銀行融資とファクタリングの違いとどんなメリットがあるかご紹介します。
売掛金・売掛債権を現金化するファクタリングに注目が集まっています。
中小企業の経営者に向けて、経済産業省中小企業庁でも売掛債権の利用促進が推奨されています。
参考:http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/urikake_panhu2.htm
今回はファクタリングというサービスがどういうものか、および融資による資金調達と比較した場合のメリットをご紹介します。
ファクタリングを利用することの5つデメリットも併せてご確認ください。
税理士
1級FP技能士
売掛債権のファクタリングは、銀行融資よりもスピーディーに資金調達を実行することができ、スピード感のある経営をするための一つの有効な手段と言えるでしょう。
先行きが読めない経済環境の中で少しでも資金繰りを楽にするための有効な手段と言えます。
ファクタリングとは?
ファクタリング とは、企業の持つ未回収の売掛金を第三者の企業であるファクタリング会社に売却することで、早期に売掛金を現金化する資金調達の方法です。
そもそも 売掛金 とは、商品やサービスを提供したあと、その対価の支払いを受ける期日前の期間について、現金として報酬を受け取っていない支払いの約束をしたままの状態を指します。
この支払いを受ける権利のことを 債権 と言います。
売掛先の支払期限が翌月末といった比較的短期間であればまだしも、支払い期日が半年後だったり、手形決済などを使って現金の支払日を繰り延べしたりするような取引先(売掛先)が多い場合は、中小零細の企業なら遅かれ早かれキャッシュフローが悪化してしまいます。
この手元に現金がない事態を解消し、黒字倒産を回避する手立てのひとつとしてファクタリングが注目されています。
融資には無いファクタリング5つのメリット
ファクタリングを利用することでどのようなメリットが得られるのでしょうか?
銀行融資やビジネスローンなどと比較した場合に経営者が得られるメリットをまとめました。
資金調達が早く即日の資金化が可能|メリット1
ファクタリングの最大のメリットは資金調達が非常に早いことです。
ファクタリング会社にもよりますが、最短で即日入金ということも十分にありえます。少なくとも数日程度で資金調達が可能なので、急な出費や支払金の不足に即対応できます。
また必要な書類を揃えたり審査を待ったりしなければならない銀行融資などと比べ、格段に早くキャッシュフローの正常化を図ることができます。
融資ではないので審査が緩い|メリット2
ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売却に過ぎず、売掛債権や売掛先企業の安定性を確認できれば資金化が可能です。
銀行融資やビジネスローンの審査が通らなかった場合でも、ファクタリングなら利用できる可能性は十分にあります。
銀行融資などは債務超過や税金等未払いで審査が通らなかったり、保証人や担保を入れないと融資が受けられなかったりします。
一方でファクタリングは融資ではないので、金融機関から借り入れするよりも審査基準が柔軟で融通が効きます。
さらにファクタリングで売掛金を資金化しても、売掛債権という資産を現金または未収金という別の資産へ交換する作業になるので、仕分けの際に貸借対照表(バランスシート)には借入として計上されることはありません。
利息はかかりません(手数料は別途必要です)。
未回収リスク・回収義務がない|メリット3
売掛先の財務状況によっては、売掛金が必ずしも支払期日までに現金化できるとは限りません。
売掛先が万が一倒産したり自己破産してしまったりすると、売掛金が回収できないリスクが高まります。
ファクタリングを利用すれば売掛金は即座に資金化されますので売掛金の未回収リスクを無くすことができます。
しかも 3社間ファクタリング では、回収義務を含めたあらゆる業務をファクタリング会社に委託できるため、売掛先が万が一倒産してしまった場合のリスクを回避することができます。
※2社間ファクタリング では、契約の際に回収業務委託契約を結ぶため、通常通り売掛金の支払いを受け取っていただく必要があります。支払いの義務はありません(ノンリコース)。
信用情報への影響がない|メリット4
信用情報とは、「何社からどれくらいの借り入れがあるのか」「返済が滞っていないか」といった情報が登録されている金融機関が保有しているデータベースのようなものです。
過剰債務や返済が滞っている状況が信用情報に登録されていれば、銀行融資などの審査が通りにくくなってしまいます。
