事業資金の調達方法
資金ショートとは?意味・原因・対策とその後再発させない方法を解説
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売上の減少などをきっかけに会社の資金繰りが困難になり、資金ショートになるケースは珍しくありません。

資金ショートとは、手元の資金が枯渇して支払いに充てる現金がない状態を指します。事業資金が支払えなくなると会社は倒産するため、早急な対処が必要です。

本記事では、資金ショートの概要・原因・対策について解説します。また、資金ショートに陥りそうなときの相談先についてもまとめました。

資金ショートの原因と対策を理解しておくと、今後の再発防止にもつながります。資金繰りを上手に回して、安定した事業運営を目指しましょう。

資金ショートとは

資金ショートとは手元の資金が足りなくなり、事業運営に必要な費用が支払えなくなった状態です。

売上が順調に伸びていたとしても経費などが支払えなくなると、会社は帳簿上が黒字のまま倒産する「黒字倒産」を起こします。資金ショートを起こす代表例は売上の減少ですが、大型案件の受注などポジティブな理由でも起こりがちです。

資金ショートと似た言葉に「債務超過」「赤字」がありますが、同じ資金が足りない状態でも意味は異なります。

資金ショートと債務超過の違い

資金ショートは手元資金が不足している状態で、債務超過は財務の状態を表している点が両者の違いです。

債務超過とは、事業主が保有している総資産を負債が上回った状態です。自社が保有する売掛金・機械・普通預金などをすべて返済に充てたとしても、負債が消えない状態を債務超過と呼びます。

債務超過は資産が足りない状態ではあるものの、支払いに充てられるキャッシュはあるので資金ショートほど深刻度は高くありません。

たとえば、総資産が200万円で融資額が500万円であったとしても、30回の分割払いにしていれば2年半後には完済できます。このように債務超過であっても計画通りに返済ができていれば、直ちに倒産を起こす危険はありません。

ただし、債務超過は銀行などの金融機関から融資が受けにくい状態であるため、解消に向けて努力をする必要はあります。

資金ショートと赤字の違い

資金ショートが手元資金がない状態であるのに対し、赤字は利益がマイナスの状態を指します。

たとえば、自己資金が潤沢にあっても、取引において利益を経費が上回った状態であれば「赤字」です。債務超過と同様に企業として望ましい状態ではありませんが、直ちに倒産を起こすほどの危険性はありません。

赤字・債務超過は、資金ショートのように直接資金繰りに影響を与えない点が大きな違いと言えます。

資金ショートを起こす5つの原因

資金ショートを起こす原因は以下の5つです。

  1. 売上の減少
  2. 売掛金の回収遅れ
  3. 支出の増加
  4. 資金繰りの管理不足
  5. 不測の事態の発生

1.売上の減少

資金ショートを起こす代表的な例として、売上の減少が挙げられます。

以下の表は、2023年4月〜9月の期間で販売不振を理由に倒産した企業の割合です。

集計月 販売不振で倒産した割合
2023年4月 78.9%
2023年5月 79.1%
2023年6月 79.2%
2023年7月 81.3%
2023年8月 76.1%
2023年9月 77.8%

参照:帝国データバンク|倒産集計

このように、売上の減少によって倒産する企業が非常に多いことがわかります。

売上が減少する要因には以下のようなものが挙げられます。

  • 流行によって顧客のニーズが変わった
  • 競業他社が増えた
  • 商品・サービスの評価が下がった
  • SNSなどオンラインからのアクセス数が低迷している
  • 新規顧客を獲得できていない
  • 顧客のリピート率が低下している
  • 客単価の低い
  • 従業員や社員のモチベーションの低下

たとえば、競合他社が増えると今までと同じように企業努力をしていても客足が遠のき、売上が減少しやすくなります。

売上の急激な減少を避けるためにも、周辺環境の変化に対してリサーチが欠かせません。

2.売掛金の回収遅れ

売掛金の回収が遅れると支払いに間に合わなくなり、資金ショートを起こします。

企業間で行われる掛取引は、商品を提供して30日〜60日ほど後に入金が行われるのが一般的です。

しかし、売掛金の入金が遅れると自社の経費の支払いに間に合わなくなり、資金ショートを起こしやすくなります。

こうした売掛金の回収遅れによる資金ショートは、締め日から支払い日までの期間を指す「支払いサイト」が長いほど起こりやすくなります。

3.支出の増加

支出の増加も資金ショートの一因として挙げられます。

原材料の価格高騰や人件費の増加があると、支払いが多くなり手元の資金が枯渇しやすくなります。また、大型案件の受注などで一時的に仕入れ費用・人件費・外注費などが膨らんで資金ショートにつながるケースも起こりがちです。

