字倒産リスクを回避できます。
代表的なサービスには、最短即日で利用可能な「支払い.com」や、三井住友カードの「請求書支払い代行サービス」があります。
また、2026年現在はUPSIDERのように法人・個人事業主問わず高限度額を柔軟に設定できるカードも普及しており、ポイント還元による実質的な経費削減も可能です。
現金の支出をコントロールし、キャッシュフローに余裕を持たせる戦略として極めて有効です。
不採択を回避するための申請書類作成3つのポイント
補助金は「出せばもらえる」ものではありません。
どれだけ説得力のある申請書を申請時に提出できるかどうかが非常に需要です。
採択を勝ち取るための主なポイントは次の3つです。
- gBizIDの取得と電子申請システムのマニュアルを事前に読んでおく
- 加点項目を理解し事業の実現可能性が高い事業計画書を作成する
- 認定支援機関や専門家への相談も検討する
採択率を高めるための5つのポイントを紹介します。
gBizIDの取得と電子申請システムのマニュアルを事前に読んでおく
現在、ほぼすべての補助金申請は「gBizID」という共通IDを使った電子申請で行われます。
このIDの発行には郵送による審査が必要で、2週間〜1ヶ月程度かかります。
「公募が出てから取得する」のでは間に合わないため、今すぐ取得しておきましょう。一度取得してしまえば他の補助金や助成金を申請する際に使用できます。
また、マニュアルを読んで操作方法についてもイメージできるようにしておきましょう。
加点項目を理解し事業の実現可能性が高い事業計画書を作成する
個人事業主が補助金採択を勝ち取るためには、単なる熱意ではなく「客観的な実現性」と「加点項目の網羅」が不可欠です。
審査員は膨大な計画書に目を通すため、現状の課題、導入する設備やサービスの効果、そして数年後の収支見通しが論理的な一本の線でつながっている必要があります。
特に「なぜ今、この投資が必要なのか」を市場データや顧客の声を用いて具体化することが、事業の実現性を納得させる鍵となります。
また、見落としがちなのが加点項目です。
DX認定の取得や賃上げへのコミットメント、パートナーシップ構築宣言など、国が推進する政策に沿った要素を計画に盛り込むことで、基礎点に上積みを行い、採択率を劇的に高めることが可能になります。
認定支援機関や専門家への相談も検討する
補助金申請のプロセスは、膨大な公募要領の読解から緻密な事業計画書の作成まで、個人事業主が本業の傍ら一人で完遂するには非常にハードルが高いものです。
不備による不採択を避け、確実に受給を目指すなら、商工会議所や税理士などの「認定経営革新等支援機関」や、行政書士、中小企業診断士といった専門家への相談を強く推奨します。
プロの知見を借りることで、事業の強みを審査員に刺さる言葉へ変換でき、採択率が劇的に向上します。
受給額の10〜15%程度の成功報酬などのコストは発生しますが、複雑化する要件をクリアし、最短ルートで資金を確保するための戦略的な投資と言えます。
まずは無料相談を通じて、信頼できるパートナーを見極めることが成功への近道です。
個人事業主の補助金と助成金に関するよくある疑問と回答
個人事業主の補助金と助成金についてよくある質問をご紹介していきます。
- 開業届を出したばかりの1年目でも補助金や助成金は申請できますか?
- 複数の補助金や助成金を併用して受給することはできますか?
- 補助金を受け取った後の確定申告で、税金対策は必要ですか?
- 一度審査に落ちてしまったら、もう二度と申請できないのでしょうか?
- 採択の通知が届く前に購入した備品や設備も、補助金の対象になりますか?
開業届を出したばかりの1年目でも補助金や助成金は申請できますか?
条件を満たせば可能です。
多くの補助金には「創業枠」が設けられており、実績が少ない開業直後でも、将来性のある事業計画書を作成できれば採択のチャンスは十分にあります。
例えば、小規模事業者持続化補助金には「創業枠」があり、通常より手厚い補助(最大250万円)が受けられます。
ただし、gBizIDの取得や確定申告書の控え(未提出の場合は開業届)など、事前準備を早めに行うことが重要です。
複数の補助金や助成金を併用して受給することはできますか?
同一の経費(同じPCや同じ広告費など)でなければ併用は可能です。
例えば、「キャリアアップ助成金」で雇用したスタッフに対し、「人材開発支援助成金」で研修を受けさせ、そのスタッフが使うPCを「小規模事業者持続化補助金」で購入するといった使い分けは、事業を加速させる賢い戦略です。
ただし、同一の領収書を複数の窓口に提出する「重複受給」は不正とみなされるため、くれぐれも注意しましょう。
補助金を受け取った後の確定申告で、税金対策は必要ですか?
はい、補助金は「雑収入」として所得税や住民税の課税対象になるため注意が必要です。
受給額の3割〜4割程度は翌年の納税や保険料の増額分として確保しておく必要があります。
もし設備投資で固定資産を購入した場合は、「圧縮記帳」という税務処理を行うことで、その年の課税を繰り延べ(先送り)し、一時的な税負担を軽減できる特例があります。
受給時は税理士などの専門家に相談した方がよいでしょう。
一度審査に落ちてしまったら、もう二度と申請できないのでしょうか?
いいえ、不採択になっても、次回の公募回で再チャレンジが可能です。
補助金事務局から「不採択の理由(評価点)」を確認できる場合が多いため、それを参考に事業計画書をブラッシュアップすることで、2回目、3回目の申請で採択を勝ち取るケースは非常に多いです。
諦めずに、専門家の添削を受けるなどして改善を図りましょう。
採択の通知が届く前に購入した備品や設備も、補助金の対象になりますか?
原則として、対象になりません。
補助金のルールでは「交付決定(採択の後の正式な通知)」の後に発注・契約・支払いを行ったものだけが経費として認められます。
通知前に購入したものは一切補助の対象外(全額自己負担)となるため、注意が必要です。
ただし、一部の制度では「事前着手承認」の手続きを行えば例外的に認められる場合がありますが、2026年現在は要件が厳格化されているため、基本は交付決定を待つのが鉄則です。
補助金は「もらうこと」ではなく「事業を成功させること」が目的
2026年度、個人事業主を取り巻く環境は激変しています。補助金や助成金は、返済不要で資金を調達できるので、厳しい経営環境を乗り越えるための強力なブースターになります。
しかし、補助金は魔法の杖ではありません。
後払いという現実、課税というルールを正しく理解し、入金までの資金繰りをどのようにするのかも含めて計画的に申請をしなければなりません。
事業計画と同じくらい資金繰りの計画は重要なので、前払い分の資金繰りにも目処を立てて補助金や助成金への申請手続きをおこなうとよいでしょう。