先に説明したように、ファクタリングで売掛金を資金化することは融資ではないので信用情報に登録されることはありません。
ファクタリングは、すぐに使えない資産の売却によってすぐに使える資産(現金)を得るため、資金調達という目的が同じでも融資とは性質が異なります。
この点、融資のように調達額が貸借対照表に借入金として計上されないため、比較して調達額分「負債額が増加」しません。
従って、経営指標で「分母に用いられる負債」を増やすことなく資金調達を達成したことになり、これによって自己資本比率や流動比率等の各種指標の改善に繋がります。
これをオフバランス化と言います。
オフバランス化により経営指標の向上
オフバランス化 とは、経営指標で分母となる総資産を増やさずに資金調達をすることで、総資産事業利益率などの経営指標が向上することを指し、融資や増資などによる資金調達と対照して使われます。
ROAなどの経営指標は、現在のすべての資産でどれだけの利益を生み出したかという点が考慮されます。
以下、表を使って説明いたします。
負債による資金調達
負債100万円が増えることで、総資本が100万円増加します。
資産の増加 | 負債の増加 |
---|---|
現金:100万円 | 短期借入金:100万円 |
経営成績が向上しても分母である負債が増加しているため、経営指標が低下するケースがあります。
ファクタリングによる資金調達
使えない資産100万円が減少することで、使える資産が95万円増加します。
資産の減少 | 負債の変動なし |
---|---|
売掛金:-100万円 | - |
資産の増加 | 負債の変動なし |
現金:95万円 支払手数料:-5万円 |
- |
経営成績が向上した場合、負債による調達と比べて分母が小さいため、経営指標の向上が期待できます。
経営指標が良ければ、銀行からの融資や、投資家からの投資を集めやすくなるため、実際の経営に好循環をもたらす効果を与えます。
売掛先会社に通知されずに資金調達が可能|メリット5
ファクタリングには、自社と売掛先企業とファクタリング会社の間で契約をおこなう 3社間ファクタリング と、自社とファクタリング会社の間で契約をおこなう 2社間ファクタリング があります。
ポイント
両者の違いは現金化できる金額と売掛先への通知の有無です。
3社間ファクタリングは要通知
3社間ファクタリングは、売掛先に売掛債権の売却を承諾してもらう必要があります。
直接自社に関係する債権が第三者に売却されるということに売掛先企業が難色を示すと、ファクタリングができない可能性が出てきます。
さらにはファクタリングによって売掛金を現金化することで、売掛先に「資金繰りが悪化しているのか」と判断され、今後の取引の見直しが行われる場合もあります。
2社間ファクタリングは通知不要
一方の2社間ファクタリングは、売掛先に売掛債権を売却する旨の連絡を入れる必要もなければ、承諾を得る必要もないので売掛先に知られることなくファクタリングをおこなうことができるというメリットがあります。
ただし、売掛債権を買い取るファクタリング会社からすれば、売掛先企業の倒産等によって売掛金の回収が困難になったり、支払いが滞ったりするリスクがあるため、2社間ファクタリングの手数料は高く設定されています。
ファクタリング会社にもよりますが、3社間の手数料が売掛債権額の1%~5%であるのに対し、2社間は10%~30%となります。
ベストファクターは「2%~20%」の手数料で2社間ファクタリングを行っております。
借入ではないファクタリングが選ばれる理由
ファクタリングのメリットを改めてまとめると、次のとおりです。
- 資金調達が早いのでキャッシュフローの正常化が図れる
- 融資ではないため審査が緩く、信用情報への影響もない
- 売掛先が万が一倒産してしまった場合のリスク回避になる
- 2社間ファクタリングなら売掛先に知られずに売掛債権を現金化できる
銀行融資よりも利用しやすいファクタリングですが、ここでご紹介したメリットがある反面、場合によっては銀行融資よりも高い手数料がかかる可能性があります。
しかし、利息ではないので返済が中長期になる場合より低コストで資金調達ができるケースがあります。
お問い合わせいただければ、様々な資金調達方法とファクタリングのどちらに利用メリットがあるかご案内させていただきます。
私どもベストファクターでは、資金調達だけではなく、資金繰りの改善や経営の改善についてのご相談も承っております。
ご相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。