事業拡大のチャンスが到来しても、キャッシュに余裕がなければ先行投資の費用負担に耐えられず資金ショートを起こします。

4.資金繰りの管理不足

資金繰りの管理不足も資金ショートを起こす要因です。

日々の業務に追われていると、損益通算書の利益に注目して手元の運転資金が足りなくなるケースがあります。

前述したように、企業間の取引には入金までに平均30日〜60日程度タイムラグがあります。そのため、入出金のタイミングを損益通算書以外で管理しておかなければ資金ショートを起こしやすく、注意が必要です。

詳しくは後述しますが、会社の入金・支出・残高が把握できる「資金繰り表」を作成しておくと資金ショートを回避しやすくなります。

5.不測の事態の発生

予想外の出費により、資金ショートを引き起こす場合もあります。

不測の事態として発生するのは、以下のようなケースです。

  • 感染症の流行
  • リコール費用
  • サイバー攻撃
  • 設備や営業車両の故障
  • 地震や豪雨などの自然災害
  • 損害賠償の請求
  • 訴訟費用

たとえば、自然災害では大規模地震が起こり工場が倒壊して生産が長期的にストップするなどです。

上記のような事態が発生すると多額の支払いが突然発生するため、資金繰りの厳しい企業は資金ショートを引き起こします。

資金ショートした場合にするべき7つの対策

資金ショートを防ぐ対策は、以下の7つです。

  1. 資金繰り表を作成する
  2. 不要な在庫を処分する
  3. 遊休資産を見直す
  4. 経費を削減する
  5. 支払い延長を交渉する
  6. ビジネスローンを利用する
  7. ファクタリングを利用する

1.資金繰り表を作成する

資金ショートした場合の対策として、資金繰り表の作成が有効です。

資金繰り表とは会社の一定期間の収支をまとめた管理表です。資金不足になる時期を把握するために活用される資料ですが、資金ショートした場合にも役立ちます。

たとえば、資金ショートに陥ると支払いの優先順位を決めて「入金を早める」「出金を遅らせる」のサイクルを作る必要があります。その際に、資金繰り表があれば資金の状況を把握し、「売掛先に交渉する」「資金調達をする」など対策が必要な範囲を確認可能です。

資金繰り表に決まったフォーマットはなく、テンプレートを元に自社が使いやすいように項目をアレンジするのが一般的です。

日本政策金融公庫の公式サイトでも資金繰り表の無料テンプレートがダウンロードできます。

参照:日本政策金融公庫|各種書式テンプレート

2.不要な在庫を処分する

不要な在庫の処分も、資金ショートを起こした際に有効な施策です。

売れる見込みのない在庫を多く抱えると、以下のようなリスクが生じるからです。

  • 倉庫のスペースが確保できない
  • 人件費・光熱費など管理コストがかかる
  • 腐敗や色移りなど他の在庫の品質が低下する
  • 在庫回転率が低下する
  • 融資審査が不利になる
  • 棚卸資産として課税される

このようなリスクを回避するために、一定期間おきに棚卸しをして売れる見込みがない在庫を処分しましょう。たとえば、3ヶ月おきなど期間を定めて棚卸しを行い在庫数を確認すれば「売れ行きが悪くなった商品」を把握しやすくなります。

不要な在庫を把握し、「ニーズがあるようなら値引きをして販売」「売れなさそうであれば廃棄」を実施しましょう。

3.遊休資産を見直す

遊休資産とは一旦事業用として取得したものの現在は使用されていない固定資産です。

遊休資産に該当する資産は以下の6つが挙げられます。

  • 土地
  • 建物・工場
  • 機械設備
  • 有価証券
  • ゴルフの会員証
  • ソフトウェア

遊休資産を保有していると利益の有無にかかわらず、維持・管理のコストがかかり続けます。たとえば、建物であれば定期的な修繕や清掃が必要になり、固定資産税も支払い続けなければなりません。

稼働していない資産は処分・売却をして維持・管理のコストを削減しましょう。

4.経費を削減する

手元の資金を多く残すために、経費の削減を行いましょう。

経費削減は売上を増やすよりも即効性があり、結果的に業務の効率化にもつながります。

削減しやすい経費として、以下のような項目が挙げられます。

  • 人件費
  • 出張費
  • 交通費
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 水道光熱費

とくに、人件費は経費の大半を占めるので、大きな効果が得られやすいです。

「出張をWeb会議に切り替える」「作業をマニュアル化する」などを行い、必要ではない残業代をカットすれば経費削減につながります。

ただし、人件費の削減は社員のモチベーションが低下する恐れがあるので、賃金・賞与のカットは極力行わないようにしましょう。

5.支払い延長を交渉する

取引先に支払いを延長できるか交渉する手段もあります。

支払いの延長ができれば入金までの間をつなげるため、資金ショートの発生を防ぎやすくなります。

ただし、取引先に資金繰りが悪化している旨を知られ、今後の取引関係に悪影響を与えるリスクがある点は要注意です。

取引先との信用不安を起こさないためにも、遅れる理由や支払い日について丁寧に説明するよう心がけましょう。

6.ビジネスローンを利用する

緊急の資金調達としてビジネスローンを利用するのも、資金ショート対策に有効です。

ビジネスローンは、事業資金専用のローン商品です。銀行・ノンバンクが提供しており、無担保・無保証で事業資金を借入できます。ビジネスローンを利用すると支払いを1ヶ月〜2ヶ月程度遅らせられるので、手元に資金を確保しやすくなります。

ビジネスローンの金利などを以下の表にまとめました。

金融機関の種類 金利 入金スピード 担保・保証人
銀行 1%〜15% 3日〜1週間 必要
ノンバンク 5%~18% 最短即日 不要

資金ショートの対策には、最短即日で資金調達ができるノンバンク系のビジネスローンが適しています。

ノンバンク系のビジネスローンは入金スピードが速く、なおかつ審査も通りやすいので緊急の支払いにも対応可能です。

ただし、銀行融資に比べて金利は高めに設定されているので利用頻度に注意が必要です。

7.ファクタリングを利用する

資金ショートの対策として、ファクタリングを利用するのも方法の一つです。

ファクタリングとは、売掛債権を売却して早期に現金化する金融サービスです。本来の売掛金の入金日を待たずに資金調達ができるので、早期に資金繰りを改善できます。

また、ファクタリングで行うのは債権譲渡であるため、金融機関の借入とは審査基準などの諸条件が異なります。

銀行融資とファクタリングの違いを以下にまとめました。

項目 銀行融資 ファクタリング
契約 金銭消費貸借契約 債権譲渡契約
取引内容 現金の借入 売掛債権の売買
入金スピード 約2週間〜1ヶ月 最短即日
担保・保証人 あり なし
審査対象 利用者 売掛先

このように、入金スピードが速く、ファクタリング会社によっては申込みから数時間後に入金が実行されます。

ファクタリングの手数料相場は以下のとおりです。

  • 2社間ファクタリング(面談):10%〜20%
  • 2社間ファクタリング(オンライン):2%~12%
  • 3社間ファクタリング:1%~9%

たとえば、オンラインの2社間契約で100万円をファクタリングすると2万円〜12万円が手数料として振込み代金から差し引かれます。

銀行融資の金利と比べて手数料は高いですが、審査対象が売掛先の支払い能力であるため資金ショートを起こしていても利用可能です。

資金ショートに陥りそうなときの3つの相談先

資金ショートに陥りそうなときの相談先は、以下の3つです。

  1. 会社の顧問税理士
  2. 公的機関
  3. コンサルティング会社

1.顧問税理士

資金ショートに陥りそうなときは、会社の顧問税理士へ相談しましょう。

経理業務以外にも、以下のような手続きなどをサポートしてもらえます。

  • 決算書を元に事業計画を分析
  • 資金繰りを円滑に回すための改善策の提案
  • 融資先となる金融機関の紹介・交渉
  • 補助金・助成金の情報提供
  • 節税に関するアドバイス

顧問税理士に相談すると資金繰りの改善につながるアドバイスがもらえるため、資金ショートを回避しやすくなります。

これから顧問税理士を探すのであれば、商工会議所や金融機関でも紹介してもらえますし、税理士紹介サービスで相見積もりも取れます。税理士顧問料の相場は月額3万円ほどです。

2.公的機関

資金ショートしそうな場合、以下の公的機関の窓口でも相談可能です。

  • 日本政策金融公庫
  • 中小企業基盤整備機構
  • 中小企業支援センター
  • 全国商工会連合会

上記の公的機関は地域ごとに支店があり、経営や資金繰りの課題について無料でアドバイスがもらえます。なお、各機関が融資制度を用意しており資金調達についても相談可能です。

3.コンサルティング会社

資金繰りが厳しいときは、コンサルティング会社に相談するのも一つの方法です。

コンサルティングとは、専門知識を元にクライアント企業の課題を解決する専門家です。コンサルティングは種類が多く、財務・会計・人事など企業の抱える悩みによって相談先が異なります。

資金繰りが悪化している場合、企業のお金に着目して課題解決をサポートする「財務コンサルタント」が適しています。

多くの財務コンサルタントは初回のみ無料相談を実施しているので、問い合わせてみましょう。

資金ショートに関するよくある質問

資金ショートに関するよくある質問について回答しています。

  • 資金ショートが起こったその後はどうなる?
  • 資金ショート寸前で経営者にできる対応は?
  • 資金ショートしそうなときに融資を受けられる?

資金ショートが起こったその後はどうなる?

資金ショートが起きた場合、事業を継続させるか、会社を清算するかのどちらかを選択する必要があります。

事業の継続であれば、前述したように「入金を早める」「出金を遅らせる」「経費や資産を見直す」を実行します。一方で会社を清算する方法として、事業再生を目指した法的手続きである会社更生法・民事再生法が有効です。

一般的に支払い不能となれば会社は倒産しますが、事業を継続させたい場合に会社更生法・民事再生法の手続きが用いられます。

会社更生法・民事再生法には以下のような違いがあります。

項目 民事再生 会社更生
対象 法人・個人ともに可能 株式会社のみ可能
経営者の交代 原則交代しない 交代する
株主 権利が維持される 100%減資で権利を失う
担保権実行の可否 実行できる 実行できない
手続き終了までの期間 約6ヶ月 1年以上

たとえば、会社更生法では裁判所の選任した更生管財人の主導の元で更生計画を策定してもらい、事業の再建を図ります。経営者が交代したり、株が無価値になったりするデメリットはありますが、会社は存続させられます。

会社更生法・民事再生法は会社の所在地を管轄する裁判所で手続きが可能です。どちらも申立ての前に裁判所で事前相談ができるため、問い合わせを検討しましょう。

資金ショート寸前で経営者にできる対応は?

資金ショート寸前になった場合、経営者は冷静に以下の順番で対処を行いましょう。

  1. 現状を把握する:残高を確認し、いつ・いくら入金と支払いがあるのか把握する
  2. 有事のマネジメントスタイルに切り替える:優先度の低い作業は切り捨て、経営者が直接現場を指揮する
  3. 主要な社員に緊急事態の旨を伝える:リーダー層の社員に厳しい現状を伝えて、報連相(ホウレンソウ)で情報共有をする
  4. 支払いの優先度を決める:不渡りを出さないよう手形・小切手の支払いを最優先し、その他の出金は遅らせるよう交渉する

なお、資金ショートを早期に発見して対処できるよう日頃から「日繰り表」を作成しておきましょう。

日繰り表は取引ごとの入出金や残高などを1日単位で記録した資料で、資金繰り表を1日単位でまとめたものです。日繰り表はテンプレートもありますが、エクセルで自前でも作成可能です。

資金ショートしそうなときに融資を受けられる?

資金ショートしそうなときはノンバンク系ビジネスローンを活用しましょう。

ビジネスローンは銀行融資と比較して調達スピードが速く審査のハードルも低いため、緊急の支払いに間に合わせられるからです。

即日融資に対応しているおすすめのビジネスローンは、以下の2社です。

項目 AGビジネスサポート アクト・ウィル
入金スピード 最短即日 最短即日
手数料 年3.10%〜18.0% 年7.5%~15.0%
利用金額 50万円〜1,000万円 300万~1億円
利用対象者 法人・個人事業主 法人(年商 5,000万円以上)

ただし、ノンバンク系ビジネスローンは銀行融資と比べて金利が高めに設定されています。手軽に資金調達ができるので、必要以上に借りすぎて資金繰りを悪化させないよう注意が必要です。

最短即日で資金調達できるファクタリングを利用しよう!

資金ショートとは、会社の資金が枯渇して支払いができなくなる状態です。

資金調達をすれば資金ショートを回避できますが、安定した事業運営をするためには再発を防ぐ姿勢が重要です。

本記事では、資金ショートの原因・対策・相談先について解説しました。なお、資金ショートを回避して再発を防ぎたいなら、ベストファクターのファクタリングがおすすめです。

ベストファクターは最短即日入金、かつ無料で財務コンサルティングを受けられるため、資金調達をしながら財務体質の改善を図れます。

資金調達の心配がない健全な経営を目指すのであれば、ベストファクターに相談しましょう。

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